データ活用経営を実現し、労働生産性を向上するポイント①”いつでも”

 前回より『データ活用経営を実現し、労働生産性を向上する3つのポイント』として、データ活用経営におけるポイントについてお話しています。
※この記事は読者によって投稿されたユーザー投稿のため、編集部の見解や意向と異なる場合があります。また、編集部はこの内容について正確性を保証できません。

 第1回は消費者と企業をとりまく環境の変化により、データを活用して労働生産性を向上することが国家レベルの課題となっている現状についてお話しいたしました。まだご覧いただいていない方は下記よりご覧ください。

ビッグデータを活用し、労働生産性を向上する3つのポイント

 第2回はデータを活用した労働生産性向上3つのポイント、”いつでも“、”ひとつで“、”だれでも”のうちの、”いつでも”です。”いつでも”とは言い換えれば、「データが統合されていて、いつでもデータを使える状態をつくること」です。一体どのような状態を指すのか、詳しく説明していきます。

 

 

■変わり始めている市場の温度感

 これまである種のバズワードだった「マーケティングオートメーション(MA)」を筆頭に、流行っているマーケティングツールに市場の興味関心が向く状態が続いていました。我々の「b→dash」もその“マーケティングツール市場”のトレンドに乗って、導入社数が急増してきました。
 一方で、ここ1年程は市場の考え方が徐々にシフトしてきているように感じます。具体的に言うと、どの会社もこれまで持っていた「MA神話 ≒ ツールを入れればマーケティングが改善する、データマーケティングが実現できる」といった考え方が崩れてきており、ただマーケティングツールを導入しただけでは改善されないことを徐々に認識するようになってきました。市場として、成功・失敗含めてちょうど一巡目が終わってきている状況だと思います。

 

 

 

 

■データの活用にのみ意識が集中している市場

 第一回目の記事でも説明しましたが、消費者と企業をとりまく環境の変化により、データの利活用がトレンド化してきています。その結果、ほとんどの企業やマーケターが、「MAをやりたい」、「One to One マーケティングをやりたい」、「オムニチャネルをやりたい」など、マーケティングに関する要望や課題を多く抱えています。つまり、「企業が保有するビッグデータを最大限に活用できなければ、デジタル時代のマーケティングを最適化することはできない」、という事実が、だんだんと広く認識されるようになってきています。

 では、なぜ前述のようにツールを入れただけでは改善されないか。ここで重要になってくるのは、データを活用する前のプロセスへの意識です。一言で「データを活用したデジタルマーケティング」と言っても、活用の前には、①取得②取込③統合④変換という4つの過程が存在します。アメリカでは、データの取得、統合が重要であるという認識がまず広がり、その後で活用の必要性が宣伝されるようになりました。一方、日本ではデータの“活用”部分にだけに目が向けられている現状があります。これではデータの真の活用を実現することはできません。データ活用に至るプロセスを知らないことで、データが活かせない、つまり”いつでも”データが使えない状況になってしまいます。

 MAのようなマーケティングツールはデータの『活用』領域を担うものです。その他にも、レコメンドやメール配信、BI(分析)ツールもデータの『活用』工程のツールです。これらのツールが機能するには、データの『取得』・『統合』をしっかりと行わなければなりません。市場のトレンドに乗ってMAのようなデータの『活用』を担うツールのみを導入すれば、データの『取得』や『統合』もやってくれると勘違いしてしまっているケースを非常に多く耳にします。

 

 

 

 

 

 

 

■データの『統合』とは

 では、データの統合とは具体的にどのような作業なのでしょうか。少々込み入った話をしますが、多くの場合、企業が保有するアクセスログデータ、広告接触データ、ビジネスデータはバラバラに管理されてしまっています。例えばアクセスログデータではAさん、広告接触データではBさんと各々のデータベースで管理されていますが、実は同じ人だった、ということが往々にして起こっています。

 まずは企業内で1ユーザーに対して共通のIDを設けて、それぞれのデータ同士をつなぎ合わせる作業が、この「統合」の役割です。”どの広告からサイトに入ってきて、サイトではどのページを何秒くらい見ていて、どのメールを開いて、この店舗でこの商品を購入した35歳の男性はCさんという人間だ”というのを、IDを使うことでカスタマージャーニーがわかる状態を作り出すことが可能になります。このIDを活用することで、顧客ごとに最適な広告配信などの施策を実施できるようになります。

 考え方は、検索エンジンと似ています。例えば、インターネットで物件を探すときに、『西新宿 賃貸』よりも、『西新宿 賃貸 新築 オートロック お風呂トイレ別 駅近 スーパーあり』と検索した方が、より自分にあった物件と出会える可能性は高まります。これはマーケティングでも同様で、多くデータを掛け合わせるほど、より精度の高いマーケティング施策を実施することができます。

 

■データ統合がもたらすメリット

 データ統合を駆使できれば、サイトを一度訪問した履歴のあるユーザーに対して一律に広告を出す「リターゲティング広告」のような、ユーザー属性などを考慮しない“雑な”マーケティング施策からの脱却も可能です。例えば、「30代男性」、「3日以内にメールを開封したが、URLをクリックせず」「過去1年以内に10万円以上のサービスを購入した」という、異なる領域から取得したユーザーデータを掛け合わせます。そうして創出した統合データを元に、個別のユーザーに対して最適なコミュニケーションをとることが可能になります。

 前述した通りこれからの時代、データを最大限活用し、最適化されたマーケティングを実施するか否かは起業の存続に大きく関わります。各社、データが統合されていなければ、やむなく精度の低い雑なマーケティングを実施するか、莫大な工数を必要とする統合作業を実施しているうちに消費者環境が大きく変化してしまった、ということになりかねません。

 逆にデータが統合されている状態であれば、例えば分析のスピードをあげる事が可能です。これまでデータの取得や分析に数日間かかっていたのが、数分に短縮することが可能になり、生産性を向上させることができます。

 いつでもデータを使える状態にしておくことは労働生産性を高めるために必要不可欠なのです。

 

■データ統合を実現するには

 ではどうすればデータを統合し、”いつでも”活用できるようになるのでしょうか。大きく2つのアプローチが可能です。

 一つは、①取得②取込③統合④変換⑤活用それぞれの機能を持つツールを導入し、それぞれのツールを連携させる方法です。しかし、この方法では複数のツールを導入することによるコストや、ツール間を連携させるための人的コストがかかってしまいます。

 一方で、もう一つの方法は①から⑤までのプロセスを全て備えているツールを導入する方法です。このようなツールの数は決して多くありませんが、相対的に安価で導入ができるため、容易にデータの活用が可能になります。

 ツールの導入を検討する上でのより具体的なポイントについては、次回の2つ目のキーワード”ひとつで”の回で詳しくご説明します。

 

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