「行動デザイン」の教科書から学ぶ。~BtoBマーケティングで役立つ視点とは?~

博報堂行動デザイン研究所が「行動デザイン」の教科書を執筆した内容は、人間が消費を含めて行動しない理由、背景自体に対して言及しています。
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博報堂行動デザイン研究所が「行動デザイン」の教科書を執筆しています。この「行動デザイン」の教科書の内容で大変興味深いのは、人間が消費を含めて行動しない理由、背景自体に対して言及している点です。さらに、この消費含めて行動しないという事象/課題を放置しないで、「解決」するための「視点」を授けてくれていることは実務者にとって「有益」であるほかありません。ぜひ、本「行動デザイン」の教科書を手にとっていただき、御社のマーケティングプロセスの見直しに役立ててもらえたらと思います。

さて、今回は、この本「行動デザイン」の教科書を参考にしながら、BtoBマーケティング視点で考察してみます。

 

博報堂行動デザイン研究所 「行動デザイン」の教科書

1.本「行動デザインの教科書」とは?

1)想定されている読者層とは?

博報堂行動デザイン研究所が執筆した「行動デザイン」の教科書は、どのような読者を想定して執筆されているのでしょうか?それは、マーケティングを担当する人向けです。もっと具体的にいえば、製品/サービスすなわち「モノ」を販売促進するミッションをもった人向けの内容となっています。

2)設定されているテーマとは?

本「行動デザインの教科書」の6ページから7ページに記載されている内容を抜粋します。

・モノ側で考えるモノ発想と、人間側で考える人間思考がときどきコンフリクト(葛藤)を起こしてしまう。
・人(生活者)とモノという両極の中間を考えてみればいいのです。
・人とモノは、行動を介してつながっているのです。

本「行動デザインの教科書」が提唱しているテーマ、それは消費者/生活者に対するマーケケティングを「行動」起点にして見直しませんか?という内容です。

 

2.消費者/生活者。なぜ行動しないのか?

なぜ消費者/生活者は事業会社が展開する販売促進やキャンペーンに対して行動を起こしてくれないのでしょうか?この「原因」について「行動デザイン」の教科書はシンプルにかつ明確に説明してくれています。(94ページ)

■消費者/生活者が行動を起こさない原因は「エネルギーコスト」にあり。

読者の方に思い出していただきたいことがあります。買おうかな?どうしようかな?というその瞬間について思い出してもらえませんか?そのときに以下のような体験や気持になったことはありませんか?

1)自分とはあまり関係ない話題だから今回やめておこうかな・・・。
2)やらなきゃいけない内容なのだが、やりたくない内容だから今回はやめておこうかな・・・。
3)やってもいいのだが、手続きが面倒くさいかも・・・。だからやめておこうかな・・・。

消費者が行動しない原因。それは、価格が理由だけではありません。

1) 必要性があるか?ないか?
2) 自身の欲求に近いか?遠いか?
3) 時間を要する/複雑か?単純か?

行動を阻害するコストを総じて「エネルギーコスト」と呼んでいます。

 

3.消費者/生活者に行動してもらうには?

2.においては、消費者が行動しない理由が価格だけではないことを説明しました。また、消費者が行動するために必要なエネルギーに「コスト」(負担)を感じるような場面においては、行動が発生しない可能性が高いことも説明しています。この3.では、消費者に行動してもらうために、マーケティング活動はどのような「視点」に立つのがよいのか?について補足します。

本「行動デザインの教科書」の127ページに、一つのキーワードが乗っています。それは「レーンチェンジ」という言葉です。こんな形で紹介されています。

【レーンチェンジとは?】

人間は、1レーン目から5レーン目に移動しなさいといわれると躊躇する。しかし、1レーン目から隣の2レーン目に移動しなさいといわれると「やってみようかな?」と思われる。

レーンチェンジ=自分の馴染みあるものに対してはリスク感応度が低くなる。

そうなのです。御社の製品/サービスを消費者に選択してもらい、購買してもらうためには、消費者に「馴染みがある」製品/サービスと比較してもらい、さらに「似ている」と認知してもらう取り組みが必要なのです。

 

4.消費者/生活者に行動してもらう。「3」つのポイントとは?

【消費者に行動してもらう。レーンチェンジの「作り方」とは?】

ここまで消費者が行動しない理由の背景には、エネルギーコスト(負担)が発生していることを説明しました。また、そのエネルギーコストには、価格/経済的制約だけでなくて、時間的制約なども含まれていることも説明しました。さらに、消費者に行動してもらうには、御社の製品に対して「レーンチェンジ」の認識(馴染みがある製品に似ているという感覚)をもってもらう必要性について言及しました。ここで、次に疑問に思うのは「では、どのようにレーンチェンジは作り出せばいいのでしょうか?」という内容ではないでしょうか?

本「行動デザインの教科書」の253ページには、「3」つのポイントが記述されています。

① 御社の製品/サービスが消費者の「快感」につながること。
② 御社の製品/サービスが消費者にとって「身近」であること。
③ 御社の製品/サービスが消費者にとって「効果」があること。

これら①②③を称して「快」「近」「効」とまとめています。

 

5.行動デザインの教科書からの学び。BtoBマーケティングでやってみた。

当社では随時マーケティングセミナーを開催しています。自社開催のセミナー集客は主にメールマーケティングで行っています。「行動デザインの教科書」からの学びを元に、セミナー集客のやり方を変更しました。

■当時のメールマーケティング

保有の顧客リストに対して、今後のセミナーを一括で案内。

■セミナー案内をしたが、参加しない。原因は?

【仮説】保有リストに対し、一斉に配信を行っていた為、以下のような「エネルギーコスト」が発生している。

1)自分に関係ないセミナー内容。自身の欲求に遠い。
2)内容に興味はある。但し、セミナーにわざわざ行くのは面倒。

■メールマーケティング。やり方を変えてみる。

1)興味、関心がありそうな見込み客のみに案内を変更
業種、売上規模、ヒアリングして判明した情報を元に、配信リストを作成。例えば、製造業の方であれば「製造業の●●様に、オススメの内容です。見所は~」と、相手の立場に寄り添った案内内容に変更。

2)会場に来なくても良いオファーを提案
一度案内を送り、申込が無かった方に対して、「オンラインでもセミナーを視聴出来ます」と再度案内を送付。

■効果:メール開封率

一斉配信メール:10%前後
業種別案内メール:26.98%

1)に変更後、2倍以上の開封率となり、それに伴い、セミナー申込率も向上しました。また、2)を実行する事でこれまで逃してしまっていた見込み客を1セミナー毎に15~20名オンライン視聴に呼び込むことに成功しました。

「行動デザインの教科書」はBtoC向けの内容ですが、BtoB企業のマーケティング担当者にとっても、参考になる書籍です。ご興味があれば、ぜひ手にとってみてください。

 

 

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