誰もが受けたい!アクセス解析5分クリニック

Googleアナリティクスの画面で、どの数値を改善すれば成約数が伸びるでしょうか?

「どの数値を改善すればいいのか?」という漠然とした質問に、どう答えるべきか?
誰もが受けたい!アクセス解析5分クリニック
丸山先生
医者:丸山先生(35歳・男)
当クリニックの代表。
来栖あきら
研修医:来栖あきら(25歳・男)
イケメンの研修医。
綾瀬ゆい
研修医:綾瀬ゆい(25歳・女)
優しい天然ボケの研修医。

ここ「アクセス解析5分クリニック」には、Webサイトについてさまざまな悩みを抱えた患者が、毎日のようにやってくる。研修医の来栖と綾瀬はデコボココンビだが、院長の丸山先生がとにかく名医。たった5分ですべての悩みを解決する!というのだ……。(登場人物紹介を詳しく見る

今回のお悩み
Googleアナリティクスの画面で、どの数値を改善すれば成約数が伸びるでしょうか?

本当の悩みは?

先週、お客さんにサイトの施策を説明してたの。そしたら「概要はわかりました。で、結局どの数値を改善すれば申し込みが増えるのですか?」と聞かれたから、私は「成約率を上げると申し込みが増えますよ」って答えたんだけど、お客さんは混乱しちゃって……。

なんでだろう? 成約率を上げれば申し込みが増えるよね? それがわからない人だとすると、それ以上の説明のしようがなくても当然だと思うよ。

でも、「どの数値を改善すればいいのか?」って、いろいろな人から聞かれるでしょ? うまく答える方法を知りたいわ。

「どの数値を改善すればいいのか?」という、質問は確かに漠然としているね。でも、おそらく、その質問をした人は、必ずしも「改善に直接つながる数値」を教えてほしいわけじゃない。「改善のとっかかり」を知りたかったんじゃないかな。

では「サイトのデザインを修正して、リスティング広告を出すべきだ」という話をすればよかったでしょうか?

いや、そういう具体策をいきなり知りたいのではなくて、現在のサイトの悪いところを知り、根拠を持って対策をしたいということなんだと思う。たとえば、そのお客さんの場合、アクセス解析から綾瀬さんなりに見えてきたことがあったんだろう?

はい。サイトのアクセス数が月間1000未満と少なかったのと、集客キーワードごとの直帰率が高かったので……。おそらく、正しい集客ができていないのと、ランディングページのデザイン改善が必要だと思いました。

そういうことを知りたいんだよ。質問は、そのまま真に受けずに、本当の悩みを考えながら聴くといいよ。

なるほど。私は真正直に答えてしまったので、お客さんが混乱したのですね。

改善のとっかかりは3つ

「どの数値を改善すればいいのか?」と聞いてくる人が本当に知りたいのは、「改善のとっかかり」だ。今まで手当たり次第に改善策をやってきたけど、うまくいかないので不安になっている可能性があるね。そこでまず、以下3つをシンプルに実行しよう。

  1. アクセス解析からサイトの現状を知る
  2. 現状を把握して仮説を立てる
  3. 施策で変化した数値をチェックする

1.アクセス解析からサイトの現状を知る

まずは、アクセス解析からサイトの現状を知ろう。綾瀬さんが捉えた現状の問題点は何だっけ?

「アクセス数が1000未満と少ないこと」と、「直帰率が高いこと」ですね。

そうだね。ここで多くの人が悩むのが、自分のなかで基準値がないことだ。つまり、綾瀬さんのように画面上の数値を見ても、それが高いのか低いのか、わからないんだね。ここは経験を積むしかないけど、以下のシンプルな公式を知ることで、わかることもある。

【判断基準となる公式】
アクセス数 × 成約率 = 申し込み数

一般的なサイトで考えると、成約率は0.5%~5%が多い。仮に、サイトの成約率を1%だとすると、10の申し込みを得るには、サイトのアクセス数が1000以上ある必要が出てくる。これは1つの判断基準になるよね。

他の基準値については、以前の連載のなかで触れたから、忘れた人はぜひ読んでおこう。

2.現状を把握して仮説を立てる

次は仮説だ。綾瀬さんが導き出した仮説は何だっけ?

まず、「目標の申し込み数を得るにはアクセス数が少ないので、リスティング広告を使うべき」ということですね。

綾瀬さんの仮説は、経験則が入っていて、説明がちょっと抜けているね。段階を踏んでワンステップずつ解説すると、以下のようになると思う。

アクセス数に関する仮説

仮に成約率1%とした場合、目標とした申し込み数を得るには、アクセス数が少なすぎる。

したがって、アクセス数を増やす必要がある。

とはいえ、見込み客以外のアクセスを1万人集めても、成約することは難しいだろう。

見込み客を効率的に集める方法を検討する必要がある。

時間が優先される本案件では、SEOで時間をかけるよりも、リスティング広告を使って集めたほうがよい。

ここまで説明すると、お客さんとしても納得がいく。もしくは、他の案を思いつくかもしれない。

ついつい、結論から話していましたけど、確かに私の思い込みも入っていますね。

もう1つの「直帰率が高かったので、ランディングページのデザインを見直す」というのも、少し経験則で話しているね。なるべく現状のデータをたくさん集めて、仮説の精度を上げたほうがいいよ。

仮説を立てるときは、自分でも自信が持てるくらい、現状のデータを集めるのがポイントだからね。

3.施策で変化した数値をチェックする

ここまで来たら、あとは簡単だ。綾瀬さんの仮説どおりに施策をしたとして、正しかったかどうかは、どの数値に表れるかな?

アクセス数が増えたかどうかは、文字どおりアクセス数のレポートを見ればいいですよね。直帰率が減ったかどうかも、直帰率が減ったかどうか見ればよいはずです。

そうだね。あとは「キーワードグループごとの直帰率を見てみたい」と言うならそれをチェックしてもよい。当然、成約率アップを狙った施策なのだから、成約率の変化もウォッチしておきたいね。

そうですね。

仮説を立てて実行したら、その結果はウォッチしていこう。先に考えておけば、どの数値が変化しそうか目星もつくし、簡単だよね。

ところで、もし万が一、仮説どおりにうまくいかなかったらどうすればいいのですか?

それは「仮説が間違っていた」ということだ。しかも、そういうことはよくあるよ。ただそれは、「前向きな失敗」であり、むしろ大成功かもしれない。検証で得た結果を次に活かすことができるからね。

大切なのは「まず考える」。つまり仮説を立ててやってみる、ということなんだ。それで得た結果は、成功であれ失敗であれ、次の一手を打つための大きな財産になるよ。

まとめ

「どの数値を改善すればいいのか?」。この質問をする人は、本当は「まず、これだけをやれ!」という改善のとっかかりを望んでいるはずだ。

ところが、まず何をしなければいけないのかは、案件ごとに異なる。仮にもしそれが簡単にアクセス解析から導き出せるなら、誰もが成功して億万長者になれるのだけど、残念ながらそういう魔法は存在しないんだ。

一方で、やることは意外にシンプルだ。まず、今何をしなければいけないのか、明確にしよう。

そのためには、「現状を知り」「仮説を立て」「施策で変化した数値をチェックする」という3つのステップを行うことが大切だ。

多くの人が、サイトの現状を知るところで困っていると思うけど、それは画面が難しかったり、あまりに難しく考えすぎていたりするからかもしれない。いくつかのシンプルな公式や基準値を知ることで、とっかかりを掴めば、あとは自動的にいろいろ思い浮かぶことがあるんだ。

改めての紹介になるけれども、今回紹介した公式とともに、以下の記事も参考にしてほしい。

現状を知ることができれば、自分なりに仮説が立てられる。そうすれば、今までの手探りの状態から離れて、自信を持って施策を打てるようになる。こうして、「仮説→検証→仮説→検証……」という流れができる。つまりアクセス解析で大切だと言われる、PDCAサイクルが生まれるんだ。ぜひ、難しく考えずに、アクセス解析を使いこなしていこう。

今日の処方箋

お悩みGoogleアナリティクスの画面で、どの数値を改善すれば成約数が伸びるでしょうか?

アドバイスどの数値を改善すべきかは、案件ごとに異なりますし、改善しなくてもいい場合もあります。しかし、もともと知りたいことは「今、何をすべきか?」ということではないですか?

それなら、やることは意外にシンプルです。以下3ステップで進めていきましょう。

  1. アクセス解析からサイトの現状を知る
  2. 現状を把握して仮説を立てる
  3. 施策で変化した数値をチェックする
  1. 12【2分】 アクセス解析からサイトの現状を知る

    まずは以下の公式を埋めてみましょう。

    【判断基準となる公式】
    アクセス数 × 成約率 = 申し込み数

    アクセス数と申し込み数から、現在の成約率がわかると思います。一般的なサイトの成約率は0.5%~5%が多いです。それと比べて、成約率が高いか低いかを判断してみましょう。

  2. 34【2分】 現状を把握して仮説を立てる

    分析した現状から、なぜそのような状況になっているのか、もしくは次に何をすべきかを考えてみましょう。

    この作業をしていると、もっとデータが欲しくなることが多いと思います。そうなれば、あなたは確実に上達していますので、良い傾向です。

    欲しいデータの取得方法は、Googleアナリティクスのヘルプを見たり、Google検索したりすると出てくることが多いので、確認しながら進みましょう。

  3. 5【1分】 施策で変化した数値をチェックする

    仮説どおりに施策したとして、変化する数値を考えてみます。たとえば、集客対策をするならば、アクセス数のレポートが変化するはずです。

    そうやって、施策後に確認すべきレポートを、なるべくしっかり考えてみてください。PDCAサイクルが回り始めます。

※キャラクターイラスト(来栖、綾瀬):「コミPo!」にて制作

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