コンバージョンの6割は再訪問から生まれる、第三者配信で見える化されたユーザーの態度変容 | アクティブコアセミナーレポート

第三者配信のアトリビューション効果検証と活用事例をテーマに開催されたセミナーをレポート
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広告クリエイティブを改善するには、
「とにかくクリックを獲得する」という考え方から脱却する必要があります。

初回訪問でコンバージョンする人は全体の3割から3割5分くらい。
つまり、コンバージョンの6~7割は再訪問から生まれています。

全体の配信量は第三者配信が6割、ヤフーが4割。一方、クリックスルーのコンバージョンは、ヤフーが7割弱、第三者配信が3割です。

アクセス解析や広告効果測定、LPO、レコメンドなどのソリューションを提供するアクティブコアが7月4日に開催したセミナー、「広告主が語る第三者配信によるアトリビューション効果検証と活用事例:大和ハウス工業編」では、第三者配信を利用した広告配信の基本的な仕組みから、実際の運用や成果までが、さまざまなデータを交えながら披露された。

第三者配信や効果測定のシステムを提供するプラットフォーム側と、広告出稿する広告主側、双方の視点で語られた、4つのセッションの様子をレポートする。

  1. 第三者配信が実現するデータ主導のクリエイティブ戦略
  2. アクティブコアのアドネットワークソリューション
  3. 第三者配信によるアトリビューション効果の見える化事例
  4. パネルディスカッション:広告主が求めるこれからのマーケティングツール

広告をクリックしない99%のユーザーに行動してもらうための施策

セミナーの第一部は、MediaMind Technologies株式会社 Senior Sales Managerの渡邊桂子氏が「第三者配信が実現するデータ主導のクリエイティブ戦略」をテーマに講演した。同社はニューヨークに本社を置くグローバル企業で、デジタル広告の配信・管理プラットフォーム「MediaMind」を通じ、日本国内でも広告の第三者配信を実現している。

まず渡邊氏は、本セミナーの主題となる“ネット広告の第三者配信”とは何か、という点から説明した。

MediaMind Technologies株式会社
Senior Sales Manager
渡邊 桂子氏

まず第三者というからには当事者がいるはずです。媒体社が自社のアドサーバーを用いて広告を配信するのは、当事者配信と呼ばれます。これに対して第三者配信とは、媒体社以外のアドサーバーから広告を配信することを指します。もう少し狭く定義すると、第三者配信とは広告主による“セルフ配信”という意味です。

つまり、広告主や代理店が、MediaMindなどの“第三者”のアドサーバーを用い、さまざまな媒体やアドネットワーク、アドエクスチェンジなどに広告配信する仕組みが第三者配信になる。では、第三者配信によって何ができるようになるのか。渡邊氏は次のように説明する。

第三者配信を用いると、複数の媒体への広告出稿を一元管理でき、広告効果を横断的に見ることができます。たとえば、媒体Aと媒体Bで、どの程度ユーザーが重複しているかといったことを分析し、改善できるようになります。

複数の媒体や、アドネットワーク、アドエクスチェンジに広告を出稿している企業は多いだろう。しかし、当事者配信の場合、レポートは媒体ごとに送られてくる。それぞれのレポートのデータを集計して、施策全体の効果分析をしようとすると、いわゆる「Excelまみれ」の作業になってしまうし、限界も生じる。こうした不満を解消してくれるのが、広告のセルフ配信(第三者配信)というわけだ。

たとえば、MediaMindでは、純広告のプレミアム枠、アドネットワーク、アドエクスチェンジ、リスティング広告、ソーシャルメディアといった、すべての広告のアクティビティを一元管理できます。自社サイト外の施策は第三者配信サーバーに集約し、得られたデータをサイト内のデータとひもづけてアクセス解析ツールで分析する。こうすることで、ユーザーの興味・関心の度合いに応じた広告配信ができるようになります。

このような説明を聞くと、第三者配信=メディアプラン最適化のためのシステム、という印象を持つかもしれない。実際、第三者配信によって今までは見えなかったデータが見えるようになると、媒体ごとの広告予算配分の見直しがよく行われると渡邊氏は話す。しかし、第三者配信によって重要性が増すのはメディアプランの最適化ではなく、広告のクリエイティブだと渡邊氏は力説する。

メディアプランの最適化は確かに重要ですが、コンバージョン向上に大きく寄与するのは、クリエイティブの改善です。メディアプランを変えるよりもクリエイティブを変える方が、4倍もコンバージョンに与える影響が大きいという調査結果もあります。

ではどのようにクリエイティブを改善したらいいのか。渡邊氏はまず「とにかくクリックを獲得する」という考え方から脱却する必要があると話す。第三者配信を活用すれば、ユーザーのリターゲティングの精度を高めることができる。しかし、平凡なクリエイティブで、しつこくクリックを迫られたらユーザーはどのように感じるだろうか。「逆にブランドイメージの低下につながるのではないか」と渡邊氏は指摘する。こうした問題を解決する1つの手段が、リッチバナーの採用だという。

MediaMindのグローバルの調査では、広告CTRは0.09%に過ぎないという結果が出ました。99%以上の人は広告をクリックしない。この99%のユーザーに、何らかの行動を起こしてもらうための施策が、第三者配信による適切なリッチバナーの配信です。広告は見ただけでは記憶に定着しません。しかし、クリックやマウスオーバーによって何らかのアクションが起こるリッチバナーに触れてもらえれば、定着率は70~90%まで上昇すると言われています。同時に、私たちはレレバンシー(関連性)と読んでいますが、ユーザーにとって役立つコンテンツとして、興味関心に関連する広告を提供することが重要なポイントになります。

リッチバナーに接触したユーザーは、スダンダードバナーに比べ、キーワード検索によって広告主のサイトを訪問する確率が3倍高くなるというデータもあるという。また、サイト訪問後も、離脱率の低下や回遊性の上昇といった傾向が見られるという。渡邊氏は、こうしたデータを示しながら、次のように訴える。

ユーザーはリッチバナーだけで満足してしまい、ランディングページには行かないかもしれませんが、それでもいいのです。

なぜなら、リッチバナーでは映像をどこまで再生したのか、どの時点でクリックしたのかなど、ユーザーが何に興味を持っているのか、バナーの接触度合いに応じてグループ化し、施策を振り分けられるからだ。たとえば、ある旅行会社では、バナー広告上でプランを選択できるようにし、ユーザーのクリックに応じて適切なリターゲティングを行っている。

もちろん、リッチバナーは制作にも配信にもコストがかかる。しかし、最適な配信がわかればCPAは必ずしも悪くはならないという。最後に渡邊氏は、大切なのはふさわしいタイミングで露出することだと、運用上のポイントを次のように挙げ、講演を締めくくった。

リッチバナーは高価ですが、適度に露出させることができれば、必ずしもCPAは悪くならない。ダイレクトレスポンス系のバナーを毎回見せるよりも、何回かに1回はリッチバナーを見せた方が、トータルのコストパフォーマンスが良くなった事例もあります。たとえば、初回閲覧時だけリッチバナーを露出し、その後はリターゲティングでしつこく感じさせない程度にユーザーを追いかける。第三者配信により広告配信を一元管理し、スタンダードバナーでできること、リッチバナーでできることを組み合わせることが重要になってきます。

コンバージョンしたユーザーの自社サイト外の動きを把握

続いて登壇したのは、本セミナーの主催者であるアクティブコア 代表取締役社長の山田賢治氏。同社はWebサイトのレコメンドシステム「ac propoza(エーシープロポーザ)」や、行動ターゲティングを活用したLPOシステム「ad insight(アドインサイト)」、アクセス解析・効果測定ツールである「ac cruiser(エーシークルーザー)」などの製品を展開している。

山田氏の講演で主題となったのは、エーシークルーザーを利用したアトリビューション分析だ。2012年5月に第三者配信サーバーの効果測定に対応したことで、サイト外の間接効果を緻密に分析できるようになったことなどが紹介された。

山田氏はまず、ユーザーが何回目のWebサイト訪問でコンバージョンするかについて、次のような興味深いデータを紹介した。

株式会社アクティブコア
代表取締役社長
山田 賢治氏

弊社お客さまの平均値になりますが、初回訪問でコンバージョンする人は、全体の3割から3割5分くらいにすぎません。つまり、コンバージョンの6~7割は再訪問から生まれています。ここで言うコンバージョンには、高額商品の購入から無料登録のようなものまで、さまざまなものが含まれています。業種やWebサイトの性格もさまざまです。しかし平均値を見ると、どの月を見ても、だいたいこのような傾向になっています。

アトリビューション分析を行う目的の1つは、コンバージョンに至るまでのユーザー動向を把握し、コンバージョンにつなげるための効果的な施策を打つことにあるだろう。山田氏によれば、エーシークルーザーを用いることで、どのような経路でユーザーが初回訪問に達したか、そして初回訪問後、コンバージョンに至るまでにどのような行動をとったかを、「キーワード」「メルマガ」「ソーシャル」「アドネットワーク(第三者配信を利用)」の全流入経路で分析できるという。加えてコンバージョン後のユーザー動向もキャッチアップできる。

このようなデータから広告主が最も探り当てたいのは、どの時点でユーザーが態度変容を起こしたかだろう。この点についても、「料金ページを見た人」「オンラインデモ動画を再生した人」「フォームまでは訪れたけどコンバージョンしていない人」といった具合にユーザーをグルーピングし、グループごとにアトリビューション分析する機能が実装されている。各グループのユーザーが、サイト内でどんなアクションをしたかも細かくわかるようになっており、さまざまな項目を任意にKPI設定し、レポートに出力できる。

ポイントは、第三者配信であれば、外部サイトのバナーであってもビュースルーコンバージョンを計測できる点だ。簡単に言えば、アドサーバーに専用の計測タグを設置すれば、ユーザーとその行動が自動的にひもづけられ、データとして集計される仕組みになっている。

我々のタグを設置すれば、媒体サイトであろうが自社サイトであろうが、すべて一元的に管理できます。特にコンバージョンしたユーザーに関しては、サイト内外の動きをほとんど把握できる。何月何日の何時何分、どのアドネットワークの広告に触れていたのかまでわかるのです。

今夏(2012年夏)のバージョンでは、“アドネットワークに接触したユーザー”というセグメントをつくれるようにします。すると、アドネットワーク接触後、ユーザーはどこから流入するのか、どんなキーワードで検索して訪問するのか、といったことが管理画面上でランキング形式で見えるようになる。さらにデータを分単位で集計できるように改善されますから、従来はわかりづらかったテレビCMの効果なども、より正確に推計できるようになります。

エーシークルーザー導入企業のなかには、コンバージョンユーザーの3割が、サイト外のアドネットワークの広告を見ていたというケースもある。当然、コンバージョンには至らなかった広告接触ユーザーは、もっと高い割合で存在する。第三者配信とエーシークルーザーのタッグは、そうした見込み客に対し、有効な施策を展開する上で強力なツールになるだろう。またアクティブコアでは、エーシークルーザーの分析データを基に、見込み客が求める情報を、シナリオあるいはアルゴリズムに基づき、自動的にレコメンドするシステムも提供している。このようなサイト内のLPOについても、今後、第三者配信のデータを利用できるようになるそうだ。

アクティブコアの製品は、あくまでも目的を達成するための道具だと思います。我々はみなさまの目的達成のために、道具の改善を続けていきたい。

最後に山田氏は、今後もさまざまなニーズに対応しながらシステムをより良くしていくと話し、講演を終えた。

  • 第三者配信で見える化されたユーザーの態度変容とシナリオの再設計
  • 広告主が求めるこれからのマーケティングツールとは

第三者配信で見える化されたユーザーの態度変容とシナリオの再設計

大和ハウス工業株式会社
総合宣伝部 デジタルメディア室
室長
大島 茂氏

第三部に登壇したのは、大和ハウス工業 総合宣伝部デジタルメディア室長の大島茂氏。同社では2012年1月から、MediaMindを活用した第三者配信にいち早く取り組んでいる。

大島氏は、「第三者配信によるアトリビューション効果の見える化事例」をテーマに、第三者配信を活用するための運用体制構築や、運用の成果・課題について、具体的な数字を交えて説明した。

まず第三者配信を行うにあたってのチームづくりだが、大島氏は「第三者配信を行うとものすごい量のローデータ(生のデータ)が手に入る」と強調する。このデータを活用するために大島氏は、「代理店に丸投げするのではなく、インハウスでの共有体制の構築が重要」だと考えた。膨大なデータ解析に対応するとともに、解析結果をマーケティング施策の改善に生かしていくためだ。

大和ハウス工業の場合は、宣伝部、情報システム部門、大和ハウスグループで広告代理事業を行う伸和エージェンシーの三者で運用体制を設けている。

第三者配信によっていろいろなデータが見えると、広告以前にコミュニケーションのシナリオそのものが不十分であることがわかってきます。広告のクリックやコンバージョンの数値を良くするという話ではなく、サイト全体を作り替えるなど、自社の事業も深く理解したうえでの改善につなげなければならない。そうしたノウハウを社内に蓄積するためにも、インハウスでの体制構築が重要です。

業務を担当するスタッフに必要なスキルとしては、統計処理とITの両方に通じていることが挙げられた。最新テクノロジーを理解するためのチャレンジ精神も欠かせない。また、技術だけでなく、独自に情報を得るためのコミュニケーション能力も必要だという。しかし、すべてのスキルを備えている人はまずいないため、組織対応が重要だと大島氏は話す。

大和ハウス工業では、データの解析ツールとして、カスタマイズしたエーシークルーザー(ac target:エーシーターゲット)を活用している。では、MediaMindの第三者配信を使ってアドネットワークに出稿したことで、どのような成果が表れたのか。まず「解決したこと」として挙げられたのは、ユーザーの態度変容過程が把握できるようになったことだ。

ビューで20経路、クリックで50経路、サイト内のリファラー履歴や流入時の検索キーワードが確認できるようになりました。エーシーターゲットを用いたことで膨大なデータを整理でき、バナー接触後の行動履歴も見やすくなりました。今はコンバージョンしたユーザーの経路を分析するなど、いろいろなトライをしながら第三者配信についての知見を深めているところです。

実際の成果では、資料請求や問い合わせをコンバージョンとして評価したところ、並行してバナー広告などを出稿しているYahoo! JAPANの行動ターゲティング広告と、同程度の広告効果が得られているという。

全体の配信量は第三者配信が6割、ヤフーが4割になります。一方、クリックスルーのコンバージョンは、ヤフーが7割弱、第三者配信が3割です。ラストクリックだけを見ると、やはり行動ターゲティング広告の獲得効果が高い結果になっています。しかし配信単価でみると、媒体費の他にサーバー利用料などを含めても第三者配信の方が低く、ビュースルーコンバージョン数も安定して獲得できています。

今回のデータは、2012年5月始めからのデータであるため、今後データを蓄積していくことで見え方が変わってくるのではないかと大島氏は話す。一方、現時点でも第三者配信のデータを解析し、ユーザーの姿がはっきりと浮かんできたことで、広告効果を高め、費用を圧縮する手応えもつかんでいるようだ。

住宅の購入を検討しているユーザーは、何度もアクションを起こし、何回もサイトを訪問してじっくり検討する方が多いとわかってきました。そうしたユーザーに合わせたシナリオとゴールを作り、サイトを再設計していくのが大和ハウス工業の課題です。第三者配信の広告は、ビュースルーのコンバージョンや、CTRなどを総合的に判断して、意図した誘導ができているかどうかがすぐにわかる。効果が高い媒体を見極め、予算配分を見直すことで、配信効率も上げられると思っています。

一方、第三者配信の課題として、配信先の媒体が少ないことも挙げられた。たとえば、Yahoo! JAPANは第三者配信の広告に対応していないため(セミナー開催時点)、他の媒体と同一の指標で広告効果を評価することができない。そして、DSPやアドエクスチェンジは、どのような媒体に配信されるかわからず、配信先サイトの品質が担保されないという問題もある。

また現状では、媒体費以外の費用が結構かさむので、もったいないとも感じます。もっと普及して、いろいろな会社が使ってくれれば、費用も下がってくると期待しています。

このほか、バナー制作やLPOに労力がかかること、利用できるオーディエンスデータが少ないことも指摘された。なお、配信先の品質に関しては、自動的に配信先を選別する「アドベリフィケーション」というツールを利用することで、ある程度解決できる可能性があるという。

望ましくないサイトに広告が掲載され、企業ブランドが下がる事態は避けなければなりません。大和ハウス工業では先日、広告が掲載ポリシーに適合した媒体に掲載されているか、ツールを用いてテストを行いました。今、2回目のテストをやっている最中ですので、いずれどこかの機会でご報告したいと思います。

このように締めくくる大島氏に会場からは大きな拍手が寄せられた。

広告主が求めるこれからのマーケティングツールとは

株式会社 日経BP
日経デジタルマーケティング
副編集長
杉本 昭彦氏

セミナーの最後は、日経デジタルマーケティング(日経BP社)副編集長の杉本昭彦氏をモデレーターに迎えたパネルディスカッションが行われた。パネラーはここまでに登壇した3名に、実際に大和ハウス工業の広告を運用している伸和エージェンシー 情報企画部デジタルマーケティング室の佐藤由紀氏を加えた4名だ。

まず、「どのようにして第三者配信を社内に説明して取り入れていったのか」と質問されると、大島氏は「社内を説得するのはなかなか難しい。外部の人が、会社の上層部に話をしてくれると動きやすくなる。外の力をうまく使って、上の人を説得するのがいいかもしれない」と話す。そのためには、大島氏が講演で話したように、技術だけでなく、さまざまな情報を得るためのコミュニケーション能力が重要になってくるだろう。

続いて「他の広告主は第三者配信によって得られる大量のデータをどのように分析しているのか」という質問に対し、MediaMindの渡邊氏は次のように答える。

ユーザー次第だが、最も多いのは代理店が処理するケース。アクセス解析のシステムを拡張する場合は、どんなデータをどう見るかというイメージが必要。最初はだれかが“人柱”となり、普通のクライアントPCを使って自分で解析したり、ビッグデータをクレンジングしてくれる会社にアウトソースして対応しているケースが多い(渡邊氏)。

また、山田氏は「ローデータは、クラウドで分散処理する方向性に進むと思う。最終的には情報システム系のデータと、Webマーケティングのデータは、一元的に処理されるのではないか」と、将来のデータ分析のあり方について話した。

一方、実際に大和ハウス工業の分析を行う伸和エージェンシーの佐藤氏は、次のよう説明した。

クリック数などの基礎的なデータはMediaMindで、そこからコンバージョンまでのデータはエーシーターゲットで見る。どの媒体でどのクリエイティブが刺さるのか、見込みのある媒体はどこかといったところを、数字でひもといていきます。広告の配信期間中は、最低でも1日に2回、異常値が出た場合やクリエイティブを変更した場合はもっと頻繁に見るようにしている。経路分析に関しては、だいたい1週間に1回くらい確認しています(佐藤氏)。

次に、「データをもとに方向性を変えるための判断基準はどこにあるのか」と質問されると、大島氏は次のように答えた。

普段ほとんどの人は、住宅という商材に興味をもっていない。一方、住宅を考え始めたタイミングではものすごい調べるため、コアとなるターゲティングは「調べる」というアクションを開始した人。結婚や子供の入学など、ユーザーが住宅購入を考え始めた理由を知るより前に、広告はユーザーに接触しなければならない。その接触効果がどのようにアクションや結果につながるのかを整理したうえで、サイトのストーリーを整理し直したい(大島氏)。

さらに、アドテクノロジーによって、将来の顧客になり得る潜在顧客をキャッチできるのかと聞かれると、「認知のためにノンターゲットで出す広告と、再訪問した人に出す広告では、本来はクリエイティブの仕掛けが変わってくるはず。第三者配信によって、ユーザーの興味関心に応じた、さまざまな“つなぎ”をつくれると思う。これからはそういうこともきちんと考えて広告施策をやらなければいけない」と大島氏は答えている。

これを受けて、広告施策を打つ際の「シナリオづくりに王道はあるのか」という質問がされると、渡邊氏は「よく質問されるが、残念ながら王道はない。成功事例はたくさんあるが、勝ちパターンは個々の企業によって異なる。広告主単体で王道にたどり着くのは難しいかもしれないが、代理店には知見がたまっていると認識している」と答えた。

最後に、杉本氏から第三者配信のコストについて質問される。これについて、大島氏は次のように話す。

第三者配信は、媒体への出稿料に加えて各種ツールの利用料がかかる。CTRで見ればヤフーの行動ターゲティングの方が良いが、第三者配信はインプレッションの単価が安く、ビジネス効果も見えるという利点がある。それらをどう評価するかによる。ヤフーの行動ターゲティングを半分にしたことで、コンバージョンが一時的に減るのは想定していた。しかし、第三者配信を始めることで次の展開ができる可能性がある。同じ施策ばかりやっていても仕方がない、ダメならまたヤフーに戻ればいいと思って踏み切った(大島氏)。

第三者配信というニッチなテーマながら、会場定員の3倍の申し込みがあったという同セミナー。最後に、セミナー主催者であるアクティブコアの山田氏は、「マーケッターの方々が広告効果を正しく、効率的にジャッジできるようなツールを提供していきたい」と話し、セミナーを締めくくった。

左から、大和ハウス工業 大島茂氏、伸和エージェンシー 佐藤由紀氏、MediaMind 渡邊桂子氏、アクティブコア 山田賢治氏
この記事の筆者

鶴田 修朗 (モジカ)

スクリプトLLC代表。検索マーケティングを中心としたウェブマーケティングと金融の分野を中心としたライティングで活躍中。

講演・セミナー、インタビュー・対談、その他の音声・動画情報をテキストコンテンツ化し、オウンドメディアやコンテンツマーケティングの素材として利用できるようにするサービス「モジカ(mojica)」を提供している。

http://www.mojica.jp/

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