Webプッシュ通知の活用法&ベストプラクティス――後編:ベストプラクティスとチェックリスト
Webプッシュの使い方を解説するこの記事は、3回連載でお届けしています。→まず前編「Webプッシュ活用の基本」を読み、さらに中編「プロモーションやエンゲージメントの利用例」も読んでおく
プロモーション通知と非プロモーション通知は、それぞれ異なる目的を持っています。目的に違いがあっても、以下のチェックリストの要素はどちらも満たしているべきです。
プッシュ通知は、ダイレクトでパーソナルなコミュニケーションを可能にする強力なツールです。同じ理由から、誤った使い方をするとブランドに傷をつけてしまいます。
プッシュ通知のチェックリスト
- 興味を引く
- 明確でわかりやすい
- CTAを含んでいる
- 次のコンテンツへのリンクを含む
- 鬱陶しくない (活動時間中に送る)
- エンゲージメントを伸ばす、または売上を伸ばす
では、何をすればお客さまがオプトインし、メッセージを読み、結果的に購入に向かってくれるのでしょうか?
ベストプラクティス オプトイン
ユーザーのオプトイン率を高めるのには複雑な戦略は必要ありません。しかし、少しのテクニックで、劇的にユーザーエクスペリエンスとオプトイン率を高めることができます。
登録をすぐに迫らない
即座にプッシュ通知への登録を要求してはいけません。彼らがブランドとエンゲージするのを待つべきです。これは、直前の閲覧数などから判断することができます。お客さまが十分にショップを見て回り、ブランドに慣れ親しんだ後にオプトインを促すべきです。
セカンドチャンスを与える
アプリの場合、最初の登録のお願いで、お客さまがプッシュ通知を登録しなかったとしましょう。それは、そのお客さまを永遠に失ったというわけではありません。少し時間を置いてから、再度登録を要求しましょう。
Webプッシュの場合は少し異なります。お客さまが一度オプトアウトすると、もう一度登録のお願いをすることはできなくなります。そのため、確実にブランドと十分にエンゲージしたお客さまに登録を要求しましょう。
オプトインする価値を教える
お客さまにプッシュ通知を登録する価値を理解してもらいましょう。オプトインを求めるダイアログで、プッシュ通知のメリットを説明します。「さらに詳しく」説明するためのページヘのリンクも提供しましょう。
約束したことを守る
プッシュ通知に登録するメリットを教えたら、その約束は守らなくてはなりません。これを無視すると、ユーザーはその通知をブロックしてしまいます。そしてお客さまを再び獲得することは難しくなります。お客さまに向けてパーソナライズされた、タイムリーで意味のあるメッセージを送りましょう。
ベストプラクティス パーソナライゼーション
パーソナライゼーションは鍵です。ユニークでターゲットされたメッセージは、オプトインの際に貴社が約束した価値を届け、お客さまをさらに深いエンゲージメントへと導きます。
お客さまをグループ分けする方法
これはブランドや組織ごとに異なります。もしも適切な分け方が不明な場合は次のことを指針にしてみます。
統計: 住所、性別、その他さまざまな個人情報を用いることができます。これを用いて、例えば、大阪に住んでいるお客さまにのみに、大阪店舗に関するインストア情報を送ることなどができます。
行動: お客さまのアクセスしたサイトや取った行動、購入した商品などといった情報。例えば、14日後に使用期限の切れる商品を再購入する必要があるユーザーにのみメッセージを送るなど。
ブランドへの関心: どの程度ブランドに興味を持っているか。例えば、ロイヤルカスタマーにのみに、インストアでの無料コスメティクス情報を送るなど。
お客さまをグループに分けて、適切なコンテンツを届ける
お客さまはそれぞれ異なっており、個々にパーソナライズされたプッシュ通知を送るべきです。最適なメッセージを作成するためには、まずお客さまをグループ分けします。最近店舗を訪れた人、カートに商品をいれたまま放置している人、最近アプリを使用していない人などに分類することができます。
グループに向けて情報を最適化する
お客さまをグループ分けができたら、パーソナライズされたメッセージを送りましょう。お客さまのショッピングにおける行動、タイムゾーン、場所を考慮した通知を送りましょう。
ベストプラクティス メッセージのコンテンツ
正しくターゲットされたコンテンツを送り続ければ、時間とともに、お客さまの中で、ブランドに対するよいメッセージング・エクスペリエンスが生まれて好印象を持たれるようになります。
目的を明確にする
メッセージの目的は、エンゲージメントを高めることなのか、リピート率を高めることなのか、または購入を促すことかなど、お客さまの立場から通知内容を考えてみましょう。ぜひ自問してみてください……何が私のエンゲージメントを高めるか? 購入を決断させるか?
メッセージのトーンを受け手に合わせる
メッセージのトーンが受け手に合っているかどうかは、メッセージの成功に不可欠です。メッセージを送るグループを考えてください。
リサーチによると、しばしば無味乾燥となるモバイル通知において、絵文字は人間味を加える強力なツールとなります。Swift Mediaによると、世界中で毎日60億ものemoticonがモバイルメッセージングアプリを通じて送信されています。いくつかの絵文字を用いることで、お客さまの心情に訴えかけ、心をつかむことができます。
短く綺麗に
プッシュ通知はツイートのように扱うべきです。メッセージが伝わるデバイスのことを意識してください。我々は60~120文字の範囲に収めることを推奨しています。
緊急性を持たせる
このメッセージングツール自体が、緊急の情報を伝えることを得意としています。お客さまが、ほかのことをしていても画面上にポップアップで表示されます。このようにプッシュ通知は、時間や位置と関係の深い情報ににおいて特に優れています。送りたい提案が時間限定なら、プッシュ通知を通じて効果的に促すことができるでしょう。
メッセージを明確にする
CTA(Call to Action)はとても重要です。これを含めるか否かであなたの通知の成否が決まります。通知を受け取った後、お客さまが次にするべきことは何か?ショップに行くべきか、クーポンをダウンロードするべきか、それともアプリで購入を済ませるべきか? プッシュ通知に含まれるURLが次のステップに正しく導けるようにしましょう。
ベストプラクティス 頻度とリズム
プッシュ通知の登録者が継続するには、正しい通知頻度とリズムが重要です。
量より質
プッシュ通知の最初の3ヶ月間において、我々の推奨は量よりも質を大事にすることです。高い頻度で送られてくるメッセージはお客さまを遠ざけ、オプトアウトさせてしまいます。はじめは慎重になる必要があります。
適切なタイミングで
プッシュ通知を送ると、お客さまのモバイル端末のスクリーンが光り、端末が振動し、お客さまの注意を引き付けます。適切なタイミングであれば効果的ですが、夜中に届くのは不快です。プッシュ通知はお客さまが活動している時間帯にのみ送るようにしなくてはなりません。FlurryAnalyticsによるとアメリカ人は18時から22時の間にもっともアクティブに活動しています。ユーザーベースが複数のタイムゾーンにまたがっていれば、タイムゾーンの情報も活用すべきです。
いますぐはじめよう
Webプッシュ導入のポイント
お客さまがWeb中心の利用者なら、Webプッシュ通知を通じて、彼らとつながる必要があります。メルマガがブランドにとって必要不可欠なものであるように、Webプッシュ通知も必要不可欠になります。お客さまはどんな場所でも、よい情報なら送ってくることを求めています。
Mobifyは、Webプッシュ通知がEメール、ソーシャルネットワーク、オンライン広告、SEOと並ぶ重要なマーケティングツールになると考えています。
大切なのは、Webプッシュ通知を「やるべきか否か」ではなく「いつやるか」です。
すべてのコミュニケーションツールに共通しますが、キャンペーンに対する収益の見返りを見込む必要があります。このROIについて考える前に、施策としてのメッセージの目的を決定する必要があります。
売上
Webプッシュ通知のURLにキャンペーンをトラックするパラメータを含める
MobifyコンソールのすべてのWebプッシュ通知は、Google Analyticsで利用できるEコマースデータを含めることができます。
エンゲージメント
Webプッシュ通知のURLにキャンペーンをトラックするパラメータを含める
クリック率を確認し、Eメールやネイティブプッシュなど、ほかの媒体と比較する
Webプッシュ・キャンペーン中、および前後のWebサイトのトラフィックを監視する。
同じコンテンツをEメールとWebプッシュ通知で送る場合、オプトアウト(登録解除)するユーザーに注意します。オプトアウトするユーザーが多い場合は、お客さまにメッセージを送りすぎているサインです。
アプリプッシュをどう使い分けるか?
アプリプッシュ通知は、アプリユーザーを引き付ける簡単な方法です。通知を受け取るユーザーは受け取らないユーザーに比べて4倍エンゲージメントが高く、維持率も2倍高いことが分かっています。つまり、問題はアプリに投資するべきか否かという点です。そのため、以下がビジネスケースの組み立て方です。
デスクトップに対するモバイルトラフィックの割合
もし、貴社のWebサイトにおけるモバイルアクセスが30-50%ほどあり、急速に成長しているのであれば、お客さまがモバイル体験を使いやすいと考えていて、今後もエンゲージしていこうと考えている健全なサインです。
コンバージョン率と平均注文額
アプリにおける最大の利点のひとつがユーザーエクスペリエンスです。そのため、アプリの方がWebサイトの利用者よりも高いコンバージョン率を保っていても驚くことではありません。ただし、平均注文額においてトレードオフとなる場合があります。Mobifyでは、経験則としてWebに比べて2倍のコンバージョン率が見込めるとしています。その一方で、平均注文額は5%下がります。
モバイルトラフィックからの流出割合
Mobifyでは、約10%の貴重なモバイルトラフィックがアプリに向かうと判断しています。アプリがiOSとAndroidの両方で提供されるケースでは、この数字は20%に近づきます。この数字から、Webからアプリに移行する際にどの程度の収益が見込めるかを計算してみましょう。
あとがき:モバイルファースト時代のエンゲージメント
インターネットの登場で私たちは世界中の情報につながることができました。いまのデジタルマーケティングにおいて、Webを無視しておこなうというのは考えにくいほど人口に膾炙(かいしゃ)しています。
それから20年が経過し、スマートフォンが普及している現在では、新たな意識の変化が訪れています。冒頭で述べられているコネクテッドという概念は、単に常時インターネットに接続可能なデバイスの特性を表すだけでなく、それをつねに携えている人々自体がコネクテッドな状態にあるということでもあるのです。
人々は絶えず世界に対して開かれていて、私たちはそこに直接アプローチする機会を得ることができたのです。もちろん私的なデバイスに無遠慮に闖入することは許されることではありません。私たちは人々とのつながりを強めるために、思慮深く適切であることが求められるでしょう。
このガイドは、プッシュ通知のベストプラクティスですが、モバイル時代のエンゲージメントを考えていくうえでのスタート地点を示してもいます。ユーザー中心主義で設計された真のモバイルファーストが広まるきっかけとなれば幸いです。
株式会社ドーモ 技術責任者 大賀 匠竜
取材・構成/Mobify&株式会社ドーモ
Webプッシュの使い方を解説するこの記事は、3回連載でお届けします。
- 前編:Webプッシュ活用の基本
- 中編:プロモーションやエンゲージメントの利用例
- 後編:ベストプラクティスとチェックリスト(この記事)
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