2018年、デジタル広告費がテレビ広告費をついに追い抜く【電通調べ】

中国・ロシア等の成長鈍化が影響し2019年は厳しい状況を迎えると予測。

電通の海外本社である電通イージス・ネットワーク(DAN)は、「世界の広告費成長率予測」(2019年6月改定)を発表した。電通イージス・ネットワークは、59カ国・地域の広告費の成長率を分析・推計して、年2回公表している。対象媒体は、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、映画館(シネアド)、屋外/交通、デジタルが中心。今回は2018年実績の確定と、2019年・2020年予測の改定が行われた。

世界の広告費、2019年は厳しい状況に

それによると、2018年の世界の広告費成長率(実績)は4.3%。2019年の世界の広告費成長率(予測)は3.6%に落ち込むと予測された。世界情勢の不透明さが経済にも影響しているほか、中国・ロシアなどの成長減速が見込まれており、前回(2019年1月)予測の3.8%を3.6%に引き下げた形だ。

ただし、デジタルが広告市場の成長を後押し。インド・ブラジル・英国・カナダなども高成長率で好調を続けており、2020年には成長率4.1%まで回復すると予測されている。

デジタル広告費がテレビ広告費をついに追い抜く

デジタル広告に限ると、2018年のデジタル広告費の成長率(実績)は、14.9%。2019年の成長率(予測)は、前回予測11.5%より上昇し12.0%、2020年も前回予測10.8%より上昇し11.0%と、二桁成長を維持する予測だ。

国・地域別の成長率予測

4マス媒体は、ラジオ以外の新聞・テレビ・雑誌はマイナス成長となっており、この状況は2019年も変わらない。2020年にテレビがプラス成長に回復するが、全体的に厳しい予測がされている。

一方デジタルは、世界の総広告費に占めるデジタル広告費のシェアは、2018年実績が39.0%で、初めてテレビ広告費の34.9%を上回った。オンライン動画広告とソーシャルメディア広告が、市場成長を牽引。とくにモバイルデバイス自体の普及成長率が21.4%と大きく寄与した。

この勢いは変わらず、2019年に41.8%、2020年に44.5%まで、デジタル広告費のシェアが拡大すると予測された。また対象59カ国・地域のうち、2019年には26カ国・地域における媒体別広告費の構成比で、デジタルがトップになる見込みだという。

媒体別成長率予測(全世界)
媒体別のシェア予測(全世界)

日本市場は、予想を大きく上回る成長を見せる

日本市場については、2018年の広告費成長率は、前回予測0.2%を大きく上回り、実績値2.2%と上昇した。デジタルの運用型広告が想定を上回るペースで伸長したこと、マス4媒体社がデジタル広告を追加したことなどが要因と見られる。

このため2019年の広告費成長率は、前回予測の0.6%から上方修正され、1.2%で堅調成長すると予測されている。デジタル広告は運用型広告を中心に14.5%の成長を予測。とくにモバイル(21.2%)、オンライン動画(29.2%)、マス4媒体社が提供するデジタル広告が成長を牽引する見込み。2020年も、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の好影響で、2019年を上回る1.8%の成長率が予測されている。

調査概要

  • 【調査対象】59カ国・地域
  • 【対象媒体】テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、映画館(シネアド)、屋外/交通、デジタル。日本の広告市場のみ、その他媒体(折込、DM、フリーペーパー/フリーマガジン、POP等)の広告費が含まれるため、媒体別シェア予測では、それらを除外した数値を用いている。
  • 【調査内容】年2回、改定と新規予測を実施。
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