SEO漬けの熱い1日 CSS Nite LP, Disk 10 大盛況のうちに閉幕

会場となったベルサール飯田橋には、土曜日であるにもかかわらず350人以上の聴衆が詰めかけた

SEOをテーマにしたイベント「CSS Nite LP, Disk 10」が7月24日(土)に開催され、会場となったベルサール飯田橋には、土曜日であるにもかかわらず350人以上の聴衆が詰めかけ、会場は満員となった。

このイベントはCSS NiteとWeb担当者Forumによる共催であるため、Web担編集長の安田がコーディネータとして参加し、会場の進行をCSS Niteの鷹野氏とともに行った。

・CSS Nite LP, Disk 10「SEO棚卸し」(2010年7月24日開催)
http://seo.cssnite.jp/

ヤフーの西条 幸憲氏

12時から始まった基調講演は、ヤフーの西条 幸憲氏による「検索結果で“選んでもらう”ための方法」。ヤフーの中の人が検索マーケティングのイベントで公式に講演するのは数年ぶり。西条氏は、ヤフーの検索結果における表示をリッチにする仕組みである「Yahoo!検索プラグイン」について、そのメリットなどを解説した。データによると、検索プラグインでの表示に関してはCTRは多少下がるものの、クリック後の滞在時間は長くなる傾向があるとのこと。つまり、サイトに合った訪問者をうまく引き寄せられるという効果があるということだ。

ゴンウェブコンサルティングの権 成俊氏

第2セッションはゴンウェブコンサルティングの権 成俊氏による「Web制作者が知るべきSEO視点からのサイト設計とワークフロー」。権氏は、やわらかい語り口調で制作者向けのSEOの基本を解説。企画時点からのSEOを考慮してキーワードと競合を調査し、制作時にどういった形でSEOを実装し、その後チューニングして効果検証をするのかといった全体像をひととおり解説した。なかでも、権氏の「アクセス対策(集客手段)を考慮しないウェブサイトは半製品である」といった点に共感した参加者も多かったようだ。

アイオイクスの滝日 伴則氏

休憩をはさんで第3セッションは、アイオイクスの滝日 伴則氏による「2010年 外部リンク対策の現在と未来」。滝日氏は、SEO業界の老舗としてのこれまでの活動を踏まえ、外部リンクについて解説。いわゆる「スパムリンク」や「有料リンク」を含めた外部リンク獲得に関して概説し、具体的な例をインフォグラフィックやブログパーツで紹介したのち、話題はソーシャルメディアへ。検索エンジンのアルゴリズムを対象とした昔ながらの被リンク獲得から、コンテンツ主導のソーシャルグラフ(しかも人とモノの相関も含めたもの)を意識したリンクへと時流が変わっていくだろうという、将来に向けてのビジョンを提示した。滝日氏のセッションでは「有料リンクに費やすコストを流用して、インフォグラフィックなどのバイラルを生むコンテンツを自社で作ってみる」との考えが良い示唆となったようだ。

住 太陽氏

第4セッションは、住 太陽氏による「サイトオーナーが自分で行う被リンク構築」。「講演で聴いたことを帰ってから実践するのは4%程度だと言われます。今日は会場のみなさんが実践できることを解説します」と、制作会社や発注主のWeb担当者さんが自分で被リンク獲得をするための方法論をやわらかな口調で解説。コメントなどを通じたコミュニケーションによって、生きた被リンクを育てるやり方が解説された。SEOのイベントだが、住氏が解説した「被リンク」は、人間の訪問者がたどって来るリンクのこと。そうしたリンク元ページはコンバージョン率の高いランディングページにもなり得ると解説した。

アイレップの紺野 俊介氏

休憩を挟んで後半に突入。第5セッションはアイレップの紺野 俊介氏による「契約していたらこうなった ~SEO(?)業者編~」。ツイート禁止となっただけあって、「検索エンジンの規約に違反するもの」「発注側が想像もしない悪質なやり方をしているもの」「知らないうちに発注側も悪質な手法の片棒をかつがされるもの」「今ではほとんど効果がなくなっているもの」「発覚したら炎上しかねないもの」など、ブラックなSEO業者の商材や手法の例をこれでもかと示したうえで、「何に対してお金を払っているのか」「問題発生時の対応」などのSEO発注時に注意すべき点や、本質的な検索マーケティングとして考慮すべき要素などを解説した。あくまでも、ターゲットユーザーの検索行動を理解したうえで、業界によって異なる最適戦略をしっかりと選び、最適化のための社内リソースも用意するべきだというのが、紺野氏のSEO論。今後の事業戦略に関して聞かれた際の「SEOはあくまでも顧客の目的を達成するための現状での手法」だという言葉が印象的だった。

CAテクノロジーの小越 崇広氏

第6セッションはCAテクノロジーの小越 崇広氏による「SEO業者 事業仕分け論」、SEO事業者によるSEO事業者論が続いた。小越氏は「SEO 屋の半分はクズだ。問題は、どの半分がクズなのか分からないことだ」という明言を示したうえで、なぜSEO事業者と発注側にミスマッチが起きるのか、どうすればそのミスマッチがなくせるのかを解説。紺野氏と同様に、救いようのないブラックなSEO屋の話題を交えつつ、SEO事業者のタイプ分けや、どうすればブラックなSEO事業者を見分けられるか、どうやってSEO事業者とうまくやっていくかのノウハウを解説した。「直感的に怪しい思ったら、やっぱり怪しいことが多い」という締めに、会場も笑いながら納得していた。

サイバーエージェントの木村 賢氏

休憩を挟んで第7セッションはサイバーエージェントの木村 賢氏による「SEOによるWeb媒体収益化戦略」。木村氏は、ここ数年の間で、業界によっては集客手法がSEOからリスティング広告に移った業界もあり、いっぽうSEOによる集客が伸びてきた業界もあるといった変遷を示したうえで、SEOの手法ではなく、SEOによって集客を得られた場合に、どうやってそれをマネタイズ(収益化)するかの方法論を解説した。

最後となる第8セッションは、アユダンテの安川 洋氏と大内 範行氏による「SEO実践 あなたのサイトを診断・改善!」。事前に募集していた参加者サイトの公開クリニック形式。商材と顧客のニーズをベースとしたキーワード選定から、そのカテゴライズ、コンテンツ作成というフローを解説。運営者の意識ではふつうのキーワード遣いを、検索数ベースのキーワード調査で斬りながら、どういったニーズをどういったコンテンツで受けるのかが、わかりやすく解説された。「マイケル安川ジャクソン」という例を使ってキーワードの近接度の重要度を強調したり、meta descriptionのうまい本文への反映などを解説したり、URLの構造という意外と見落とされがちな点を指摘したりと、2人よる掛け合いセッションは、55分という時間を意識させない充実したものだった。

アユダンテの安川 洋氏
アユダンテの大内 範行氏

SEOのイベントであるにもかかわらず、SEOテクニックを解説する内容だけではなく、SEO事業者との付き合い方やマネタイズまで含んだ幅広いテーマが語られた。ノウハウやハウツーを期待して参加された方も、「SEOとは何か」「今後どういった姿勢でSEOに携わっていくべきか」の明確なヒントを得られた1日となったのではないだろうか。

当日はTwitterでもイベントに関するツイートが多数なされており、それらがTogetterにまとめられている。

→ Togetterまとめ:CSS Nite LP, Disk 10「SEOの棚卸し」

撮影:古屋敦士
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