企業ホームページ運営の心得

いまさらだから効くFacebook、蕎麦屋の女将が教えてくれる継続の力

Facebookを活用して成果を上げる蕎麦屋の事例、継続が集客につながり始めます
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の490

いまさらですか?

Wavebreakmedia/Thinkstock

今のイチオシはFacebookですよ

中小零細企業のWeb活用の相談にこう回答しています。条件や環境にもよりますが、総じてFacebookに軍配を上げる理由は、「普及」の一語に尽きます。私の街角調査によれば、Webに積極的でない中年おやじにまでその利用が広まっているからです。スナックのお姉ちゃんとの交流など、目的はさておき。

このアドバイスには、情報収集に余念がないWeb担当者ほど首をひねります。「なぜ、いまさらFacebook?」。その答えは集めた情報にあるとは禅問答のようですが事実です。答えは次の段で紹介しますが、読者のみなさんも少しだけ考えてみてください。

今回はいまさらながら、いや「今だからこそのFacebook活用法」について。

販促効果を期待するならニュースの裏を読む

禅問答の答えは「珍しいからニュースになる。定番ものは話題にならない」ということ。これは、各種Web情報を現場視点で読み解くときに役立ちます。

既存のマスコミだけではなく、Webメディアでもニュースになるのは新しいネタ。本当に大ブレイクしていて、すでに広く普及していれば誰もが知っている当たり前の情報であり、あまりニュースになりません。基本的に報道は「前のめり」。現場とは温度差があるものなのです。

そのため、ニュースになりやすい流行初期の「成功法則」は再現性が乏しく、役に立たない例もちらほら。たとえば、Web界隈でFacebookが礼賛されていた2010年頃、「ビジネス活用法」として紹介されていたのは「いいね!」や「友だち」を集めろというもの。これは今でも理論上、最強の活用法であり成功法則ではありますが「それができたら苦労しないよ」という話です。

蕎麦屋の女将リターンズ

今のFacebookは、日本国内で大半のビジネスシーンにおいて活用できるまでの普及度に達したと感じます。私の街角調査では、中高年から女子大生が、1つの「チャネル」として利用しているからです。ヘビーユーザーではなく、ネット上の接点の1つとして適宜利用しているイメージです。

そして、一昨年前に毎日の更新にクイズや物語を活用する「Facebookで集客する蕎麦屋の女将」を紹介しました。今も更新は継続を続け、着実かつ確実に「活用」を続けています。

お客に連動する縁

Facebookを活用する女将が切り盛りする蕎麦屋「足立 さらしなの里」は、ご近所を中心に愛されてきました。実は開店以来のお付き合いがあり、以前は徒歩1分の近所に住んでいて、店内は見知ったご近所さんばかりでした。

ところがFacebookを始めてから、地元で見かけぬ顔を店内に見つけます。「地元民」とは明らかに違う空気のお客です。後にFacebookを確認すると、「今日はさらしなの里でランチ」と投稿していた人だったことがわかります。Facebook経由の「集客」に成功していたのです。

新しいお客が増えるメリットは銭金だけではありません。人脈も増えます。昨年は貸し切りにした店内で、アコースティックライブや三味線の演奏会が開かれました。そこには超有名女性タレントが、お客の友人として来店し、女将とツーショットの記念写真を撮り、その写真のFacebookでの拡散を快諾してくれます。数多くの「いいね!」が寄せられたことは言うまでもありません。

すれちがう犬友の教え

突然ですが、私は柴犬を飼っています。朝夕の散歩で多くの「犬友(いぬとも)」がいるのですが、なかには1年近く会わない犬友もいます。別の犬友を介して無事は確認しているのですが、それぞれ移動を続ける犬の散歩は、同じ辻を歩いても、十秒違うだけで出会えないのです。実にリアルは不便です。

対するネットは、自分の都合の良い時間にコミュニケーションがとれます。蕎麦屋の女将にしても、営業中に交わせる会話には限界がありますが、Facebookならリアルタイムではなくとも、隙間時間に来店への謝意を述べたり、他愛のない会話を交わしたりできますし、イベントの告知も可能です。

いまさらながらFacebookを勧める理由の1つが時間。空き時間を活用して、お客やその予備軍とコミュニケーションがとれるのがネットであり、Facebookだということです。

いいね!の物理法則

だからといって、Facebookに公式ページを作っただけでは誰も見てくれません。まず「地域コミュニティ」に参加します。

たとえば、東京都足立区に構える店ならFacebookの検索窓に「足立区」「足立」「あだち」のように、市区町村を省いたり、ひらがなやカタカナなど幾つかのパターンで入力します。その名前を冠したコミュニティが候補として一覧表示されるので、活動していそうなものに参加します。

「非公開グループ」の場合、参加申請を出して許可を得なければなりませんが、大半はOKをだしてくれます。仮に許可がもらえなくても気にすることはありません。人を選ぶコミュニティは「ネットワーク」としての拡散性が弱いからです。

地域性を必要としないBtoBなら、自社サービスや商品名、あるいは指し示す名前でコミュニティを探して参加します。複数のコミュニティに参加し、感覚的に馴染むところをメインに活動しますが、縛られる必要はなく「引越」もありです。

宣伝したいとはやる気持ちは、ひとまずグッと抑えます。他の参加者の投稿に「いいね!」をクリックし、コメントを寄せるところから始めます。与えれば得る。これはネットの重要な物理法則の1つです。逆の立場に立てばわかることです。挨拶もそこそこに自己宣伝を繰り返す新参者と、「いいね!」と声をかけてくれるユーザーのどちらに好意を持つかということです。

気分だけの話ではありません。Facebookには「いいね!」をクリックした人を教えてくれる機能があり、一方的ながらも接点ができます。なかには名前を覚えてくれるユーザーもいます。興味を持ってもらえれば、宣伝をしなくても自分のFacebookページに来てくれますし、いざ「宣伝」と投稿したときに、彼らはやってきて「いいね!」をクリックしてくれることでしょう。

こうした「リアクション(反応)」が、Web担の日々のモチベーションを高めてくれます。このモチベーションこそ「更新」を「継続」する秘訣。Facebookに限ったことではありませんが、継続は力であることを、蕎麦屋の女将が教えてくれます。

今回のポイント

普及しているサービスはニュースにならない

Web担当者だって人間、モチベーションが継続につながる

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