根本的に間違っている5つのローカルSEO手法 ③キーワード詰め込み ④複数ドメイン【中編】
ローカルSEOでよくある根本的な5つのミスを解説するこの記事は、3回に分けてお届けしている。中編となる今回は、5つのうち、3つ目と4つ目の
- Googleマイビジネスのリスティングのビジネス名にキーワードを詰め込んでしまう
- 複数のサイトを作って管理に手が回らなくなってしまう
について見ていく。
ローカルSEOのよくある根本的な間違い その3
Googleマイビジネスのリスティングのビジネス名にキーワードを詰め込んでしまう
ミスをするSEO担当者の事情
ダラスには拠点が5つある。リスティング上のビジネス名に地域名を追加しなければ、顧客はどうやって正しい場所を見つけられるというのか?
「鍼(はり)治療」と「マッサージ」の両方をやっていることを顧客に知ってもらいたいので、リスティング名には両方を入れている
本当はビジネス名に都市名は含まれていないのだが、競合各社はGoogleマイビジネスのリスティングに都市名を入れていて、ウチより上位に表示されるのだ!
→だから、Googleマイビジネスのリスティングのビジネス名にキーワードを詰め込んでしまう
なぜ問題なのか
簡単に言えば、Googleマイビジネスのリスティングのビジネス名フィールドに無関係のキーワードを入れるのは、Googleマイビジネスのガイドラインにあからさまに違反している。グーグルは次のように定めている。
店舗、ウェブサイト、事務用品などで継続的に使用し、顧客に認知されている、実際のビジネスの名称を使用します。
ビジネス名に不要な情報を含めることはできません。含めると、リスティングが停止される可能性があります。
どう対応するべきか
私はこれを、ローカルSEOにおいて実に難しい問題だと考えている。
一方で、グーグルがこれらのガイドラインを徹底しておらず、全体として配慮が足りないように見えることから、リスティング停止のリスクについてビジネスオーナーに的確に注意を呼びかけることは難しい。
私は、キーワードスタッフィング(キーワード詰め込み)の違反をグーグルに報告し、24時間以内に対応してもらったことがある。しかし、数時間か数日後にはまたスパムのような名前がいくつも現れた。こういう場合に何らかの停止措置がとられているとしても、私にはわからない。
同時に、グーグルのローカルアルゴリズムは依然としてキーワードの正確な一致に影響されるようだ。ビジネスオーナーから見て競合各社がガイドラインに違反したやり方で自分より上位に表示されているのに、グーグルがそれを無視しているように見える場合、ローカルSEO担当者があいまいな根拠を挙げてガイドラインの厳守を強く求めるのは、多少ばかばかしく感じられるかもしれない。
しかし、それでもやってほしい。それには、次の2つの理由がある。
現時点でビジネスオーナーにブランド構築の重要性を教えていないのであれば、マーケティングを教えていないことになる。オーナーに、次のように訪ねてみよう。
永続するブランドを構築しようとしているのか、それとも小手先のトリックで何とかなればいいと思っているのか?
賢明なオーナー(およびマーケター)なら、次のどちらが合理的な戦略かは、明らかだろう。
- 「スプリングフィールドで起こる自動車事故でのスリップや転倒による人身傷害を専門とする弁護士」というキーワードを詰め込んだ名称で一時的に集客する
- 「リンカーン&ハーンドン」という恒久的なローカルブランドとして認知度を得ることによって未来を築く
興味深いことに、グーグルのガイドライン全体で「停止」という言葉はほんの数回しか使われておらず、これらのまれなケースの1つがビジネス名フィールドのスパムに関するものなのだ。言い換えれば、グーグルはできる限り強い言葉を使ってこの行為をやめるよう警告している。
それを考えると、グーグルがあらかじめ警告している手法に評判や検索順位を大きく委ねることについて、私はかなり不安に感じてしまう。
かつて、企業各社がパンダとペンギンのアップデートの前夜にあらゆるリスキーな試みをして、翌日目が覚めた時にはウェブの風景が一変しており、もはや勝者ではなくなっていたのを私は覚えている。その経験から、私は自らの暮らしを危険な近道に懸けているビジネスオーナーには注意を呼びかけるべきだと思う。
長い目で見れば、本物を築くほうがいい。
幸い、Googleマイビジネスのアカウントにサインインしてビジネス名から無関係のキーワードを削除するには数秒しかかからない。複数の拠点を持ち、いくつもの大手アグリゲータを利用している規模の大企業でこれをやる必要があるなら、Moz Localを使えば仕事を片付けてくれる。
ところで、Googleマイビジネスのリスティングのタイトルからスパムのようなキーワードを削除すると、グーグルのローカル検索でそのビジネスの順位は下がるだろうか? 確かに下がる可能性はある。しかし少なくとも、ルールに違反している競合各社について報告し、グーグルが対応するまで訴え続ける道義的権威を得て、オーセンティックなブランドの構築を進めることは可能となる。
グーグルでは消費者がアップタウンの拠点とダウンタウンの拠点を区別できないことを気にするオーナーもいるかもしれない。しかしそれについては心配しないよう伝えよう。
ユーザーがいる場所に近いローカルビジネスがどこかを解析するグーグルの能力は、日に日に改善している。モバイル検索でのローカルパックがこれを証明している。
ある拠点が誤って別の拠点より上位に表示される場合、ビジネスは監査をして弱点を見つけ、リスティングを最適化する必要があるだろう。それこそが本物の戦略だ。小手先のトリックなどではない!
ローカルSEOのよくある根本的な間違い その4
複数のサイトを作って管理に手が回らなくなってしまう
ミスをするSEO担当者の事情
3つある拠点のすべてをカバーするために、
- greengrocerysandiego.com
- greengrocerymonterey.com
- greengrocerymendocino.com
という3つのドメイン名を持っている。しかし問題は、3つのサイトのコンテンツがほとんど同じだということだ。サイトを違うものにするには、どうするべきだろうか?
すべてのサービスをカバーするために、
- jimsappliancerepair.com
- jimswashingmachinerepair.com
- jimsdryerrepair.com
- jimshotwaterheaterrepair.com
- jimsrefrigeratorrepair.com
といったドメイン名がある。さらに、
- jimsvacuumrepair.com
も購入しようとしている。しかし問題は、これらのどのサイトにもあまりコンテンツがないことだ。管理が手に負えなくなりつつあるように感じる
→だから、複数のサイトを作って管理に手が回らなくなってしまう
なぜ問題なのか
まさにSEOフォーラムではよく話題になるトピックだが、グーグルは以前から完全一致ドメイン名(Exact Match Domains、EMD)を有利に扱っているため、EMDを重視するやり方が広く行われている。
とはいうものの、EMDが検索順位に及ぼす影響はグーグルのアルゴリズムアップデートに影響を受け、時間が経つにつれて減少している。現在では、私なら、creditcards.comやinsurance.comといったドメイン名を使って競争の激しいキーワードで検索上位を目指そうとは思わない。
しかし、ローカルオーガニック検索では、少し話が違う。ローカルオーガニック検索の世界でEMDがもはや機能していないと思っている人は、姓やドメイン名が遠い都市の名前と混同されてしまい、そのためにローカルパックに表示されたというこの記事を読んでみてほしい! ローカル検索では決まって、低品質なEMDが表示されるのを目にする可能性が高い。残念なことだ。
そしてこのような表示順位の上昇こそが、自社の支店や提供するさまざまなサービスを表すキーワード指向のドメイン名をいくつも購入し続けるローカルビジネスモデルの原動力となっているのは、間違いない。
このアプローチは、主に次の3つの理由から問題がある。
実用的でない
私が目にしたフォーラムのスレッドの多くは、中小規模のローカルビジネスのドメイン名が2個、5個、または10個にもなってしまったというものだ。そして、そうした状況から決まってわかるのは、ウェブサイトが内容の薄いコンテンツまたは複製コンテンツで構成されているということだ。
大企業ほど、こうした愚を犯しやすい。それらのEMDをすべて買い占めるなど最初は素晴らしいアイデアのように思えても、だれも更新、執筆、宣伝する時間などない、管理不能なウェブ資産の泥沼に変わってしまう。
1か所にあるNAP(名称・住所・電話番号)を複数のウェブサイトに表示するのは、賢明ではない(複数のサービスを手がけているビジネスに限った話だが)
あなたの建設会社がファンキータウンの123メインストリートに立地しているのに、消費者やグーグルがそれと同じ住所を、
- fences.com
- bathroomremodeling.com
- decks.com
- kitchenremodeling.com
に関連付けられたものとして見つけた場合、あなたはエコシステムに混乱をまき散らしていることになる。その住所に関連付けられた、オーソリティのある企業は一体どれなのだろうか?
ビジネスオーナーには、これらの異なるサービス指向ドメイン名ごとにローカルビジネスリスティングの個別のセットを構築できると思い込んで、グーグルのガイドラインに違反し、問題をさらに大きくする人もいる。グーグルのガイドラインには、次のような記載がある。
お店やサービスの1つの場所に複数のページを作成することはできません。
1つのブランドが1つのNAPシグナルで1つのドメインめいに結び付けられた、クリーンで管理可能、かつシンプルなものを実現するつもりが、すべてが1つの巨大な寄せ集めという混乱が生じかねないのだ。
私はEMDを、ブランド構築の機会が失われたものと考えている(めったにない例外を除いて)
想像してみてほしい。自然食品大手のWhole FoodsがWholeFoods.comではなく、現在展開している最終的な拠点数に当たる400以上のドメインを購入することで、検索結果の上位に表示されるよう試みたとしたら?
- WholeFoodsDallas.com
- WholeFoodsMississauga.com
などが並ぶのだろうか? そのようなアプローチは、すぐに手に負えなくなってしまうだろう。
ごく小さなビジネスでも、大手の事業者を模範とするべきだ。
あなたのブランド名は魔法のパスワードだ。展開しているすべての拠点で、提供しているすべてのサービスと関連して、その名前をすべての人に口にしてほしいはずだ。
だから、花屋なら、
- FloralDelivery24hoursSanFrancisco.com
にして検索順位が上昇することを期待するのではなく、誇りを持って次のようなドメイン名にしてほしい。
- rossirovetti.com
そのほうが本物で、覚えやすく、SERPに表示された時に信頼できるように見えるし、記憶に残るブランド構築がうまくいく。
どう対応するべきか
各シナリオの細部まで取り上げることはできないが、私はこれからも、ローカルSEOのコミュニティにおけるマルチサイトに関する議論に関わっていく。
そして、ここまでに推奨していなかった手法のなかに、サイトの統合がある。基本的に、ビジネスは自慢できるドメイン名を1つだけ選択するべきだ。ほとんどのケースでは、古いサイトを301でメインサイトにリダイレクトする設定をしてから、マルチサイトにリンクされているできる限り多くの外部リンクを、選択したメインサイトにリンクさせよう。
Mozブログのこの記事は、古いものだが優れた内容だ。ドメイン名を統合してトラフィックが40%増加した企業が、もっと詳しい技術チェックリストを掲載している。
統合の技術面を社内で処理することに不安があれば、適任のSEO担当者を採用して処理を手伝ってもらうことを推奨する。
ローカルSEOでよくある根本的な5つのミスを3回に分けて解説しているこの記事、最終回となる次回は、5つ目の
- 専門職(個人開業者)をよく検討せずに登録してしまう
を解説するとともに、
- (SEOで)助言やコンサルティングを行うときの6つの心構え
もお届けする。
ソーシャルもやってます!