ROASが導入前の2倍以上に、DMPが果たす役割と可能性

第二回:マクロミル×オムニバスインタビュー連載
※この記事は読者によって投稿されたユーザー投稿のため、編集部の見解や意向と異なる場合があります。また、編集部はこの内容について正確性を保証できません。

株式会社オムニバスによる事例インタビューの連載です。本インタビューでは株式会社マクロミル マーケティング&プロダクト本部 マーケティングコミュニケーションユニットの広瀬 信輔さんにお話をお伺いします。第二本目となる本記事は「DMP・データ活用」についてお届けします。

 

DMPの意義 ROASが導入前の2倍以上に向上

——  マクロミル社は、DMP『Pandora』を、カスタマイズしながら継続して活用されています。このようにデータツールを用いる目的は何ですか?

 

 DMPの導入目的は、アトリビューション分析による最適な広告予算の配分と、これの自動化でした。導入前は、各DSPのデータを手作業で集計していました。DMP導入後は集計作業の手間が省け、作業効率が格段に上がっています。分析モデルについて、メディアの種類、フリークエンシー、広告接触タイミング、クリエイティブなど、様々な要素を加味した柔軟な分析モデルを構築することができました。現在はこれをもとにしたアロケーションにより、ROASが導入前の2倍以上に向上しています。

 

1st Partyデータを整理 AIを活用したマーケティングへの期待感

 もう1つのDMP導入目的は、1st Partyデータの整理としての目的もあります。弊社も例にもれず、広告配信データとともに売上管理データなどのマーケティングデータが多くあります。これらを一元管理し、広告やオウンドメディア接触から売上までを1つのプラットフォームで見ています。

こうすることにより、例えば、「リード獲得だけで終わった人」「リード獲得から売上に繋がった人」が分類でき、閲覧しているページ、反応した広告クリエイティブなどから、その差異が何かを分析できます。そして新しい広告クリエイティブやコンテンツを考え、次のアプローチを行っていく。実際は、非常に工数がかかる作業のため、PDCAサイクルに落とし込めていませんし、実施できる頻度も少ないのが現状です。

しかし、デジタルマーケティング業界の進歩は速いですし、AIを使ったマーケティングなどが発展すれば、この作業もいずれ自動化できると期待しています。今はそのための準備をしているような感覚です。つまり、いつか技術的に可能になる時代を想定し、1st Partyデータを整理、かつ外部のデータとシームレスに繋ぐことができるということを現状の目標としています。DMPはそのためのプラットフォームという位置づけでの利用です。

 

DMPの課題 データ精度とID問題

—— DMPにおける課題と感じられている点は何でしょうか?

データ精度とID問題が大きいでしょう。マクロミル社では、DSPやDMPのオーディエンスデータと弊社のパネルデータを付け合わせて、“答え合わせ”のようなことをすることがあるのですが、弊社で保有しているデータとオーディエンスのペルソナが全然合わないことがあります。この問題はプレーヤーサイドの方も感じられているようです。

Webサイトや広告クリエイティブの改善サービスを提供する事業者の方と話す際に、「連携しているDMPのデータとクライアントの1st Partyデータが一致しない」といった話をされたことが何度かありました。マーケター含めて、データ精度の検証という視点は今後も必要になるでしょう。

ID問題については多くの方が感じられていることだと思います。3rd PartyデータはCookieベースが多いですが、日本はiOS比率が極端に高く、50%を超えています。そのためIDは重要な課題です。統合型IDの技術が発展するか、巨大プラットフォーマーがこれを解決するか、正直どうなるか分かりませんが。

 

【DMPへの期待】日本の特性を活かしたマーケティングを/ “オンライン×オフライン”情報を集約へ

—— 今後DMPやDMPを利用したデータ活用に期待したいことは何でしょう?

 オフライン行動、TV視聴ログなど、今までのWeb訪問ベースのデータ以外のデータが本格的に加わることを期待しています。理想はこれらのデータが今までの3rd Partyデータとシングルソースで繋がることですが、まずは各々のデータがオンライン化され、マーケティングに活用できる実用的なボリュームになることが重要です。

マクロミル社でもテレビ視聴ログを扱うことがあるのですが、やはり課題はデータのボリュームです。オフライン行動、NIKE+やFitbitのようなウェアラブルデバイスから得られるデータは、みなさん注目されているかと思います。それ以外では、デジタルサイネージに期待しています。USではOOHに占めるデジタルサイネージの比率は4割を超えていますし、今後日本でも拡大するでしょう。

ただ単に広告を放送するだけでは、データ活用になりませんが、そのスクリーンでインタラクティブなコミュニケーションが可能になれば、ユーザーとのつながりを作り、別の時間や場所で再アプローチするといったことも可能となります。

日本、特に東京は人口密度が高いこともあり、このようなオフライン含めたマーケティングがもっと発展しても良いのではと個人的には思っています。また、地方にも可能性があると思っています。私は高校が長崎、大学が福岡なのですが、高校でも大学でも、よく遊びに行くのは福岡の天神でした。田舎だとTVや雑誌で見た商品が置いていないことも多いため、近くの地方都市へ出かけるわけです。

そして、地方都市の中でも人が集まる場所は割と限られた区画であることが多いため、どこでプロモーションを行えば良いかが分かりやすいのです。交通広告以外にもインストアサイネージなどが広がれば、日本の特性を生かしたマーケティングができるのではないでしょうか。

少し話が広がりすぎてしまいましたが、つまりはWeb訪問以外のデータに注目しており、これらを束ねるプラットフォームとしてDMPが進化することができれば、その価値は現在よりも格段に上がると思います。

 

—— 株式会社マクロミル マーケティング&プロダクト本部 マーケティングコミュニケーションユニットの広瀬 信輔氏のインタビューをお届けする本連載の第三弾はマーケターの将来像についてお届けします。

 

人物紹介

広瀬 信輔氏 

株式会社マクロミル

マーケティング&プロダクト本部 マーケティングコミュニケーションユニット

—2008年に株式会社マクロミルに入社し、現在同企業のWebマーケティング部門の責任者として、デジタルマーケティングを推進。

また、同氏は自身が運営するメディア「デジタルマーケティングラボ」にてフリーのマーケティングコンサルタントとしても活動。ビジネスメディアでのコラム執筆やイベント出演、大手企業のマーケティング支援など活動範囲は多岐に渡る。

著書:『アドテクノロジーの教科書』

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