タグ発火? ラッピング? 知っておこう!デジタル広告のパフォーマンス計測の仕組みとは
デジタル広告にまつわる、さまざまな疑問や現場で直面する悩みを抱えるマーケターの末広告美さんが、アドベリフィケーションに詳しいIASロボット君に解説してもらう連載。
第6回は「デジタル広告のアドベリ計測の仕組み」を解説します。
そういえば、アドベリって
どんな仕組みで行われているんでしょうか?
今回は、私がアドベリの仕組みをご説明シマス。
そもそも、デジタル広告のパフォーマンス計測はどのような仕組みで可能になっているのか、分かりやすく解説します。
デジタル広告の計測は「タグ」から始まる
デジタル広告の計測は、アドベリフィケーションベンダーが発行する「計測タグ」によって行われます。アドベリ計測を実現するための影の立役者といっても過言ではありません。デジタル広告の計測の手順と、裏側で行われていることを大まかに説明すると以下のようになります。
① 広告主が広告を「計測タグ」と共に媒体へ入稿
広告主は、出稿したいデジタル広告のHTMLコードの中に、アドベリベンダーから取得した計測タグを挿入して媒体に入稿します。
タグの発行は、各アドベリベンダーの管理画面で行います。広告配信に必要なタグを各アドベリベンダーの計測用のJavaScript で包み込む処理のことを「ラッピング」と呼びます。
② ユーザーが訪れ、ページ読み込みが開始すると
「計測タグ」が読み込まれる
広告枠が設置されたウェブページにユーザーが訪れ、ページを閲覧します。実はこのとき、ページ内に設置された広告のクリエイティブと同時にラッピングされた計測タグも読み込まれています。計測タグは、HTMLコードの中に設置されているので、ユーザーに見えることはありません。
③ 「計測タグ」が起動(発火)し、
ページ内の広告とユーザーの視聴/閲覧行動を計測
デジタル広告が読み込まれると、ラッピングされた計測タグが呼び出されて、配信対象ページの解析を行います。広告が表示されたページの分析、ユーザーの視聴/閲覧行動の計測が行われます。アドフラウドやビューアビリティ、ブランドセーフティ等の各指標を計測し、数値が、アドベリベンダーに送信されます。
④ アドベリフィケーションベンダーの
管理画面にレポートが反映される
計測タグを通じて得られた数値が、アドベリベンダーの管理画面に反映されます。広告主は、パフォーマンスレポートを通じて、広告のビューアビリティ、アドフラウドの有無、ブランドに適合するページに広告が配信されたかどうかに関する詳細な結果を確認できるようになります。
広告業界ではタグが起動することを「発火する」ともいい、デジタル広告の計測は、タグの発火によって初めて計測が行われるのです。
広告と一緒に入稿する計測タグが、
こんなに大活躍していたんですね!
そうデス。
タグの中には、単に計測するだけではなく、広告配信をブロックできるタグもありマス。
タグの種類:計測タグとブロッキングタグ
ここまで説明してきたタグは、配信状況の計測を行う計測タグでしたが、タグのなかには計測したうえで、不適切なページへの広告配信を停止する機能を持つ、高度なタグもあります。「ブロッキングタグ」です。
ブロッキングタグは、広告配信の状況を計測してレポートを提供する計測タグが持つ機能に加えて、安全でないと判断されたページへの広告表示を瞬時にストップできる機能を持ちます。
例えば、ブランドに適さないページの広告枠に広告配信が行われた場合、計測タグでは、ブランドセーフティに違反したページへの広告配信が行われたことを把握し、報告できます。広告配信はそのまま行われます。それに対し、ブロッキングタグでは、ブランドセーフティに違反したページであることを確認した場合、広告表示を防げるのです。
どちらの場合も、広告枠には媒体から広告がすでに送信されているため、広告のインプレッションに対する課金は発生しますが、ブロッキングタグを設置していた場合は不適切なページへの広告掲載によるブランド毀損の被害を防ぐことができます。
ただし、すべての媒体がディスプレイ広告や動画広告のブロッキングタグを受け入れているわけではありません。事前にアドベリフィケーションベンダーに確認をしておきましょう。
また、インプレッション課金を発生させずに不適切なページへの広告配信をブロックしたい場合は、入札前ターゲティング(Pre-Bid)というDSPが提供しているサービスを活用します。DSPでの広告の入札時に配信環境をチェックして、リスクのある媒体への入札を事前に止められるので、無駄な費用は発生せず、広告費用の効率化に繋がります。
タグは、縁の下の力持ち!
計測もブロックも、
タグが動いてできることなんですね。
そうデス。
他には、計測タグがいらないメディアもありマス。
タグ不要で計測できる、ソーシャルメディア
デジタル広告のアドベリ計測には、アドベリベンダーの計測タグを入稿する必要がありますが、実は、タグを使わずに計測できるメディアもあります。ソーシャルメディアは、ほとんどが、計測タグの設置を必要としない「タグレス計測メディア」で、FacebookやInstagram、Twitter、YouTubeなどが含まれます。
タグレス計測メディアの場合、各メディアの広告アカウントでアドベリ計測の有効化申請を行えば、タグを入稿する必要がありません。タグの有効化申請を行ってから広告配信を開始すると、ほとんどの場合、48時間以内に管理画面で計測レポートを確認できます。
アドベリ指標が計測できていない!?
その原因もやはり「タグ設置忘れ」
デジタル広告のキャンペーンが始まって、さぁ配信状況を確認しようと思ったら「計測できていない!!」というケースがあります。
よくある原因① タグ設定を忘れている
最も多いのは、タグの設置忘れ。計測タグの設定は広告入稿のたびに必要ですが、担当者や社内のフローが変わった際に、漏れてしまうケースが多いようです。
手動でラッピングする手間は、デジタル広告検証にとっての最大の悩みの一つですが、タグのラッピングを自動化し、作業時間を数秒に短縮するソリューションもあります。例えば、IASがGoogleと開発した「Automated Tag(自動タグ)」を使うと、Google キャンペーンマネージャー360内で管理する動画広告とディスプレイ広告におけるタグラッピングを自動化できます。
よくある原因② 計測に必要な申請や、行うべき設定が漏れている
次に多いのが、有効化の申請&設定漏れです。前述の通り、ソーシャルメディアはタグレス計測メディアで、タグ設定をせずに計測ができます。
しかし、タグ設置の代わりに、計測有効化をするための申請と設定が必要です。弊社ご利用のお客様の中で、最も多いのが、動画配信プラットフォーム YouTubeの計測に関わる申請&設定漏れです。
キャンペーン開始後に、アドベリ計測ができていないことが発覚しないよう、タグ設置や申請の完了を、広告入稿のたびに確認しておきましょう。
次回は本シリーズ最終回。アドベリ計測を開始された企業の主なきっかけ、その効果について、ご紹介します。
アドベリは広告の「健康診断」。
健康的な広告配信のために、活用してクダサイ。
ソーシャルもやってます!