Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報

SEOでブランドの将来性を高める8つのステップ(前編:進化するSEO環境の理解と強固な基盤構築)

SEOでブランドの将来性を高める方法を知り、将来を見据えたSEOで競争力を身につけてブランド強化に繋げよう。
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

急速なデジタル変革によって、企業は長期的な成功を目指すうえでブランドを強化する必要がでてきた。今回は、そんなブランド強化に役立つSEOの8つのステップを、前後編の2回にわけてお届けする。

SEOでブランドの将来性を高める8つのステップ
  1. 進化するSEO環境を理解する(この記事)
  2. 包括的なSEO監査の実施(この記事)
  3. 強固なSEO基盤を築く(この記事)
  4. アルゴリズムのアップデートや業界の変化に適応する(後編記事、12/25公開予定)
  5. 強力な被リンクプロファイルを構築する(後編記事、12/25公開予定)
  6. UXを活用してSEOを成功させる(後編記事、12/25公開予定)
  7. SEOのパフォーマンスを監視して分析する(後編記事、12/25公開予定)
  8. 新たなSEOの機会とテクノロジーを受け入れる(後編記事、12/25公開予定)

前編となるこの記事では、ブランドを強化するためにSEOが果たす役割と、8つのうち3つのステップ「進化するSEO環境を理解する」「包括的なSEO監査の実施」「強固なSEO基盤を築く」について説明する。残る5つのステップについては、後編で紹介する。

前述したように、デジタル環境は急速に進化しており、企業は競争力を維持するためにマーケティング手法を調整する必要がある。ビジネスの運営方法や顧客との関わり方を変革できなければならない。

長期的な成功を目指しているなら、将来を見据えてブランドを強化する方法を学ぶべきだ。これはもはや選択肢ではなく、必然だ。市場シェアを維持し、変化し続ける検索環境のなかで存在感を保つには、将来に備えて先見性のある戦略的な計画を打ち出す必要がある。

企業の将来性を確保するうえで、SEOは不可欠な構成要素だ。デジタルの進化により、顧客は、製品やサービスを検索エンジンを利用して探すスキルを高めている。それにより、企業はオンラインでのビジビリティやオーガニック検索順位向上を助け、企業が顧客を引きつけて維持する力を高める必要があるのだ。

今回は、「ビジネスの信頼性や権威を確立し、ブランドの将来性を高める」ためにSEOがどう役立つのかを探ってみよう。ターゲットオーディエンスの心に残る印象を与えつつ、将来に向けてブランドを強化する方法を学んでほしい。

ブランドの長期的成功を確実にするうえでSEOが果たす役割

SEOが大きな役割を果たすのは、「ウェブサイトがターゲットオーディエンスに確実にリーチできるようにする」局面だ。私はSEOを、ブランドを正しい方向に導く羅針盤にたとえたい。君のビジネスがオンラインで生き残り、成功するための隠し味のようなイメージだ。

ブランド強化におけるSEOの仕組み

SEOは、君のブランドが適切なオーディエンスの目に入るようにする魔法だ。人通りの多いメインストリートに君のビジネスがあって、誰もが必要とする商品を販売していると考えてみよう。日々の売り上げはほぼ保証されている。SEOが君のビジネスにできるのは、これと同じことだ。

Smart Profits Hubの創設者であるブライアン・ンジョグ氏は、次のように述べている:

SEOとは、新しい顧客を引きつけ、オンラインでの存在感を高め、目標を達成するのに役立つビジネスの基盤を構築することだ(ブライアン・ンジョグ氏)

SEOの本質は、検索エンジンの検索結果に表示されるようにすることではない。1ページ目に表示されるようにすることで、価値あるトラフィックを呼び込むことだ。

たとえば、ランチデートを計画していて、「ロンドンで最高のレストラン」を検索したとする。君は、検索エンジンの結果ページ(SERP)でいちばん上に表示された結果をクリックする可能性が最も高い。このようにしてSEOは、ビジネスがSERPの上位に表示され、より多くのクリックとビジビリティを獲得できるよう支援する

SEOのメリット

SEOの最大のメリット2つある。それは次のものだ:

  • 長期的な投資であること ―― 実装から何年経っても、マーケティング予算を圧迫することなく、ウェブサイトに安定したトラフィックを呼び込める

  • ブランドへの信頼性と権威性が向上すること ―― ウェブサイトがSERPで上位に表示されれば、ブランドの信頼性と権威が高まる

SEOを機能させるには、SEO戦略さえ立てればいいわけではない。長期的な取り組みに適した思考とコミットメントも必要となる。

SEOを利用してブランドの将来性を高める8つのステップ

すべての経営者の夢は、ある程度長期にわたって存続し、稼働できるビジネスにすることだ。しかし、これは刻々と変化するデジタル環境によって、必ずしも保証されていない。そこで必要になるのがSEOだ。SEOは今すぐ成果を出しながら、将来の成功に備えることもできる可能性を秘めている。

では、SEOでブランドの将来性を高めるためのステップを見ていこう。

SEOでブランドの将来性を高める8つのステップ①
進化するSEO環境を理解する

SEOは進化しており、過去に有効だった手法が今後も有効でない可能性がある。最新のSEOトレンドを理解し、ブランドに与える影響を知ることが重要だ。そのためにまず理解しておくべきことは、次の3つだ:

  • ユーザーの検索意図への最適化
  • モバイルファーストのインデックス化
  • ユーザーの行動

それぞれについて解説していこう。

ユーザーの検索意図への最適化(キーワードへの最適化ではなく)は、ブランドが進められる最高の手法の1つだ。ユーザーの検索意図を把握し、合致するキーワードを選択し、関連するコンテンツによって疑問に回答できる。

ユーザーの検索意図に最適化させる最善のSEO施策は、Googleでクエリを検索し、Googleが検索意図がどのように解釈しているかを確認することだ。

たとえば、次の画像は、「premium pet food」(上質のペットフード)というキーワードの意図をGoogleがどう解釈するかを示している。検索結果を見ると、商取引に関するものであると解釈していることがわかる。

モバイルファーストのインデックス化も、知っておくべきGoogleの取り組みだ。これにより、モバイルでのトラフィックに対応しつつ、ウェブサイトをスマートフォンで快適に利用できることを確実にする。

Statistaの調査によると、モバイル機器によるオンライン利用は大幅に増加しているため、ウェブサイトはモバイルに対応しておくべきだ。そのためには、次のことを確認しておきたい:

  • モバイルでわかりやすいナビゲーションになっているか

  • すべてのボタンがクリックしやすく、テキストは読みやすく、画像は正しく読み込まれるか

ユーザーの行動については、少し背景情報の補足が必要かもしれない。

SEO環境の進化に対応するには、変化し続けるアルゴリズムを常に把握しておかなければならない。それができなければ、一晩で検索順位が下がってしまうおそれがある。そこで、競争についていくには、ユーザーの行動を理解することも必要だ。

機械学習と人工知能(AI)も、検索エンジンのアルゴリズムに大きな影響を与えている。これらのテクノロジーは、ユーザーがコンテンツをどのように利用しているかを分析することで、関連性の高い検索結果を提示する。

検索エンジンは、ユーザーの行動を学習し、ユーザーが必要としている情報を提供するように作られているのだ。だからこそ、ユーザーの行動を学ぶことは、ブランドの将来を確かなものにする助けになる。

SEOでブランドの将来性を高める8つのステップ②
包括的なSEO監査の実施

将来を見据えたビジネスを構築するには、競合他社に対抗するために自らの位置付け・強み・弱み・チャンスを理解することが重要だ。

SEOを成功させるには、常に徹底的な自己評価が必要だ。次のことを把握しておくといい:

  • 何がうまくいっているのか
  • 何がうまくいっていないのか
  • 何を改善する必要があるのか

これは、デジタルの健康診断のようなものと考えよう。たとえば、パフォーマンスの高いキーワードを特定すると、オーディエンスの心に響く関連性の高いコンテンツを作成するのに役立つ。MozのKeyword Explorerを使えば、それが可能だ。

テクニカルSEOの健康診断も必要だ。ウェブサイトで質の高いコンテンツを公開していたとしても、テクニカルSEOに問題があれば、パフォーマンスや検索順位に影響し、本来獲得できていたはずのトラフィックを逃してしまう。そのため、テクニカルSEOの健全性をチェックする必要がある。おすすめのツールを紹介しよう:

テクニカルSEOの健全性をチェックする:
ウェブサイトのパフォーマンスをチェックする:
オンページ上のよくある問題を明らかにする:

ツールを使うことで、ウェブサイトのテクニカルSEOの健全性・キーワードのパフォーマンス・トラフィックを把握しやすくなる。

次のスクリーンショットは、Google Search Consoleにおけるウェブサイトのパフォーマンスを示している:

SEO戦略では、競合分析を徹底してほしい。具体的には、競合相手の次の情報を調べるのだ:

  • SEO戦略
  • キーワードの選択
  • 被リンク
  • コンテンツ戦術

この情報を使って、競合他社より優位に立ち、ブランドの将来を確かなものにするための優れた戦略を構築しよう。

SEOでブランドの将来性を高める8つのステップ③
強固なSEO基盤を築く

強固なSEO基盤を築くのは、SEOの面からブランドの将来性を確実に高められる方法だ。ターゲットにするキーワードを特定し、ページを最適化し、ターゲットオーディエンスの心に響くコンテンツを作る必要がある。

まずはキーワードの特定だ。選んだキーワードをSEO戦略の柱としてイメージしよう。関連性の高いキーワードは、オーディエンスや彼らが何を求めているかを理解するのに役立つ。それなりの検索ボリュームがあり、検索者の意図に合致しているキーワードを選ぶべきだ。あらゆる貴重な情報が、ここに埋め込まれている。

次の画像は、私がMozのKeyword Explorerツールで調査したキーワードを示している:

Moz Keyword Explorerで、「premium pet food」というキーワードに対して表示される概要

これらのキーワード指標は、あるキーワードで検索上位を獲得することが場合によってはいかに難しいかや、どのように優先順位を付ければいいかを理解するのに役立つ。キーワード調査に関しては、過去にグローバルSEOの記事でも紹介しているので参考にしてほしい(リンク先は日本語記事)。

Louis Smith eCommerce SEOの創設者であるルイス・スミス氏は、次のように述べている。

効果的なキーワード調査のプロセスは、オーガニック成長キャンペーンの基盤であり、より多くのオーディエンスを発見して引きつける。ターゲットオーディエンスの言葉と意図を明らかにし、検索エンジンの結果においてユーザーの心に響く、かつビジビリティを高めるコンテンツを作成するよう導くものだ

次に、ページの最適化にも取り組む必要がある。キーワード調査が完了したら、選んだメインキーワードとサブキーワードを使ってmeta descriptionとtitle要素を最適化するべきだ。検索エンジンに対するパンくずリストのような役割を果たしてもらおう。

そして、コンテンツの作成だ。質の高いコンテンツを作ることは、将来を見据えてブランドを強化するための入り口だ。訪問者の滞在時間がはるかに長くなり、交流のある他のユーザーとも共有したいと思ってもらえる。そのため、トラフィックやコンバージョンの増加につながる。

ウェブサイト上に高品質なコンテンツがあると、将来を見据えたブランドの構築に近づける。優れたコンテンツは、デジタルのご馳走のような役割を果たし、オーディエンスを飽きさせないように働く。コンテンツを作るときは、オーディエンスの疑問に答えることで相手のニーズに応えよう。関連性の高いキーワードを使い、コンテンツ中に自然に組み込むことで最適化してほしい。

コンテンツの消費の仕方はオーディエンスの好みによって異なる。そのため、次のようなさまざまな形式のコンテンツを自由に試して、より多くのオーディエンスにリーチしよう:

  • 動画
  • インフォグラフィック
  • ポッドキャスト
  • など

さらに、気をつけておきたいポイントがいくつかある。まずは、コンテンツ全体を通してサイト内リンク戦略を立てることだ。これにより、検索エンジンのクローラーがウェブページを効率的にナビゲートしてインデックスを作成できるようにしながら、ウェブページのコンテキストを改善することもできる。

また、わかりやすいURLにすると、ユーザー体験が向上してSEOの改善につながるため、公開するURLについては十分に検討してほしい。

最後に、サイトの構造に注意を払おう。ウェブサイトの構造が優れていれば、訪問者もナビゲーションしやすい。そのため、コンテンツにより深く関わるようになり、滞在時間が延びる。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。今回は、SEOでブランドの将来性を高める8つのステップのうち、前半の3つを紹介した。後編となる次回は、残る後半5つについて説明する。

→後編を読む

用語集
SEO / SERP / UX / meta description / インデックス / インフォグラフィック / オーガニック検索 / キャンペーン / クエリ / クローラー / コンバージョン / スマートフォン / ナビゲーション / リンク / リーチ / 検索エンジン / 被リンク / 訪問者
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

今日の用語

CTR
広告がクリックされた頻度を表す。 たとえば、広告が1000回表示され、その ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]