[マンガ] クライアントの耳はロバの耳 #2 写真を撮って送りました!
クライアントの耳はロバの耳
制作会社とトラブルを起こさない発注の心得
TEXT:益子 貴寛(サイバーガーデン) SCRIPT:加藤 さこ ILLUST:田中 斉
ウェブサイト制作会社にとって、クライアントはいわば王様的な存在。その要望を可能な限り叶えるのがウェブディレクタの使命なのだが、ときにはクライアントのトンデモナイ要求に対して、「クライアントの耳はロバの耳!」と叫びたくなることもあるのだ。
この連載では、ウェブサイト制作の現場で起きるさまざまなトラブルを紹介し、その原因を探り、解決法を紹介していく。
今回の登場人物
上辺さん(34歳)
ウェブ好きで、技術能力、コミュニケーション能力の高い、やり手ウェブディレクタ。ストレスを顔に出さないように気を付けている。路端くん(37歳)
勤めている会社でウェブサイト関連の仕事を担当しており、制作会社とのやりとりを任されている。上司に言われたことをそのまま伝えてしまう、ちょっぴり考えが足りないお調子者。ジョン(25歳)
デザイナーで上辺さんの同僚。フレンドリーで大らかな上辺さんの良き理解者。気持ちの切り替えが早い臨機応変タイプだが、理不尽なことがあると「チクッ」とイヤミが出る。
上辺さん: クライアントの担当者からWebの写真素材が届いたんだけどさ、外観はピンボケ、社長の顔は白塗りのようだし、コレ使えないよね。 ジョン: うん、とても企業のサイトに使えるものじゃないよ。撮り直してもらわなきゃね。
上辺さん: 企業の顔になる大事な素材ですから、ここはやっぱりプロが撮った見栄えの良い写真をお願いします。 路端くん: あれ、マズかったですか? じゃあ撮り直しますね。
上辺さん: あの、ほんっとうに、コレ、プロが撮ったんですか??? 路端くん: プロが使ってるような一眼レフのスゴいカメラで撮ったんですよ。やっぱりプロのカメラは違いますよねー。
上辺さん: カメラだけプロ仕様でもしょーがないんだよっ。どうしろっていうんだ、コレ。 路端くん: え、問題あったら画像ソフトで加工してもいいですよ。 上辺さん: だからっ、クライアントの耳はロバの耳!!!
さて、解説しよう
デザイナーのジョンはあきれてどこかに行ってしまい、ウェブディレクタの上辺さんは爆発寸前で「クライアントの耳はロバの耳!」と叫ぶために穴を掘ってしまった。なぜ、どこがいけなかったのかを解説しよう。
写真などの素材の受け渡しは、あらかじめ内容をチェックしておくのが鉄則だ。路端くんは、画像ソフトで簡単に補正できると思っているが、そもそもピンボケしていたり、光量が少ない(暗い)写真は補正しようがないのだ。
まず、写真を撮る前には、画素数や撮影モード、構図の取り方について制作会社にきちんと聞いておくとベター。押さえておくべき基本的なポイントとしては「大きい(画素数の多い)写真は小さくできるが、小さい写真は大きくできない」ということがある。小さい写真を拡大して使おうとすると、ドットが目立って粗い写真になってしまうのである。
デジカメが普及している現在では、誰でも簡単によい写真が撮れると考えがち。しかし、できればプロカメラマンの利用も考えよう(もちろん、制作会社に相談し、手配してもらってもよい)。それほど高くない料金で、撮影から納品まで請け負ってくれるだろう(2〜3時間から半日で数万円程度)。長く使える高品質な写真が数万円で撮れると考えれば、決して高くないはずだ。アマチュアとプロの差は大きいのである。このように、使うべきところにはきちんとお金を使ったほうが、結局は安くつくことがよくあるのだ。
- 写真は送る前にチェックする
- ピンボケや暗い写真は補正しようがない
- プロカメラマンの利用も検討する
- ピントの甘い写真、光量の低い写真を渡す
- 画素数(サイズ)の小さい写真を渡す
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