Googleアナリティクス セグメント100選

GAセグメント2大分類②「ユーザーベース」でのセグメントを理解できれば脱初心者だ(第84回)

目指せ脱初心者!今回は「ユーザーベース」のセグメントについて理解しよう。

今回はユーザーベースのセグメントについて焦点をあてる。GAセグメント2大分類のうち、最初のセッションベースのセグメントについては、前回の記事を参照してほしい。

前回も触れたが、「セッションベース」のセグメントとは、特定の「セッション」(訪問)を絞り込むセグメントで、「ユーザーベース」のセグメントとは、特定のユーザー(ブラウザ)のすべてのセッションを抜き出すセグメントだ。「ユーザーベース」のセグメントは、集計対象期間に一度でも条件に当てはまる行為をしたユーザーの、集計対象期間におけるすべての行動を抜き出すもの。つまり該当の条件に当てはまる行為をしたセッションだけでなく、その行為をしなかったセッションまで含むというところが、「セッションベース」のセグメントと大きく違うところだ。

「ユーザーベース」のセグメントとしては、たとえば次のようなセグメントが挙げられる。

  1. 売上が集計期間全体で4万円以上あったユーザー
  2. 集計期間に一度でもGoogleの自然検索からのセッション(訪問)があったユーザー
  3. 集計期間に一度でもトップページを閲覧したことのあるユーザー

今回は、「A.売上が集計期間全体で4万円以上あったユーザー」セグメントを例にして解説する。

Googleアナリティクスのeコマース分類のデータを利用する方法でセグメントを作る場合は、あらかじめ「eコマースのトラッキングコード」を設定しておく必要がある。詳しくは、以下の記事を参照してほしい。

売上が集計期間全体で4万円以上あったユーザーを抽出するセグメントの作り方

「ユーザーベース」のセグメントは、「ユーザー」あるいは「セッション」あるいは「ヒット」単位のいずれかの条件で指定することになる。その3つのパターンを具体的にご紹介しよう。

標準に用意されているセグメントには今回紹介するセグメントは存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。

操作手順
  1. レポート画面の上部にある「+セグメント」のエリアをクリックする
  2. 「+セグメント」のエリアをクリックする
  3. 左上にある「+新しいセグメント」をクリックする
  4. 新しいセグメントを作成する初期画面では「条件」(図1赤枠部分)が選択する
図1:「ユーザーごと」「セッションごと」「ヒットごと」という選択肢

前回もお話ししたとおり、「条件」分類(図1赤枠部分)で、「フィルタ」「ユーザー」「含める」と設定(図1青枠部分)すれば、「ユーザーベース」のセグメントになる。

その下の行で、たとえば「収益」という指標を選択する(図1緑枠部分)と、右横がプルダウンになり、「ユーザーごと」「セッションごと」「ヒットごと」という選択肢が出てくる(図1黒枠部分)。これが「ユーザー」あるいは「セッション」あるいは「ヒット」単位の条件に対応する。

図2のように「収益」「ユーザーごと」「≥」「40000」と指定(図2赤枠部分)すれば、冒頭のセグメント例「A.売上が集計期間全体で4万円以上あったユーザー」になる。

図2:収益でのセグメント条件

「ユーザーごと」「セッションごと」「ヒットごと」で絞り込みにどのような違いが生じるか?

では、「ユーザーごと」の代わりに「セッションごと」あるいは「ヒットごと」にした場合(図2青枠部分)、それぞれどのように結果に違いが生じるのかを具体例で見ていこう。

一例として、図3のような3ユーザー(Xさん、Yさん、Zさん)の8セッションのケースで見ていこう。

図の見方だが、ユーザーXのセッションは3回(図3赤枠部分)、ユーザーYのセッションは3回、ユーザーZのセッションは2回、という具合に、ユーザーごとに縦に区切られている(3ユーザーのセッション数を合計すると8セッションになる)。

図3:ユーザー、セッション、ヒットベースごとに階層分けした購入金額

各セッションにはそれを構成するヒット群からなる。全部を表示すると煩雑になるので、図3ではユーザーYさんの2回目のセッション(図3青枠部分)の「ヒットベース」の内訳のみを、図3では下側の薄青枠で囲まれた部分で表示した。そのセッションは、2ページビュー、2トランザクション(購入)、合計4ヒットあったということだ(実際2ページビューで2回購入完了することは普通あり得ないが)。

そして図3赤文字部分の金額は、それぞれのヒットにおける収益(購入金額)、セッションでまとめたときの収益、ユーザーでまとめたときの収益を表示した。

つまり、この図は次のことを示している。

  • ユーザーX
    • 1回目のセッションで3万円の購入をした
    • 2回目のセッションでは買い物はしなかった
    • 3回目のセッションでまた3万円の購入をした

    ユーザー単位の合計では6万円の購入金額(図3赤枠部分)。

  • ユーザーY
    • 1回目のセッションでは買い物はしなかった
    • 2回目のセッションで5万円の購入をした(図3青枠部分)
      セッション内での購入(トランザクション)は2回(図3薄青枠部分):
      • 1回目のトランザクションでは3万円の購入をした
      • 2回目のトランザクションでは2万円の購入をした
    • 3回目のセッションでは買い物はしなかった

    ユーザー単位の合計では5万円の購入金額。

  • ユーザーZ
    • 1回目のセッションでは買い物はしなかった
    • 2回目のセッションで3万円の購入をした

    ユーザー単位の合計では3万円の購入金額。

「ユーザーごと」と指定した場合の該当ユーザーは?

それではまずこの例において、セグメントの条件指定を「収益」「ユーザーごと」「≥」「40000」と指定(図2赤枠部分)すると、どのユーザーがセグメント対象として選択されるのかを見ていこう。

「ユーザーごと」とはユーザー1人1人で合計してまとめて見たらという条件なので、4万円以上購入したユーザーが選択されるということになる。つまり図3で言えば、上の2行を見て、4万円以上(図4赤枠部分)だったユーザーXとYがセグメント対象に該当する図4青文字の○)ことになる。

図4:「ユーザーごと」の場合

「セッションごと」と指定した場合の該当ユーザーは?

次はセグメントの条件指定を「収益」「セッションごと」「≥」「40000」と指定した場合に、どのユーザーがセグメント対象として選択されるのか見ていこう。

まず4万円以上の購入があったセッションという条件に合致したセッションを検索する。するとユーザーYの2回目のセッションだけが該当(図5赤枠部分)することになる。このセッションが所属するユーザーはYということになるので、ユーザーYすべての閲覧行動(図5青枠部分)が該当セグメント対象として抜き出されるということだ。

もし前回お話しした「セッションベース」のセグメントであれば、ユーザーYの2回目のセッションのみ(図5赤枠部分)が抽出される。しかし、今回の「ユーザーベース」のセグメントであれば、「セッションごと」の条件を指定していたとしても、ユーザーYのすべてのセッションが抽出されるわけだ。つまり赤い「×」の部分も加わることになる。

図5:「セッションごと」の場合

「ヒットごと」と指定した場合の該当ユーザーは?

最後はセグメントの条件指定を「収益」「ヒットごと」「≥」「40000」と指定した場合に、どのユーザーがセグメント対象として選択されるのか見ていこう。

まず4万円以上の購入があったヒットという条件にまず合致したヒットを検索する。するとどのトランザクション(購入)も4万円未満(図6赤枠部分)で対象となるヒットがなかったので、該当のセッションはなし、つまり該当のユーザーもなしということになる。

図6:「ヒットごと」の場合

該当するヒットがある場合は、そのヒットが含まれるセッションが含まれるユーザーの閲覧行動すべてがセグメント対象として抽出される。「ヒット」→「セッション」→「ユーザー」とレベルを上げて、最上位のユーザーまで遡っていくわけだ。

条件指定の単位である「ヒット」「セッション」「ユーザー」をどう見分けるか?

「収益」を条件とする例を解説してきたのだが、このケースは「ユーザー」あるいは「セッション」あるいは「ヒット」単位のいずれの条件なのかが分かりやすい例だった。しかし実際は、条件指定の単位が「ユーザー」なのか「セッション」なのか「ヒット」なのか判別しにくいセグメントが多いのが実情だ。

今回は「ユーザーベース」のセグメントが話の前提になるので、条件指定の単位は「ユーザー」「セッション」「ヒット」の3種類がある。次の2つの例を見てみよう。「参照元」を条件にする設定画面(図7)と「ページ」を条件にする設定画面(図8)だ。

条件指定の単位が「ユーザー」「セッション」「ヒット」のうちのどれに該当するのか、わかるだろうか。

図7:「参照元」を条件にする設定画面
図8:「ページ」を条件にする設定画面

「収益」が条件の場合(図1図2)のように「ユーザーごと」「セッションごと」「ヒットごと」といった選択肢(図1黒枠部分、図2青枠部分)はないが、図7はセッション単位、図8はヒット単位だというのは比較的簡単にわかるのではないだろうか。

図7の条件は「参照元」というディメンションで、これは集客に関係するディメンションなので、セッション単位のディメンションだ。

図8の条件は「ページ」というディメンションで、これは1つ1つのURL閲覧を意味するディメンションなので、ヒット単位のディメンションだ。

では、「セッション」を条件にする場合(図9)、条件指定の単位が「ユーザー」「セッション」「ヒット」のうちのどれに該当するのか、わかるだろうか。

図9:「セッション」を条件にする設定画面

「セッション」(図9赤枠部分)は筆者でも「指標」かな「ディメンション」かなと一瞬迷うが、普通の人は「指標」である「セッション数」のことだと理解するのではないだろうか。

じつはこの「セッション」(図9赤枠部分)は、過去からの累計で何回目の訪問にあたるユーザーなのかを示す「ディメンション」だ。たとえば先月に「過去からの累計で20回目以上の訪問をしたユーザー」を抽出したいといった場合のセグメント条件に使うので、ユーザー単位の条件ということになる。

また、図10の「セッション数」(図10赤枠部分)は、図9の「セッション」(図9赤枠部分)とは違うものだ。

図10:「セッション数」を条件にする設定画面

こちらは集計期間内に何回繰り返し訪問したか、つまり訪問頻度を示す「指標」なので、こちらのセグメント条件もユーザー単位の条件ということになる。

以上のように、条件指定の単位が「ユーザー」「セッション」「ヒット」のどれなのかをひと目で見分けるのは難しいし、すべてを記憶するのは不可能だ。よく分からないときには、ためらわずに検索ボックスのヘルプを活用しよう。

「ヒット」「セッション」「ユーザー」を見分けるには検索ボックスを活用しよう

たとえば、条件元としたい「ディメンション」あるいは「指標」を選択するためのプルダウンにある検索ボックスに「セッション」と入力(図11赤枠部分)して、候補群を表示させたのが図11だ。

図11:検索機能を使ってみた

「セッション時間」は「ディメンション」としても「指標」としても選択肢がある(図11青枠部分)。このように似たような名称が出てきたときは、迷わず項目の右横にある「?」の部分(図11緑枠部分)にマウスオーバーしてみよう。すると右下に説明文が表示され、該当のディメンションあるいは指標の意味が書かれている。

もちろん大した手掛かりにならない場合もある(実際2つある「セッション時間」(図11青枠部分)の説明はまったく同じで、どう違うのかはこれだけではわからない)が、ダメもとでこの機能を使うことをおすすめしたい。大きな間違いを犯すくらいなら、このひと手間を掛けてみよう。

この「ユーザーベース」のセグメントは、絞り込み条件も複雑になるため、間違った指定をしてしまいがちだが、このようなひと手間をかけることで、「ユーザー」あるいは「セッション」あるいは「ヒット」単位のいずれの条件なのかを理解しながら、正しく活用してほしい。


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