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E-A-Tの「E」である“専門性”をグーグルに証明する、効果的なやり方(後編)

グーグルに「E-A-T」を評価してもらうために、専門性を実証する方法を紹介する。ポイントはコンテンツ戦略の見直しだ。
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

「E-A-T」(専門性・権威性・信頼性)の重要な要素である「E(専門性)」を解説するこの記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。後編となる今回も、E-A-Tと専門家の関与について詳しく説明する。

まず前編を読んでおく

このホワイトボード・フライデーでは、「E-A-T」(専門性・権威性・信頼性)の重要な要素である「E」、つまり「専門性」を実証する方法についてリリー・レイ氏が説明している。

グーグルはガイドライン全体を通して、E-A-Tを「優れた品質のコンテンツ」とほぼ同義に使用しており、多くの優れた専門知識を有するコンテンツを提供するべきだと明示している。

またグーグルは、アルゴリズムを使い、あらゆる人物について把握している。実際に調査してきた専門家は誰か、その分野で経験があり、こうした取り組みをたくさんしてきた専門家は誰かを理解しようとしているのだ。


E-A-Tとは?
・Expertise(専門性)
・Authoritativeness(権威性)
・Trustworthiness(信頼性)
YouTube / Googleニュース+Discover / 商品レビューに関するアップデート / コアアップデート / SEOの学習 /
QRG
●専門家
・直接経験したこと
・独自の研究結果
・他の人がリンクを張る
・ニッチな分野に注力
・執筆者の経歴
・専門家による精査
・ブランドSERP
☓検索順位を直接決定する要因
○PageRank
○リンク
特許→専門家→エンティティ
エンティティとしてのジョー・スミス:
 出身地
 年齢
 キャリア
 夫人
 受賞歴
 スキル
→EAT
(再掲)

グーグルはエンティティを何に使っているか

アルゴリズムの特許を保有し、個々の専門家を識別できるグーグルが、より大きな規模で「エンティティ」を使って何をしているか、忘れてはならない。

※Web担編注 「エンティティ」は「実体」や「実物」という意味。グーグルは単語の意味だけでなく、その言葉が指し示す個々の実体を「エンティティ」として把握していると言われる。

たとえば「ジョー・バイデン」という言葉が文中にあるとする。これは単なる文字列であるが、グーグルはその言葉が指すものが「46代米国大統領のバイデン氏、1942年に米国ペンシルバニア州で生まれ、2021年1月20日から現職」といったエンティティであることを認識している。

特にグーグルのナレッジグラフなどは、オンライン上にある約50億のエンティティについて5000億ほどの事実を把握できるようにするもので、グーグルはこれにより、次のように言えるようになっている:

これは人(または場所や物)だ。われわれは、これらに関するさまざまな情報をすべて把握しており、他のエンティティとの関連も把握している。

次の図は、それがどのようなものかを視覚化したものだ。オンラインで入手できるさまざまなツールを使うと、エンティティを把握する方法や、エンティティに関連しているかもしれないさまざまな属性を視覚化できる。

この例では、ジョー・スミス氏の次のことがわかる:

  • 出身地
  • 年齢
  • キャリア
  • 夫人の名前
  • 受賞歴
  • スキル

グーグルはこれにより、このエンティティに関するプロファイルの構築に着手でき、このプロファイルは、ジョー・スミス氏に関する次のことに影響を及ぼす可能性がある:

  • コンテンツの検索順位
  • グーグルのナレッジグラフやGoogle Scholarでの表示

私の個人的な見解を言うと、グーグルはYouTubeやグーグルで上位に表示する人物を探す際、こうしたさまざまなグーグル製品の間で点を結び、クエリそのものに応じて、そのクエリに必要な程度に応じてE-A-Tを評価していると思う。

もしそれが「YMYL(お金や生命)」に分類される領域ならば、なおさらだ。健康・家計・安全に深く関わっているクエリであればグーグルは、特にE-A-Tを重視して評価する。なぜなら、グーグルは、すでに次の状態だからだ:

  • トピックにかかわるさまざまな執筆者や企業をエンティティとして把握している
  • 執筆者や企業のエンティティそれぞれについて、E-A-Tを把握している

SEO戦略に「本当の専門家」を取り込む

グーグルがエンティティを把握しているという事実は、特定のクエリに対して誰を表示するかを選ぶ際に重要な役割を果たす。では、これをSEO戦略に組み込むにはどうすればいいだろうか。

それについては、コンテンツ戦略にトピックの専門家を取り込むよう注力することが非常に重要だと思う(SEOの専門家ではなく、本当の専門家)。たとえば、私のチームなら、異なる分野の真の専門家と協力して、コンテンツの作成に関する協議にその人物を関与させるかもしれない。

専門家自身がコンテンツを作成したり、ブログを始めたりするケースも多い。私はこれまで、調査の過程で、専門家が自分の専門分野について直接得た情報を提供している例を本当にたくさん見てきた。多くの場合、専門家は情報をまとめるにあたってソースを引用する際、必ずしも他のサイトにリンクしているわけではないということだ。

専門家はニュースを伝えている。情報を提供している。それぞれの分野で活動するとはどういうことかを話題にしているのだ。直接経験したことを共有しているのであり、グーグルはアルゴリズムを使って、そうした実体験がどこにあるかを特定しようとしているのだと私は確信している。専門家は独自の研究結果を提供しているのであり、グーグルはこれをアルゴリズムによって上位に表示させている。

グーグルはここ数年にわたり、次のような意味のことを述べている:

検索順位という観点では、

  • 独自の研究結果を提供しているコンテンツ

の順位を、

  • そうした独自の研究結果にリンクしたり内容を引用したりしていると思われる他のコンテンツ

よりも上位に置く。

他者の研究を引用することが悪いわけではない。ただ、グーグルはニュースを伝えているソースを評価するようになるということだ。

また、ニュースサイトのトップ記事の場合、他のあらゆるニュースサイトがリンクしているニュースであれば、グーグルは「Highly cited」(引用回数が多い)というラベルを適用できる。

専門家のコンテンツに対して、他の人がリンクを張ることが多い。たしかにSEOのベストプラクティスとして、次のものがある:

  • 他のサイトにリンクを張ること
  • ソースを引用すること
  • 情報提供に役立つあらゆるコンテンツにリンクすること

しかし、専門家主導のコンテンツを使う場合、多くの人がリンクを張るのはその専門家に対してだ。したがって、君自身がコンテンツを書いている専門家であれば、必ずしもそこまで外部にリンクを張る必要はない。なぜなら、君は自分が専門性を発揮している分野について知っていることを共有しているだけだからだ。

検索エンジンで露出が強い専門家の特性について調査すると、そうした人物は情報を発信している側であり、他のサイトはそこにリンクを張って参照していることがわかる。これらの専門家はニッチな分野にもかなり力を入れている。

グーグルによく見られる取り組みの1つとして、基本的に「サイトレベル」「ドメインレベル」でE-A-Tを評価することが挙げられる。これは、私を含めチームで調査していて気づいたことだ。

基本的には、ウェブサイトのカテゴリやタグ、パンくずリストなどが使える。こうした情報をすべて収集し、Google Search ConsoleやGoogleアナリティクスなどの分析ツールでサイトのSEOのパフォーマンスと照らし合わせることで、多くの専門知識をもたらし、多くのトラフィックを促す傾向のあるサイトのさまざまなカテゴリやサブカテゴリ、トピックを視覚化できるようになる。

検索結果に、君のサイトが表示されない他の分野や他のトピック、パンくずリスト、またはサブカテゴリがあることに気づくかもしれない。これは特に「YMYL(お金や生命)」に関するサイトの場合に当てはまる。「フィットネスや栄養」といったトピックでは高いパフォーマンスが得られるが、「疾患や健康状態」といったテーマではそれほどうまくいかない場合がよくある。

専門家のサイトでは、執筆者の経歴を記載することがとても重要だ。その専門家が誰なのかを伝えよう。コンテンツにその人の名前を含めるべきだ。他の人にコンテンツを書いてもらっている場合は、そのコンテンツ戦略に専門家を取り込もう。そうすることで、コンテンツに次のような一文を追加できる:

この記事はサラが書いたが、専門家のジョー・スミス氏が精査した。スミス氏の役割は、基本的に、コンテンツを精査することだ。

これは、コンテンツ戦略に専門家を取り込む優れた方法だ。

基本的には、どんな企業やサイトでも、こうした「本当の専門家」をコンテンツ戦略に取り込めるかどうかを確認するのは簡単だ。社内であれ社外であれ、その専門家に、次のように頼むのだ:

このコンテンツを精査して、理にかなっているか、事実として正しいか確認していただけますか?

また、コンテンツにあなたの名前を入れてもいいですか?

場合によっては、相手が懐疑的になって、次のように言ってくるかもしれない:

なぜコンテンツに私の名前を入れたいのか? マーケティングチームはなぜ、このプロセスに私を巻き込もうとするのか?

この質問に対して私が非常に効果的だと思った解決策の1つは、相手にこう言うことだ:

これは、あなたにとってパーソナルブランディング戦略となるのです。

協力者としてあなたの名前を載せ、ウェブサイト上であなたのプロフィールを適切に作れば、あなたの名前に対するグーグルの検索順位も上がるでしょう。

そうすると相手は興味を持ち、関与したいと思うようになる。私たちが「ブランドSERP」と呼んでいるのと同じようなものだ。

もう一押ししたいならば、専門家にグーグルで自分の名前を検索してもらい、次のように言う:

グーグルで検索すると、今はこのように表示されます。この検索結果は、あなたにとって納得のいくものですか?

なぜこの質問をするのか ―― 私たちと一緒に仕事をすることで、その専門家の名前に対する検索結果を、より専門性を訴求するものに変えられるからだ。この戦略を深く掘り下げることで、いずれはグーグルのナレッジグラフに表示されるよう後押しできる。専門家が満足できる状態にしていけるのは間違いない。

グーグルで名前を検索すると、その専門家に関するあらゆる有益な情報がグーグルに直接表示される。このように、グーグルがその専門家を理解し、その人物のあらゆる属性を理解し、特定の分野でどれほど信頼できるかを理解できれば、そのプロセスは、特定のキーワードに対して誰を表示すべきかを決める評価に今後ますます組み込まれていくことになると思う。

まとめ

まとめると、専門性は重要性を増していると思う。特に「YMYL(お金や生命)」に関するサイトでは、E-A-Tがきわめて重要だ。グーグルも多くのドキュメントで言及していることだ。そのため、E-A-Tを示すには近道をするのではなく、コンテンツ戦略を見直し、コンテンツ作成のプロセスで真の専門家に協力してもらうことを検討しよう。

今回の動画は楽しんでもらえただろうか。私の名前はリリー・レイ、Twitterアカウントは@lilyraynycだ。気軽に連絡してほしい。では、よいSEOライフを!

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