Step 4-3 効果測定とWebコンテンツ改善での注意点
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クイズ
- トップページへのアクセス数が減少してきたので、急いでトップページのビジュアルを変更することにしました。〇でしょうか?
各Webサイトには目的があります。自社商品の売上をアップするため、あるいは自社ブランドの信頼を上げるためなど、その目的はさまざまです。そして、そうした目的を達成するためにトップページを含めたコンテンツがあり、目的に合ったコンテンツにするための目安がKGI、KPIです。確かにトップページのアクセス数の減少は気になりますが、その減少によってKGI、KPIにどのような影響があるのかが重要になるわけです。
そのうえで、KGIに深く関わるのですぐに対策を立てなくてはならないとわかったら、なぜトップページへのアクセス数が減少しているのか、その原因を調べる必要があります。クイズでは、トップページのアクセス数の減少はビジュアルのせいだと決めつけていますが、広告がうまく機能していないのかもしれませんし、SNSへの投稿数が減少しているせいかもしれません。多岐にわたって計測をし、仮説を立てて、改善施策を行いましょう。
- トップページのアクセス数が減少したら、すぐにビジュアルを変更する
- 多岐にわたる計測によって仮説を立て、KGIを上げるためのコンテンツ改善施策を実施することが大切
4-3では、効果測定を活かしてコンテンツを改善していく際に注意したいことを、事例をあげて解説します。
PDCAをまわし、改善を図ることが重要
クイズでも紹介したKGI、KPIに関しては、Step 2-4で解説していますが、ここで少し復習しておきましょう。
たとえば上の図では、「売り上げUPに繋げる」というWebサイトの目的のために、「新規リード200件/月」と「各サービスの申込数の目標値」をKGIとしています。そしてそのために、もっと具体的なKPIの数値を明確にしています。たとえば、「新規リード200件/月」というKGIを達成するために、「社名・製品・サービスの認知度アップ」を図るKPIとして「新規訪問数18,000件/月」「新規企業(社名)10件/月」を設定しているわけです。
だったらなんとかして早く「新規訪問数18,000件/月」を達成したいと思うでしょうが、新規に訪問してくれるユーザーは検索サイトから来てくれるかもしれませんし、Twitter経由での訪問かもしれません。3月に12,000件だった訪問数が4月には25,000件になったとしても、それは偶然にTwitterで芸能人が話題にしてくれたせいかもしれません。さまざまな影響で変わるKPIに一喜一憂するのではなく、その変化をみつめて、原因を発見して対応していくことが大切になります。
コンテンツの改善は、KGI、KPIをしっかりみつめて、PDCA(Plan・Do・Check・Action)を繰り返しながら行う施策といえます。
コンテンツ改善事例_高級化粧品ECサイトの購入数増を図る
ではここからは、事例を通してPDCAをまわしてコンテンツを改善していく例を紹介しましょう。
<前提>
対象のWebサイト:化粧品ECサイト
本事例では、高級化粧品を扱うECサイトをサンプルとして取り上げてみました。このECサイトは、細やかなアフターフォローが評判で、購入の際には会員登録を求めていることとします。会員登録している方は、ログインをすればすぐに購入することができますが、未会員の方は登録をしたうえで購入に至るわけです。
KGI:新商品Aの売上2,100万円/月
商品Aを新規に投入するにあたり、ECサイト経由で毎月2,100万円の売上を目標値として設定しました。
以下は、ECサイトでの「新商品Aの売上」を増加させるための、コンテンツの改善例です。
①商品A購入完了までのステップを計測し、コンテンツを改修
対象のECサイトでの「新商品Aの売上」を増加させるため、次図のように商品A購入完了までの各ステップを計測。商品A詳細ページでの直帰率が70.0%と高く、購入完了までの遷移率が2.5%と低いことがわかりました。
そこで、商品A詳細の直帰率を65%に下げ、商品A詳細から購入完了までの遷移率を3.5%に上げることをKPIとし、「購入内容確認」というステップを「購入完了」と同時に行えるよう、改修することにしました。商品A詳細ページから直接購入完了へと進めるようにするわけです。
改修の結果、直帰率は下がりました。しかし、商品A詳細ページに訪問してくれる数が、改修前の20,000から17,000へと減少してしまい、遷移率は下がってしまいました。
②商品A詳細ページへの訪問数減少の原因を探る
そこで、商品A詳細ページへの訪問数が下がった原因を調査しました。すると、会員登録をしているユーザーの訪問数はほぼ変わらなかったものの、「会員登録をしていないユーザーの訪問数が減少していた」のです。そこで、未会員ユーザーがどこから商品A詳細ページに来てくれているのかを調査したところ、広告からの流入が大きく減少していることがわかりました。
③課題を発見し、仮説を立ててコンテンツでの改善策を考える
対策として、「広告出稿数」や「広告のクリック率が減少していないか」を確認し、広告自体の見直しを実施し、広告からの流入の改善を図りました。
さらに、商品A詳細ページから購入完了までの遷移率を上げるため、ユーザーの導線を整理して途切れることなく購入できるようにコンテンツを調整することとしました。そのための追加調査をしたところ、次のような課題がみつかりました。
<課題発見>
商品A詳細ページには、「ログインして購入」と「会員登録して購入」という2種類のボタンが配置されていて、どちらかを選んで購入するようになっていました。サイト制作者側の意図としては、「ログインして購入」は会員用、「会員登録して購入」は未会員用として設置したボタンです。しかし未会員の方は、会員登録という言葉を無意識に避けてか、半数近くが「ログインして購入」ボタンを押してログイン画面に戸惑い、そこから会員登録画面へは向かわずにサイトから離れてしまうケースが多数ありました。
<仮説と解決施策>
そこで、ユーザーを迷わず購入完了へと導くには、ボタンを1つにする方がよいと仮説を立て、「購入する」ボタンに一本化。ボタンが押されたら、システム側で会員か未会員か、ログインしているか否かを判断して、最適な画面を表示する仕組みを開発しました。ユーザー自身に適切なボタンを「選ばせる」のではなく、システム的に自動的に判断する施策を行い、動線も一本化する施策へとつなげたのです。
事例のまとめ
こうして、上記のECサイトでは商品Aの売上を増加させることができました。ここで重要なのは、KPIの数値の変化にいちいち振り回されず、PDCAをまわして仮説と検証を繰り返すことです。今回紹介した「商品A詳細ページの直帰率は改善されたものの、購入完了への遷移率は下がる例」のように、改善のための改修をすることで一時的にKPIの数値が悪くなる場合もあります。しかしそうした数値に振り回されずに、多岐に渡って計測を行いながら、原因と解決策への仮説を立てて、バランスよく数値を上げていくことが大切です。
4-3では、効果測定に基づいてWebコンテンツを改善する際の注意点を、事例を通して解説しました。4-4では、SEOとコンテンツ改善について紹介します。
- ポイント
- 4-3 「効果測定とWebコンテンツ改善での注意点」のポイント
- KPIの数値の変化にいちいち振り回されず、PDCAをまわして仮説と検証を繰り返す
- 多岐に渡って計測を行いながら、原因と解決策への仮説を立てて、バランスよく数値を上げていく
- やってみよう
- 自社サイトのKPIを確認し、それを達成するための施策を、計測値をみながら考えてみよう。
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