Web担当者になったら知っておきたい「基本」が学べる Web担ビギナー

Step 2-16 制作開始前の社内調整

Step 2-16で知ってほしいことは、ステークホルダーを把握して調整する必要性を知ることです。

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クイズ

プロジェクト内で情報共有してしっかり仕事を進めていけば、社内調整は必要ないでしょうか?

「社内調整ができていないために、仕事が止まってしまった」という話を耳にしたことはありませんか? あなたの周りに同じような例があれば、思い出してみてください。

社長の一言でWebサイトのデザイン案がひっくり返ることは、少なくありません。また、制作途中で経理部から横やりが入りスケジュールが遅れるなど、サイト構築プロジェクトでは、社内調整がうまくいかないために仕事が止まることがままあります。

  • プロジェクト内で仕事をしっかりやればいい
  • 事前の社内調整が必要

そこでStep2-16では、サイト制作をスムーズに進めるための「社内調整」について紹介します。

Step2-16は、Webサイト構築・運用のためのワークフロー中、設計フェーズの「サイト設計」に関わる内容です。

戦略策定フェーズ1. プロジェクトの発足
2. プロジェクトの方向性の決定
3. Web戦略の策定
設計フェーズ4. サイト設計
開発フェーズ5. サイト制作・開発
6. 運用準備・運用開始
運用フェーズ7. 運用・効果測定・改善

「ステークホルダー」を把握しよう

Step2-1で紹介したように、プロジェクトを結成したら、体制、承認フローを明確にします。しかし、実はプロジェクト内以外にもWebサイトに関係する部署・人がいます。

ここで考えてみてください。あなたの携わるWebサイトによって、利益を得たり、損をするのはどの部署の誰でしょうか? こうした利害関係がある人を「ステークホルダー」といいます。それを制作前に把握しておくことが、やり直しを防ぐためには重要です。

社長「いきなり結論をもってこられても、判断できないよ」

たとえば、A事業部のサービスを紹介するページを制作することになり、A事業部長の承認を得たページデザインを経営会議で発表したところ、そのデザインを初めて見た社長からダメ出しされた、ということもあり得ます。

それまでにいくつものデザイン案があり、その中から目的に合った最善のものを発表したとしても、その経緯を社長が知らなければ、いきなり出てきたデザインに感想を言うしかありません。そのデザインが最も効果をあげるか、判断できないからです。

事業部のトップはもちろん、社長もまたステークホルダーと考え、「これは得をする提案だ」ということを、経緯も含めて事前に説明しておくことが重要です。

サイト規模にもよりますが、目的や戦略、設計やデザインなどを決定する前に、ステークホルダーの確認をとっておく必要があるのか、ないのかを検討し、対応しておきましょう。

必要に応じて、社長に、それまでの経緯を含めた説明をしておこう

経理部「そんなお金、出せません」

社長の承認を得ていればそれでよい、ということでもありません。重要なステークホルダーとして、予算を管理している経理部も考えられます。経理部では、今期はコストを抑える目標を立てているかもしれません。いつ、どのくらいの支払いが発生するのかを事前に相談しておかないと、後でもめる可能性があります。

プロジェクト発足後、コストやスケジュールを決める前に、経理部門との調整は済ませておきましょう。もしかすると、今期は小さな規模でサイトを作っておいて、来期にコンテンツを増やすといった、計画の見直しをすることになるかもしれません。

経理から、計画見直しを迫られることも

人事部「そんなに人が必要なの~?」

社員の採用や人の配置を考えることがミッションの人事部もまた、ステークホルダーといってよいでしょう。「制作にどのくらい人が必要になるのか」「運用段階ではどうか」などを知らせて、事前に人事の計画に組み込んでもらいましょう。社内で難しければ外注も考えなければなりません。

ほかにも、社内のステークホルダーは、いろいろ考えられます。会社によって異なるでしょうし、Webサイトの規模によっても変わりますので、その都度、プロジェクト内で話しておくとよいでしょう。そして、ステークホルダーごとに、必要な事前承認と報告の方法を考えておくことが重要です。

意識合わせをしよう

ステークホルダーを把握したら、彼らに連絡をとり、プロジェクトの内容をわかってもらい、協力してもらうよう「意識合わせ」をします。

最初のミーティングが大切

最初のミーティングでは、こちら側のやりたいこと、言い分だけを伝えるのではなく、他部署のミッション・目標を聞き、それらに反しないことを考えましょう。部署は違っても、「会社のため」という目的は同じですから、お互いのミッションを達成しながら協力できることは何か、「意識合わせ」をしていくことが大切です。

そして、進捗状況などを記したファイルは社内の共有サーバに置き、メンバーがいつでも見ることができるようにしておくとよいでしょう。

◇◇◇

2-16では、社内の関連部署と強力関係を築き、スムーズに仕事を進めるための「社内調整」について紹介してきました。2-17では、企業のWebサイトにはほとんど用意されているコンテンツ「プライバシーポリシー」について紹介します。

ポイント
2-16「制作開始前の社内調整」のポイント
  • ステークホルダーを把握する
  • ステークホルダーごとに、事前承認・進捗報告の方法を考える
  • 最初のミーティングで意識合わせをする
やってみよう
  • あなたが携わっているWebサイトのステークホルダーを書き出し、どのような調整が必要かを考えてみましょう。
もっと学び、成長するために
次を読んでおこう。
マーケターに必須なスキルは企画・立案、データ分析、社内調整。デジタルの知識は6番目ぐらいかなhttps://webtan.impress.co.jp/e/2017/01/24/24882
本記事の監修者

白石 裕一朗(しらいし ゆういちろう)

株式会社キノトロープ コンサル部 副部長
ディレクター、コピーライター

25年以上にわたる専門誌の編集業を経て、キノトロープへ入社。
年間で500本以上の「成果に結びつく」コンテンツを監修。
企業セミナー・大型セミナーの講師も務める。

デザイン:三苫慧子
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