衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

Googleアナリティクスの導入から、運用、活用まで、正式なサポートがない初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

Googleアナリティクスとは/衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

ユーザーにラベルを貼るカスタム変数で、会員と非会員に分けてアクセス状況を調べるには?(第69回)

カスタム変数を使って、各会員種別にユーザーをセグメントし、それぞれの会員種別にデータを分けて分析する方法を説明する。

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eコマースサイトや、メディアサイトでは、登録ユーザーに会員種別を設けていることがある。たとえば、通常会員とプレミアム会員といった種別だ。

しかし、Googleアナリティクスの基本的な機能では、会員の種別のようなユーザー分類を自動的に行って分析することはできない。そこで使える追加機能が「カスタム変数」や「ユーザー定義」だ。

  • カスタム変数」とは、特定のユーザー、特定の訪問、特定のページ閲覧にラベルを貼ることができる機能で、5種類の変数を定義できる。

  • ユーザー定義」は特定のユーザーにラベルを貼る機能で、こちらは1種類しか利用できない。

今回と次回で、カスタム変数とユーザー定義について順次解説していく。

今回は、カスタム変数を使って、会員種別ごとにユーザーをセグメントし、それぞれの会員種別にデータを分けて分析する方法を説明していく。

カスタム変数の計測コードの形式

Googleアナリティクスで解析データにカスタム変数を使うには、次のような記述形式の_setCustomVarメソッドを、トラッキングコードで利用する。

_setCustomVar(index, 'name', 'value', opt_scope);

個別に指定しなければいけないのが赤字部分で、それぞれの意味合いは以下の通りだ。

項目名項目の意味必須か?説明
index番号必須変数を区別する数値になる。1から5までの5つの数値のうち、どれかを指定しなければならない
nameキー必須カスタム変数の名前を表す文字列。カスタム変数レポートのトップレベルで表示される
value必須カスタム変数の値で名前とペアになる文字列。たとえば「name」に性別を表す「sex」を指定した場合、「value」は男性、女性を表す「male」「female」と指定する、といった使い方が考えられる
opt_scopeスコープ任意変数の利用用途を表す。1から3の数字のいずれかを割り当てる。1はユーザーレベル、2はセッションレベル、3はページレベルを意味する。指定しないと3の扱いになる

せっかく使うならユーザーレベルがお薦め

前述したとおり、カスタム変数は、サイト全体で5項目しか設定できない(1~5の番号で区別するため)。

どの単位でアクセスを区別するかは、

  • ユーザーレベル
  • セッション(訪問)レベル
  • ページレベル

という3種類が用意されているが、サイト全体で5項目しか使えないのならば、通常の機能では集計できないユーザーレベル(opt_scope=1)で使うのがよいだろう

具体的な使用例:登録ユーザー種別で分析できるように

今回は、会員登録したユーザーと非会員のユーザーがアクセスするサイトや、登録ユーザーを通常会員とプレミアム会員といった種別で分けているサイトといった場合で考えてみよう。カスタム変数を使って各会員種別にユーザーをセグメントして、それぞれの会員種別にデータを分けてみるのだ。

たとえばカスタム変数を使って、通常会員には「regular」、プレミアム会員には「premium」といった値を付与することで、あとからその値を軸にしてデータを分析できるようになるのだ(非会員ユーザーは特定の値なし)。

問題は、たとえばプレミアム会員がサイトを利用しに訪れたことをどのように認識するかということだ。これはサイトの作り方などによってさまざまなのだが、以下にいくつかの方法を列挙しておく。自分のサイトでできる方法を探ってほしい。

  1. 会員登録時に各会員種別に排他的に通過するページに、カスタム変数を固定で実装する
  2. 各会員種別に訪問時に必ず排他的に通過するページに、カスタム変数を固定で実装する
  3. 訪問のたび、会員種別情報を判断し、カスタム変数を動的に実装する

Aのケースは、サイト公開と同時にGoogleアナリティクスを実装できたようなケースでは簡易にできる手法だが、途中からGoogleアナリティクスで計測を始めた場合は、この方法は中途半端だ。カスタム変数を実装した後の新規会員登録から、わかる範囲で会員種別を区別したいという精度でよいなら、この方法でもよいだろう。ただし、会社と家庭の両方からアクセスする人はうまく判断できないし、ユーザー登録後にブラウザを変更した場合にもうまく分類できなくなる。

Bのケースも排他的に特定のページを必ず踏むのであれば、この方法の実装が楽だが、おそらくこのような面倒なことをさせるケースは少ないだろう。強制的に定期的に会員情報を更新させるような仕組みであれば、ある程度の期間があれば、カスタム変数が正しく付与される可能性は高くなる。

Cのケースは、各サイトの事情に応じてプログラミングすることが必要になる。たとえばクッキーにためているユニークIDと会員種別情報をマッチングさせて、会員種別に応じて動的にトラッキングコードを生成するといった面倒な仕掛けが必要になる。

トラッキングコードの例

トラッキングコードのカスタマイズの方法については、以前の記事で解説した。

繰り返しになるが、2つの方法を紹介しておく。

(1)通常のトラッキングコードとセットに記述してカスタム変数をセットする方法

以下のソースコードの赤字部分が、追記でカスタム変数を指定する記述だ。

_gaq.push(['_setAccount', 'UA-XXXXXXX-Y']);
_gaq.push(['_setCustomVar', 2, 'member', 'regular', 1]);
_gaq.push(['_trackPageview']);

上記ABの場合に適用できる方法で、ページに固定でトラッキングコードを記述することになるので、通常のトラッキングコードとセットに記述しておくとよいだろう。上記の例では、2番のカスタム変数を使い、「member」というキー、「regular」という値で、ユーザーレベルでラベルを付けるということを意味する。

(2)イベントハンドラと同時に、あるいは動的に生成させるため、任意の場所に実装するようになる場合

標準のトラッキングコードは普通に実装し、その上で、何かのイベントハンドラなどのイベントトラッキングとセットで、下記のトラッキングコードを実装すればよい。1行目がカスタム変数、2行目がイベントトラッキングである。

_gaq.push(['_setCustomVar', 2, 'member', 'regular', 1]);
_gaq.push(['_trackEvent', 'category', 'action', 'label', , true]);

もし、文書の読み込みを完了させてから処理を行わせるonload、あるいはイベントトラッキングで解説したように何かの行動時に処理させたいなら、onclickなどのイベントハンドラを絡めて記述しよう。

筆者の『ユニバーサルアナリティクス版Googleアナリティクス完全マニュアル(PDF)』が発行されました。

筆者が講義を行うGoogle アナリティクス徹底講座も、定期的に開催しています。 → Google アナリティクス ゼミナール

用語集
Googleアナリティクス / UA / クッキー / グローバルナビゲーション / セッション / ダウンロード / リンク / 訪問

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