魅きつけるキャッチコピーは商品やサービス・作り手・利用者の3つの観点から(第4回)
「Web文章入門」では、ウェブサイトで求められる文章表現とコピーライティングのエッセンスを解説します。第4回は、利用者にうったえかける「キャッチコピー」です。
商品やサービスそのもの、作り手、利用者の3つの観点から、キャッチコピーに盛り込む言葉を考えましょう。
集客や販売のためのキャッチコピー
キャッチコピーというと、会社の取り組み姿勢やイメージを伝える「コーポレートメッセージ」が思い浮かぶでしょう。ファミリーマートの「あなたと、コンビに」、キユーピーの「愛は食卓にある。」、コスモ石油の「ココロも満タンに」など、時代の空気や消費者心理をとらえた有名なコピーがたくさんあります。
一方、ウェブサイトで主に必要なのは、商品の「ポップ」(販売促進のために商品の近くにおくメッセージ)で表現するような、集客や販売に直接結びつけるキャッチコピーです。
キャッチコピーは3ステップで考える
1. 商品やサービスの「よさ」や「機能」をアピール
集客や販売のキャッチコピーでは、商品やサービスの「よさ」や「機能」を端的に表現し、利用者に「どのようなメリットがあるか」を伝えることが不可欠です。食べたら「おいしい」、使ってみたら「便利」など、利用者が得られるメリットを表現することが、よいキャッチコピーの大原則です。
2. 作り手の「思い入れ」を表現
キャッチコピーで作り手の「思い入れ」を表現すると、利用者にさらに魅力的に感じてもらえるでしょう。
運営側の思い入れには、たとえば「こだわり」「おすすめ」「イチ押し」「自慢の」などがあり(第3回 お店の「こだわり」を伝えよう※「はじめてWEB」は
サービスを終了しましたを参照)、商品やサービスのコピーに含めると効果的です。
ただし、使いすぎると効果が薄くなるので、あくまで「適度に」を心がけましょう。
3. 利用者の「感情」や「表情」を表現
利用者の「感情」や「表情」に関する言葉、たとえば「笑顔」「元気」「団らん」「ホッとする」などを含めるのも効果的です。
人がモノを買う、サービスを利用するという行為は、単に「必要だから」「ほしいから」という理由だけでなく、「よろこび」や「おどろき」などポジティブな感情のゆさぶりを期待して、ということが多いものです。だれかに贈り物をするとき、単に「モノが到着する」という事実よりも、「よろこんでほしい」「おどろいてほしい」という気持ちのほうが勝っているはずです。
感情の押し売りはよくありませんので、自分や関係者が食べた(使った)ときの率直な感想を言葉として盛り込むのがベターですが、「利用者にもこう感じてもらいたい」という表現を含めると、さらによいコピーになるはずです。
量産するには「決まり文句リスト」を用意しておく
商品数が多いショップでは、1日にキャッチコピーや紹介文を10個も20個も考えなければならない、ひとつひとつに充分な時間が割けない、というケースが少なくないでしょう。
コピーを量産するには「決まり文句リスト」を用意しておくのが便利です。訴求ポイント(消費者に働きかけるポイント)別に使える言葉をまとめておくと、商品ごとに当てはめながらコピーの骨格を作れるので、作業がかなり効率的になります。
充実度 | すべて、何でも、詳しい、満載、網羅、総合、完全 |
---|---|
手軽さ | 簡単、お手軽に、わかりやすく、シンプルに、短時間で |
先進性 | 最新、最先端、一歩進んだ |
親近感 | あなたの、あなたに、提案 |
信頼感 | 安心、信頼、頼りになる、実績のある、評判の |
役立ち | 役立つ、便利、実用的 |
意欲的 | 本気で、応援、はじめよう、スタート |
雰囲気 | ムード、マッチ、イメージ、シーン、風味 |
内緒話風 | 実は、本当は、なんと |
買い得感 | お値打ち、特価、割引、○%オフ |
限定感 | ○日限り、○日まで、限定○個、厳選 |
決まり文句リストは、同じ商品の他媒体掲載時にまったく同じコピーを使うのがはばかられるときや、リスティング広告で広告文のバリエーションが必要なときに、言い換え語を探すのにも使えて便利です。
まとめ
よいキャッチコピーには、
- 商品やサービスの「よさ」や「機能」のアピール
- 作り手の「思い入れ」を表現する言葉
- 利用者の「表情」や「感情」を表現する言葉
の3つが必要です。
おおむねこの順序がそのまま優先順位となるので、「字数制限が厳しい場合は1番目だけを盛り込む」といった、柔軟な判断にも利用できます。
コピーを量産するための「決まり文句リスト」は、日々の経験のなかでどんどん充実させ、自分にとって使いやすいリストに育てていくことをおすすめします。
第5回では、利用者の利便性、検索エンジン最適化(SEO)の両面でとても大切な「ページタイトル」のつけ方を解説します。
(第5回につづく)
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このコーナーのコンテンツは、KDDI提供の情報サイト「はじめてWEB」掲載の「エキスパート(専門家)コラム」の情報を、許諾を得てWeb担の読者向けにお届けしているものです。
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