
医療系エセメディア退場でグーグルの検索結果はホントに良くなったのか?【SEO記事12本まとめ】

グーグルが検索結果から医療・健康系の“キュレーション”メディアを排除して半年。グーグルは現時点で「高品質な」検索結果を達成できているのだろうか? SEOの辻氏がデータで検証している。
ほかにも、ゲスト投稿によるリンク獲得、SERPに表示される同一ドメイン名からのページ数上限、over-optimization、Instant Appsなどなど、検索エンジン関連の情報をまとめてお届けする。
- 今週のピックアップ [1]
- 日本語で読める SEO/SEM情報 [2]
- 海外SEO情報ブログ の掲載記事から [3]
- 海外のSEO/SEM情報 を日本語で [4]
医療系エセメディア退場でグーグルの検索結果はホントに良くなったのか? [5]
失望の色を隠せないSEO専門家 (辻正浩のブログ)
グーグルは検索結果の品質を高めようと、さまざまな努力を進めている。では、実際にグーグルは現時点で「高品質な」検索結果を達成できているのだろうか?
“キュレーション”メディア、特に医療系キュレーションメディアが社会的ニュースにもなった [7]時期が数か月前にあった。信頼性が低いコンテンツが検索結果に出ないように、日本のグーグルが独自に実施したアルゴリズム変更 [8]もこれに関係があるのではないかというのも、SEO業界では定説に近い。
さて、騒動を引き起こしたキュレーションメディアが閉鎖され、グーグルのアルゴリズムが改良されたその後、医療・健康関連のクエリに対するグーグルの検索結果はどのように変化したのであろうか? 信頼性に乏しいページが出なくなり、安心して信じることができるサイトのページだけが掲載されるようになったのだろうか?
残念ながら、現実はそうではないようだ。医療系キュレーションメディア糾弾にも尽力した辻氏は、詳細な調査データを基に、「信頼に乏しいページが検索ユーザーに提示される」状態がグーグルではまだ完全には改善されていないことを憂いている。
医療関連の検索結果には依然として問題視されるページが表示され続けているそうだ。なかには、人の生死に関わる深刻な病気に関する情報も含まれている。
医療・健康関連に関する“正しい情報”とは何かの判断が非常に難しいことを辻氏は理解しつつも、グーグルの検索品質には失望の色を隠せていない。
辻氏は最後に次のように締めくくっている。
この記事を読まれるような方、あなたはきっと誤った情報に騙されないだけのリテラシーをお持ちのはずです。しかしあなたの両親や子供はそうではないかもしれません。
ネット検索の5%を占めるニーズがある健康関連情報です。お金も動きます。悪質な人たちはそこを狙い続けています。それを踏まえて、身近な人に「検索結果に上位表示されたサイトが信頼できるわけではない」事を警告する必要があります。
誤りだったとして「勉強代になった」で済まされないような事を調べるときは、検索だけで終わらせずに医者など専門家に確認するべきです。そのような動きは、悪質なメディアを運営しづらくさせるものでしょうし、検索エンジンの早期改善をも促すものと思います。
大きな問題がある状況ではありますが、自衛しかないと私は考えます。
どうか、みなさまとみなさまの大切な方が被害にあうことのないよう、ご注意ください。
辻氏が指摘するような問題に対して、グーグルが対応の優先度を低く設定していたり対処に行き詰まったりしているとは思いたくない。今後も、目に見える形でのさらなる品質改善に期待したい。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
日本語で読めるSEO/SEM情報
グーグル、ゲスト投稿や記事配信を悪用したリンク獲得にあらためて警告 [9]
目新しい情報ではないけれど要確認 (SEMリサーチ)
「ゲスト投稿」や「記事配信」を悪用した不正なリンク獲得に関して、グーグルは、英語版のウェブマスター向け公式ブログで [10]あらためて警告した。
この情報に関して、その背景や「ゲスト投稿や記事配信について気を付けるべき点」を、渡辺隆広氏が解説している。
この件に関しては、特に目新しい情報が発表されたわけではないし、特別な出来事があったわけでもないようだ。にもかかわらず改めてこうして情報を出すということは、グーグルが認めていない手法を展開している業者があいかわらず存在しているということなのだろう。
渡辺氏も次のように書いている。
個人的には、Google は欧米でよく観察されるSEO関係者でも引くレベルの酷いネットワークを想定して警告していると思うので、少なくとも一般企業の担当者があまり神経質になる話ではないと考えている。対応すべきは、自覚があってやっている人だ。
きちんとSEOを理解している人には当然のことなのだが、正しい考えを(おさらいと整理をかねて)理解しておくためにも、ひととおり目を通しておくといい。
- すべてのWeb担当者 必見!
AMPアクセス解析の問題をGoogleアナリティクスが(一部)解消へ [11]
中途半端な解決に思えるが (アナリティクス 日本版 公式ブログ)
ほぼすべてのWeb担当者が自社サイトにアクセス解析を導入しているだろう。しかしAMPページに関しては、直帰率やユニークユーザーなどの指標を正しく計測できないという厄介な問題がある。同じサイト内であっても、同一ユーザーがAMPページへのアクセスと通常ページへのアクセスでは別ユーザーだと認識してしまうのだ(詳細に興味があれば、筆者のブログ記事 [12]を参照してほしい)。
この問題は当然のことながらGoogleアナリティクスでも発生する。そのため、GoogleアナリティクスでAMPページを分析する際には別プロパティで計測するのが基本だった。
しかし、この問題を(一部)解決したとグーグルが発表した。
この変更によって、お客様のドメインの AMP ページと AMP 以外のページで、ユーザーを一貫して特定できるようになります。両方のページで訪問者識別子を統一することで、ユーザー分析の精度が改善します。
AMPページとAMP以外のページで、同じユーザーなら一貫して特定できるようになったということだ。サイト側の変更は不要だ。Googleアナリティクス側で自動に修正が適用される。
しかし! 実際には問題はまったく解決していないと筆者は感じている。というのも、次のように(ひっそりと?)書かれているのだ。
この変更は Google などの AMP キャッシュから配信される AMP ページには適用されません。
AMPページというものは、多くの場合は自社サイト上のAMPページではなく、AMPキャッシュが閲覧されることが多い。たとえばグーグルのモバイル検索結果からAMPページを開く場合にユーザーが目にするのはAMPキャッシュだ。

こうした場合には、(ページが置かれているドメイン名が本サイトと異なるため)結局はいままでのアクセス解析が抱えていた問題が解決されていないままなのだ。
実際のところ、ユーザーがAMPページに直接にアクセスすることは、さほど多くないのだ(ツイッターはAMPキャッシュを使わずにAMPページをダイレクトに開くが)。
とはいえ、少なくとも1段階は改善されている。さらなる対策に関しても、グーグルは考えているのだろう。今後の改善を期待したいところだ。
- AMP対応しているすべてのWeb担当者 必見!
- アクセス解析担当者に伝えましょう
AMPの爆速体験を広告でも体験してみよう [13]
広告のエコシステムにもAMPは拡大中 (グーグル 広告主コミュニティ)
グーグルは、検索連動広告のランディングページとディスプレイ広告でもAMPの技術を利用できるようにした。
「AMPのスピード体験を広告にも」というわけだ。
AMPランディングページ
こちらはAMPに対応した検索連動広告のランディングページのデモだ。
検索結果からランディングページへの移動を比べているのだが、左がAMP対応のランディングページで右が通常のランディングページだ。両者を比較すると、AMPのランディングページの表示がいかに速いかがわかる。
AMPディスプレイ広告
こちらは、AMPページに表示するディスプレイ広告のデモだ。検索結果をタップしてアクセスするAMPページで表示される広告に注目してほしい(6秒あたりで出現する)。
左がAMPに対応したディスプレイ広告で、右が通常のディスプレイ広告だ。こちらも、AMP広告の高速表示が一目瞭然で見て取れる。
検索連動広告では、表示速度も品質スコアの一要因になっている。それに高速表示はユーザー体験を高める。すばやく広告が表示されることは、広告の視認性にもプラスに作用するだろう。広告のAMP対応にも期待が持てる。
AMPランディングページはベータ版への申し込みを受け付け [14]ている。AMP広告のドキュメントは公式サイトで参照 [15]できる。
- 広告配信がんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
- 広告運用担当者に伝えましょう
モバイルウェブの最先端、AMPとPWAのまとめ記事 [16]
Google I/O 2017より (Qiita)
米カリフォルニア州マウンテンビューで5月17日~19日に開催されたGoogle I/O 2017から、検索関連のハイライト [17]を前回紹介した。AMPとPWAに関する情報も含めていたが、ここで紹介する記事はもう少し詳しいことをまとめている。
参考になるリソースもあわせて掲載しているので、最新情報をよりしっかり調べたいときに役に立つだろう。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
- ホントにモバイルWebを極めたい人だけ
- 技術がわかる人に伝えましょう
[18]海外SEO情報ブログの
掲載記事からピックアップ
先週に続いて今週も、Google I/O 2017からの検索関連の最新情報をピックアップ。
- AMPはニュースサイトだけじゃない、ECサイトでもAMP対応可能 #IO17JP [19]
ECサイトにもAMPが拡大していくか
- AMP対応を考えているECサイトのWeb担当者 必見!
- 技術がわかる人に伝えましょう
- 求人サイトのチャンス?ピンチ?、Google検索で仕事を探せる Google for Jobs が米国で間もなく公開 #IO17JP [20]
将来は日本にも来るか?
- 求人サイトのWeb担当者 要チェック!
- グーグル検索結果に同一サイトから表示されるページ数の上限は?
- “過剰な”最適化というものはSEOに存在するのか?
- ダウンロード不要でアプリを動かせるInstant Appsが一般公開
- HTTPからHTTPSへの移転にアドレス変更ツールを使えるのか?
- フェイスブックのインスタント記事がグーグルのAMPに対応!?
- 今週のピックアップ [1]
- 日本語で読める SEO/SEM情報 [2]
- 海外SEO情報ブログ の掲載記事から [3]
- 海外のSEO/SEM情報 を日本語で [4]
海外のSEO/SEM情報を日本語でピックアップ
グーグル検索結果に同一サイトから表示されるページ数の上限は? [21]
関連性が高ければいくつでも (John Mueller on Twitter)
1つのサイトから検索結果に同時に表示されるページ数に、決まった上限数はない
グーグルのジョン・ミューラー氏が、このようにコメントした。
There's no hard limit on # of times a site can appear in a search results page set.
— John ☆.o(≧▽≦)o.☆ (@JohnMu) 2017年5月23日 [21]
昔のグーグル検索では、同じドメイン名のサイトからのページが1つの検索結果に出る数を2件に制限していた時期があった。しかし、今はその制限は存在しない。
たとえば、次の図のような状態だ(筆者のブログの例で申し訳ないが)。
クエリに対して関連性が高いとアルゴリズムが判断したページが同じサイトから何ページも表示されることは、今は決して珍しくない。
あるいは、関連性が認められるコンテンツがそのサイト以外に見つからない場合にも、同一サイトから複数の結果が同時に表示されることも多い(こういったクエリを見つけたら、関連性が高いコンテンツを作成するのも狙い目かもしれない)。
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
“過剰な”最適化というものはSEOに存在するのか? [23]
言葉としては矛盾しているが起こりうる (Gary Illyes on Twitter)
「SEOの都市伝説を暴く」というトピックで良いネタがないかツイッターに訪ねていたグーグルのゲイリー・イリェーシュ氏に、あるフォロワーが少し変わった質問をした。
「過剰な最適化(over-optimization)」はどうでしょう? アリなら、もっと適切な、矛盾していない名前を付けられませんかね?
「過剰な最適化」という言葉には、確かに矛盾がある。「最適化」は文字どおり「最も」適した状態を表す。それが「過剰」だというのは、言葉としては変だ。
イリェーシュ氏は次のように返信した。
いいね。だけど、良い呼び方を思いつかない。「最適化」のための行為をやり過ぎてしまうと結果として悪影響が出始めるという、文字どおりのことだからね。
@bubba_ji [24] That is totally a thing, but I can't think of a better name for it. It is literally optimizing so much that eventually it starts hurting
— Gary Illyes ᕕ( ᐛ )ᕗ (@methode) 2017年5月24日 [23]
名前や都市伝説かどうかはともかくとして、たしかに“過剰な最適化”は起こりうる。たとえば、こんなパターンだ。
- titleタグのキーワードが大切と聞く ⇒ titleタグにキーワードをたくさん詰め込む
- 外部リンクが重要なランキング要因と聞く ⇒ 自作ブログを開設しでっちあげのリンクを集める
- ページ数が多いと評価が上がると聞く ⇒ (中身が薄い)ページを量産する
どれも、アルゴリズムで評価を下げられたり手動対策の対象になったりする行為だ。
結局のところ、「過剰な最適化」とは、検索エンジンだけに目が向いていて、ユーザーにまったく目を向けていない人がやることだ。ともすれば結末は悲惨なことになる。
検索エンジン最適化の根底にはユーザー最適化があることを忘れてはいけない。
- SEOがんばりすぎてる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
ダウンロード不要でアプリを動かせるInstant Appsが一般公開 [25]
オーガニック検索でも実行可能 (Android Developers Blog)
Android Instant Apps(アンドロイド インスタント アプリ。以下、Instant Apps)がすべての開発者に公開された。
Instant Apps は、ダウンロード・インストールすることなくアプリをスマホ端末で動かせる仕組みで、オーガニック検索からでも機能する。昨年5月のGoogle I/O 2016で発表 [26]され、今年1月に一部の開発者を対象に試験公開 [27]されていた。
先日開催されたGoogle I/O 2017 で紹介があったInstant Appsのデモを、以下で紹介する。
「nytimes crossword」で検索した検索結果からニューヨーク・タイムズ紙が提供するクロスワードのアプリがInstant Appsで起動するようになっており、これによってリピートユーザーが増加しているとのことだ。
アプリ開発者にとってInstant Appsは、アプリの利用を増やすチャンスとして試してみたくなる仕組みではないだろうか。アプリとウェブの両方を提供しているとしたら、「ウェブサイトか? それともネイティブアプリか?」の悩ましい選択肢に、また1つの要素が加わったようにも思う。
1つ注意したいことがあるとしたら、Instant Appsは、アプリを動かすのに必要なデータを都度ダウンロードする点だ。通信環境が良くない状況ではうまく機能しないことも予測される。もっとも高速で安定した通信環境が整っている日本では、さほど気にすることではないのかもしれないが。
Instant Appsを実装するための詳細は元記事(英語)とドキュメント [28](一部日本語)を参照してほしい。
- すべてのアプリ開発者 必見!
- アプリも提供しているWeb担当者
- 技術がわかる人に伝えましょう
HTTPからHTTPSへの移転にアドレス変更ツールを使えるのか? [29]
サポート予定もなし (John Mueller on Twitter)
ジョン・ミューラー氏がツイッターでフォロワーから次のように質問された。
Search Consoleのアドレス変更ツールで、HTTPS移転をサポートする予定はありますか?
ミューラー氏は次のように答えた。
いや、その予定はない。その場合、リダイレクト設定するのがいちばん良い方法だ。
No -- setting up redirects is the best way to handle this.
— John ☆.o(≧▽≦)o.☆ (@JohnMu) 2017年5月24日 [29]
HTTPからHTTPSへの移行に際してのアドレス変更ツール [30]の利用は、たびたび出てくる質問あるいは要望だ。ミューラー氏によれば、サポート予定はないし、301リダイレクトによる転送だけで十分だとのことである。
なおアドレス変更ツールは、サブディレクトリ単位の移転にも対応していないことも知っておこう。対応しているのはドメイン名の移転だけだ。
- HTTPS移行を計画しているすべてのWeb担当者 必見!
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
フェイスブックのインスタント記事がグーグルのAMPに対応!? [31]
Facebook Media (え? そっちなの!?)
記事コンテンツを高速に表示する技術と言えば、真っ先に思い浮かぶのはAMPだろう。AMPはグーグルが中心になって開発している。
同じような技術として、フェイスブックも「インスタント記事(Instant Articles)」という仕組みを用意している。
しかしこの2つには、いくつかの違いがある。
AMPはオープンソースなので、どんなプラットフォームでもAMPをサポートできる。すでに、ツイッターやはてなブックマークなど多くのプラットフォームがAMPをサポートしている。
インスタント記事は独自仕様なので、フェイスブックへのコンテンツ配信にしか使えない。
AMPはコミュニティが形成されており、世界中の開発者が改良を続けている。
インスタント記事はフェイスブックが独自に開発しているので、その仕様に一般の開発者が入り込む余地はない。
こうした事情(と大人の事情)により、インスタント記事の発行を中止するパブリッシャーも出現 [32]している。
このような状況のなかフェイスブックは、なんとAMPをサポートする拡張機能をインスタント記事の仕組みに導入した。インスタント記事用のコンテンツを作っておけば、それをAMP対応に変換できるようになったのだ。
インスタント記事を成功させるために、ライバル関係にあるグーグル主導のAMPにフェイスブックが対応するというのは、見方によっては皮肉的な話だ。
AMPがオープンソースだったことも影響しているに違いない。グーグルと特別な提携を結ぶことなく、フェイスブックはAMPの技術を利用できるからだ。
とはいえ、進む方向が微妙である気もする。インスタント記事の表示にAMPをそのまま使えるようにすればいいと思うのだが、なぜそうしないのだろうか。
やはり、自社が扱う広告を派手に挿入したいし、コンテンツを囲い込みたいのだろうか……少しもやもやするニュースだ。
- AMPがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
- フェイスブックで記事コンテンツを公開しているパブリッシャー
- 技術がわかる人に伝えましょう
ソーシャルもやってます!