はじめての企業YouTubeチャンネル活用

手探り状態だったYouTube運営が、スピード感高く意思決定できるようになったワケ

YouTubeほぼ未経験のマイナビ社員がチャネルを成長させるための紆余曲折を聞いた。

進学、就職、転職、アルバイト…多岐にわたってビジネスを展開する株式会社マイナビ。それに合わせていくつものYouTubeチャンネルを運営していますが、今回は「保育」「看護」「介護」の世界で働く人々向けに、3つのYouTubeチャンネルで、2年以上発信をし続ける株式会社マイナビの玉木さんと岩田さんに話を聞きました。YouTubeはほぼ未経験ながら、習うより慣れろの精神でチャンネルを成長させてきたプロセスを中山が取材しました。

YouTube担当になった経緯

玉木さん:任命された2020年当時は、YouTubeではないですが、コンテンツ制作の仕事をしていました。なのでお鉢が回ってきたときも、さほど驚きはありませんでした。

岩田さん:コロナ禍だったこともあって、医療従事者向けにウェビナーで情報発信しようと考えていたタイミングで、ちょうどYouTubeが伸びていた時期でもありました。動画プラットフォームで、かつコミュニティ的な場をつくるにはどうすればいいか考えた結果、自然とYouTubeだ、という流れでしたね。

中山:お二人は、そのときYouTubeの知識や経験はあったんですか?

玉木さん:いえ、まったく。なので手探り状態です。YouTube関連の記事を検索して、読み漁るところからでしたね。

岩田さん:どんな機材や編集ソフトが必要なのかも知らなかったし、なんなら、編集できるPCすらなかったほどです。思えば、よくそこから今の状態に成長できたな…と(遠い目)。

(左から)岩田さん、玉木さん

チャンネル運営を始めたのは2020年6月

玉木さん:緊急事態宣言が出て、コロナ真っただ中のスタートでした。そこから丸2年間は自力運営です。相談できる人もいないので、試行錯誤の連続でした。

中山:マイナビさんほど規模が大きい会社なら、すでにYouTubeを運営している部署はあるし、社内リソースには簡単にアクセスできたのでは?

岩田さん:私たちの事業部は「自給自足でまずはミニマムに運営する」というスタイルです。事業内容も予算規模も人員リソースも事業部ごとに異なるので、実はあまり参考にならなかったのです。

玉木さん:そんなわけで、2022年秋までは自力で奮闘してきたんですが、狙った成長にはほど遠く、「専門家の助けが必要だ」となったわけです。

コンサルタントに相談しようと思ったキッカケ

玉木さん:事業年度の切り替えのタイミングで、担当業務がYouTube1本になりまして、集中できる環境になった反面、「これまで以上に実績を出さねばならない」と身が引き締まりました。が、あいにく上司も部下の私も、YouTubeのお作法をよくわかっていませんで…。

岩田さん:知らない者同士で、議論や意思決定をすることの限界に来ていたかなと。専門知識と経験を持つ伴走者が欲しかったので、Faber Company(以下、ファベルカンパニー)さんにお願いしました。

中山:もともとSEO分析ツールの「ミエルカ」を使ってくださっていて、弊社をご存知だったのもあるかもしれないですね。

玉木さん:ただ、最初はフラットに数社に打診しました。他はアナリティクス分析よりも制作を得意としていたんですが、ファベルカンパニーは「分析をしたうえで、既存コンテンツを壊すのではなく、積み上げた資産を活かす方法」で提案してくれました。

岩田さん:それが良かったと私も思っていて、分析する→課題を発見する→仮説を立てる→アクションする→振り返る→次のプランを決める……のサイクルを高速で回せることに魅力を感じました。

玉木さん:隔週での定例会はちょうどよい頻度だったし、会の合間はSlackでいつでも連絡しあえる密な関係性があったのも助かりました。

岩田さん:チャットするにも別途料金が発生する…というプランを提示された会社もあって、それだと使いづらいなと。

玉木さん:制作会社さんに何もかも任せて、会話は最低限しかしない…のならそれでもいいかもしれませんが、私たちは「いずれ内製できるようになる」のがゴールだったので、コミュニケーション体制はマストでした。

岩田さん:中山さんは、コンサルタントであると同時に、実践者でもあることに説得力を感じました。ミエルカチャンネルをご自身で運営し、日々試行錯誤をし、数値と格闘している…同じ立場同士で、一次情報を元に議論できたのは本当に良かったです。

初回ミーティングで仰天したこと

玉木さん:自力運営していた頃、チャンネルの収益化は目的ではないけど、収益が多少でも発生するにこしたことはないかな? と思って、条件が整っていた1つのチャンネルで収益化をONにしたことがあります。

そしたら、登録者と再生数が急増したんです。何かがバズったわけではなく、過去動画が回り始めたんですが、「YouTubeがついに神風を吹かせてくれたぞ」と小踊りしましたね。

※補足
チャンネル登録者数1000人以上に加えて、過去12か月間の動作再生時間4000時間以上、もしくは過去90日間のショート動画再生回数1000万回以上が、動画再生時に表示される広告からの収益を得る条件となる

岩田さん:チャンネルが収益化されると、YouTubeがチャンネルをオススメしてくれて、登録者が急増すると書かれたWeb記事で読んで、「そういうことか」となって、他のチャンネルでも「収益化まで登録者あと〇人! 累計再生時間あと〇時間!」と頑張っていました。

玉木さん:ところが、初回ミーティングで中山さんに「それは都市伝説」と言われ、仰天しました

中山:収益化を目指す、登録者を増やすって努力そのものは間違ってはいないけど、収益化したからYouTubeが便宜を図ってくれることはないです。

玉木さん:事実、他のチャンネルも収益化は達成しましたが、無風状態でした…。

岩田さん:あと、「広告出稿すれば、YouTubeが露出を増やしてくれる」なんてウワサを小耳に挟んだこともありましたが…。

中山:そんなことはありません(苦笑)。

玉木さん&岩田さん:ですよね〜。

中山:登録者が1万とか5万などの大台を越えると、インプレッションや検索流入が増える現象が起きることはあったりします。が、確約されたことではないし、再現性もありません。

玉木さん:そういった細かな情報精査がされたおかげで、真偽の不明な情報や迷信に振り回されることがなくなり、やるべきタスクが明確になりましたね。

コンサルタントが入ったことで起きた変化

玉木さん:正しい振り返りができるようになった! のが大きいです。それまでは、そもそも、なにをどう振り返えればよいのかすら、わからなかったですし。

岩田さん:クリック率と再生数くらいしか見てなかったかな…。

玉木さん:CTRや視聴者維持率等のデータをアナリティクス分析用のスプレッドシートに反映し、編集方法やサムネイルやタイトルの改善をするようになって、「あー、こうすればいいのか」となりました。

中山:それは良かった。

玉木さん:わからないことがあったとき、検索すればそれっぽい答えは見つかるんですが、あくまで点での情報でしかなく、全体像を掴みにくい。あと、書いている人の素性が不明だったり、個人レベルの感想だったりもするので、情報をどう判断すればよいかわかりませんでした。

岩田さん:コンサルタントと一緒に振り返ることで、自信を持って意思決定をできるようになり、チームメンバーが生き生きと働けるようになったのも大きな変化です。理由がわかっていれば、落ち込んだり、慌てたりする必要もないですからね。

玉木さん:以前は、サムネイルデザインひとつとっても、印象論や個人の好みでしか話せなかったのが、「自信をもってレポートできる&確信をもって行動できる」ようになったのも良い変化です。

岩田さん:センスや感性も大事だけど、それだけではダメで、数字で見える化したうえで、ここをこう変えてみよう、それはそのままでいいだろう、という議論をするのが大事。

玉木さん:データの根拠がある→意思決定に迷いがなくなる→リスクを取った大胆な挑戦ができる…という、良いループが生まれました。

岩田さん:おっかなびっくりではなくなって、YouTube運営の仕事が楽しくなりましたね。

社内の反応は?効果計測はどうしている?

玉木さん:中山さんに入ってもらって、登録数や再生数など、パフォーマンスを測る数値が伸びたことで反応は良好でした。

中山:短期間で成果が表れ始めましたよね。

玉木さん:我々のチームは、「YouTubeを即売上につなげる!」「YouTubeからCVを取る!」と求められているわけではありません。直接CVを狙った時期もありましたが、YouTubeは広告の置き換えではないと途中から考えを変えました。

岩田さん:目先のCVを追うと、企業都合の動画だらけになり、つまらないチャンネルになりがちです。なので、YouTube経由での明確な売り上げ目標はあえて置かず、ブランディングと露出に注力しています。

玉木さん:会社からも「短期的なマネタイズよりも、新しいチャレンジをしてほしい」と言われています。ショート動画が数百万回再生されたこともありますが、経済効果を円単位で説明しろと言われても不可能です(笑)。でも、確実にファンの基盤を耕している実感はあります。

中山:「集客につながっているの?」「やる意味あるの?」って反応をされたことはありますか?

玉木さん:正直、以前はそういう反応もゼロではなかったです。

中山:会社にとっても担当者にとっても、最悪なのは「実はYouTubeが多大な間接貢献をしているのに、計測できていないという理由で評価されない」だと思ってて、それって悲しいじゃないですか。

岩田さん:同感です。だから面倒でも、困難でも、経済効果を計測する努力は惜しんではいけないんですよね。そして、その努力をするのは担当者自身…だと。

中山:会社はやってくれませんからね。ただ、追えるデータにも、間接貢献を計測するアトリビューションにも限界がある。なのでヒアリング調査などのアナログな手法も組み合わせていく。データは少なくても、集めれば何かしら見えてくるものがあるし、説得材料にもなります。

YouTube運営で悩む人たちに伝えたいこと

岩田さん:初回の定例で印象的だったのが、「誰の何を解決するのか」を決めないと、どんな努力も無駄になる……つまり、コンセプトが超大事って言葉でした。その軸がないまま、いくら撮影や編集をしても、努力が報われません。

玉木さん:伸びているチャンネルを模倣したこともあったし、どんなチャンネルにしたいか、誰に何を届けたいのか、があいまいな時期もありましたね…。

岩田さん:担当者に”強い想い”があることが重要だと思っています。SNS運営って正解がないぶん、これでいいのか?って怖さは付きまとうんですが、かといって誰かの言いなりにすればいいわけでもないです。自分の意思を反映しない仕事は、やってて楽しくないじゃないですか。

それに、”強い想い”がないと、周囲からの「このチャンネル伸びてるよ、うちもやってみたら?」「ここ参考にしなよ、なんでやんないの?」という横やりに言い返せず、狼狽えることにもなります(笑)。

玉木さん:上司の理解と応援も重要です。あいまいで不確実な施策であることを理解してくれるか、意思と目的をもって進めていくことを後押ししてくれるか。もちろん、担当者にはデータでパフォーマンスを可視化する責務はありますけどね。

岩田さん:あと、「コンサルタントと議論&検証した結果、こうしたい」と言い切ることで、意思決定がスピードアップしました。例えると、バットの振り方が変わったようなもの。以前はボールに恐る恐る当てに行くスタンスだったのが、フルスイングできるようになりましたね。

玉木さん:打率10割を目指さず、失敗を恐れず、でも改善の努力は欠かさない…というスタンスで、まずは行動!をオススメします。

中山:ありがとうございます。さらなるチャンネル成長をお祈りしています! ちなみに、ファベルカンパニーでは企業YouTube活用のコンサルティングを行っています。お困りの方はこちらからご連絡ください。

 

 

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