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スケーラブルなホワイトハット的リンクビルディング――良質なコンテンツを大量に生産する(後編)

単なるコンテンツの大量生産ではなく、「良質な」コンテンツを大量に生産するための方法

この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。前編では「スケーラブルなコンテンツ」を解説した。後編となる今回は、単なるコンテンツの大量生産ではなく、「良質な」コンテンツを大量に生産するための方法を考察する。

良質なコンテンツを生産するためには

前編ではDemand Mediaから「スケーラブルなコンテンツ」について学んだんだが、なにもこうしたサイトを模倣しようっていう話をしているわけじゃない。特に、リンクビルディングに役立つコンテンツを作るなら、ハードルは若干高くなる。

ちょっと調べてみたところ、1つのコンテンツが獲得する被リンクの数を平均して比べると、Demand MediaはBBCやNew York Timesの1割に満たないことがわかった。詳細については、今度のカンファレンスで紹介するつもりだ。

ネアンデルタール人に関するBBCの記事
たとえば「ネアンデルタール人が野菜を調理して食べていた」というBBCの記事には、4000近いユニークドメイン名からリンクが張られている。大量生産コンテンツではこうはいかないだろう

さて、ハードルを上げる必要があるのはわかるけど、問題は「どうやって?」ということだ。

僕の考えでは、以下のような感じだ。

  • 優秀なライターだけを採用する
  • プロセスの途中、複数の段階で品質管理を行う
  • 自動化できるものは自動化する
  • リンケラティが本当に求めているものに基づき、発注量を増やせるシステムを構築する
  • こわがらずに規模を拡大する

僕がこういうことについて考えてきたのは、プレゼンテーション資料を書くためだけではなく、僕らがプロセスとシステム、ライターたちのネットワークを築き上げて、この手のサービスを規模拡大できるようにしてきたからでもある。続いては、上で列挙した項目のいくつかについて、僕なりの考え方を詳しく説明してみよう。

優秀なライターだけを採用する

僕らのチームは優秀なライター陣を抱えている(と僕は思う)けど、規模の拡大についての議論を始めると、必ずしもフルタイムの専従ライターを雇うという話にはならない。

この件に関して僕がいつも言っているのは、この手の仕事をする場合、ライターたちにとっての「モデル事務所」のようなものでありたいということだ。よくあるライティングサービスの多くは、どちらかと言えばマーケットプレイスに近いものだと思う。でも、僕らはもっとモデル事務所のような役割を担いたいんだ。モデル事務所は、だれとでも契約するわけではない。そこには、優れた容姿と、成功に至る姿勢やスキルが備わっていることを見極める選考プロセスがある。僕らが求めているのも、単に文を並べられる人ではなく、言葉で何かを伝えることのできる人なんだ。

これはコスト部分に大きく影響する。Demand Mediaが支払っている程度の報酬では絶対に実現不可能だ。その何倍もの報酬(フリージャーナリストが多くの場合に貰う相場)を出すことにより、僕らが目指す人選と環境を実現できる(たまたまこれを読んでいる君がまさに書き手として適任だと思うなら、ぜひこのフォームから応募してほしい)。

品質管理

「モデル事務所」方式の利点は、プロセスの初期段階において、原稿ではなくライターに対してかなりの品質管理を行えるところだ。信頼できるスキルを持ったライターがいれば、品質管理も大幅に簡略化できる。著名なジャーナリストなら実力は実証済みだが、それでも品質管理を完全に省略すべきではない。僕らは品質管理には次の3種類があると考えている。

  1. 自動化されたもの(下記参照)

  2. 別のライターによる「セカンドオピニオン」

  3. 専任の編集者またはコンサルタント(または場合により、クライアント)による内容の検討

自動化

このプロセスにおいて僕らが利用している品質管理ツールの多くは、サードパーティのAPIを使ったもので、比較的複雑な作業を簡略化してくれる。Googleドキュメントでのドキュメント作成において、すでにワークフローは整っているし、盗作チェックの仕組みや、一定の自動化もできた。僕らが計画しているのは以下のとおりだ。

  • 資質のあるライターが自分の書きたいテーマを選択する機能

  • ワークフローや承認プロセスに基づくGoogleドキュメントの共有

また、将来的には次のような自動化も実現できるかもしれない。

  • 付加的な品質チェック(誤字脱字、文章の難易度など)

  • コンサルタント向けの見出し提案/推敲ツール

  • ライター向けのリソース提案機能(有用なリンク、Zemanta流のサービス、画像、動画など)
    2010年の「SEOmoz Pro Training」でトム・クリッチローがこうした話題に触れている

  • プロセスや締め切りの通知および警告の改善

  • テキスト化などの追加サービス

発注量を増やす

今のところ、これは恐らく、僕らのシステムのなかでもっとも疎かにされている部分だろう。ほぼ完全な自動化が進んでいると思われるDemand Mediaのシステムとは対照的に、僕らはまだ、(クライアントやライターと共に)コンサルタントを雇って、具体的なコンテンツの執筆に関して提案や決定を任せている段階にある。

僕らの作業スピードや質を高める手助けになるような、創造的なアイデア(それに、すでに存在するツール)があれば、ぜひ教えてほしい。

規模を拡大する

コンテンツのスケーリングをどのように実現するかを考え始めたとき、最初に考えたことの1つは、もう何十年もコンテンツのスケーリングをやってきた業界のやり方を見習うということだ。ニュース関連企業は、次のような作業に必要とされるシステムやプロセスを洗練させてきた。

  • 多様なソースからアイデアを集める
  • 社内とフリーランスの両方のライターを使って文章を作成する
  • 品質管理を行う
  • 人目を引く見出しを書く

達人たちから学べる知恵をいくつか挙げてみよう(僕の妻はジャーナリストで、彼女のチームを通じてとりわけ感銘を受けたものをいくつか紹介したい)。

  • 品質管理をうまくやれる人たちは、多くの場合、見出しを書くのも上手だ(彼らはコピーエディター[記事の校正などを担当する編集者]やサブエディターなどと呼ばれている)。

  • 信頼できるフリーランスのライターたちによるチームがあれば、核となるチームが少人数でも、大量の高品質な記事を管理できる。

  • 文章を書く人は、テーマを決める人や見出しを書く人と、必ずしも同一人部である必要はない(むろん、後者の2つも同一人物である必要はない)。

このように、ジャーナリストから僕らが学ぶ点は多い。とはいえ、逆に、ウェブアプリ関連のエンジニアからジャーナリストが学べることもあると確信している。

  • バージョン管理 ―― 僕が仕様として最初に組み込んだものの1つは、原稿に対して誰が、そしていつ、変更を加えたのかわかるようにする仕組みだった。この簡単な(WordやGoogleドキュメントのようなおなじみのソフトウェアに存在する)機能が、ニュース編集の世界では標準となっていないことを知って、僕はびっくりした。確かに採り入れているところもあるだろうけれど、外部のライターから入稿された初稿のままのテキストや誰のチェックも入っていないWord文書が、システムに送り込まれて、それがページレイアウトの段階まで放置されているなんてことがよくある。この点について、多くの組織はすべてをオフラインで、紙媒体だけで作業しているんだ。

  • プロジェクト管理アプリケーション ―― 同様の理由で、すべてが今システムのどの段階にあるのかを管理する、エンドツーエンドシステムが往々にして欠けている。システムに採り入れたいと考えているものの1つは、すべての関係者がすべてのステータスを確認できるような、シンプルな方法だ。僕が思い描いているのは以下のとおり。

    • エディターやオーナーはすべての未処理のジョブを確認できる
    • 各ライターは専用のダッシュボードを持ち、現在作業中のジョブを確認できる
    • コンサルタントは各プロジェクトのダッシュボードを持つ
    • 経理は全体および個々のプロジェクトに関する支出についてレポートを参照できる

これらがすべて揃っているか?

手短に言えば、答えは「ノー」だ。僕の役目は、最近は主として研究開発を行うことだし、これまでに述べてきた多くのことは、Distilledではまだ研究か開発の段階にある。でも、大半は具体化の段階にあるし、僕らのプロジェクトやコンサルタントにとって有益であることを示す最初の兆候も見えている。

僕らは今までのところ、月に1万ドル以上をシステムに費やしていて、まあまあ最小限の管理だけで順調に稼働している。次の段階は、社内管理要件をもっと軽くことだけど、これまでの状況には満足している。

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