「良い」と「すばらしい」の違いがわかった。これがエクスペリエンスの正体か
今日は「エクスペリエンス」(CXやUX)に関して。「良い」という評価と「すばらしい」という評価を分けるものは何でしょうか。顧客に対してどのような体験を提供すれば、それが「すばらしい」ものになるのでしょうか。
先日、インプレスの社内デジタルマーケ勉強会で、外部の方に講演していただきました。非常に良い内容だったので「すばらしかった!」と講師さんに伝えたのですが、勉強会が終わってから講師さんに言われたことがありました。
私のセミナー、安田さんには今まで「良かった」と言われたことがあったけれども、「すばらしかった」と言われたのは今回が初めてだった。
その方とは何度かセミナーで一緒になったり、講演を聞いたりしていたのですが、これまで私の評価は「良い」だったのです。
しかし、今回やってもらったセミナーは「すばらしい!」ものでした。
そう表現し分けていることに私も気づいていなかったのですが、その人に言われてハッとしました。
「良い」と「すばらしい」の違いは、事前期待を超えていたかどうかだ。
というのも、今回のセミナーはインプレスグループ社内というクローズドな場。そのため、オープンな場では出せない社内のデータや裏側のことなど、非常に多くの情報を提供してくれたのです。
これまでその人の講演を聞いたのは、オープンな場でのセミナーだけだったので、私の事前期待はその範囲だったんですね。
その事前期待を大きく超える内容のセミナーをやってもらった私の感想が「すばらしい」だったのです。
リッツ・カールトンでは「お客さんが驚くようなこと」をおもてなしとしている
ザ・リッツ・カールトンの方が、ホスピタリティ(おもてなし)をこんな風に表現しているのを聞いたことがあります。
お客さんが「驚き」「感動」「忘れられない」「わーすごい」「こんなのなかった」という言葉で表現してくれて初めて、お客さんが満足したととらえる。
「行ったけど不満はない」「期待どおり」は、「満足した」とはとらえない。
「え? なんで?」とお客さんが驚くようなことをやってみようよ、というゲーム感覚で楽しむようにしている。
感動するおもてなしとは、お客さんの事前期待を超えるサービスを提供したときに生まれるということですね。
「エクスペリエンス」は事前期待を満たすものと、事前期待を超えるものを
「カスタマーエクスペリエンス」「ユーザーエクスペリエンス」ということをマーケティング観点で意識することが多くなっています。
その際に、次の2点は分けて考えるほうがいいかもしれません。
- お客さんの事前期待を満たすエクスペリエンス(がっかりされないため)
- お客さんの事前期待を超えるエクスペリエンス(驚き、喜んでもらうため)
「これぐらいできるだろう」という事前期待を裏切る(使いづらい、データ連携していない、毎回同じことを入力しなければいけない……などなど)ことがないように、期待されるレベルのサービスを提供するのは、基本でしょう(Web担でも全然できてませんが)。
そのうえで、「うお、すごい」と驚いたり感動したりしてもらえるような、お客さんの事前期待を超えるサービスを提供できると、より良いですね。
ただし、その両方で難しいのが、「お客さんの事前期待」は時代の変化や他社の提供するサービスによって変わってくること。
たとえばフォームで郵便番号を入力すれば対応する住所が自動入力される仕組みは、昔ならば「すごい!」と思われていました。でも今では、その機能がなければ「うわ、いちいち入力するのか、面倒だな」と思われてしまうものになっています。
ユーザーを理解したうえで、その事前期待に応え、かつ事前期待を超える。“すばらしい”おもてなしを実現するための旅路は長そうですね……。
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