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グーグルのSGEが検索トラフィックに与える影響を算出する方法(無料のテンプレートあり)【後編】

Google SGEによるオーガニック検索トラフィックの増減を推計する方法を紹介する(無料で利用できるテンプレートあり)
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

SGEがオーガニックトラフィックに与える影響を算出する方法について解説するこの記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。
まず前編を読んでおく

前編では、グーグルのSGEとは何かを解説したうえで、SGEがサイトのオーガニックトラフィックに与える影響を判断する方法のステップ2まで紹介した。後編となる今回は、ステップ3以降を紹介する。

SGEがサイトのオーガニックトラフィックに与える影響を判断する方法[テンプレート](続き)

ここから、このSGE影響モデルを構築するためのステップを次の2つの順に説明する:

  1. オーガニック検索におけるCTRの想定値を算出する(前編)
  2. SGEにおけるCTRの想定値を算出する(前編)
  3. サンプルキーワードを決める
  4. SERPを分析し、SGEで確認した結果を記録する
  5. オーガニックトラフィックの減少を予測する
  6. 定期的に確認する

そのうえで、SGEの回答に対してサイトをどのように最適化すべきかを解説してく。

ステップ3サンプルキーワードを決める

この分析には、作業するキーワードのサンプルが必要だ。テンプレートに入力するには、各キーワードの検索結果でSGEが表示されるかを手作業で調べる必要があるため、管理しやすいリストにしておくことを忘れずに。

どのようなサンプルキーワードを選ぶにせよ、そのキーワードがオーガニックトラフィック全体に占める割合を必ず把握しておく必要がある。サイトトラフィックの少なくとも50%を占めるキーワードのセットを分析するようにしよう。

大規模なサイトの場合、トラフィックの50%を占めるキーワードのセットにはボリュームの多いブランドキーワードしか含まれていない可能性がある。その場合、残りの50%の背後にある検索意図を示すサンプルにはならないことを覚えておこう。こういった場合は、ブランドまたは売上にとって特に重要な、ボリュームの少ないキーワードを調査に含めることを検討してほしい。そうすることで、SGEがサイトトラフィックの大部分に与える影響を理解しやすくなり、SGEの影響についてより強く主張できるようになる。

サイトによっては、キーワードをクリック数順に並べるとロングテール部分が極めて長く、サイトのオーガニック検索クリックの大多数が数千件のキーワードに分散している場合がある。自分のサイトがそうなっている場合は、自分にとって有効なキーワードの数を選ぼう。分析できるサイトトラフィックの割合が大きいほど、説得力も高まる。

このテンプレートでは、選んだキーワードのSERPを手動で分析する必要がある。この記事を書いている時点で、SGEの実験的テスト段階のデータを大規模に収集できるツールはない。今後は状況が変わり、一連のキーワード全体のSGE結果を自動で確認できるようになるかもしれない。だが現時点では、手作業でやる必要がある。

まず、Google Search Consoleからクエリをエクスポートしよう。テンプレートに追加する必要があるのは、次の5つだ:

  • クエリ
  • クリック数
  • 表示回数
  • CTR
  • 掲載順位
Google Search Consoleからデータをエクスポートする
Google Search Consoleからデータをエクスポートする

次に、テンプレートの「Search Consoleのデータを貼り付ける」シートを開き、A列にキーワードを貼り付け、B列~E列にGoogle Search Consoleの指標を貼り付ける。

CTRの想定値を変更しない限り、SERPを分析する前にGoogleスプレッドシートに手作業で入力する必要があるのは、このデータだけだ。

ステップ4SERPを分析し、SGEの表示状況を記録する

Search Labsに登録されていることを確認したら、キーワードごとに手作業で検索し、検索結果にSGEが表示されるか確認していこう。これは膨大な手作業となる。SGEが広く導入されれば、サイトのSGEの有無を把握するための優れたソリューションが出てくるだろうが、現時点ではこれが有効な選択肢だ。

記入するのは、「SGEの影響」シートのF列「SGEが表示されるか?」だ。SGEの結果が自動的に表示される場合は、F列を「Yes」にする。デフォルトでSGEは表示されていないがAIの回答を生成するボタンがある場合は「Optional」を選択しよう。

上位のキーワードに対するSGEの有無
上位のキーワードに対するSGEの有無

SGEが表示される場合(自動でもオプションでも)は、AIの回答に自分のサイトへのリンクが含まれているかを確認する。リンクが含まれている場合は、G列「SGE内にリンクがあるか?」を「Yes」にしよう。自分のサイトへのリンクがない場合は「No」を選択しよう。

これらの列への入力に基づき、「CTR想定」シートの値を使用して、SGEで見込まれるCTRの予測が自動的に決まることになる。

SGEの回答が表示されないか、これを生成するオプションがない場合は、F列で「No」を選択しよう。その場合、G列は「n/a」のままで構わない。

ステップ5オーガニックトラフィックの増加・減少を予測する

サンプルキーワードの検索結果を分析したら、オーガニックのCTRとトラフィックの予測データは自動的に計算される。

SGEの結果として予想されるCTRの変化は、楽観的なシナリオと悲観的なシナリオでP列~Q列に予測データが自動的に入る。

これらの調整されたCTR値を使って、SGEがある場合にGoogle Search Consoleのクリック数がどれほど変化することが見込まれるかをT列~U列で予測する。与えられたキーワードに対してSGEが表示されない場合、ここでの値はゼロになる(計算に起因する微少な誤差はある)。

SGEのトラフィック予測
SGEのトラフィック予測

ステップ6定期的に確認する

SGEの影響を受ける特に重要なキーワードについては、サイトの表示順位を定期的に確認しよう。SGEソース内で取り上げられるリンクは頻繁に変わる。僕たちが自らのサイトでこの調査をしたとき、週によって異なるSGEの結果が表示された。

Search Labsはグーグルが実験的な機能をテストする場であるため、頻繁に変更されるものと考えておこう。グーグルはまだ、データを収集してユーザーによるSGEの利用から学んでいる段階だ。SGEの結果に自分のサイトが毎週表示されているなら、グーグルから信頼できる情報源として評価されている可能性が高い。

改めて、Googleスプレッドシートで無料で利用できるSGEの影響判定用テンプレートのURLを紹介しておく:

SGEの回答に対して、サイトをどのように最適化すべきか

この影響モデルの実習では、実際にトラフィックを獲得できる可能性のあるキーワードに焦点を当てる。ボリュームの多いキーワードに対し、オーガニック検索で上位に表示されていなかった場合は、SGEのAIによる回答の中でリンクしてもらえれば、露出が増える機会になる。

F列~G列を見てほしい。検索結果ページにSGEが表示されるものの、SGE回答の中に自分のサイトへのリンクが含まれていない場合もあるだろう。F列が「Yes」でG列が「No」の行をフィルタリングしてみよう。そうすることで、重点的に取り組むべきキーワードのリストを得られる。

特に「現在、オーガニック検索で上位3位以内に表示されていない」キーワードは、SGEで表示された場合に新規トラフィックが純増するチャンスが最も大きい。そういったキーワードを重視しよう。

次の例では、12位、7位、4位に表示されるキーワードを、その順番で重視する。

SGEに向けて最適化するために重視すべきキーワード
SGEに向けて最適化するために重視すべきキーワード

SGE向けにコンテンツを最適化するには、次の推奨事項を考慮してほしい。

SGE向け最適化の推奨事項

サイトがSGEによってどのような影響を受けるかを把握したら、次にSGE内でのビジビリティを高める方法について考えよう。既存のSEOのベストプラクティスをベースにしながらも、SGE向けに変更した次の最適化プロセスを試してみてほしい。

追加の質問

「他の人はこちらも質問」(PAA: People Also Ask)の結果と同様、AIによる結果の中にすでに表示されている回答候補に対してもコンテンツを最適化できる。これはPAAの結果だからだ。AIプロンプトの回答候補と、その次のPAAの内容が同じことに気づくだろう。

最適化では、PAAとSGEの両方のセクションに表示される質問に重点を置こう。SGEの回答内に表示させたいコンテンツによって、これらの質問に回答できるようにしよう。

追加の質問と他の人はこちらも質問
追加の質問と他の人はこちらも質問

構造化データ

SERP機能を活かすには、Schema.orgのベストプラクティスに従うことが効果的であることがわかっている。グーグルは、SGEの表示順位において構造化データが重要な部分を占めていることを認めていない。しかし、ナレッジカードなど他のSERP機能についてわかっていることを考えると、ここでも構造化データが重要な要素になりそうだ。

コンテンツに関する属性をJSON-LDマークアップで整理することで、特に重要な情報をグーグルに効率的に利用してもらえるようになる。必要に応じて、次のようなスキーマを活用しよう:

  • Article(記事)
  • Person(個人)
  • Review(レビュー)
  • など

画像SEOのベストプラクティス

画像はSGEの結果の重要な部分であり、回答内の貴重なスペースの多くを占める。altテキストといった画像SEOのベストプラクティスを活用し、コンテンツに魅力的な画像を使うと、SGE内で画像が表示される可能性を最大限に高めるのに役立つ。

上述したスキーマの推奨事項と同様、SGEに関係なく画像SEOのベストプラクティスは実践するべきだ。これらのベストプラクティスを活用し、SGEに表示されそうなページに重点を置くことを検討する必要があるのは、これも理由だ。

グーグルのSGEは今後どうなるか

SGEが今後どうなるかを正確に予測するのは難しい。現在のような状態でより広く一般に公開されるかもしれないし、そうなる前に大きな変更が加わるかもしれない。より多くの一般ユーザーがSGEを利用するようになったとき、SGEが現在と同じようなものになると仮定すると、今回のモデルはサイトへの潜在的な影響を判断するのに役立つだろう。

用語集
CTR / SEO / SERP / オーガニック検索 / クエリ / ダウンロード / リンク / 構造化データ
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