エンゲージメント率やコンバージョンでコンテンツを評価! GA4「探索レポート」5選を解説
【この連載について】
この連載では、「1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本」を執筆されているウェブ解析士のみなさん(GA4アベンジャーズ)を中心に、初心者が引っかかりがちな疑問・トラブル解決の基礎知識から、知っておきたい役立ちノウハウ、解析の設定事例、個々の機能解説、最新のホットな話題までをお届けします。
今回は、エスファクトリー代表取締役である井水大輔さんによる解説です。
【今回のポイント】
- コンテンツの評価は、内容や検索エンジン順位に加え、エンゲージメント率やCVR、導線などを含めてしっかり評価することが重要。
- 改善施策を実行したあとは、必ず前後の期間を比較したレポートで検証する。
- そのために、見たい項目や指標を自ら設定して表やグラフを作れる「探索レポート」機能を使おう。
ウェブサイトの改善を行う上で、どのコンテンツが集客に寄与しているのか? どのコンテンツがコンバージョンに貢献しているのか?などを評価することはとても重要です。
今回は、GA4でコンテンツの評価を行う際に役立つ「探索レポート」を紹介します。
「探索レポート」とは?
探索レポートとは、標準で用意されたレポートとは異なり、見たい項目や指標を自ら設定して表やグラフを作れる機能です。
今回はこの探索レポートを使ってコンテンツ評価を行う方法として、集客やそこからのコンバージョンへの貢献度を評価するための探索レポート5種を紹介・解説します。
- 各コンテンツの集客効果やエンゲージメントを評価する
- 離脱が多いページを特定して評価する
- コンバージョンにつながる直前のコンテンツを評価する
- コンバージョンに至るまでの主要コンテンツの遷移を評価する
- 特定のページがコンバージョンに貢献しているか評価する
(1)各コンテンツの集客効果やエンゲージメントを評価する
まず“基本形のレポート”です。このレポートを作ることで、どの(ページ)コンテンツが検索エンジンから多く集客できているか、またユーザーがページを訪れたあと、どのくらい滞在して、コンバージョンにつながったのかを評価できます。
【この探索レポートを作るための設定項目】
手法 | 自由形式 |
---|---|
行(ディメンション) | ランディングページ+クエリ文字 |
値(指標) | セッション、アクティブユーザー数、エンゲージメント率、セッションあたりの平均エンゲージメント時間、コンバージョン |
フィルタ | セッションのメディア [次と完全一致] organic |
一覧で見比べることで単純に多くのユーザーを集めているページが分かるだけでなく、
・セッション数は多いのに、エンゲージメントが低いページをどう改善するか?
・コンバージョン率は高いのに、セッションが少ないページに広告を出しては?
といった、改善や施策のポイントが見えてきます。
さらに[タブの設定]の[列]に項目を追加することで、より深掘りして分析することが可能です。
たとえば、列に[デバイスカテゴリ]を追加するとで、特定ページのコンバージョン率が低いのはdesktopではなくmobileでのエンゲージメント率が低いことが要因なのかとか、desktopのほうがコンバージョン率が高いのに特定のページだけdesktopがモバイルより低いという課題を特定することにつながります。
そして、施策を実行したら、改善前後の期間を比較しましょう。
期間の[比較]をONにします。これにより、施策の実施後の数値がよくなっていればOK、もし悪くなっていることがあれば戻したり別の施策を実施したりすることが可能です。
(2)離脱が多いページを特定して評価する
コンテンツの評価においては、どれくらい集客に貢献しているかも重要ですが、どれくらい逃しているか?も知っておくとよいでしょう。
【この探索レポートを作るための設定項目】
手法 | 自由形式 |
---|---|
行(ディメンション) | ページパス+クエリ文字 |
値(指標) | 離脱数、表示回数、閲覧開始数 |
このレポートでコンテンツを評価するために、データをエクセルやスプレッドシートで加工して以下の値を見ていくと課題のあるページが見えてきます。
- 「離脱数÷表示回数」で求められる離脱率を比べる
- 「閲覧開始数<離脱数」になっているページを見つける
離脱数が多い、離脱率が高いページは離脱しても良いページかを確認しましょう。その上で、次のページへの遷移を促しているのに離脱が多いページは改善の優先度を上げるとよいでしょう。
(3)コンバージョンにつながる直前のコンテンツを評価する
コンバージョンにつながる直前のページを知ることで、どのコンテンツがコンバージョンに至るモチベーションになっているかを評価できます。コンバージョンページ(もしくはフォーム)を終点に設定して、そこに至るまでのユーザーの動線をたどれるのが“経路データ探索レポート”です。
【この探索レポートを作るための設定項目】
手法 | 経路データ探索 |
---|---|
始点 or 終点 | 終点 |
値(指標) | 離脱数、表示回数、閲覧回指数 |
経路データ探索レポートでは始点を設定すると「どこに向かうのか」を知ることができ、終点を選ぶと「どこから来たのか」を知ることができます。
始点ではトップページや特定のLPを入れ、終点ではコンバージョンページを入れることで、コンバージョンに貢献しているページを知り、またどのコンテンツの遷移を増やすとよいかを考察します。
サイト制作時に想定した通りにユーザーがゴールに向かわず途中で離脱している場合は、途中のコンテンツを見直して、どのようにナビゲートするとゴールに向かって遷移するかを考えましょう。
そして前述したとおり、施策を実施したあとは前後比較で評価を行いましょう。
(4)コンバージョンに至るまでの主要コンテンツの遷移を評価する
Webサイトには流入からゴールまでの主要導線があり、ユーザーが想定通りに遷移してくれるかは大きな評価ポイントです。
主要導線のポイントとなるコンテンツがどれだけ機能しているかを評価するための探索レポートが“ファネルデータ探索(旧・目標到達プロセスデータ探索)レポート”です。
経路データ探索との大きな違いとして、特定のページの遷移にページに限らずイベント、つまり行動単位(特定のボタンをクリック、動画を閲覧、PDFをダウンロードなど)でのステップが可能です。
【この探索レポートを作るための設定項目】
手法 | ファネルデータ探索 |
---|---|
ステップ | ユーザーに辿ってほしいページ、またはアクション(イベント)をステップとして追加 |
各ステップにおけるユーザー数を見ていくことで、どのくらいユーザーがゴールまで進んでくれているか、また離脱しているのかを把握できます。
ファネルデータ探索でも、「内訳」にデバイスやデフォルトチャンネルグループを追加することで、デバイスや流入元ごとの遷移率を確認でき、原因の特定につながります。
これまでのレポートと同じく、改善施策を行ったら前後を比較して(次のステップへの)完了率、つまりコンテンツが改善されたのかの評価を行いましょう。
(5)特定のページがコンバージョンに貢献しているか評価する
特定のページ(群)がコンバージョンに貢献しているかを判断することはコンテンツ制作においてとても重要です。それを評価するために活用する機能が“セグメント”です。
以下のように、特定のURL(テキスト関連ページ)を含む(見た)ユーザーのセグメントを作ります。
これを(1)で作成した自由形式の探索レポートとかけ合わせると、テキスト関連ページ(textbook/)を見たユーザーが、どのページから入ってきてどのくらいサイトに滞在してコンバージョンにつながったかがわかります。
また経路データ探索レポートに「テキストページを見た人」のセグメントを適用することで、そのユーザー群のみのページ遷移データを抽出できます。
さらに、セグメント機能を使って、コンバージョンをしたユーザーがよく見ているコンテンツを切り出すこともできます。
作成したセグメントを自由形式で作った探索レポートに適用すると、コンバージョンしたユーザーに限定したデータを把握できます。
また[除外する]設定でCVしていないユーザーと比較したり、[シーケンス機能]で特定の順番でページを閲覧したユーザーの行動を把握したり、セグメント機能はコンテンツを評価する上でとても有効な手法です。ぜひ試してください。
まとめ
コンテンツの評価は、書いている内容や検索エンジン順位にとどまらず、エンゲージメント率は高いのか? コンバージョンにつながったのか? 想定どおり遷移させられているのか?などを含めてしっかり評価することがコンバージョン数を上げていく上で重要です。
そして、改善施策を実行したあとは必ず、前後の期間を比較したレポートで検証してください。
探索レポートは一度作っておけば、期間を変更するだけで何度でも利用が可能です。ぜひ今回の内容を基にコンテンツの評価、そして改善を進めてください。
井水でした。
※2023年7月20日追記:記事の初出時において、一部誤字脱字などがあったため、訂正させていただきました。
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