アップルとマイクロソフトが採用をはじめた“モバイルファースト”とは?

サイト制作に限ったものではなく、ビジネス戦略においても重要な考え方
「モバイルファースト」などを解説するセミナーイベントが7月2日に開催されます:
~スマートフォンやタブレット進出で変わる~
モバイルサイト制作に見る、次世代ウェブのカタチ「One Web」

アップルとマイクロソフトが採用をはじめた“モバイルファースト”とは?

「モバイルファースト」という言葉をご存知でしょうか? これは、グーグル、Facebook、アドビが採用を始めたコンセプトで、最近ではアップルやマイクロソフトも採用し始めているコンセプトです。

「モバイルファースト」というコンセプトは読んで字の如く、Webサイトを作る際に、まずモバイルサイトから作成するというものです。また、サイト制作に限ったものではなく、ビジネス戦略においても、存在が大きくなっているモバイルから考えることは重要な意味を持ちます。また言葉を言い換えれば、モバイルとデスクトップという境がなくなってるとも言えます。

この一見、単純なコンセプトが世界の名だたる企業に採用される理由を考えてみましょう。

モバイルファーストが採用される3つの理由

モバイルファーストが採用される大きな3つの理由をまず知っておきましょう。

  1. モバイル市場の急成長
  2. コンテンツのフォーカスが高まる
  3. イノベーションの利用

1. モバイル市場の急成長

2011年に入り、日本のスマートフォンをはじめとするモバイルマーケット市場の成長は凄まじいものがあります。携帯キャリアのスマートフォン攻勢を見ても成長していると理解するのは難しくありません。

MM総研では、日本市場のスマートフォン出荷台数比率は今年中に前年比2.1倍の約50%弱へ驚異的に成長すると予測しています。

2. 制限によりコンテンツのフォーカスが高まる

スマートフォンの画面サイズはデスクトップに比べて小さく、自然と入る情報量は制限されます。

スマートフォンのスクリーンサイズは小さい

モバイルでは、「余分」なスペースがあるから何かしらの情報を追加しようなどと考えることはできません。Google Analytics などを利用してコンテンツのクリック率を確認し、ユーザーが必要としている情報のみを選ばなければなりません。

その結果、ユーザーにとって本当に重要な情報は何かということが浮き上がり、コンテンツはスリムに徹底的に絞り上げられます。

また、デスクトップよりも通信速度が(比較的)遅いモバイル環境では、無駄なコンテンツがサイトにあるとページの読み込み時間が長くなってしまうため、必然的にユーザーにとって重要な情報にフォーカスされていきます。

3. イノベーションの利用

このポイントは最後に挙げていますが、実は最もわかりやすく、よく実践されているものです。モバイルでは、デスクトップにない「タッチパネル」「画面回転」「位置情報取得」などの機能が実装されている場合が多く、これらの機能を利用して斬新なサービスがうまれています。

たとえば、iPhoneなどのスマートフォンには「オリエンテーション(画面回転)機能」が搭載されています。しかし、こうした機能を搭載しているデスクトップPCは数多くありません。逆に、たとえば「litl」のように「オリエンテーション機能」を搭載するPC(ノートパソコン型)が出てくることで、置き方などに多彩なオプションがうまれ、ユニークな利用シーンが生まれる流れもでてきています。

アップル に見る 3つの「モバイルファースト」

1つ目「OSのダウンロード販売」

アップルの 開発者向けカンファレンスWWDC(World Wide Developer Conference)では、次期OSの「Lion(ライオン)」の販売方法がダウンロードのみになることが発表されました。ダウンロード販売は、iPhoneやiPad OSのアップデート、そしてアプリの販売と同じ方法です。

iPhoneやiPadのiOSですでに採用した販売方法をOS販売に適用することで、アップルは流通コストを削減したり、販売数をリアルタイムで監視したり、在庫切れの機会損失を回避したり、ディスクの生産にかかるコストを削減したりなど、ビジネス上の大きなメリットを受ける事ができるのかもしれません。

「モバイルファースト」を採用し、iOSで行ってきたことをMac OS Xでも行う。ビジネスの手法までも、モバイルと同じ方法を踏襲することで市場での競争力を高めていると考えられます。

2つ目「タッチパッド」

次に OSX のタッチパッド、まさに「イノベーションの利用」で iPhone や iPad ですでに利用されているタッチパッドのUXをそのまま デスクトップに持ち込んでいます。これも「イノベーションの利用」でしょう。

下記の アップル が作成したビデオでは、「ピンチイン(縮小)」「ピンチアウト(拡大)」を Mac Book Pro (マックブックプロ)で行っている様子が紹介されています。トラックパッドをなでることで、iPhone のように画面がスリップする機能を搭載しているのです。

3つ目「Launchpad」

アップル が「Lion」で発表した「Launchpad」は、iPad の Lauchpadそのものです。アプリケーションを、下の画面のドックではなく、「フルスクリーンビュー」という画面一杯にひろがった アプリケーションアイコンから選ぶことができます。

マイクロソフトも 次期OS Windows 8 で「モバイルファースト」へ

マイクロソフトの次期OSである、Windows 8 のUIが一部公開されました。このユーザーインターフェイスは非常に特徴的で、パネルが並んでいるようにも見えます。

このユーザーインターフェイスは7月以降に発売予定の マイクロソフトのスマートフォンOS Window Mobile Phone 7 のユーザーインターフェイス(Metro UI)と同じです。アップルと同じくアプリケーションをスクリーン一杯に表示します。これは「モバイルファースト」の「イノベーションの利用」です。

Web担当者とモバイルファーストの実践

日本でも近い将来にモバイルマーケットがさらに成長すれば、デスクトップよりもモバイルがユーザーにアプローチできるデバイスになり「モバイルファースト」が浸透していくでしょう。

このときに、Web担当者は常にユーザーのコンテンツの利用をアクセス解析ツールなどを利用してチェックし、ユーザーが必要としているコンテンツを考えなければなりません。また、新たなコンテンツを追加するときには、本当にモバイル環境下で必要なコンテンツなのかを考える必要があります。延々とつづくような機能紹介やコンセプトの紹介文などは、モバイルのユーザーには必要ないコンテンツです。

Web担当者さんには、モバイルファーストを、自身が管理するウェブサイトなどで早くから試すことをオススメします。

ユーザーが必要とするコンテンツを解析ツールのクリック率などから探し出し、モバイルでのUIやテキストの体裁を考えてみましょう。コンテンツをモバイル用に簡潔に提供するということは意外と難しく、必ず新しい発見があります。

モバイルデバイスは思ったよりも早く私たちの身の周りに溢れてきています。

「モバイルファースト」などを解説するセミナーイベントを7月2日に開催します:
~スマートフォンやタブレット進出で変わる~
モバイルサイト制作に見る、次世代ウェブのカタチ「One Web」

詳しくは:http://swapskills.info/2011/doubbble01.html

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