マスよりもクチコミを中心に情報収集「モバイルオンリー型」モバイルユーザー攻略マニュアル

10代~20代の若い世代が中心で、学生、主婦、フリーターが多いモバイルオンリー型ユーザーの姿を紹介
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今回は、メディア接触タイプのうち、モバイルオンリー型の特徴と攻略方法をご紹介していきたいと思います。タイプ分類の詳細については、モバイルユーザー攻略マニュアル#0の回をご覧ください。

モバイルオンリー型のユーザー像とは

モバイルオンリー型に属する人は、1日のプライベートでの接触時間がマスメディア210分未満、PCサイト20分以下、モバイルサイト10分以上と、モバイルとの接触が比較的多いのに比べ、マスメディアやPCサイトとの接触が低い層です。

属性で見ると、10代~20代の若い世代に多い傾向があります。また、女性では30代でもこのタイプが多い傾向がありますが、男性では30代以降にこのタイプが少なくなります(図1)。別の設問の結果でわかっていることとして、学生、主婦、フリーターが多く、自由に使えるお金がもっとも少なかったのもこのタイプです。

図1 タイプ別およびモバイルオンリー型のユーザープロフィール

10代~20代の多いモバイルオンリー型は、他のタイプと比較して、ファッションや音楽への関心が高い傾向にあります(図2)。また、女性30代が多いためか、育児・子育てや美容や食べ物に関しての関心も高い傾向が見えます。一方、経済動向・景気や、企業・市場・ビジネスといった分野への興味は低く、自分の生活をとりまく身近な情報への興味が高い印象です。モバイル&マス型も同様に10代のユーザーが多く、ファッションへの興味も高いのですが、モバイルオンリー型は流行やトレンド、芸能情報の興味が突出していないことが特徴です。全体的にみると、マスメディア情報でもなく、ネットでの偏った情報でもなく、クチコミやモバイルを中心に情報を取得しており、限られた人間関係のなかで生活している人物がイメージできます。

学生やフリーター、子育て中の主婦など、忙しくあまりテレビとの接触がなく、自分用のPCを保有していないような方々が想定できます。

図2 普段、関心を持っている情報

消費に関しては、「自分は買い物上手な方だ」や「計画的な買い物をすることが多い方だ」が他のタイプよりも高く、「いつも予定より多く買い物をしてしまう方だ」が低いことから、堅実派な一面がうかがえます(図3)。「中古品でも気にしない」「購入ブランド品をディスカウントショップで買うことに抵抗がない」といった回答も他タイプに比べて多く、「値段が高くても気に入れば買う方だ」という回答が低いことから、なるべく安価で、上手に買い物をしたいという願望が見えます。家計を賢くやりくりする主婦層の姿もイメージできます。

図3 自身の暮らしぶりに当てはまるもの
モバイルオンリー型のモバイル利用傾向
モバイルサイトへの流入経路
モバイルサイトのユーザーへの効果
モバイルでのキャンペーンへの参加
モバイルオンリー型ユーザーの攻略法
モバイルオンリー型ユーザー像のまとめ

モバイルオンリー型のモバイル利用傾向

それではこのタイプのユーザーはどんなモバイルの利用の仕方をしているのでしょう。攻略法を検討するために傾向をみてみましょう。

利用タイミング:自宅でのプライベート時間に利用

他のタイプに比べてモバイル利用が高いタイミングは、朝起きた時、就寝前、自宅でくつろいでいるとき、休日といった自宅でのプライベートな自由時間が挙げられます(図4)。モバイルがメインの接触メディアとなるこのタイプは、別メディアとの接触時の利用は他に比べて高くない結果となっています。また、移動中の接触が低い理由は、別の設問でこのタイプの通勤・通学の手段として自転車や自動車を長時間利用しているという結果からも想定できます。

図4 プライベートの時間のうち、モバイルサイトを閲覧するシーン

利用サイトジャンルと利用機能:ネットオークションで安く賢く買物

他のタイプと比較すると、ゲーム、着うたフル、デコメなど、モバイルで完結するエンタメコンテンツの利用や、Q&Aサイト、ブログといった情報閲覧が高い傾向にあります(図5)。一方、着メロが低くでていることから、着うたフルは着信音として利用するというよりは、ミュージックプレーヤーとしての音楽ダウンロード利用といえるでしょう。安く賢くという消費傾向があったように、ネットオークションの利用も高めの傾向です。旅行・タウン情報、チケット予約などが他タイプより低い傾向なのは、やはり自由に使える時間やお金に制約があり、行動範囲が広くない生活をしていることが伺えます。

図5 普段よく閲覧するモバイルサイトのジャンル

モバイルサイトへの流入経路

モバイルをメイン端末として使うモバイルオンリー型のユーザーは、キャリアの公式メニューやモバイル内の広告からの流入が多い傾向があります。キャリア公式サイト化や、このタイプの利用が多いゲームサイトやブログサイトへの出稿やのタイアップ広告なども効果的でしょう。

モバイルでのキャンペーンへの参加

他のタイプに比べると、全体的にキャンペーンへの参加は消極的といえます。特に購入ポイントを貯めたり、メルマガ登録をしたりするキャンペーンに対する参加が低めです。ただ、「購入したその場で当選判定がわかるタイプ」や「友人紹介して応募するタイプ」へのキャンペーン参加が他よりも高くなっています(図6)。インスタントウィン(その場で当選判定がわかる)は食品や菓子系の商材で多く実施されるキャンペーンですので、このターゲットと相性がよいのかもしれません。また、友人紹介に関しても、学校の友人や、家族やご近所などを中心にした関係の中で生活しているからこそ、紹介しやすい相手がいると考えることもできます。

会員登録やメルマガ登録が必要もの、複数のメディアと連動したキャンペーンなど、応募までにいくつかのステップを踏むようなキャンペーンの参加率は低くなっています。

図6 最近1年以内に参加したモバイルキャンペーンのタイプ。

モバイルサイトのユーザーへの効果

モバイルオンリー型のユーザーが、他のタイプに比べて特徴的なのは、ブランドや企業のイメージの変容や親近感などのブランディング効果は他タイプより低く、認知や知識を深める、購入するというレベルでの変容に差が見えていることです(図7)。特に、ブランドへの興味や親近感の効果は低いものの、商品やブランド・企業について話題にしたという点が高いことに注目したいところです。前述の通り、学校や家庭、主婦仲間などのコミュニティに属していることで、モバイルを情報元としたクチコミが効きやすいのではないかと推測できます。

図7 モバイルサイトを見ることで感じたことや行動した経験
モバイルオンリー型ユーザーの攻略法
モバイルオンリー型ユーザー像のまとめ

モバイルオンリー型ユーザーの攻略法

それではこれまでの特徴を踏まえ、このタイプにはどのようなモバイル施策でアプローチすれば反応するのでしょうか。

1. 音楽、美容、ゲームなどを集客やコンテンツに活用

ターゲットの興味がある音楽やゲームに関するモバイルサイト(グリー、モバゲーなど)や美容に関するブログからの集客が効率的でしょう。また、サイト内にコンテンツを設置する際にも、便利というよりは楽しい・お得なものにするとよいでしょう。

2. 「お得で簡単」をアピール

その場ですぐに結果がわかる。サイトのみでポイントが貯まるような仕組みといったように、無料ですぐに参加できるようなキャンペーンがお得です。コンテンツ体験のみで長期的なブランディングを求めるよりも、すぐに購買につなげて、商品体験でブランディングをできるような商材のほうが相性がよいでしょう。

3. 身近な人へのクチコミを促進

学校や家庭、近所といった限られた範囲のコミュニティに属しているような、このターゲットには、ネット上でのバズを生むようなクチコミというよりは、身近な相手にリアルでクチコミ行動を行ってもらう施策をしかけるのがよいでしょう。

参考事例1 森永乳業「贅沢倶楽部モバイルサイト

モバイル

概要贅沢倶楽部モバイルサイトは、森永乳業が運営する会員サイト。ゲームやコンテストなどのコンテンツを使い、SNSサイトとのタイアップ企画で会員を集め、お得なキャンペーンを展開している。

ポイントモバイルサイトのコンテンツ利用のみでポイントが貯まる仕組みを実装し、会員とコミュニケーションを図っています。マスメディアよりも店頭や商品シール、SNSなどから集客を行っている点もこのターゲットに合っています。

参考事例2 杏林製薬「出産カウントダウン待受」

モバイル

概要プレママから子育てママの生活を応援する杏林製薬のオンラインショップ「葉酸のキョーリン・オンライン・ショップ」では、モバイル版のオンラインショップにて、メルマガ登録者向けにプレママ向けの無料待ち受けFlashを配布している。

ポイントFlashの待ち受け出産予定日までのカウントダウンはもちろん、気をつけるべきメッセージを表示し、パパ用待受Flashにはママを気遣うポイントを表示している。広告告知がほぼないにも関わらず、ママたちに便利なコンテンツはママコミュニティ内のクチコミでダウンロード数が増加しており、ママだけでなくパパまでフォローするなど、ユーザーのニーズをうまく掴んでクチコミを生んでいる事例といえます。

出産カウントダウン待受
◇◇◇

このようにモバイルオンリー型にアプローチするためには、集客力のあるモバイルサイトからのモバイルへの誘導や、クチコミでの誘引が効果的であり、サイトは無料で手軽なものにしておくとよいでしょう。モバイルがメインの情報メディアである可能性も高いため、マスメディアやPCでのみアプローチしてしまうと接点の少ないターゲットになります。

モバイルオンリー型ユーザー像のまとめ

モバイル中心にインターネットをするモバイルオンリー型には次のような特徴があります。

  • 音楽やゲーム、美容を集客元やコンテンツとして活用
  • お得を推す!無料参加できるキャンペーンなど
  • 身近な相手へのクチコミを促進

モバイルオンリー型のような人物像がターゲットの場合、上記のような点を意識してモバイル企画を検討するとよいでしょう。また、逆にこのようなプランの実施が決定している場合は、モバイルオンリー型が反応しやすい有効なターゲットであることを意識してみるとよいのではないでしょうか。

次回は、モバイル接触の少ないモバイルライト型について簡単に紹介します。また、次回から2011年度版のデータが反映できる予定ですので、ご期待ください。

※本記事にて紹介する事例は、IMJモバイルの実績紹介としての掲載ではありません。

この記事の筆者

株式会社IMJモバイル モバイルナレッジラボ

モバイルナレッジラボでは、日々進化を続けるモバイルを取り巻くさまざまなテーマについて、多様な視点から調査・分析を行い、世の中に発信していくことを目的として活動を行っています。


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