企業ホームページ運営の心得

2016年はEC決済革命! フィンテックの熱で変わる決済システム勢力図

2016年のトレンドは? 1年を振り返りつつ、来年のネットトレンドを予想
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の436

歴史的偉業

BERKO85/iStock/Thinkstock

来週は天皇誕生日で祝日ということもあり、今年の小欄は今週で終わり。そこで恒例、1年を振り返りつつ、来年のネットトレンドの大予想。当たるも八卦というよりも、年末年始の雑談ネタとしてお使いください。

今年は、日本インターネット史に残る「五輪エンブレム騒動」がありました。東京五輪のエンブレムに浮かんだ数々の「疑惑」をネットが暴き「白紙撤回」へと追い込みます。いわば「ネット世論」がリアル社会を動かしたのです。

それは「Web 2.0」で喧伝された、ネット上に集まった「みんなの意見」が、最適な答えを導き出すという仮説「集合知」そのもので、その存在が改めて確認された瞬間でもあります。同時に「集合知」を怖れる人々が誕生します。

メディアが怖れる事実

ネット上にストックされた情報の集積である「集合知」によって、ワイドショーにおける知識人の発言や、新聞に寄せた文化人の寄稿について、だれもがネットの前にいながら「検証」できるようになりました。これによって、その場限りの発言は、数日程度の歴史の審判にも耐えられず、事実を都合良くつまみ食いした言説は、徹底的に批判されるようになりました。

「集合知」を怖れるのは、ネットスラングでいう「マスゴミ」の人。しかし、社会全体として見れば、意図的な世論誘導ができなくなり、「健全化」が期待できるということです。これについて踏み込んだ解説を、オピニオン誌『月刊WiLL』の今月号でも発表しております。

一方、昨年末からブレイクすると喧伝されながらも、いまひとつだったのが「ビッグデータ」。なぜなら、現時点では絵にかいたもちレベルだから。膨大なデータを読み解く方法論が確立されていないのです。ビッグデータを「アクセスログ」に置き換えればわかりやすいでしょう。どれだけの宝の山であっても、扱うためのノウハウも技術もないのであれば、使いこなすことはできません

未成年が加わるネット選挙

続いて鬼が笑う話に。来年も「ネット選挙」がやってきます。夏の参院選でも、ネット選挙は話題に上ることでしょうが、次回のホットトピックは「選挙違反」。回を重ねるごとに、選挙におけるネット利用は進んでおり、今年の統一地方選挙では「LINE」の活用事例も確認しています。問題は、来年の参議院選挙から18歳に投票権が与えられることです。

すなわち、社会経験の不足した若者による選挙活動の結果から発生する「選挙違反」への懸念です。さらに、その対策を啓蒙するビジネスが話題を集めることでしょう。いくつか、ワンランク上のWeb担当者に見られるための「ネット選挙基礎知識」を挙げておきます。

  • LINEでの投票呼びかけはOK。メールはアウト
  • ただし、メールでの投票呼びかけは、相手の「送信許可」があればOK
  • 細かな事例については「ケースバイケース」

現時点での総務省見解です。

流れ弾対策はお早めに

次は、Web担当者に「余計な仕事」として押しつけられる可能性があるのが「マイナンバー」。実生活における稼働は、最来年からですが、従業員の「マイナンバー」の管理方法として、クラウド(ストレージも含め)が使われるケースが想定されています。クラウド=Web担当者という流れ弾にあたるリスクは事前に察知して、他部署へ責任転嫁するための理論武装を準備しておくべきでしょう。

来年の本命は政策

最後に、Web担当者の業務に直接的にかかわると考えられるのが「フィンテック」です。フィンテックとは金融と情報技術を組み合わせた新語で、おサイフケータイ、ネット証券、電子会計、ネット決済まで含まれ、わずかでも「カネ」が絡む電子情報は、フィンテックにカウントされています。

だからこそ、来年は大なり小なり、Web担当者の業務に関係してくることでしょう。そして、フィンテックの流れは「政策」なので、外れることのない予言です。

EC革命への期待

首相の諮問(しもん)機関である「金融審議会」は、11月18日の作業部会で、銀行グループにIT関連企業への子会社化も含む出資を認める規制緩和を打ち出しました。「フィンテック(金融テクノロジー)」普及の援護射撃です。

IT大国であるはずの我が国ながら、電子会計などの技術開発は周回遅れで、国内の主要「会計ソフト」ですら、取引細目ごとの「複数税率」に対応しておらず、消費税のさらなる増税の前提条件ともいえる複数の税率が混在する、「軽減税率」に対応できていません。ざっと調べたところ、EC決済システム(ショッピングカート)も似たような状況です。増税は再来年とはいえ、技術者不足は我が国の万年病で、「間に合わない」という状況に先手を打った政策と見ることもできます。

Web担当者がらみでいえば、銀行資本のフィンテック参入によって、EC決済システムの勢力地図が大きく塗り変わるかもしれません。単純な資本の論理によるものではなく、通販の売買履歴を、自動的に会計情報として管理できる経理システムの提供など、ここ十数年、コアな技術としては成長の止まっていたEC決済システムへの「革命」が期待されます。

直接的に活気づくのは、ネット通販関連、税理士、会計士、プログラム開発企業に、技術者の採用サイトなどですが、「フィンテック」を説明するための「オウンドメディア」など含めると、すそ野の拡がりが期待できます。そして「政策に売りなし」とは相場格言。仮にこの年末年始、人生を見つめ「転職」を考えているのなら……よいお年をお迎えください。

今回のポイント

今年はよりネットが生活に密着

来年はフィンテック銘柄、もとい関連が熱い

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