Webサイト制作の予算と成果に明確な相関、予算を抑えるほど“人気のない業者が短時間でやっつけるプロジェクト”化【WACUL調べ】

制作会社の選び方も要注意。新規開拓ほど成功しやすく、知り合いの紹介ほど失敗しやすい。

WACUL(ワカル)は、研究レポート「予算の少ないWebサイト制作は失敗する?Webサイト制作の実態調査」を発表した。Webサイトの新規立ち上げ・リニューアルについてアンケートを行い、“成果を出した発注者”と“成果を出せなかった発注者”の傾向などを探っている。

直近3年以内にWebサイト制作を発注したビジネスパーソン、または制作者として引き受けたビジネスパーソンが対象。期待していた効果、得られた効果の確認方法、実際の確認結果、コンバージョン率・検索流入を増やすためにもっとも注力するポイント、制作にかけられる予算、制作会社を探した方法、選定した決め手、コンペの有無、フィードバックへの対応などを聞き、数値を集計している。

身もふたもない結論だが「予算を抑えるほどサイト制作は失敗する」

Webサイト新規立ち上げ・リニューアルにおいて、まず発注側へ「期待していた効果」を聞くと、「コンバージョン数の向上」66%が最多で、以下「サイト訪問者(UU)の向上」「企業/サービスイメージの向上」が続く。効果の確認においては、「Googleアナリティクスなどの分析ツールによる効果検証」が主流だった。

「公開後、期待していた効果が得られたか」については、多くの項目で約7割が「得られた」と回答しているが、「検索順位の向上」「企業/サービスイメージの向上」は50%に留まっており、手応えがなかった傾向が感じられる。特に「企業/サービスイメージの向上」は「確認していない/わからない」が半数を超えている。効果検証がされておらず、この場合、無意味なサイト作成・リニューアルになっている可能性が高い。

次に制作側へ、「コンバージョン率を高めるためにもっとも注力するポイント」「検索流入を増やすためにもっとも注力するポイント」を聞くと、「CTAの最適化」「コンテンツの設計」がそれぞれ最多。CTAについては設置場所、回遊導線、フォーム設計など、コンテンツについては重要キーワードを含むコンテンツページの作成、キーワード洗い出しとメタタグ設定の徹底などに注目しているという意見もあがった。やはりユーザーファーストかつGoogleから評価されるポイントが重視されている。

新規開拓ほど成功しやすく、知り合いの紹介ほど失敗しやすい

ここからは「予算」の観点を加え、「コンバージョン数の向上を期待して実際に効果を得られた=成果を出した発注者」と「コンバージョン数の向上を期待したが逆効果だった/変わらなかった=成果を出せなかった発注者」をそれぞれ抽出し、両者を比較している。

発注側へ「コーポレートサイト(WordPressなどCMS導入した10~20ページのサイト)の制作にどこまで予算をかけられるか?」「ランディングページ(1ページ)の制作にどこまで予算をかけられるか?」、それぞれ上限を聞くと、“成果を出した発注者”と“成果を出せなかった発注者”で明確に違いが出た。

コーポレートサイトの場合、成果が出た割合を「成功する確率」として捉えると、予算が300万円以上の場合は69%の確率で成功していたが、100万円未満の場合は30%に留まり、「成果なし」の発注者が半数に迫る。

ランディングページも同様で、予算が50万円以上なら成功確率60%だが、25万円未満だと37%にまで下がる。「予算が少ないと、成功確率が20~40%下がる」ということで、予算と成果にはきれいな相関があり、「予算を抑えようとすればするほど、人気のない業者が短時間でやっつけるプロジェクトにしかならない」「コンサルティング・広告運用・コンテンツ作成といった労働集約ビジネスは値切った分だけ品質が落ちる」(WACUL取締役CIO・垣内勇威氏)とWACULでは考察している。

さらに、Web制作会社の選び方について、発注側へ質問すると、「既存の取り引き先へ声をかけた」が圧倒的に多いが、成功確率で見ると、「ネットでWeb制作会社を探して問い合わせた」54%が最多となる。「知り合いに紹介してもらった」場合は“成果なし”という発注者が特に多いのは要注意だろう。

なお「どのようなルートで案件の相談がくるか?(制作側)」では、「既存顧客経由」が圧倒的に多く、8割を超えている。「知人からの紹介」「代理店からの紹介」など紹介経由も多かった。

まとめ

新規立ち上げ・リニューアルにおいて「検索順位の向上」への期待は強いが、「期待したものの順位は変化しなかった」という回答が42%を占めており、表層的なリニューアルでの順位向上は難しいことがあらためてわかる。また「企業/サービスイメージの向上」を目的としても、そもそも検証されていないのが現状だ。正しい目的設定と検証が重要だと言えるだろう。

また「予算の少ないWebサイト制作は成功確率が下がる」という、しごく当たり前の話が、あらためてデータとして証明されている。湯水のように予算を使うことはできないが、「成功確率50%以上を目指すのであれば、コーポレートサイトは300万円以上、ランディングページは50万円以上の予算を確保」をWACULは提示している。

調査概要

  • 【回答対象者】直近3年以内にWebサイトの新規立ち上げ・リニューアルを発注したビジネスパーソン、または制作者として引き受けたビジネスパーソン
  • 【回答期間】2021年3月23日~4月9日
  • 【有効回答数】発注側47人(新規立ち上げ21.3%、リニューアル78.7%)、制作側36人。合計83人。
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