衣袋宏美のデータハックス

なぜアクセス数が増えたのか? を新規/リピーターのセグメント化で把握する方法 [アクセス解析tips]

施策の効果を調べるには、ユーザーを「新規/リピーター」でセグメント化することが有効だ。
衣袋宏美のデータハックス

メルマガからの流入は参照元だけでは追いにくい

日別トレンドデータを使うのはどういう場合か?」の回で、集客施策の効果がデータに明確に表れた例として、図1のようなグラフをご紹介した。

図1:日別の利用者数の推移グラフ
図1:日別の利用者数の推移グラフ

このケースでは集客施策がメルマガだけだったので、メルマガを発行したときとしていないときの落差が日別トレンドデータでもわかりやすく見て取れたのだが、集客施策の効果がこのようにわかりやすくデータに表れることはめったにない。ほとんどのサイトは、図2のようなアクセスになるのが一般的だろう(このデータは「なぜアクセス数が増えたのか? を流入元から把握する方法」の中で紹介したものである)。

参照元の種類別にセグメント化したセッション数の推移
図2:参照元の種類別にセグメント化したセッション数の推移

図2では6月15日のピーク(中央少し右)の部分は、「参照トラフィック」(検索エンジン以外の参照元)と「ノーリファラー」(参照元なし)が共に上昇している。なぜこのようになるのだろうか?

参照トラフィック」の参照元を調べると、Yahoo!メールやGmailのドメイン名が増えていた。実際にこの日にメルマガを配信しており、Webメールサービスでメールを見たユーザーがメルマガに記述されているURLをクリックしてサイトに流入したことで、Yahoo!メールやGmailからの「参照トラフィック」としてセグメントされていたのだ。

一方、Outlookなどのメールソフトでメールを見ていてメルマガ内のリンクをクリックした場合は、「ノーリファラー」となるのが普通だ。「参照トラフィック」の上昇の原因がWebメールのドメイン名であることがわかっているので、「ノーリファラー」増加の原因もメルマガだろうと類推できる。とはいうものの、「ノーリファラー」のうちのどれだけがメルマガ効果によるものなのかは、正確には把捉できない。ということは、この類推が正しいとは限らず、ほかに存在する原因を見逃しているかもしれない。

そこで、もう少し踏み込んだ推測をする際に活用したいのが、「新規/リピーターのセグメントデータ」だ。

新規とリピーターでセグメントする

下図をご覧いただこう。これは図2と同じサイトの日別セッション数を、「新規ユーザー」と「リピーター」というセグメントで表示したものである。

新規とリピーターでセグメント化したセッション数の推移
図3:新規とリピーターでセグメント化したセッション数の推移(Google Analyticsでの操作方法は後述

6月15日と16日は、それ以前の新規/リピーター比率とは異なり、リピーターが新規を上回っていることが明確になっている。リピーターは以前に一度はサイトを訪れたことがあるユーザーを意味するが、メルマガの読者はメルマガ購読登録の際にサイトを訪れていることから、リピーターに含まれるのだ。

メルマガを発行した日にリピーターが急増したという事実から、この増加分はメルマガの効果であると類推でき、ここでの全セッション数の増加は、やはりメルマガからの流入が原因であることが、参照元とは別の視点からも裏付けられることとなった。この「新規/リピーター」にセグメント分けしたデータと参照元セグメントのデータを照合することで、より精度の高い推測が可能になるのである。

ついでに説明しておくと、グラフ左のほうにある6月8日のピークは「なぜアクセス数が増えたのか? を流入元から把握する方法」でも説明したように、商品の背景情報や蘊蓄などがまとめられている兄弟サイトからの流入。そこからなじみ客でない人たちが訪問してきたため新規ユーザーが多くなっている。

また6月18日以降の上昇は、リピーターではなく新規ユーザーの訪問の増加に比例して全体のアクセス数が増加している。原因として類推されるのは、新規顧客の獲得施策か、検索エンジンからの流入、ニュースサイトでの紹介などだが、ここで参照元のセグメントを調べてみると、新しいキーワードの検索から入ってきているということがわかった。1つのデータを見て類推し、他のセグメントデータで裏付けるというパターンがここでも活用できたというわけだ。

新規ユーザーとリピーターをアドバンスセグメントで分けて表示
図4:(参考)Google Analyticsで新規ユーザーとリピーターをセグメントするには、レポート右上の「アドバンスセグメント」の右にある[全セッション]をクリックして開き、「デフォルトのセグメント」で「新規ユーザー」と「リピーター」にチェックを入れて[適用]ボタンをクリックする。

人の軸でセグメント化する有効な例

このように新規/リピーターという軸は、人を2つのセグメントに分けて分析する手法の1つであるが、「人」ベースで分類する有効なセグメント化の例をいくつか紹介しておこう。

  • 購入経験者/それ以外
  • 会員登録者/それ以外
  • ログインユーザー/それ以外
  • 資料請求経験者/それ以外
  • 特定商品を閲覧したユーザー/それ以外
  • 特定コンテンツ(製品情報/会社情報/人材募集)を閲覧したユーザー/それ以外
  • 訪問頻度の高いユーザー/それ以外

重要顧客や特定の目的を持ったユーザーだけを抽出できるようなセグメント化や、ロイヤルユーザーを区別するようなセグメント分けは、サイトの改善をしていく上で非常に有効だろう。もちろんすべてのツールでこういった集計ができるわけではないので、もしご自身のサイトで必要なセグメントが現在お持ちのアクセス解析ツールでできない場合は、より目的に沿ったツールを導入することを検討してみてもよいかもしれない。

まとめ

  • メルマガからの流入は参照元だけでは追いにくい
  • 人の流入はまず、新規とリピーターでセグメントする
  • 人の軸でのセグメント化は「新規/リピーター」だけではない。サイトの目的に応じて適切なセグメント化を活用しよう
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