居酒屋明日のモバイルほろ酔い語り

iPhone「なにがあっても買うべし! 買うべし!」 - 明日のモバイルほろ酔い語り

居酒屋明日のモバイルほろ酔い語り

ここは、東京下町のとある居酒屋。板だけ載せた酒瓶ケースの上に、ずらりと焼鳥やもつ煮を並べ、路上で立ち飲みが基本の店だ。気さくなおかみさんが、手作りの肴を振る舞ってくれ、深夜までずっと賑わっている。

そんな気取らない店に、IT系勤務のホットなやつらが夜な夜なつどって業界の噂話に花を咲かせ、ときには激高しときには愚痴をこぼし、ときには成功を喜び合う……。店内では、聞き逃せないような最新情報、そしてモバイルの未来に関わるような貴重なアイデアが飛び交っているのだ。

今日も、おもしろそうな会話が耳に飛び込んできたようだ。

文、写真:清水亮(ユビキタスエンターテインメント)

登場人物

筆者

筆者
有名イラストレーターA氏
古参モバイル業界人のB氏

居酒屋というのは楽しいもので、アルコールの滑らかさと、わいわいがやがやという喧噪が、コミュニケーションをしやすくしてくれる。

ある夜、久々に集まった3人が酒を酌み交わしていると、話題は自然と「iPhone」のこととなり……。

iPhone「なにがあっても買うべし! 買うべし!」

■iPhone、とりあえず欲しい

羅針盤01
筆者

筆者「iPhone、どうですか?」

A氏「予約しましたよ。といっても、すでに何人かキャンセルが出てるみたい」

B氏「まあとにかく欲しいよね」

筆者

筆者「とにかく欲しい

B氏「そんなに売れるとは思わないけど、誰よりも早く欲しいね」

A氏「欲しい

筆者

筆者「入手困難なことは間違いないでしょうね」

B氏「国内で年内50万〜100万台は堅いでしょう」

A氏「そんなに行きますか。iPhone自体の良さってなんなんでしょう?」

B氏「何が良いって、まあ見た目でしょ。あと、べらぼうに便利だと思う」

筆者

筆者「ポケットに入るコンピュータですよね。発想として」

※1 ブレークスルー・インターネット・デバイス

スティーブ・ジョブズが2007年のMacworld基調講演でiPhoneを発表する際に使った言葉。「電話」「iPod」そして「ブレークスルー・インターネットデバイス」と3つの製品があるかのように見せかけて、実は1つの製品「iPhone」であると明かすと、会場の興奮は最高潮に達した。

A氏「電話もできるのがいい」

B氏「ココに来て、“ブレークスルー・インターネット・デバイス※1”とジョブズが言ったキーワードが活きてくるね。最初にそう言われたときは“なに大げさなこと言ってんだ”と思ったけど。実はマジでそうなってる」

筆者

筆者「確かに。あれは電話よりもiPodよりも、インターネット・デバイスですな」

■iPhoneの良さはブラウザのできの良さだ

羅針盤02

A氏「インターネットマシンとの関連はどうなるんだろう」

B氏「インターネットマシンはいい機械だよ。
まずOSがウィンドウズモバイルじゃない。ウィンドウズモバイルはあくまでも汎用的な組み込みOSだから必ずしも電話に特化してない。けど、電話は電話特有の機能やしきたりが多すぎるから、汎用OSだと難しい部分があるのは事実。その点インターネットマシンは、電話としての従来のOSを踏襲していたから、iPhone以前の世界ではベストだったろうね。
そしてキーボードはたぶんiPhoneより打ちやすい。ただ、iPhoneに対して劣るところを1つだけ挙げるとすれば、ブラウザかな」

筆者

筆者「Safariは凄いですよね。かなわないね。あそこまでやられちゃうと」

B氏「次のインターネットマシンも考えていると思う。孫さんは毎日寝る前にインターネットマシンを使ってるらしいし」

A氏「インターネットマシン2.0か」

筆者

筆者「インターネットマシン2.0は絶対タッチパネルになると思いますね。キーボードはそのままで、タッチパネルも付く。というか、なってほしい」

※2 Webkit

Webkitは、オープンソースのWebブラウザ。マックとiPhoneの標準ブラウザSafariもWebkitをベースに作られている。海外のウィンドウズモバイル以外のスマートフォンではWebkitが使われていることが多い。Adobe Airでも内部ではWebkitを使用。Webkit自体はマックでもウィンドウズでもLinuxでもそれ以外の環境でも動作する。

※3 Android

Androidは、Googleが開発しているオープンソースの携帯電話向けOS環境。ブラウザとしてWebkitを使っている。

B氏「いっそSafariと同じWebkit※2にすればいいんだよね。いっそAndroid※3にしちゃうとか」

筆者

筆者「でもWebkitだからiPhone並みのものになるかというとそうでもないですよね。あれがあそこまで奇麗なのは、どちらかというとCore Frameworkがほぼフルセットで用意されているという理由が大きい。レンダリングエンジンやフォントエンジン、要するにOSの違い」

B氏「あとから真似してあれに追いつくのはマジで大変だと思う。不可能かもしれない。他社の五年先を行くっていうジョブズ発言も、あながちデタラメとは思えない

A氏「タッチパネル付きのケータイはすでに各社からぼちぼち出たよね。あれとの違いは?」

B氏「なにもかも違うでしょ。タッチパネルだけなら、もっと以前からあったし。iPhoneの凄いのは、タッチパネルではなくてトータルのインターフェイス、主にソフトとOSのポテンシャルの凄さ、全体の完成度の高さ。統一感」

■世の中全部iPhoneになんてならない?

A氏「世の中全部iPhoneになるのかな」

筆者

筆者「ならないと思うなあ」

※4 スマートフォン

ウィンドウズモバイルを搭載したり、フルキーボードが搭載されたりした、いわゆる“小さなインターネット端末”としての携帯電話を特にスマートフォンと呼び、北米では一定の支持を集めた定番商品となっている。

※5 アルト(Alto)

そもそも現在のようなマウスとキーボードとウィンドウがあるという作業環境を最初に統一的に具現化したのはゼロックスのパロアルト研究所(PARC)であると言われている。PARCでは他にもイーサネット(LAN)やレーザープリンタ、ユビキタスという概念などその後のコンピュータに影響を与えるさまざまな研究が行われていたが、とりわけ有名なのは『アルト』と呼ばれるウィンドウベースのオペレーティングシステムである。

若き日のスティーブ・ジョブズとビル・ゲイツはPARCを見学した際にこの先進的な概念に衝撃を受け、すぐに模倣商品の開発を行った。ジョブズが開発したものは、のちにマッキントッシュとなり、ゲイツが開発したものはウィンドウズとなった。しかしアルト自体は極めて原始的な環境に過ぎず、ウィンドウズの多くの要素は、アルトよりもマッキントッシュを参考にしたと思われる部分が多い。

B氏「iPhoneは、究極の二台目端末。お金に余裕がある人と、余裕がないけどノートPCを持ち歩きたくない人が買うんだと思う。けれども米国のスマートフォン※4のシェアとしてもまだ2位だし、騒いでる人の興奮度がめちゃくちゃ高いというだけで、これがスタンダードになる日は永久に来ないかもしれない。マックみたいに」

筆者

筆者「僕もそう思いますね。けど、マックのあとでウィンドウズができたみたいに、なにかしら他のものに影響は与える存在になるでしょうね。ゼロックスの研究がもとだといっても、ウィンドウズは、アルト※5よりはMacに近いわけで」

A氏「確かに。Macに移行すると、ウィンドウズなんか不便で絶対に戻れない気がするけど、マックユーザーってそんなに増えないしね」

筆者

筆者「良さが伝わりにくい。化学調味料に慣れた舌に最高級の自然食を食べさせても最初は不味く感じる、みたいな感じ。と言うと言い過ぎか」

B氏「それは言い過ぎ(笑)」

A氏「けれども、フォントが奇麗ということがこれほど自分の生活というか、コンピュータの利用スタイルを変えるとはMacを使ってみるまで夢にも思わなかったな。Macの特徴って、基本的にフォントが奇麗。これに集約されると思う。フォントとか、とにかく画面が奇麗」

筆者

筆者「Vistaでもだいぶ近づけようとしているけど、やっぱりなんていうかウィンドウズのフォントは少し歪んで見えるんだよね。ノウハウの差だと思う。やはり最初から印刷品質ですべてを描画しようという過激な紙原理主義で作られたMac OS Xは凄い」

※6 ディスプレイ・ポストスクリプト(Display Postscript)

ポストスクリプトは元来、プリンタに高度な印刷指示を出すためにアドビが開発したページ記述言語であったが、アップルを追われたジョブズが開発したNeXTワークステーションで画面表示にも使われるようになる。これを「ディスプレイ・ポストスクリプトと」呼ぶ。

印刷品質を実現するため、高度な字詰め処理(カーニング)や、美しいフォントの再現などが機能として盛り込まれた。ポストスクリプトを発展させたものがPDFであり、Mac OSXの描画コアエンジンである「Quartz」(クォーツ)は、PDFをベースとしたシステムになっている。驚くべきことに、iPhoneでも同様のエンジンが内蔵されている。このため、iPhoneの画面はハーフVGAサイズとは思えないくらいに美しいのだ。

B氏「ディスプレイ・ポストスクリプト※6の頃から執念のようにフォントにこだわってるものね」

筆者

筆者「iPhoneの良さも、やっぱり画面が奇麗なことかな」

A氏「それはもう圧倒的だね。iPhoneより奇麗な画面の端末って存在しないんじゃないかな。Macも含めて」

B氏「解像度は意外と低いんだよね。320×480のハーフVGAサイズ」

筆者

筆者「でも、フルVGAの日本のケータイよりずっと奇麗。OSの描画エンジンが解像度不足を劇的にうまく補ってるから解像度の低さをまったく感じない」

A氏「それ自体にはかなり驚き。実物を見るまで、まさかこんな奇麗な画面だなんて信じられなかった」

■iPhoneでマンガを読むのが流行る!?

羅針盤03
筆者

筆者「印刷といえば、iPhone向けのコミックビューアを作ってみたんですわ。どうですか。プロとして」

A氏「いや、思ったよりずっと読みやすいね。これなら読みたいかも」

B氏「問題は文字かな。そのまま縮小すると、さすがに解像度が低くて、6×6ドットくらいの大きさになっちゃう。さすがにこれだと文字を判別するのは難しいよ」

A氏「かといってケータイコミックみたいに拡大しながら読むっていうのも違うんだよね」

筆者

筆者「それはそれであれば便利だとは思うんですが、せっかくこれだけの面積があるんだから、ちゃんとこのまま読みたいですよ」

A氏「コミックを書く立場の人間から言わせてもらうと、iPhone向けだからといってコマ割りを少なくしたりはしたくないんだよね。変な癖が付いちゃうと困るから、できるだけ紙の原稿と同じものがiPhoneマンガでも使えるといい」

B氏「そういう苦労もあるんだ。マンガにとってコマ割りって重要だもんね。それがマンガのアイデンティティでもあるし」

筆者

筆者「iPhoneだと、本当をいえば2段くらいがちょうどいいですね。コマ割りは」

■iPhoneはモバイル業界の黒船となるか!?

羅針盤04
筆者

筆者「iPhoneが仮に流行るとすると、いままでモバイルサイトを作っていた人たちはどうなるんでしょう?

A氏「iPhone向けにもサイトやコンテンツを作るのかというと、やはりノーかな。入力は日本のケータイの方がずっとしやすいよ。身体感覚に連動しているのは大事だと思う」

B氏「マルチタッチの特性を活かしたようなコンテンツが出てくるんだと思う。この分野のアプリケーションはまだ誰も作ったことがないから、凄いビジネスになる可能性がある」

筆者

筆者「かつてiモードがそうだったように?」

A氏「マルチタッチの場合、コンテンツの内容そのものよりもどんな体験を提供できるかが大事になってくるね」

筆者

筆者「実はそれはモバイルサイトでもそうなんですよ。結局、雑誌やウェブを見れば載っている情報をケータイから見やすくする“体験”を提供することに価値を見いだされていた。必ずしもコンテンツや情報でお金をとってるわけじゃないんですよね」

A氏「ということはiPhoneやAndroidのようなマルチタッチ端末が主流になっていくと、マルチタッチ体験をいかにうまくデザインできるかというのがコンテンツ成功の鍵になるわけか」

B氏「そういうこと」

A氏「PCのウェブがあんなに奇麗に見られるのに、専用コンテンツなんか必要かなって疑問に思ってたけど、体験を提供するってことなら納得かな」

筆者

筆者「実際、iPhoneが先行発売されている米国では、数多くの“iPhone専用”サイトが作られていますし、かなり便利なんですよね。GmailですらiPhone専用の画面を表示している」

A氏「ということは、iPhone時代になっても、PCとモバイルでコンテンツの表示のさせ方を微妙に変えなきゃならないわけだ」

筆者

筆者「それが最適な体験を提供するということだね。だからCMSの果たす役割は益々重要になってくるんじゃないかなあ」

B氏「自分の土俵に持ってきたね(笑)」

■iPhoneを最速でゲットするには?

筆者

筆者「iPhoneをとにかく一番早く手に入れるためにはどうすればいいんだろう」

B氏「行列でしょう」

A氏「どこに並べば良いんだろう?銀座のアップルストア?」

B氏「そもそもアップルストアで売るのかな?ソフトバンクショップじゃない?」

筆者

筆者「米国だとアップルストアに4日前から並んでたらしいですね。一番に買った人」

B氏「じゃあ俺、7月7日からちょっと会社休むわ」

A氏「並ぶの?」

B氏「そう。銀座のアップルストアの前で」

筆者

筆者「それ、普通に怒られると思うけど」

羅針盤05

A氏「むしろ行列に並ぶんじゃなくて、行列に並んでいる人に対して温かいお茶とかビールとか弁当とか売るってのはどうだ?」

B氏「それだ!」

筆者

筆者「普通に怒られるでしょ」

B氏「とりあえず7月7日からギョーレツするってことで」

※写真はイメージです。

その一! 銀座アップルストアでねじり込むように並ぶべし!

※Web担編注 筆者の清水氏は、ホントに並んじゃっていました → 「ソフトバンク表参道に早くもiPhone行列、一番乗りはアノ社長

筆者のお気に入り居酒屋情報
羅針盤

羅針盤
住所:東京都文京区本郷4丁目2-1(地図
電話:03-3815-5258

本郷三丁目交差点そばの居酒屋。UEIの社員が週に一度は訪れる魂の故郷的な店。お勧めは4コ190円という脅威のサービス価格の餃子と、刺身がたっぷり入ったシーフードサラダ。そして謎のオリジナルメニュー「まきば」。リーズナブルなお値段で美味しく飲めるお店だとのこと。

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