はてなが訊く「オウンドメディア成功の法則」

アドビがマーケター向けポッドキャストを配信中! BtoBマーケに音声配信を選んだ理由とは?

社内担当者はたった1人! 未経験で番組企画とパーソナリティを務めるアドビ 小松崎扶美恵氏に話を聞いた。

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オウンドメディアの形式はWebサイトだけではない。今回紹介するのは、ポッドキャストで情報発信をしているアドビ株式会社の取り組みだ。

運営する「Adobe Experience Cloud ポッドキャスト」の新シリーズ「Marketer's Talk(マーケターズ トーク)」では、「マーケター同士のオフ会トーク」というコンセプトで、第一線で活躍するマーケターをゲストに迎えて、顧客体験に必要なポイントやデジタルマーケティングの活動などについて語り合っている。

2023年7月に開始し、1週間に1回のペースで更新されている「Marketer's Talk」のパーソナリティを務めるアドビ株式会社 小松崎扶美恵氏に話を聞いた。

「Marketer's Talk」

2021年から配信している『Adobe Experience Cloud ポッドキャスト』の新シリーズとして2023年に開始。デジタルマーケティングの第一線で活躍する経験豊富な Experience Maker(※)をゲストに迎え、リアルな課題や日々の気付き、課題解決のアイデアなどを対談形式で紹介。ポッドキャストの音声コンテンツとして配信している。

※Experience Maker:「創意工夫と大胆な行動力で、優れた顧客体験を届ける人々」を総称

ミッションはユーザーコミュニティの活性化。ポッドキャストはその施策のひとつ

——小松崎さんの業務におけるミッションは?

小松崎: 2023年4月から、マーケティング部門は「Community-Led Growth (コミュニティレッドグロース: 以下、CLG)」をミッションに掲げ、ユーザーが集まるコミュニティの活性化を目的に活動することになり、「Adobe User Group」が発足しました。

現在、製品ごとのユーザー会としては、MA(マーケティングオートメーション)として「Adobe Marketo Engage」、分析関連として「Adobe Analytics」(Adobe Target、Adobe Campaignユーザー含む)、コンテンツ管理として「Adobe Experience Manager」という主に3つの製品で定期的に開催しています。

私がパーソナリティを務める「Marketer's Talk」は、「ユーザー会のオフ会トーク」をコンセプトに、より多くの方にアドビのユーザーさんの活躍を知ってほしい、遠方で参加できないユーザーさんにも聴いていただきたいという想いからはじめました。

——だから、「Marketer's Talk」はゲストとの対談形式なのですね。

小松崎: はい。私は2018年にアドビに入社しましたが、それまでは金融機関でマーケティング業務を担当し、様々なデジタルマーケティングツールを使用してきました。Adobe Experience Cloudの製品群においては、「Adobe Analytics」のユーザーでした。そのバックグラウンドを活かしたいという気持ちもあり、「いちユーザー」として、ゲストの会話を楽しんでいます。

——ターゲットはどのような方を想定していますか?

小松崎: アドビ製品に限らず、デジタルマーケティングツールを使っている方ですね。じつは、トーク自体はオンラインに限定してないので、エピソードによっては広義でマーケティング界隈に関わる方々にも楽しんでいただけるような内容を心がけています。現場で働く人に向けて、「マーケターあるある」や新しい気づきが伝わるよう努めています。なので他社製品の話もしますし、「アドビ製品の広告宣伝の場ではない」とゲストの方にもお伝えしています。

 アドビ株式会社
 DXインターナショナルマーケティング本部
 フィールドマーケティングマネージャー
 小松崎扶美恵氏

 15年ほど金融機関(投資信託/証券/銀行)のマーケティングにて、オンライン/オフライン領域に携わる。2018年にアドビ株式会社に入社、企業向けのデジタルマーケティング基盤「Adobe Experience Cloud」の販促支援を担当。

肉声だからこそ届けられることがある。だから、ポッドキャストを選んだ

——なぜ、ポッドキャストという形式にしたのでしょうか?

小松崎: 人の肉声には説得力があり、想いや感情をリアルに伝えられます。動画は本人の映像や資料の投影、スタジオ背景など情報量が多いほど気が散りやすいですが、音声だけのポッドキャストは、話している内容に集中できます。「Marketer's Talk」を開始する前に調査を行ったところ、ある研究で声からの情報は頭に残りやすいという調査レポートがありました。ブランディングにも効果的ということで、ポッドキャストにしました。

もう一つの理由は予算です。動画は制作費のコストがかかりますが、ポッドキャストは方法次第でコストを抑えることができるので、高い頻度で配信が可能です。現在は、1回の収録を3エピソードに分けて、1週間に1回、新しい放送が更新されるようにしています。

——成否を測るためのKPIは設定していますか?

小松崎: エピソードの配信数(音声ファイルのダウンロード+ストリーミング)です。ポッドキャスト配信システムの分析機能を活用しています。また Apple PodcastやGoogle Podcastなどの各プラットフォームにおける番組フォロワー数の計測を行っています。定性的には、ユーザー会で「参考になった」という声をいただくようになり、少しずつ認知されているのかなと思います。

現状では、番組の広告出稿は一切行っておりません。ユーザー会やメールマガジン、公式SNSやブログなどで紹介し、普及している段階です。

社内担当は自分だけ。制作会社と役割分担しながら番組を制作

——どのような体制で運営していますか?

小松崎: 社内の担当は私一人です。ゲストは、ユーザー会でお声かけしたり、ユーザー会のアンケートに「ポッドキャストに出演したい」という項目を設け、希望者を募っています。マーケターの中には、ご自身や会社の活躍状況をアピールされたい方もいるので、そういう方のためのチャネルとしても担っています。ゲストが候補に上がったタイミングで、その方が所属する会社のアドビ営業担当などにも共有し、社内共有を図っています。

番組の制作進行には、オトナル社にも協力いただいています。じつは、「Adobe Experience Cloud ポッドキャスト」は2021年3月に公開しまして、オトナル社には2020年以来、ずっとお世話になっております。

——企画や収録などはどのように行っていますか?

小松崎: ゲストの出演が決まったら、収録の前に1、2回ヒアリングの時間を設けます。素人なのでこれが正解かは分かりませんが、ここでご本人の魅力や活躍状況を可能な限り伺います。番組ルールとして、「顧客体験」のあり方や将来像などを最後に伺うようにしていますが、それ以外はゲストの方へのヒアリングで深掘りするポイントを探ります。

ある程度の情報が得られたら質問票を作り、おおよその録れ高(放送に使える録音データの総量)の予測をします。ヒアリングにはオトナル社の制作担当者(時には編集スタッフも)も参加していて、ゲストのパーソナリティや企業のルール(公開可能なレベル)に沿って、構成台本を作成します。

「トーク」なので、収録は予定調和にはいかないものですが、構成台本で録りこぼしがないか確認しつつ、面白い話は深堀するようにしています。ゲストの企業から承認を得るためにも骨子はブレないよう収録しますが、「オフ会トーク」なので可能な限りその場のアドリブで聞き出すようにしています。

収録の様子

——1回の収録時間はどれくらいですか?

小松崎: 収録スタジオは3時間半ほど予約していますが、実際の収録は1時間半から2時間くらいです。残りの時間は、収録直前の最終確認と記事用の写真撮影などに充てています。収録した内容はほぼ使用していますが、ゲストによっては途中で流れの確認や練習をすることもあるので、少し時間に余裕を持たせています。音声ファイルの編集は、オトナル社が担当しています。

——相手の話を聞き出す、編集者のようなスキルが必要ですね。

小松崎: 私自身がもともとユーザーですし、今でも「なかの人」としてアドビ製品を使用していますので、ゲストごと製品ごとに「こんな話が聞きたい」という想いがたくさんあります。また、ユーザー会の特にネットワーキングでの参加者との会話が実際の業務に役立った経験が数多くあるので、それをポッドキャストで再現しています。きちんと対応できているか自信はありませんが、ゲストと会話が弾むのはユーザーとしての経験が役立っているのかもしれません。クライアントに対してはおこがましいのですが、ゲストの皆さんには自社製品のクライアントというよりも別会社の同業者として伺っていますので、そういったリスナーさんに少しでも多く聴いていただけていたら嬉しいです。

師匠はニッポン放送アナウンサー! ゲストとして登場してもらうことも

——人前で話すことに抵抗や緊張はないですか?

小松崎: 意外かもしれませんが、まったくないんです。アドビに入社する前まで金融業界でマーケティングを軸にさまざまな業務を担当して参りました。その中にはシステム開発や導入なども含まれており、そうしたプロジェクトになるとステークホルダーとの調整でファシリテーションする機会も数多くあります。案件によってはそれぞれの方の主張を聞いて、それぞれのプロフェッショナルが100%の力を発揮できるように進めることも仕事の一つだったので、そこでの経験も活きているのかもしれません。

——聞き取りやすい話し方ですが、話し方教室に通われたのですか?

小松崎: 話し方教室の経験はないですが、気になることはニッポン放送アナウンサーの吉田尚記さんに伺っています。以前、「Adobe Experience Cloud ポッドキャスト」の別シリーズで、吉田さんに声の出演者として参加いただいたことがきっかけです。

吉田さんは、ファシリテーションなどにおけるテクニックをたくさんお持ちで、多くの著作にも書かれています。パーソナリティを担うと決めた後、書籍の内容で伺いたいことが溢れてきたので、「日本一忙しいラジオアナウンサー」には失礼極まりないのですが、躊躇せず疑問点は伺っています。

あるとき、吉田さんからあるアイドルのトークイベントに出演されるということで、「参考に見に来たら」とご紹介いただきました。私は出演されるアイドルの方々について全く事前情報がなかったのですが、イベントに参加して吉田さんの話術のすごさを体感しました。

出演者が数名いて吉田さんが彼女らに質問をするのですが、誕生日や出身地、趣味などの話だけで1人30分間以上も盛り上げるのです。 A4用紙1枚に書かれた箇条書きの情報だけなのですが、仕事を忘れ笑い転げている自分の声にハッとしました。ファシリテーションのコツが詰まっていて、とても参考になりました。勝手ながら私のメンターのような存在となった吉田さんですが、彼のテクニックはマーケターにとっても勉強になるなと思い、「特別編」(ユーザー以外のゲストと語れる回)を設け、ご本人にもご出演のオファーを依頼しました。

自分がやりたいと思ったなら、実現するための手段を自ら考えよう

——新しいリスナーの獲得のための施策はされていますか?

小松崎: 現状では、オウンドメディア(公式Webサイトでの記事化、公式SNSでの投稿、メルマガ、冊子、イベントでの告知)などのチャネルを活用しつつ、口コミによる増加を狙っています。

コンテンツ制作は、営業やインサイドセールスとも相談し、誰とどういう内容を話せば営業ツールとしても活用できるか伺っています。場当たり的には作っておらず、限られた予算を効果的に使えるように、戦略的に編集プランは組んでいます。部署内では、ホワイトペーパーなどと同様に、マーケティング施策のためのコンテンツ制作の一環として位置付けられています。

——今後の目標はありますか?

小松崎: できればもう少し認知拡大を推めたいですね。出演していただいたゲストの方々のメリットにつながりますので。このポッドキャストを聞いてユーザー会で会いに来てくれる方が増えた、出演をきっかけに他のイベントなどでの登壇チャンスが増えたなどゲストさんにとって更なる活躍のきっかけになると嬉しいです。

——これからポッドキャストを始めたい方に向けてアドバイスをお願いします。

小松崎: 必要な情報はインターネット上に溢れているので、まずは自分で調べてみましょう。自分がやりたいと思ったら、あとはそれを実現するための手段を考え合意を得るだけです。ブレずに自分が率先して実行したいという覚悟があれば、始められますし、想いが伝われば周囲の方々もサポートしてくれます。本当に困ったことがあれば、相談に乗ります。

制作協力:株式会社はてな

2001年創業のWebサービス企業。オウンドメディアに取り組む企業に向けて、個人ユーザー向けブログサービス「はてなブログ」の使いやすさを継承したオウンドメディアCMS「はてなブログMedia」や、オウンドメディアの戦略設計から運用までのトータル支援「はてな MediaSuite」などのコンテンツマーケティングサービスを提供している。

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用語集
CMS / DX / KPI / SNS / オウンドメディア / コンテンツマーケティング / ステークホルダー / ダウンロード / ブランディング
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