Google アナリティクス for FirebaseでBigQueryエクスポートの設定方法とデータ活用
Google アナリティクス for Firebase (以下GA4F)は、GA360と同様、サンプリングされていない生データを無料でBigQueryへエクスポートできます。
BigQueryへエクスポートしたデータを利用すると、GA4FやGoogle アナリティクス 4 プロパティ (以下GA4)のレポート画面では難しいカスタム分析やアプリ以外の外部データと組み合わせた分析が可能になります。
さらに、BigQueryへエクスポートしたデータはデータポータルなどのBIツールと連携すればカスタムレポートの作成も可能となります。
今回はGA4Fのデータ活用をテーマに、次の内容を紹介します。
- BigQueryエクスポートの設定手順
- データポータルのBigQuery接続方法・レポートの作成方法
BigQueryエクスポートの設定手順
GA4FのデータをBigQueryへエクスポートする方法は2種類あります。
- Firebaseプロジェクトからエクスポートを設定
- Google アナリティクス 4 プロパティからエクスポートを設定
Firebaseプロジェクトの設定状況やエクスポート先BigQueryのGoogle Cloud Platformプロジェクト(以下GCPプロジェクト)の選択によって設定手順が異なるので、ご自身の環境に合わせて設定を選択してください。
なお、FirebaseからBigQueryへエクスポートする際のFirebase側の料金は無料です。
Firebaseプロジェクトからエクスポートを設定
GA4FデータのBigQueryエクスポート設定はFirebaseプロジェクトの管理画面から行えます。
FirebaseプロジェクトからBigQueryエクスポートを設定する場合は、Firebaseプロジェクトと同名のGCPプロジェクトのBigQueryへエクスポートされます。
FirebaseプロジェクトからBigQueryへエクスポートできるデータは、GA4Fのデータ以外にも「Crashlytics」、「Predictions」、「Performance Monitoring」、「Cloud Messaging」があります。
設定方法
- Firebase コンソールへログイン後に「プロジェクトの概要>プロジェクトを設定」を選択します。
- 上部にあるタブから「統合」を選択し、BigQuery カードの「リンク」を選択します。
- 「① Firebase と BigQuery のリンクについて」の内容を確認して「次へ」を選択します。
- 「② 統合を構成する」からGoogle AnalyticsをONにし、BigQueryデータセットのリージョンを選択、「エクスポート設定」で毎日にチェックを入れます。「エクスポートに広告IDを含める」は任意でチェックを入れます。
- ページ下部の「BigQuery にリンク」をクリックします。
- リンクが完了すると、「統合」ページのBigQuery カードにチェックマークが入ります。これでFirebaseプロジェクトからエクスポートができました。
なお、BigQueryのエクスポート先データセット名は、「統合」のBigQuery カードの設定で確認できます。
- Firebase ヘルプ:Firebase を BigQuery にリンクするhttps://support.google.com/firebase/answer/6318765
GA4からエクスポートを設定
GA4FデータのBigQueryへのエクスポート設定はGF4の管理画面から行えます。
GA4からBigQueryエクスポートを設定する場合は、エクスポートされる先のBigQueryのGCPプロジェクトをFirebaseプロジェクトと同名のGCPプロジェクトか、任意のGCPプロジェクトのどちらかから選択ができます。ご自身の運用に合わせてどちらのGCPプロジェクトを利用するのがよいか選択してください。
なお、この設定方法を行うにはFirebaseプロジェクトのアプリをGA4のアプリストリームへ登録しておく必要があります。GA4FをGA4に連携する方法は、以下の連載で紹介しているのでこちらをご参照ください。
- Google アナリティクス for Firebase を「Google アナリティクス4(GA4)」へアップグレードする方法
https://webtan.impress.co.jp/e/2021/01/07/38581
設定方法
以下の手順は、GA4のストリームへアプリストリームが登録されていることを前提としています。
- Googleアナリティクスへログイン後にGA4プロパティを選択し、左メニューから「管理」を選択します。
- プロパティの列から「サービス間のリンク設定>BigQuery のリンク設定」を選択します。
- BigQuery とのリンク設定画面で「リンク」を選択します。
- 「① BigQuery プロジェクトを選択する」で「BigQuery プロジェクトを選択」を選択します。
- ログインしているGoogle アカウントでアクセス権を持っているBigQuery プロジェクト(GCPプロジェクト)が一覧表示されます。
データをエクスポートするGCPプロジェクトを選択します。Firebaseプロジェクトと同名のGCPプロジェクトかそれ以外のGCPプロジェクトを1つ選択し、「確認」を選択してください。
どのGCPプロジェクトを選択しても以降の手順作業に変更はありません。
- エクスポート先データセットのロケーションを選択し、「次へ」を選択します。
- 構成の設定の「データ ストリーム」でエクスポートするデータストリームの選択と確認し、「モバイルアプリ ストリーム用の広告識別子の追加」は任意でチェックを入れます。「頻度」は毎日にチェックを入れ、ストリームは任意でチェックを入れたら「次へ」を選択します。
- 設定内容を確認し、問題なければ「送信」を選択します。
- リンク作成済みの確認画面が表示され、BigQueryとのリンク画面へリンクしたプロジェクトが表示されます。
BigQueryのエクスポート先データセット名に使われるプロパティIDは、「管理>プロパティ設定」画面の「プロパティID」で確認できます。
- アナリティクス ヘルプ:BigQuery Exportを設定するhttps://support.google.com/analytics/answer/9823238?hl=ja
BigQueryエクスポートの補足説明
GA4FのデータのBigQueryエクスポートは、設定した日以降のデータでエクスポートが開始します。GA360のように過去のデータをエクスポートしないので、GA4Fの計測を開始したらなるべく早めにBigQueryエクスポートの設定をすることをお勧めします。
エクスポート先のBigQueryは、リンクされた設定ごとにデータセットが作成され、作成されたデータセット内にエクスポートの日付ごとのテーブルが作成されます。
データセット名、テーブル名は次のようになります。
- データセット名:analytics_<GoogleアナリティクスのプロパティID>
- テーブル名:events_YYYYMMDD
データセット名の<Google_アナリティクスのプロパティID>は、Firebaseプロジェクト管理画面の「統合」のGoogle Analyticsのカードや、Google アナリティクスの管理画面のプロパティ設定で確認できます。
BigQueryへエクスポートされたGA4Fデータのテーブルの情報は次のヘルプを参考にしてください。
- Firebase ヘルプ:BigQuery Export のスキーマhttps://support.google.com/firebase/answer/7029846?hl=ja
このテーブルのデータを活用することで、アプリデータのカスタム分析などが可能になります。
データポータルのBigQuery接続方法・レポートの作成方法
上記手順でBigQueryへエクスポートしたGA4Fのデータを利用すると、データポータルやTableauなどのBIツールでカスタムレポートを作成できます。ここでは、データポータルでBigQueryに接続してレポートを作成する手順を紹介します。
データポータルのBigQuery接続方法
- データポータルで「データを追加」を選択します。
- データのレポートへの追加で「BigQuery」を選択します。
- BigQueryのプロジェクト一覧が表示されたら、GA4Fのデータがエクスポートされているプロジェクトとデータセットを選択し、「events_YYYYMMDD」を選択し、Firebase テンプレート レベルでイベントにチェックを入れたら「追加」を選択し、「レポートに追加」を選択します。
BigQueryのデータソースが追加されます。ディメンションとメトリクスを確認し、カスタムレポートを作成していきます。
- データポータルのヘルプ:Google BigQueryに接続するhttps://support.google.com/datastudio/answer/6370296?hl=ja
ここまでの手順では、BigQueryへエクスポートされたGA4Fデータのテーブルを指定しましたが、BigQueryで実行するSQLクエリを設定してデータ追加することも可能です。
SQLクエリを実行すると、BigQueryで事前集計やGA4Fデータとアプリ以外の外部データとの結合などが行えるので、カスタマイズ分析のレポートを作成することが可能になります。
- データポータルのヘルプ:Google BigQueryに接続する「カスタムクエリ」の章参照https://support.google.com/datastudio/answer/6370296?hl=ja#custom_query
データポータルのGA4接続方法
データポータルはデータソースにGA4プロパティを選択できるので、BigQueryを利用しなくてもGA4Fをデータソースとしたレポートを作成することも可能です。BigQueryへエクスポートされたGA4Fデータのテーブルと接続した場合に比べ項目名がわかりやすくなります。
SQLクエリを実行した事前集計ができない。アプリ以外の外部データとの結合が難しいなど、BigQueryを利用した場合に比べるとカスタマイズ性は低いですが、GA4Fデータで 簡易なレポートを作成する場合などはこの方法を選択するのもよいと思います。
- データのレポートへの追加で「Google アナリティクス」を選択します。
- Google アナリティクスのアカウント一覧が表示されたら、GA4プロパティを選択し「追加」を選択、続けて「レポートに追加」を選択します。
GA4のデータソースが追加されます。ディメンションとメトリクスを確認し、カスタムレポートを作成していきます。
レポートの作成方法
データポータルへ接続したGA4Fのデータを利用して、ユニークユーザー数の推移グラフ、ユーザーのプラットフォーム割合グラフ、地域ごとのユーザー数の表の作成方法を紹介します。
なお以下の手順は、BigQueryへエクスポートされたGA4Fデータのテーブルをデータソースとしています。
- ユニークユーザー数の推移を作成するため「グラフを追加>時系列グラフ」を選択して配置します。
- ディメンションを「Event Date」、指標を「Unique Users」に変更します。
- ユーザーのプラットフォーム割合の円グラフを作成するため「グラフを追加>円グラフ」を選択して配置し、ディメンションを「Platform」、指標を「Unique Users」に変更します。
- 地域ごとのユーザー数の表を作成するため「グラフを追加>表」を選択して配置し、ディメンションを「City」、指標を「Unique Users」に変更します。
FirebaseのヘルプにはBigQueryへエクスポートしたGA4Fデータのサンプルレポートが紹介されています。こちらもあわせてご覧ください。
- Firebase ヘルプ:データスタジオのレポート テンプレート(Firebase 向け Google アナリティクス)
https://support.google.com/firebase/answer/7200987?hl=ja
今回の紹介ではGA4Fデータをそのまま利用するグラフや表の設置を紹介しましたが、GA4FデータとBigQueryを活用することでビジネスに役立つカスタマイズ分析のレポート作成も可能になります。
モバイルアプリの計測に以前の「Google アナリティクス SDK」を利用しているユーザーもまだ多くいらっしゃると思いますが、「Google アナリティクス SDK」のサービスは2019年10月末でサービスは終了し、Googleはアプリトラッキングに特化した「Firebase SDK」の利用を推奨しています。本シリーズの連載を参考に「Firebase SDK」への切り替えと、「Google アナリティクス for Firebase」、「Google アナリティクス 4 プロパティ」での分析を始めていきましょう。
全8回にわたって、「はじめての「Google アナリティクス for Firebase」入門」として、今まで「Google アナリティクス for Firebase」を使ったことがない人を対象にアユダンテの大浦、高田、片岡の3人で連載をしてきました。「Firebase SDK」への切り替えや、アプリを使って実際にどのように計測してくのか、「Google アナリティクス 4 プロパティ」へのアップデート方法など解説してきました。この連載が皆さんの分析に少しでもお役に立てたら幸いです。長い間ご愛読いただき、ありがとうございました。
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