JADEのSEOプロフェッショナル相談室

Googleの検索ランキングに閲覧やクリックなどの行動データは影響する? SEOプロの結論はこれだ!

検索結果でのクリックなどの行動データについて、「グーグルの検索ランキング要因である」という人と「そうではない」という人の両方がいます。どちらが正しくて、SEO担当者はどう考えればいいのでしょうか。

検索結果でのクリックなどの行動データについて、「グーグルの検索ランキング要因である」という人と「そうではない」という人の両方がいます。

実際のところ、どちらが正しいのでしょうか。SEO担当者はどう考えればいいのでしょうか。

「検索結果のクリックやページ閲覧行動データが直接ランキングに影響する」という話題に関しては、国内外のSEOカンファレンスなどで専門家が発言してはグーグルが否定するということが、たびたび繰り返されています。

カンファレンスの登壇者やブログなどの執筆者も出鱈目で情報を発信しているわけではなく、何か確証があったうえで発信していると信じたいところですが、当のグーグルが真正面から否定しているのも無視するわけにはいきません。実際のところはどうなのでしょうか?

「JADEのSEOプロフェッショナル相談室」第2回は、ユーザー行動のSEOへの影響を、SEOプロ集団である株式会社JADEの辻氏と村山氏に聞きました。

結論:行動データは検索ランキングに影響する

村山: 結論から言うと、ユーザー行動は検索ランキング決定に使われているとJADEでは考えています

私たちは大規模サイトを中心に大小さまざまなお客さまWebサイトのデータを見ています。その中で「Webサイト内のユーザー行動を改善したら検索順位が大きく伸びた」というケースを多く確認しています。テキスト情報やリンクなど、通常検索順位に影響を与える変更が一切なく、行った施策は人間の動きだけに影響するような変更でも、その改善を行ったページの掲載順位だけが改善するのです。

このようなケースは1例だけでなく、複数のサイトでみられます。そうしたことから、ユーザー行動は検索アルゴリズムに影響すると考えています。

SEOプロの視点

グーグルを含めて検索エンジンでは、検索結果に表示する内容の処理にユーザー行動データが影響しているとしか考えられない。

辻: この件は、SEOの話題でも最も難しいことの一つかもしれません。

普通に考えると「クリックとかのデータを使うのは当然」と思うのが自然だと思いますし、そう考えている人も多いでしょう。

しかしグーグルは、このあたりの話をずっと否定し続けています。そのニュアンスは徐々に変わってきていますが、今でも「検索結果でのクリックといったユーザー行動データは、検索ランキングに『直接は』使っていない。パーソナライズなどでは使っている」というような説明になっていますね。

クリックデータをページの評価の主要な指標として使っていることを昔から公言している検索エンジンもあります。BingやYandexといった検索エンジンです。

ただ、グーグルだけはずっと否定し続けているのです。

編集部: グーグルが否定しているのに、なぜJADEでは「使っている」と判断しているのでしょうか。

辻: 私たちはグーグル検索の内部を知っているわけではありません。そのため、実際にどうなのかを判断する手段としてもっているのは次の2つしかありません:

  • 施策の結果から帰納的に判断する
  • グーグルの公式情報から推測する

SEOに関係するといわれる要因の多くは、この両方が(最終的には)だいたい一致することが多いのですが、ユーザー行動データに関しては違います。ずっと、両方が食い違っているのです。

JADEでは多くのサイトでこのあたりの影響を観察してきた結果から、ユーザー行動は検索ランキングに何らかの影響を与えるとしか考えられないと判断しているのです(なぜグーグルの公式情報と実際の状況が食い違うのかについては後述します)。

もちろん影響を与えると言っても、単純なものではありません。ユーザー行動の検索ランキングへの影響は、徐々に変わってきているように見えます。

  • 2010年頃は、一切使っていないか、ごくわずかな利用のみだったようです。
  • 2014年頃から、ユーザーの動きが影響しているのでなければ説明がつかないような検索結果の動きがちらほら見え始めました。
  • それが徐々に増えて、洗練されて、今では大きな影響を及ぼすようになっているように思われます。

昔は人為的にクリックを増やすだけで順位が良くなる動きも見られました。しかし今はそうした単純な人為的操作が検索順位に影響を与えることはありません。単にクリックだけではなくさまざまなデータを使って複雑に処理しているはずです。

ふつうの人の判断

クリックとかの行動データを利用してないはずがない……でもグーグルは否定してるし……。

SEOプロの判断

検索結果の動きをみていると、ユーザー行動が反映されているとしか思えないものがあり、その影響が大きくなってきている。

ランキングに影響する行動: SERP上でのクリックとページ閲覧のデータ

編集部: どんな行動データが検索順位に影響しているのでしょうか?

村山: グーグルが確実に使っているだろうデータとして、次のものがあります:

「ウェブとアプリのアクティビティ」は貴重なデータです。しかもGoogle Discoverでは使っていると公表していますので、プライバシー面での懸念も少ないでしょう。それを検索でも利用しないというのは考えにくいところです。

ほかにもさまざまな情報を使っていると私たちは考えています。とはいえ、その全容が明らかになることはないでしょう。

SEOプロの視点

グーグルの検索結果に影響を与えていると思われるデータは、

  • Google検索の検索結果ページ上でのクリックデータ
  • (同意済みの)ユーザーのページ閲覧履歴情報

などの、検索結果ページでの行動や、グーグルが把握できるWeb上での行動が中心。

ランキングに影響しない行動: Googleアナリティクスや広告のデータ

村山: いっぽう、一般には使っていると言われているが、グーグルは実際には使っていないと判断しているデータもあります。

たとえば、Googleアナリティクスのデータ。これを疑っている人がよくいて、グーグルがそれを否定する流れをよく見ます。

実際のところ、サイトで利用するアクセス解析ツールをGoogleアナリティクスから他の解析ツールに乗り換えたり、逆に他の解析ツールからGoogleアナリティクスに移行したり、ということは何十と経験してきましたが、それで順位に影響があったことはありません。

そもそもグーグルは、大半のサイトである程度安定して取得し続けられるデータでなければ、アルゴリズムに組み込まない傾向があります。Googleアナリティクスの利用サイトが非常に多いとはいえ、導入していないサイトも数多くある以上は、データとして信頼できるものにはならないと考えるのが自然でしょう。

次に、広告からの影響です。グーグルは広告と自然検索の分離には断固たる姿勢を貫いています。「広告を買ったら順位が上がる」という状態には絶対にしようとしないはずですし、そこは信頼していいと思います。

同様の理由で、Google広告をサイトに貼ることによる影響などもあり得ないはずです。

SEOプロの視点

グーグルの検索結果に影響を与えていないと思われるデータは、

  • Googleアナリティクスのデータ
  • Google広告の出稿や掲載

辻: 本当にそう思います。ただ、広告が検索順位に一切影響を与えないわけではありません。

たとえば、広告を見てサイトにやって来たユーザーが、その内容を気に入って自分のブログからリンクを張ったとします。そのリンクをグーグルが評価するような流れはあるでしょう。

この場合、広告が影響したと言えないことはありません。

裏の話をすると、それ以外にもインターネット広告が(他社も含めて)多様化している状況ですから、広告の影響を除外しきれていないケースはゼロではありません。

とはいえ、そうした例外的なものを狙うのは効率的ではありませんし、いずれ対処されるはずのものです。ですから、まっとうなSEOをしていくならば考えるべき手法ではありません。

ふつうの人の判断

SEOに影響しないなら、広告は考える必要がない

SEOプロの判断

広告で認知したユーザーがリンクを貼るなどの結果としてオーガニックな行動は、検索順位にも影響を与える。SEO以外のマーケティング施策とうまく連携できれば価値はある。

村山: 影響の排除という観点でいうと、人為的な操作については、しっかり排除されているように思いますね。さすがグーグルという感じです。

つまり、検索結果での行動がランキングに影響するからといって、必死に毎日検索してクリックしても、何の意味もないということです。

昔は明らかに操作が可能でした。クラウドソーシングなどでこの意図でのSEOスパムが流行っていたこともありました。

でも今は、本当にこのあたりはきれいに除外されているように思います。

もし自分で毎日クリックして順位に変化があったと感じるならば、パーソナライズの影響を受けているか、他の施策の効果か、競合がなにかの事情で落ちたかだと考えるべきでしょう。

ふつうの人の判断

検索結果ページでのクリック行動が順位に影響する!

だから社員は、毎日出社したらまず「○○」で検索してウチのページをクリックすること。

取引先の広告代理店のスタッフにもそう指示するように。

SEOプロの判断

ふつうの人が思いつく人為的な操作はしっかりと対策されているので、やるだけ時間の無駄。

クラウドソーシング程度の規模ではグーグルの裏をかくことはほぼ不可能。

ユーザー行動に向けた施策で検索順位をアップ……は実質的には意味がない

編集部: グーグルが「何を見ているか」「何を見ていないか」は、だいたいイメージできてきました。では、SEO担当者はどう行動すればいいのでしょうか。

辻: 「ユーザー行動データとグーグル検索順位の関係」について私たちの考えを具体的に話してきましたが、この領域に関してSEO担当者さんに言いたいことは、次の1点です。

基本は、細かく考えるべきことではない。

編集部: つまりどういうことでしょうか?

辻: ユーザー行動が結果として検索順位に影響しているのは、間違いないと思っています。しかし、だからと言って「検索順位のためにユーザー行動をなんとかする」と考えても、実際にはうまくいかないことが多いです。

グーグルが昔から繰り返しているように、検索順位の決定には非常に多くの要因が影響しています。ユーザー行動はそのなかの一部でしかありません。

さらにユーザー行動といっても、単に検索結果での行動だけでなく、Web上の多くの行動が参考にされていることは確かでしょう。その一部が少し変わったとしても、他の行動データとの整合性がとれなければほぼ意味がないと思われます。

他のSEO施策と同様に、「グーグル様が見てる」からと特別なことをして成果に結びつけるのは難しいものです。それよりも、「ユーザーの満足を追求すると、検索にも影響する」くらいの考えのほうが、多くのサイトでは成功するものです。

良いユーザー行動がグーグルに見えるようにするとSEO効果が出る場合はある

村山: それでも、ユーザー行動関連を改善することでSEOに大きな効果を生み出せるサイトも、一部にはあります。たとえば、現状ではユーザーの動きをグーグルに見せられていないような場合です。

アプリのユーザーが主になっている場合、アプリ内ブラウザではGoogleアカウントにログインしていない状態の人が多いでしょう。そのため、ユーザーがどれだけ熱心に行動していても、「ウェブとアプリのアクティビティ」のデータへの影響は小さく、グーグルに影響を与えづらいはずです。この件については前回詳しく話しましたので、ぜひそちらを参照していただければと。

アプリでなくても、たとえばFacebookからの動線が主な集客チャネルになっている場合も同様です。Facebookなどは、グーグルのクロールをブロックしています。そうしたサイトでの行動がグーグルに影響することは少ないでしょう。Facebookページだけで公開した情報がどれだけ多くのユーザーに評価されても、それは検索には影響しないでしょう。

同じことが自社サイトでも起こり得ます。グーグルが認識できていない、インデックスできていないページがサイト内にあった場合、そうしたページで良いユーザー行動がたくさん行われていたとしても、グーグルがその行動を認識できなければ検索には影響しないと思います。

「検索エンジンが認識できない場所でのユーザー活動」を「検索エンジンに認識できる場所での活動」に変えられれば、グーグルがユーザー行動を把握できるようになり、評価につながることになります。そういうときは、やはり大きな影響があります。

SEOプロの視点

グーグルが把握できるWeb上での行動は、結果として検索順位に影響を与える

↓ ↓ ↓

とはいえ、人為的な操作は対策されているので、意図的にその影響を生み出すことは、ほぼ不可能

↓ ↓ ↓

ただし、ユーザー行動がアプリ中心である場合、グーグルはその行動を把握できていない

↓ ↓ ↓

良いユーザー行動があるならば、それがWeb上でも生まれるようにすれば、グーグルが把握できるようになり、良い影響がある可能性は高い

サイトに来ても満足しない人は、そもそも来ないようにする

村山: 通常のサイト運営でも、「ユーザーの満足」という観点への意識が不足すると、非常に危険な状態になります。

もちろんSEOを進めるうえでビジネス成果は重要です。しかし、成果を伸ばしたくてサイト訪問者数を無理に増やそうとするときが危険なのです。そのなかで不満を抱くユーザーが増えれば、それがユーザー行動に表出して、サイトの評価にマイナスの影響を与えてしまう可能性があるからです。

いちばんわかりやすいのが、「検索結果で人を惹きつけようとした結果、サイトに来ても不満を抱く人まで呼び込んでしてしまった」状況です。

たとえば「釣りタイトル」です。タイトルを見ると非常に魅力的で興味をあおられるのに、ページに来てみると内容が全然たいしたことなかったり、タイトルと関係の薄い中身だったりする場合です。

昔はそうした釣りタイトルが検索結果でよく見られましたが、今はあまり見ませんよね。なぜでしょうか。

その理由は、釣りタイトルからページに訪問したユーザーの行動です。そういう場合のユーザー行動は、検索エンジンからみてもわかりやすく「よろしくない」ものになりがちです。そのために検索エンジンの評価が変わり、検索結果に現れなくなっているのだと考えられます。

辻: 「ウチは釣りタイトルなんて使わない」という方でも、実は同じようなことをしてしまっている場合があります。

たとえば、こんなことです:

うちのホテル、最寄り駅は渋谷だけど、隣駅の恵比寿に用事がある方が宿泊されることも、たまにあるな。

今のtitle要素は

  • ホテルJADE - 渋谷でのご利用に

だけど、

  • ホテルJADE - 渋谷・恵比寿でのご利用に

とすれば、恵比寿ニーズの人にも見つけてもらえて訪問が増えるハズだ!

こうしたことは一般的に行われてきましたが、今は良い方法とは言えません。

最初は「恵比寿 ホテル」の検索でも上位表示されて、一定数の人がその検索から訪問することでしょう。少数の人が魅力に感じてサイトをしっかり見てくれるかもしれません。ただ、恵比寿のホテルを探している人の大半はサイトに来ても「なんだ、恵比寿から遠いのか」と、すぐに離脱してしまうはずです。

そうした行動が積み重なったデータをグーグルが判断すると、どうなるでしょうか。「恵比寿 ホテル」の検索で順位が落ちるのは当然です。しかしそれだけでなく、「渋谷 ホテル」で上位表示されていたとしても落ちていくことになるのです。

「グーグルが検索結果での行動を見ている」といっても、単にクリック数やクリック率を上げればいいというものではありません(それはそれで重要ではありますが)。

検索結果でクリックしてもらうだけでなく、サイトにやって来たユーザーの多くを満足させ、全体としてのユーザー体験を良くするという考えが重要なのです。

言い換えると「サイトに来ても満足しないような人は、そもそも来ないようにする」配慮まで必要な時代だとも言えます。

ふつうの人の判断

メインのターゲットセグメント以外の人であっても、リーチできるのならば、とにかくサイトに来てもらうのが最優先。

SEOプロの判断

サイトに来てもすぐに離脱してしまうセグメントの人は、メインのターゲットと同じURLに積極的には集めない。

ユーザーが満足せずに検索結果ページに戻ってしまう状況は避けるべきだから。

検索ユーザーの満足度を測る指標はコレだ!?

編集部: ユーザーが満足しているかどうかは、どのように計測すればわかるのでしょうか?

辻: 一般的には、

  • 直帰率
  • 滞在時間
  • 訪問対閲覧ページ数

などが言われがちですが、それでは不十分ですね。

村山: そもそも、単純な指標だけで満足度を判断しようとしても、無理があります。ユーザーの検索意図はさまざまですからね。

検索意図は、検索語句によって異なります。直帰率が高くてもさほど問題ない検索意図もあれば、直帰率が高いとまずい検索意図もあります。

自身が納得するような情報が見つかるまで情報を探索するような検索語句では、グーグルで検索して検索結果に表示された多くのWebサイトを連続して閲覧していくはずです。間違いなく直帰するユーザーが大半です。

一方で、何らかの商品を購入したいと考えて検索したユーザーはどうでしょう。Google検索の検索結果に表示されたいくつかのWebサイトを閲覧するかもしれませんが、希望する商品を購入するWebサイトは1つですよね。

辻: 直帰率が9割を超えているのに上位表示され続けるページも多いですし、細かいテクニックで直帰率を改善しても順位に影響しないことが多いです。

グーグルは多くのデータを使っています。しかし現在のグーグルは、データの多くを

  • × 直接アルゴリズムで使う

のではなく、

  • ○ 機械学習のための学習データとして使っている

のだろう思います。多種多様な学習元データのなかで、1つの軸の数値だけを改善したとしても、異常値になるだけでしょう。

そしてこの評価基準もどんどん変わっています。

この状況で、「直帰率を改善すれば順位が」などと考えるのはあまりにリスキーです。やはり、「1つの指標を追ってその改善を頑張る」というやり方では難しく、「訪問ユーザーの満足」を考えて全体を改善していくしかないのです。

ちなみに、グーグルがユーザー行動を検索アルゴリズムに「直接は」使っていないと言っているのも、このあたりが関係すると思っています。

つまり、機械学習に学習させているさまざまなデータの一部にユーザー行動があるだけで、検索アルゴリズムが要因として扱っているのは総合的なページやサイトの評価だということですね。もちろん、これも推測に過ぎませんが。

編集部: とはいえ、測定できないものは改善できないという考え方もあります。何らかの指標がないと難しいですよね。

村山: 現実的には、「訪問ユーザーの満足を測るには、どのセグメントでどの指標を見るのがいいかをしっかりと考える」しかありません。なにか1つの一般的な指標をもってすべてのユーザーの満足度を測れるとは思わないでください。

具体的に、次のような手順がやりやすいでしょう:

  1. 検索語句から、「ユーザーがなぜ検索したのか?」を読み取り、何を求めて検索しているのかを考えます。Webサイトに到達するユーザーは何をやりたいのか、何を知りたいのか。そのニーズをしっかりと考えていきます。

  2. さらに、その検索に至ったコンテキストも探ります。背景にある状況から、「すぐに解決したいのか、じっくりと調べたいのか」「優先するのは、金額なのか質なのか」「そのジャンルに慣れているのか初心者なのか」といったことを考えるのです。

  3. これで「どんな状況にある人が、何を達成しようとしているのか」の仮説を描けるようになるはずです。

  4. では、そのユーザーにはどのような体験を提供すれば満足度を向上できるのでしょうか。その仮説をつくりましょう。

  5. 満足したユーザーは、サイト上でどういった行動をとるでしょうか。満足しなかったユーザーは、サイト上でどういった行動をとるでしょうか。その行動の違いや、その前段階にあるだろう行動の違いは、どんな指標に現れるでしょうか。それが見るべき指標の仮説です。

  6. その指標をGoogleアナリティクスなどのデータで確認しておいたうえで、満足したユーザーを増加させるための施策を進め、指標の変化を見ます。

仮説は外れることもあります。施策を実行し、その経過から結果を検証し、また次の施策に繋げるということが改善への道となります。

ふつうの人の判断

ユーザー行動が重要ならば、まずは、とにかく直帰率を下げる施策に集中しよう!

SEOプロの判断

グーグルは個々の指標を判断しているわけではないので、検索意図とその背景にあるニーズから「満足しているユーザーの体験はどんな行動になるか」を仮説検証しながら、訪問全体でのUX改善施策をまわす。

辻: ただし、そうした施策を実行してユーザーの満足度を上げたとしても、それがすぐにWebサイトのSEOにポジティブな影響をもたらすとも限りません。

特に、ユーザー行動を改善する際にSEOのことを何も考慮しなかった場合は、その傾向が強いでしょう。サイトのユーザー行動を改善しても、検索のランディングページになるようなページには行動が発生していなければ、検索順位に影響は出にくいでしょう。そもそも正常にインデックスされていなかったということも、よくあります。

本質的には、ここで行っているのは「検索順位を上げる」ことではなく「ユーザーのニーズに応え、訪問者の満足度を高める」施策です。SEOの効果がなくても、それはそれで良いことのはずです。

とはいえ、せっかくUXを改善するのですから、「検索で重要なページが、検索以外からでもしっかりと使われて満足されるようにする」といった状況を作り出せれば、さらに効果が上がります。

UX改善を行う際に、SEO観点での検討として、

  • グーグルが把握しているユーザー行動
  • グーグルが良いと判断するユーザー行動

の両方を加えることで、より効果的に「さらなるビジネス成果アップ」を得られるのだと考えています。

村山:

考え方としては、検索でも重要なページが検索以外からもしっかりと使われて満足されるようにするのが非常に重要です。

サイト設計において、以前は

  • 自然検索からコンバージョンまでの動線
  • 広告からコンバージョンまでの動線
  • その他トップページからの動線

それぞれを別々に設計することもありました。しかし、サイト評価に非常に多くのデータが使われている現在、そうした設計は理想的とは言えません。

SEOの施策を行うページはGoogle検索からのランディングページとして考えがちです。しかし、そのページはWebサイト内でページとページを繋ぐページでもあります。つまり、1つのページが

  • 検索流入のランディングページ
  • サイトのトップページへ流入したユーザーがサイト内を回遊して閲覧するページ

という複数の役割を担っている可能性があります。そうした観点で施策対象を検討することで、

  • SEOのための改善
  • ユーザーのための改善

を両立させられます。つまり、限られた工数でを効率良く使ってWebサイト全体を改善していけるのです。

村山: さらに言えば、改善施策を実行する際に重要な考え方の1つに「スケールメリット」があります。トラフィック量が小さい箇所を改善しても、そこから得られる成果は小さなものになりがちです。改善施策は、まず多くのユーザーに閲覧されているページから検討していくのが鉄則です。

グロースハックの文脈で「穴あきバケツ」の話を耳にすることはよくありますが、SEOでのユーザー行動の改善も同じことが言えます。

  • 検索から流入するユーザーを水
  • Webサイトをバケツ

とします。ユーザー体験を損なう部分があるWebサイト(穴があいているバケツ)に、検索ユーザー(水)を流し込んでも、多くの水がバケツから漏れてしまいます。グーグルは検索体験を重視しているので、検索結果から飛ぶ先がそのような穴あきバケツならば、ユーザーをそこに案内したくないはずです。

Google検索からの流入ユーザーを獲得したいのであれば、SEO観点での要件を考慮したうえで、ユーザーが満足するようなWebサイトを目指し続けるべきでしょう。

SEOにおけるユーザー行動と検索順位に関する意見書

1. グーグルの検索ランキングに、ユーザー行動は影響していると判断する。

  • 影響するのは次のデータ:
    • Google検索の検索結果ページ上でのクリックデータ
    • (同意済みの)ユーザーのページ閲覧履歴情報
  • 影響しないのは次のデータ:
    • Googleアナリティクスのデータ
    • 広告のデータ

2. ただし人為的な操作の影響は排除されているので、小手先の施策でその影響は生み出せない。

3. SEO担当者がユーザー行動に関連した施策として提案できるのは、次のとおり:。

  • アプリ中心ならば良いユーザー行動がグーグルに見えるようにする
  • すぐに離脱する人は、そもそも検索からサイトに来ないようにする
  • UXの改善が、トラフィックの多い検索からのランディングページで検討されるようにする

本記事を執筆した株式会社JADEでは、SEOコンサルタントの人材を募集しております。詳しくはJADEのSEOコンサルタント募集ページをご覧ください。

用語集
Discover / Facebook / Googleアナリティクス / Google広告 / SEO / SERP / アクセス解析 / インデックス / クラウド / クリック率 / クロール / コンバージョン / リンク / 広告代理店 / 検索エンジン / 直帰 / 直帰率 / 自然検索 / 訪問 / 訪問者
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

B2C
Business to Consumerの略。B to Cとも。 企業から ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]