Web広告研究会セミナーレポート

デジタル広告の現在に持つ“危機感”。アドビ・パーソル・ソフトバンクがJAA『アドバタイザー宣言』をさらに掘り下げ【WAB月例セミナーレポート】

これからの広告主・メディア・広告会社に求められる意識とは? 消費者と広告のあるべき関係性とは? 次のアクションにつながるヒントを探った。
Web広告研究会セミナーレポート

この記事は、公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会が開催およびレポートしたセミナー記事を、クリエイティブ・コモンズライセンスのもと一部編集して転載したものです。オリジナルの記事はWeb広告研究会のサイトでご覧ください。

これからの広告主・メディア・広告会社に求められる意識とは? 消費者と広告のあるべき関係性とは? アドビシステムズ、パーソルホールディングス、ソフトバンクから業界を代表する3人の識者が登壇してディスカッションを行い、次のアクションにつながるヒントを探った。

公益社団法人日本アドバタイザーズ協会(JAA)は11月26日、「デジタル広告の課題に対するアドバタイザー宣言」を発表した。同日に開催されたWeb広告研究会の月例セミナー第2部では、アドビシステムズ、パーソルホールディングス、ソフトバンクから識者が登壇し、アドバタイザー宣言を巡ってディスカッションを行った。

●パネリスト
・日本アドバタイザーズ協会 デジタルメディア運営委員会 / アドビシステムズ株式会社 デジタルエクスペリエンス営業本部 エグゼクティブフェロー 石井 龍夫 氏

・日本アドバタイザーズ協会 デジタルメディア運営委員会 / ソフトバンク株式会社 法人プロダクト&事業戦略本部 デジタルマーケティング事業統括部 統括部長 藤平 大輔 氏

・日本アドバタイザーズ協会 デジタルメディア運営委員会 / パーソルホールディングス株式会社 Chief Digital Officer兼グループデジタル変革推進本部 本部長 友澤 大輔 氏

●モデレータ
・日本アドバタイザーズ協会 常務理事 小出 誠 氏

「アドバタイザー宣言」を、3人の識者がさらに深掘り

【小出】 まず、デジタル広告が抱える課題はいくつかありますが、“規模感”から言えば、
・アドフラウド
・ブランドセーフティ
・ビューアビリティ
という、アドベリフィケーションに関わる3点が、まず考えないといけない課題でしょう。業界の人には十分に認知されてきましたが、まだまだ一般では知らない人も多い印象です。

IASのデータによると、対策をしていてもアドフラウド(不正率)が2%前後(デスクトップ:2.6%、モバイルウェブ:1.9%)日本では発生しており、海外に比べて高い。年間200億~300億円ほどがアドフラウドにより窃取されているのではないかと思います。

一方、ブランドセーフティ(不正率)は、デスクトップ:2.9%、モバイルウェブ:6.5%と、こちらは海外に比べてやや低い。

そしてビューアビリティ(視認率)は、デスクトップ:42.3%、モバイルウェブ:34.2%で、海外に比べて低い。「高ければよい」「100%でなければならない」というわけではありません。とはいえ100%分の課金がされているわけですから、やはりこの数字は問題です。

参考:
・2019年上半期MQRに見る「アドベリ3指標にまんべんなく目配りが必要な理由」(Integral Ad Science)
https://insider.integralads.com/jp/1h2019mqr/

こうした課題が、アドバタイザー宣言の背景ですが、まずは率直な意見をお聞かせください。

日本アドバタイザーズ協会 常務理事 小出 誠氏

【石井】 花王で長らくマーケティングに関わっていましたので、マーケターという視点で話をします。

「マーケティングのゴール」というのは「市場を創造すること」だと思っています。平たく言えば「買いたい気持ちになってもらうこと」で、そのために広告はすごく大事な役割を果たします。「欲しいと思っているお客様に広告を届ける」というのは、マスの時代には無理だったが、デジタル広告の時代になって、初めて可能になった。“マーケターの理想を実現するツール”がデジタル広告だと考えています。

だからこそ、デジタルをダメにする不正広告は、非常に許せない。「テレビや新聞に比べて予算が少なく済むよね。単価が安くていいよね」という使い方でなく、顧客とちゃんと向き合って最適なメッセージを届けるツールとしてデジタル広告は重要だし、裏側の仕組みや環境が整備されてないといけないと考えます。

もう1つ、私は広告というのは、造園業における“借景” だと考えています(※借景:庭園外に見える自然のアイテムを、庭園の構成要素に取り込む手法)。どのサイトに広告を置くのか、どの雑誌に広告を出すのか、そういった文脈がブランドを作るうえでの大きな要素になる。だからこそ広告を配置する場所に対しアドバタイザーは感度を高く持たなければいけない。

そして、借景しているメディアに対して、きちんとお金が渡る仕組みを考えないといけない。広告主は、ものすごく大きな金額を広告に投資しているのだから、それが優良なメディアやパートナーに渡る環境を作っていくのは、広告主の責務でもあるでしょう。そのための「アドバタイザー宣言」でもあるのです。

日本アドバタイザーズ協会 デジタルメディア運営委員会
アドビシステムズ株式会社
デジタルエクスペリエンス営業本部 エグゼクティブフェロー
石井 龍夫 氏

【藤平】 私自身はソフトバンク系列の複数企業で取締役を務めておりますが、今日は主に広告主という立場で話したいと思います。

デジタル広告については、年間で100億円近くを回しているんですが、最近、「デジタル広告の価値が下がっているのではないか」と、CPA(顧客獲得単価)に危機感を持っています。これは、小出さんのおっしゃった3つの主要課題とも密接に関係している。

さらに、この危機感を経営層は持っていない。ワールドワイドに比べてレベルが低いし、取引の透明性など日本は後手後手に回っていると思います。

日本アドバタイザーズ協会 デジタルメディア運営委員会
ソフトバンク株式会社
法人プロダクト&事業戦略本部
デジタルマーケティング事業統括部 統括部長
藤平 大輔 氏

【友澤】 今日はアドテクオタクとして話をさせていただきます(笑)。

アドテクに関わって10数年ぐらいになるでしょうか? 私はずっと第三者配信に従事していたんですが、「アドバタイザー宣言」は、デジタル広告を新たなステージに上げようという話だと思います。

デジタル広告の技術は、初めの頃は非常にポジティブに働いてくれましたが、技術というのは善人にも悪人にも、等しく提供されてしまう。RTB、DSP、DMP、さらにCDPとか、いろんなテクノロジーが善意に働くと思っていたけど、現状はそうなっていない。

「だいたい200~300億円がアドフラウドにより窃取されている」という話がさきほどありましたが、これは振り込め詐欺にも匹敵するような額ではないでしょうか? だったら、「振り込め詐欺ではなく、不正広告に手を染めよう」と考える反社会勢力が出てきてもおかしくない。

広告主は、目の前の数字を気にしてしまって、悪意なく不正広告に荷担してしまう。悪貨が良貨を駆逐し始めている。しかしそういう不正な手法で世の中に出てしまうと、みんなが汗水たらして頑張ったことがすべてふっ飛んでしまいます。

広告主・代理店・媒体社は、そういうものだということをちゃんと理解していかないとダメ。業界全体の発展という意味でも、「アドバタイザー宣言」は、いままでの宣言と重みが違うものだと思います。

日本アドバタイザーズ協会 デジタルメディア運営委員会
パーソルホールディングス株式会社
Chief Digital Officer兼グループデジタル変革推進本部 本部長
友澤 大輔 氏

石井「“広告を本来入れるべき良い場所”を見極めるべき」

【石井】 冒頭で小出さんからビューアビリティの数値の話がありました。ビューアビリティが50%前後だとすると、広告費としては本来の倍の金額を払っていることになります。ならば、そのお金をもっと有効に使うにはどうすればいいかを、皆で考える必要がある。

こちらのアンケート結果を見てほしいのですが、デジタル広告に不快感を持つ人が75%も存在しています。これだと、 “デジタル広告にお金を出して、わざわざ不快な印象を与えている”ことになってしまう。「デジタル広告がどういう形でお客様の目に触れているか」をもっと真剣に考えないといけないでしょう。

ネット上の個人情報と広告についてのアンケート(出典:イーライフ) https://www.elife.co.jp/press/180523.html

【藤平】 先ほど述べた「CPAが悪化している」説に対する理由の1つでもありますね。

【石井】 「ビュー数とリーチを確保しよう、確保できていればそれでいい」というやり方だと、広告がどこに出るかわからない。結果的に、とんでもないところに出てしまって、ブランドが毀損されることもある。

例え話ですが、男性向け化粧品ブランドについて、代理店に「最大のリーチを上げてくれ!」というだけの依頼をしてしまうと、たぶんアダルトサイトに大量に広告が出てしまう(笑)。それは当然の帰結です。

しかし、そうしたサイトに広告が掲載されているのを見た人は、さらにはこの広告を見ている男性を女性がたまたま見てしまったら、どうでしょうか。「ああ、ここのブランドは買いたくない」と思ってしまうかもしれません。

広告主はデジタル広告の利用にあたって、
・ターゲットに対して適切なリーチがとれて適切なリアクションが引き出せるか
を考えるのは当然ですし大切ですが、それだけでなく、
・その行為がブランドに対して与える影響
という点も考えないといけない。借景であるのなら、アドベリツールなども駆使して、“広告を本来入れるべき良い場所”を見極めるべきです。

【石井】 それと、昨年注目を集めた「GDPR」ですが、その本質は、欧州に限った話ではありません。大切なのは、「お客様自身が、自分の情報を適切にコントロールできる/する時代になった」という点です。

なぜこの話題を出したかというと、「デジタル広告(のターゲティング)は、ストーカー的では?」という議論があるからです。あるサイトを見ると、その後のバナー広告に、ずっと関連の話題が表示されるようになる。仕組みを知らないと気持ち悪く感じるお客様がいる。

一方で、「欲しいと思っているお客様に広告を届けたい」というマーケターの想い、デジタル広告の利点がある。ちょうど裏表の関係にあるわけです。

データを使って効率的に情報を届けたいのに、お客様は不安・不信を感じている。データの使い方や接点の作り方が、一方的だったら嫌がられる。それは当たり前です。透明性を確保し、自身の情報がどのように使われているかを伝え、その制御を可能とする仕組みが重要でしょう。

そしてGAFAに代表される巨大プラットフォーマーによる囲い込み、いわゆる「ウォールドガーデン」が、広告主のおかげで取得できた個人データを、共有せずに自分たちだけ使っているという問題があります。先ほど言った仕組みを作るためには、こうした情報が、壁の向こうやブラックボックスの中にあってはいけない。一緒に議論できる環境が大事でしょう。

【友澤】 “ウォールドガーデン的なトピック”としては、就職活動サイトが利用者の「内定者辞退率予測データ」を販売していた事件が大きな問題になっています。これも広告ビジネスであり、大きくデータが集まったことで起きた問題です。

“意図しない個人データの使われ方”という現実が、すでに生まれている。これは広告主が強く考えるべき現状だと思います。

【藤平】 最近うちの社内で「インターネットにどういうサービスが必要か」という調査をやったんですが、「アドブロック」が上位になってしまったんですね。これをキャリアがやってはいけないな、という考えがもちろんあるが、一般が求める声として存在する。経営会議に上がる手前にまで来ているわけです。

しかし、アドブロックが大前提となると、それは「ユーザーとの接点・コミュニケーション手段としての広告が無くなる」ということを意味します。正常化していかないといけない状態だと思います。

【石井】 広告主は「広告がどういう形で出ているか」に意外と無頓着ですよね。数字だけでなく、“ウザい”広告の出し方は、ブランド毀損になるということを認識してほしい。

藤平「短期的なKPIでなく、自社のメジャメントをしっかり持つことが大切」

【藤平】 ソフトバンクでは、データを活用して広告配信し、
・TVCM投下量
・Web出稿量
・PV
・SNS
といった情報を、KPIである「来店&契約」とともに統合ダッシュボードで見ています。あと、我々は動画を多用するので、どこでどう使用されているかもしっかり見ています。

さらにソフトバンクは、かなり多くの外資に投資していますが、「どうして日本ではFacebookから直接、広告を買えないんだ? 海外では可能なのに」と、広告のサプライチェーンについてかなり聞かれます。
海外では「広告枠を直接買ってデータをきっちり見られるからデジタル広告が伸び、テレビが下がっている」という面がある。アドテクを入れて“テレビのビューアビリティ”を見ようとするなど、日本と異なる動きを見せています。

これに対し「商慣習が違うから、日本ではダメ」というのではなく、違うアプローチを提案したりしています。たとえば、
・クリックとかぜんぜん見ないで、来店を自社で計測する
といったアプローチです。オフラインは難しいですが、ソフトバンクは自社でインフラを持っているので、オウンドメディアを含めトラッキングをしている。ニールセンといっしょに、各メディアを横並びで計測するということもやっています。

短期的なKPIに目がいきがちですが、自社でメジャメントをしっかり持つということが重要ですね。短期的なKPIというのは上げやすいので、部署単位では「よかったね」ということになりますが、企業単位・ブランド単位だと、マイナスに働くというケースも往々にしてあり得ます。

友澤「テクノロジーを悪用され、悪貨が良貨を駆逐している」

【友澤】 昔のことを白状しますが、私は昔、目の前の成果にとらわれて本質ではマイナスをもたらすという失敗をしてしまっていました。

ここにIASの山口氏から提供いただいた「アドフラウド・ブランド毀損の問題が増加する仕組み」という図があるのですが、10年前の私がまさにこの状況でした。「来た人がそのままクリックするのがよい。DSP、アドネットワーク、リタゲ最強」と言っていましたが、これは間違いでした。いまからすると、恥ずかしくて仕方がない。

「アドフラウド・ブランド毀損の問題が増加する仕組み」(出典:IAS山口氏)

自戒も含めてこの構造を説明すると、こういうことです。

まず、CPM目標100円で出稿することを代理店さんに相談したとします。

媒体によって広告価格は違いますし、ブラックリストもありますので、まず条件に合わない媒体を除外していきます。するとCPMは上がってしまいます。

となると、CPMを下げるために、さらに枠の選別が進みます。具体的には、CPMが高い媒体が除外されていきます。DSPではこの処理は機械的に行われるので、人の目が届きづらい部分でもあります。

こうして最終的に160円の媒体が選択されたとします。しかしこの媒体をさらに細かく見れば、単価の高い枠と低い枠が混在している。ページトップの目立つ個所にあるビューアビリティの高い枠は、単価が当然高い。こうして最終的に、CPM 100円の目標達成のため、同じサイト内のビューアビリティの低い枠に配信が偏ることになります。

また、スマホのインフィード広告などはクリックするたび無限に広告が表示される。そうするとビューアビリティは下がる、単価が下がる、という繰り返しになっていきます。

このようにしていくと、「CPMを100円にする」という目標を達成するために、期せずして“ビューアビリティの低い枠を買ってしまう”ということが起きます。

となると結果的にどうなるかというと、そもそも見られにくいためにクリックされず、コンバージョンしない。つまりCPAが悪くなってしまう。

こういう配信データを見ると広告主は“媒体が悪いのかな”と思ってしまうでしょう。しかしこれは、良い媒体でも起きうる問題です。あるいは、テクノロジーを悪用され、内容を真似したサイトを作られるといったことも起きる。

問題はどこでも起こりうるので、媒体をしっかり精査しないといけない。ブラックリストも大事ですが、ホワイトリストを作っていくことも大事です。我々は、広告主の意識を高める努力をしないといけないでしょう。

広告主が支払った広告費が、サプライチェーンのどこにどれぐらい配分されているかの推定値があるので、ぜひ見ていただきたい。

この図では、海外での推定値に重ねて、日本の現状の考察を赤い枠で示しています。日本でも、媒体社がしっかりコンテンツを作っているなら、クライアント投資の40%が入ってくるんですが、そうじゃないとそこは削られるわけです。そこを広告主がわかっていないと、アドフラウドが入ってくることになり、最終的に良い媒体がむしろ少なくなってしまう

トラディショナルメディアでは、広告代理店がテレビを含めて守ってくれていました。しかし今はテクノロジーによって、悪貨が良貨を駆逐する状態になっている。日本はとくに不都合が隠され、事実がよくわからなくなっている状態です。

アドベリツールを広告主もしっかりお金を負担して精度を高め、良い媒体にお金がいくようになるのが健全でしょう。

アドバタイザー宣言はパートナーシップのためのもの、問題そのものの認知を高めるのが重要

【小出】 2019年5月に、JAAと宣伝会議とで、アドベリフィケーションに関する問題意識の調査を行いましたが、「アドベリフィケーションという言葉自体を知らない」人がアドバタイザーの3割、広告会社では半数以上だという結果が出ました。

また、ブランドセーフティ、アドフラウド、ビューアビリティの3つについて、アドバタイザーの4割前後が「必要性は感じるが、対応できていない」と回答しています。ビューアビリティについては、「問題として認識していない」という回答が3割近い。

これらの課題についての認識がどのくらいあるかを聞いたところ、経営層に限ると、3つの課題すべてで1割前後まで減ってしまう。 “そもそも問題が問題と認識されていない”のは、なかなか危機的な状況と感じます。こうした状況について、どう思いますか?

参考:
・アドベリ対応、日本の広告界の現状─「デジタル広告における意識・実態」調査を実施(宣伝会議デジタル版)
https://mag.sendenkaigi.com/senden/201907/report/016418.php

【友澤】 デジタル広告の仕組みやその問題点を理解するには、直接自分で運用してみるのが一番有用でしょうね。

【石井】 何が行われているかを理解せず、アウトプットの数字だけを見ているのはダメだと思います。

少し話が変わりますが、ワールドマーケティングサミット東京 2019ワールドマーケティングサミットが10月に行われて、フィリップ・コトラー氏やデビッド・アーカー氏が来日していました。

そのときにコトラー氏が話していたのが、「マーケティングを今後ちゃんとやっていくやり方のヒントは、『カスタマージャーニーのなかで、お客様がお客様に勧めていく』『顧客の声がすごく大きくなっている』という事実のなかにある」ということです。

アドバタイザー宣言にもありますが、「エクスペリエンスをどう有用なものにしていくか」が重要と感じます。今の“お金を掛けてネガティブキャンペーンをやっている”状態のデジタル広告ではいけないと思います。

アーカー氏は「ストーリーテリングが大事」ということを話していて、「じゃあどうやってストーリーは作るんですか?」ということを聞くと、結局は「コンテンツ」なんだということでした。

正しく適切なコンテンツに広告を出し、コンテンツホルダーであるパートナーに透明かつ効果的にお金が回る」ということを、皆様の協力をいただいて実現していきたいと考えます。

【藤平】 アドバタイザー宣言はパートナーシップのためのもので、デジタルは絶対に使っていかなければいけないメディアです。デジタルの可処分所得も、今後どんどん増えていくでしょう。

日本はサプライチェーンの構造が少し歪んでいますが、それを放置するのは負のスパイラルにつながる。自分が出しているお金が、どう流れてどう使われているのか、それを把握しておくのは広告主の責任でもあると思います。

【友澤】 アドバタイザー宣言が出たのは、とても良い機会になったと思います。CPC至上主義、CPA至上主義からどう脱却するか、みなさんが経営側に話さないといけない

難しいとは思いますが、WABやJAAもできることがあれば協力します。そして広告主、代理店、メディアというパートナーが協力し合うことで、ポストオリンピック以降の広告業界にとっても、よい流れができると思います。

【小出】 宣言が出たのを良いタイミングとして、上司に働きかけてほしい。話を広げてほしいですね。

◇ ◇ ◇

【キーポイント】
・欲しいと思っているお客様に広告を届けるという“マーケターの理想を実現するツール”がデジタル広告
・だからこそ、デジタルをダメにする不正広告は、野放しにするべきではない
・現在は、デジタルを悪用され、悪貨が良貨を駆逐している
・年間200億~300億円がアドフラウドにより窃取されているなら、反社会勢力が目を付けてもおかしくない
・アドベリツールなども駆使して、“広告を本来入れるべき良い場所”を見極めるべき
・意図しない個人データの使われ方、“ウザい”広告の出し方は、むしろブランド毀損になる
・短期的なKPIを追うのではなく、メジャメントをしっかり持つことが重要
・アドフラウド・ブランド毀損は、良い媒体でも起こりうる
・コンテンツホルダーであるパートナーに透明かつ効果的にお金が回ることが重要
・自分が出しているお金が、どう流れてどう使われているかを把握しておくのは、広告主の責任でもある


2019年11月26日開催 月例セミナーレポート(1)
https://www.wab.ne.jp/wab_sites/general-browse/view/3136

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Web広告研究会サイト掲載のオリジナル版はこちら:
「デジタル広告の現在に持つ“危機感”。アドビ・パーソル・ソフトバンクがJAA『アドバタイザー宣言』をさらに掘り下げ」2019年11月26日開催 月例セミナーレポート(2)(2020/01/10)

用語集
CPA / CPC / CPM / DMP / DSP / KPI / SNS / アドフラウド / キャリア / キャンペーン / コンバージョン / ビューアビリティ / フィード / ブランドセーフティ / 広告代理店 / 顧客獲得単価
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