やっぱりSEOに“絶対”はなかった! 5つのSEOテストがみせた意外な結果
SEOに悩む方は、ベストプラクティスのはずのテストがオーガニック検索トラフィックを低下させたり、ちょっとテスト的にやってみただけのことが成功につながったりするなど、さまざまなケースを経験したことがあるだろう。
今回のホワイトボード・フライデーは、SEOテストのエキスパートであるエミリー・ポッター氏が、SEOテストで意外な結果を残したものを紹介してくれる。ポッター氏が勤務するSearchPilotのSEO向けA/Bテストツール※を使い、旅行・Eコマース・リスティングサイトなど、トラフィックが多くてテンプレート化されたページが多い業界のウェブサイトを対象にSEOテストを行った。そのなかで意外な結果だったのは、次の5つのだ:
- Googleにmeta descriptionをそのまま使わせる(<body>タグにdata-nosnippet属性を使用)
- 関連記事へのリンクを増やす
- Eコマースサイトの製品コンテンツを米国向けにローカライズする
- title要素に価格を追加する
- キーワードリッチなaltテキストを追加する
これらの結果がSEO戦略にとって何を意味するのかをポッター氏の解説で理解しておこう。
1. Googleにmeta descriptionをそのまま使わせる(<body>タグにdata-nosnippet属性を使用)
【結果】ちょっとだけマイナスに作用するのでグーグルに任せるほうが良い
まずは1つ目のテストについてだ。知っている人もいると思うが、グーグルは検索結果に表示するタイトルをtitle要素そのままではなく勝手に書き換えるようになっている。
それだけでなく検索結果に表示するスニペット(説明文)も、meta descriptionではなく本文から抽出した文章を勝手に使うことがある。その場合、検索結果の画面には省略記号(...)でつなぎ合わせた文章が表示されることがあり、検索ユーザーにとってあまり読みやすいとは言えない(文法に問題がある見え方になることもある)。この挙動に、多くのSEO担当者はうんざりしているだろう。
そこで、1つ目のテストではこちらで指定したmeta descriptionをグーグルに表示させるために、body要素の開始タグにdata-nosnippet属性を追加してみた。
data-nosnippet属性は、Googlebotなどのクローラーに「この属性を指定した要素内のコンテンツは一切スニペットとして扱わないでほしい」と伝えるものだ。<body>タグにこの属性を追加すると、body要素の情報をすべてスニペットとして扱わないように指示することになる。つまりグーグルはhead要素内の情報しか使えなくなる。スニペットとしてmeta descriptionを使うようグーグルに強制した形となる。
SEOテストの結果は逆効果で、オーガニック検索トラフィックが3%減少してしまった。SEOのテストとすればかなり小さな数字だが、マイナスの影響をもたらすことがわかっているなら導入しないほうが良いだろう。
SEO担当者はmeta descriptionにそれほど時間をかけるべきものではないのかもしれない。SearchPilotではmeta descriptionについて他にもテストをしてみたが、有効なものは思いつかなかった。
各検索ユーザーに振り向いてもらうスニペット(説明文)を作るのは、おそらく私たちよりグーグルのほうが上手い。クローラーに任せておくのがよさそうだ。
2. 関連記事へのリンクを増やす
【結果】ドナーページに効果が現れた
2つ目は、あるEコマースサイトのブログ部分で実施したテストで、各記事の下部にあった関連記事へのリンクを2つから4つに増やしてみた。
その結果オーガニック検索トラフィックが11%増加した ―― リンクを増やすことがSEOに有効なのは既知の事実だ。皆さんは「意外な結果か?」と思うだろう。
ところが、オーガニック検索トラフィックが増加したのはリンク元ページだったのだ。リンク先のページには目立った影響が見られず、リンクを設置したページに効果が現れるという意外な結果だった。
リンクは、「ページの内容をクローラーによく理解してもらう」のに役立つだけではなく、「異なるコンテンツを関連付ける手段にもなる」ことが証明された。つまり、リンクはリンク元・リンク先の両ページに利益をもたらす可能性があるということだ。
ただし、サイト内リンクをテストする場合にはしっかりと制御した状態で実施して正確に効果を検証することが重要だ。
3. Eコマースサイトの製品コンテンツを米国向けにローカライズする
【結果】トラフィックは24%増加!
3つ目は、Eコマースサイトの製品ページのコンテンツを米国向けにローカライズするテストだ。
たとえば、「ズボン」を英国英語の「trousers」から米国英語の「pants」に変えるようなことだ。このテストでは英国を拠点とするウェブサイトだった会社が、米国市場参入にあたって英国向けのコンテンツをそのまま使っていた。そこで、このサイトをアップデートして、米国の市場に合わせたらどうなるかをテストしてみた。
その結果、オーガニック検索トラフィックは24%増加した。
正直、これほど大きな違いが出たのは驚きだったが、よく考えてみれば意外でもないかもしれない。もし、米国の月間検索ボリュームで「trousers」がそれほど多くなくて「pants」が多い場合、今回のようにコンテンツをローカライズすればオーガニック検索トラフィックが向上するのは予想できることだろう。ちなみに、このキーワードは、title要素、meta description、h1要素などに含まれていた。
「SEOに関する一般的な推奨事項が実際に機能することもある」と証明できた。「非常に重要で効果を見込めるのに説得できなかった変更」をビジネス主体や開発者にやらせるためのビジネスケースとしてすばらしい例だ。
4. title要素に価格を追加する
【結果】良くなかったが、SEOに“絶対”はない
4つ目は、title要素に価格を追加するテストだ。
Eコマースサイトを例に挙げると、「title要素に価格を含めること」は、ベストプラクティスとして推奨されるものだと思うだろう。きっとユーザーも見たいだろうと思ってtitle要素に価格を入れてしまう。
しかし、テストの結果はマイナスで、オーガニック検索トラフィックが15%も減少した。かなり大きな落ち込みだ。
ただし、この結果は状況によって変化するのではないかとも考えられる。その理由は、次の2つの仮説だ:
競合他社はtitle要素に価格を含めておらず、代わりに構造化マークアップに指定した価格のスニペットが検索結果に表示されていた。そのため、SERPにおける表示が競合他社とは異なっていたことで、ユーザーの反応が悪かったのかもしれない。
こちらの価格がそれほど競争的ではなかった可能性もある。その状況で価格をtitle要素に入れて目立たせれば、他の競合企業のほうが有利な価格であることが検索結果で明らかになり、マイナスに働いてしまう。
次のことがわかった:
- SEOに万能なアプローチはない
- SEOだけの視点では絶対的な真実もない
title要素に価格を追加するような単純なことでさえ、絶対普遍的な結果は出ないのだ。
5. キーワードリッチなaltテキストを追加する
【結果】影響なし
最後は、製品ページの画像にキーワードリッチな(キーワードを多く含む)altテキストを追加したテストだ。
これはテクニカルSEO監査や潜在顧客に提示するSEOにおける一般的な推奨事項で、本当によく推奨されている手法だ。しかし、目に見える影響はなかった。つまり、altテキストは検索順位にあまり影響がないようなのだ。
ただし、「altテキストは意味がない、不要だ」となるわけではない。理由は次の3つだ:
altテキストは、アクセシビリティのためには導入するべき非常に重要な要素だ。視覚に障害のある人が画像の内容を理解する助けになるからだ。
altテキストは、Googleのクローラーがページの内容を理解するのにも役立つ(順位決定ではなくコンテンツ解釈の観点)。
通常の訪問者であっても、画像がうまく表示されないといった場合に、altテキストがあれば何が表示されるはずなのかがわかるという点で役に立つ。
altテキストはSEOのトラフィックにはあまり効果がないかもしれない。しかし、SEO以外の観点で重要なので忘れずに導入しておこう。
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