【レポート】デジタルマーケターズサミット 2024 Winter

SEO×CROでCVを1.6倍に伸ばしたABCマートの成功事例! 人手不足だからこそPDCAを回す

マーケティング施策のPDCAを回したくても、人手不足から「検証」を行えず、「PDPD(Plan-Do-Plan-Do)」になってしまう企業は少なくない。しかし、マーケティング施策は適切にPDCAを回さないと継続的に成果を出すのは難しい。
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マーケティング人材不足に悩み、WebサイトやEC運営にあたって、満足にPDCAを回せていない企業は多いのではないだろうか。なかでも「検証」が行えず、施策を打ちっぱなしになってしまうようなケースで、どうすれば適切にPDCAを回せるのか――。

デジタルマーケターズサミット 2024 Winter」に登壇したFaber Companyの東 真澄 氏は、同社の支援のもと、コンバージョンを1.6倍に増加させた靴の小売り大手「ABCマート」の事例を紐解きながら、PDCAを適切に回すためのSEOやCRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)の考え方について解説した。

東 真澄氏
株式会社Faber Company ミエルカ事業部 カスタマーサクセスチーム カスタマーサクセス コンサルタント 東 真澄 氏

競争が激化し、CPAが高騰している現在

講演の冒頭で、企業のWebマーケティングを支援するFaber Companyのコンサルタント 東 真澄 氏は、「PDCAを回すことが、なぜ今大切なのか」と視聴者に問いかけ、企業を取り巻く3つの環境変化について解説した。

その① 消費・購買行動の変化

世の中のデジタル化が進む中、コロナ禍の影響もあって、顧客がオンライン上で情報収集したり購入したりする割合がさらに増加している。最終的にリアル店舗で購入する場合も、比較検討や情報収集などではインターネットを使うことが当たり前になっている。

その② 競合他社の参入

オンライン上での購買が増えることにより、事業者の参入が相次いでいる。しかも、同業他社だけでなく、まったくの異業種から、デジタルを武器に他業種に参入する事業者も増えており、競争環境はより激しくなっている。

その③ Cookie規制(サードパーティーCookie廃止)

プライバシー保護の観点からサードパーティCookieへの法規制が進み、2024年8月にはGoogle ChromeブラウザーでのサードパーティCookieが廃止される。これにより、コンバージョン計測が難しくなるなどの弊害がある。

◇◇◇

これら3つの要因をまとめると、顧客の購買行動の変化でデジタル化が必須となる一方で、競合が増えることで競争が激化し、CPA(顧客獲得単価)が高騰・高止まりしている状況もみえてくる。さらに、コロナ禍やサードパーティCookie規制などもあって、社会の不確実性が高まっている。そのため、Webマーケティング施策のPDCAを回す重要性がこれまでより高まっていると言えるだろう。

人材不足で施策のPDCAが回せない

一方で、マーケティングを担う人材は慢性的に不足し続けている。Faber Companyの独自調査によると、2024年の時点でマーケティング人材が「足りない」と回答する企業は79.4%に達する。

マーケティング人材は慢性的に不足している

デジタル施策の競争が激化し、社会の不確実性が高まるなか、マーケティングを担う人材が不足すると、Web施策の「PDCA(Plan-Do-Check-Action)」を回すはずが、施策を振り返る(Check)ことができず、「PDPD(Plan-Do-Plan-Do)」になってしまいます。

施策を振り返る体制が作れず、どの指標を見ればいいかもわからない。結果として施策が属人的になり、キーマンの退職で施策が止まる……という事態に陥る企業は珍しくありません。

しかし、PDCAをしっかり回せるようになれば、ひとつひとつの施策を振り返って、成果のあった施策は横展開して回数を増やすなど、施策の精度や再現性を高められます。また、社内に知見を溜めて集合知化し、高度化できます。知見が溜まれば、属人化リスクを抑制することにつながり、マーケティングのROI(投資対効果)を高めることにもつながります(東氏)

コンバージョンを意識した施策が不足していたABCマート

東氏は、Webマーケティング施策のPDCAを回し、高い成果を得た事例として、国内外で靴などの小売店を展開する「ABCマート」を紹介した。同社は、2019年に国内で1000店舗を達成し、近年では東南アジアなど海外にも進出している。EC事業の比重も高く、ECモールにも早くから出店し、自社ECにも2005年から取り組んできた。

店舗数の多さ、知名度の高さもあって、インターネット上で「スニーカー」などのキーワードを検索すると、検索順位の上位にABCマートのサイトが表示されていた。しかし、その一方で、ロングテールでコンバージョンにより近いと思われる2~3語を組み合わせたキーワード(例:トレッキングシューズ おすすめ)などでは、一転して検索上位表示されず、競合他社に負けてしまう傾向にあった。

また、本来なら一番重要であるコンバージョン「購入完了」に対する「CRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)」が意識されておらず、そのための施策が十分に実施されているわけではなかった。

東氏がヒアリングしたところ、ECサイトの運営担当者は、もともと店舗で経験を積んでおり、店舗でのポップや接客時の声がけについては肌感覚でわかっていても、それをネット上でどう展開するべきか結び付けられずにいたことが判明したという。

Faber CompanyがSEO・CROに伴走し、150の施策を提案

そこで、ABCマートはFaber Companyの提供するSEOツール「ミエルカSEO」と、ヒートマップ分析&UI/UX改善ツール「ミエルカ ヒートマップ」を導入することで可視化・定量化を行うことを決定。ツール導入と同時に、東氏とヒートマップコンサルタントの竹口氏による2名体制で定例会を実施。施策のPDCAを回しながら、SEO・CROスキルやノウハウをABCマート側に蓄積しようと考えた。

定例会では、ツールの操作方法だけではなく、データから見える課題や必要施策を共有し、改善につながる提案を行った。東氏らは約1年間で150以上もの施策を提案し、ABCマートはそのほとんどをECサイトに実装。これらの施策のPDCAを回し続けた結果、データの読み解き方や改善策の作り方などのスキルやノウハウをABCマート側に蓄積することができたという。

2つのSEO施策により、主要キーワードで1位を獲得

ABCマートが行った具体的な取り組みをいくつか紹介しよう。

ABCマートにとって、「トレッキングシューズ」は、検索結果の1位~10位を上下する、順位が安定しないキーワードだった。月間8万回検索されるビッグキーワードということもあり、順位を安定化することを目標として施策を提案。東氏が見るべきポイントとしてあげたのは、「競合コンテンツとの差異は何か」「ユーザーの検索ニーズを満たしているか」の2点だった。

見立てと仮設① 競合コンテンツとの差異は何か

まずは、キーワード「トレッキングシューズ」の検索結果を確認したところ、競合のECサイトが多く、ABCマートのページとしては「トレッキングシューズ」カテゴリーの商品一覧ページが表示されていた。検索結果の競合コンテンツをミエルカSEOで分析するなどしているうちに東氏は、トレッキングシューズという表現の他に、類義語である「登山靴」という表現も多く使われていることに気づく。そこで、「登山靴」関連の検索意図もしっかり満たすことで、トレッキングシューズの検索にも好影響を与えるのではないかという仮説を立てた。

そこで、さらにミエルカSEOを活用して、登山靴周りのキーワードを分析したところ、ABCマートは「登山靴」単体キーワードでの検索順位が取れておらず、「登山靴 メンズ」「登山靴 ブーツ」といったかけ合わせキーワードでも検索順位が取れていない状況がわかった。「登山靴」という関連性の高いキーワードで検索意図を満たせていないことから、「トレッキングシューズ」での順位が上がらない可能性があると考えられた。

「登山靴」周りのキーワードで順位が取れていなかった

そこで東氏は、「トレッキングシューズカテゴリの商品一覧ページ」に、カテゴリ名や見出し変更などの「登山靴」関連の検索意図を網羅するための施策を提案した。

見立てと仮設② ユーザーの検索ニーズを満たす

また、ミエルカSEOの分析では、「トレッキングシューズ」そのものの順位よりも、「トレッキングシューズ メンズ」「トレッキングシューズ おすすめ」などかけ合わせキーワードの検索順位が低く、一部の検索ニーズを満たせていない状態だった。

「トレッキングシューズ」に関連する一部の検索ニーズを満たせていない

東氏は、そのなかで検索数の多い「トレッキングシューズ 普段履き」のキーワードに着目。この検索意図を満たせるコンテンツが必要と考えた。そこで、カテゴリの中に、「普段履きできる靴」のカテゴリを設け、「#普段履きにおすすめ」などを見出しに設定するなど、商品を紹介するカテゴリの追加を提案した。

「#普段履きにおすすめ」のカテゴリを追加

こうした細かな施策を積み重ねていった結果、安定していなかった「トレッキングシューズ」の検索順位が1~2位を維持できる状態まで改善できたという。

ヒートマップを活用したCRO施策でコンバージョン率が1.2倍に

次に取り組んだのが、「CRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)」である。CROにおいて、ヒートマップ分析を活用するのは定石だ。しかし、東氏は「最初からヒートマップを見てしまうと、バイアスが生じて分析に影響がでる。まずはスマホやパソコンなどの実機でページを見て、ページ構造を理解してからがよい」とツール活用時のコツを語る。

実機で見た際に、「ここにボタンがあると邪魔だ」など、ページを見た際の印象や違和感をメモしておき、それを元にヒートマップと照らし合わせて課題や仮説を見出していくという流れだ。

照らし合わせる際の“ミエルカ流 ヒートマット分析のポイント”として、東氏は次の5点をあげた。

  • 冒頭で20~30%以上の離脱がないか
  • ページ内で離脱している箇所はどこか
  • どこにアテンション(熟読エリア)が集まっているか
  • どこがクリックされているのか
  • 「離脱」なのか「遷移」なのか

見立てと仮設③ ブランドや価格よりも「カテゴリ(用途)」で商品を探す

これを意識した形で、実際のデータを読み解いてみよう。ABCマートの改善前の人気ランキングページをミエルカ ヒートマップで分析したところ、「人気商品ランキング」の注目度は高いものの、その下にあるセクション「人気ブランド」「価格から探す」への注目度は低かった。しかし、さらに下にある「カテゴリ別の人気商品一覧」は再び注目度が高くなっており、ここまでスクロールする人は59%も存在した。

そこで東氏は、人気ランキングページを見る人は、「人気商品」に興味がある人が多く、たくさん商品を見たいのではないか。その場合はブランドや価格よりも、カテゴリ(用途)で商品を探す人が多いのではないか、という仮説を立てた。

「人気商品ランキング」の注目度は高いが、「人気ブランド・価格から探す」は注目度が低く、「カテゴリ一覧」で再び注目度が高くなっている

そこで東氏は、次の2つの提案を行った。

  1. 人気商品ランキングの部分に、「もっと見る」というボタンで人気商品ランキングの続きへの導線を設置する
  2. 「人気ブランド」「価格から探す」のページ内位置を下げて、「カテゴリー別の人気商品一覧」と位置を入れ替える

この施策により、「カテゴリー別の人気商品一覧」までのユーザー到達率が76%と、改善前に比べて17ポイントアップした。また、新たに設置した「もっと人気商品を見る」ボタンのクリックも多かった。その結果、CTR(クリック率)を約1.3倍に増やし、個別の商品詳細ページへの遷移率も約1.2倍にすることができた。

施策の結果、「カテゴリ別の人気商品一覧」への到達が76%に達した。「もっと見る」ボタンのクリックも多い

PDCAを回し続けた成果

同様の取り組みを、他のページも含めて約2年間にわたって実施したところ、コンバージョン率は1.2倍から、なかには2倍まで改善が見られたページもあった。

こうした施策を実施する中で定期的にABCマート側とミーティングを行い、施策の提案・振り返りを行うことで、同社内にナレッジが蓄積され、チームメンバーの分析改善のスキルが上がってきた。そして、新たにページを作成する際もそのナレッジが活かされるようになったという。

ABCマートが「ミエルカSEO」「ミエルカ ヒートマップ」を活用してPDCAを回し続けたことによる成果

セッションの最後に東氏は、「CPAが高騰し、社会の不確実性が高く、マーケ人材も確保できない時代だからこそ、PDCAを回すことが重要になります。ツールを使って現状を把握・分析することで“PDPD”にならずに、PDCAを回し続けることができ、改善につなげられます。もっといえば、その際に私どものようなナレッジのある専門家と伴走することで、その知見を自社にインストールできるんです」と自社のパートナーとしての実力をアピールした。

Faber Companyでは、SEOツール「ミエルカSEO」、UI/UX改善ツール「ミエルカ ヒートマップ」をはじめとする「ミエルカ」シリーズだけでなく、一気通貫でWebマーケティング施策を担うマーケティング実行支援サービスも実施している。興味のある方は問い合わせてみてはいかがだろうか。

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