日本のメディア接触状況調査:性・年代ごとのリーチとアフィニティを分析【SPI調べ】

SPIは日本におけるメディアハビット(メディア媒体別接触状況)について自社パネルをもとに分析を行った。

エスピーアイ(以下「SPI」)は、自社で保有する消費者インサイト調査ツール「SCS(エスピーアイ・コンシューマー・サーベイ)」を活用し、日本におけるメディアハビット分析(メディア媒体別接触状況)を行った。

メディアへの接触状況をメディア/タッチポイント別にweekly-reach(1週間以内に1回以上接触したか否か)で調査。個人全体の他、代表的な7つの性年齢セグメントについて、リーチ(広がり)とアフィニティ(親和性)の観点から分析している。

個人全体: 「PC/タブレットからネット」「テレビ」が90%以上へリーチ

個人全体(7,005サンプル。日本全国の15〜64歳。2015年国勢調査結果をベースに割り付け)でのメディア接触状況を見ると、「パソコンやタブレットからインターネットを使う」が96%、「テレビを見る」が93%。「携帯電話/スマホからインターネットを使う」は77%となった。

ラジオも41%となり、新聞全国紙、新聞地方紙、雑誌を上回っている。SPIは「ラジコ等デバイス面での進化や“地域密着・自由な雰囲気”が新しい時代にマッチしてきていると考えられる」と解説している。

インターネット利用の中身(グラフ右側の4項目)を見ると、「検索エンジン」を90%となり、SNS(60%)や動画(55%)を上回った。

性・年代別: メディアの広がりと親和性をチェック

次項より性・年代別の分析を紹介する。ここではリーチ(Reach)とアフィニティ(Affinity)の2指標から分析されている。

  1. リーチ: 広がり。全体を100%とした時の各ターゲットへの到達率
  2. アフィニティ: 親和性。各ターゲットのリーチ÷全体リーチ

各メディアは上記2指標の高低により4象限に分類されるが、それぞれの象限は以下のような特徴を持つ。

  • リーチとアフィニティのどちらも高い: 広がりがあり、かつターゲットに深く刺さる、適切なメディア
  • リーチだけが高い: 広がりはあるがターゲットにあまり刺さらない
  • アフィニティだけが高い: ターゲットに深く強く刺さるがリーチが広がらない
  • リーチとアフィニティのどちらも低い: 広がらずターゲットに深く刺さらない、弱いメディア

10代(Teen)

  • リーチとアフィニティのどちらも高い: 携帯スマホからのインターネット、動画配信サービス、SNS
  • リーチだけが高い: テレビ、PCタブレットからのインターネット、検索エンジン
  • アフィニティだけが高い: 電車地下鉄、バス、音楽系イベント

【SPIコメント】

「携帯スマホからのインターネット、動画配信サービス、SNS」を軸に据えつつ、テレビでリーチを広げ、「通学時接触想定の列車とバス、音楽系イベント」でより10代のライフスタイルや価値観に特化したメッセージを出していくのがポイントかと思われます。

男性20歳~34歳(M1)

  • リーチとアフィニティのどちらも高い: 携帯スマホからのインターネット、動画配信サービス
  • リーチだけが高い: テレビ、PCタブレットからのインターネット、検索エンジン
  • アフィニティだけが高い: スポーツ系イベント、音楽系イベント、映画鑑賞、空港、電車地下鉄

【SPIコメント】

「リーチとアフィニティ両方高い=携帯スマホからのインターネット、動画配信サービス」ではあるものそれほど際立ってはおらず、リーチとアフィニティメディアがハッキリ別れてしまい、やはり戦略によって丁寧なメディア選択と組み合わせがキーと言えそうです。

男性35歳~49歳(M2)

  • リーチとアフィニティのどちらも高い: 検索エンジン
  • リーチだけが高い: テレビ、PCタブレットからのインターネット
  • アフィニティだけが高い: ラジオ、タクシー、空港、スポーツ系イベント(雑誌、新聞、動画配信サービスもまずまず)

【SPIコメント】

検索エンジン関係を必須にして、リーチをテレビとインターネットで広げ、「ラジオ、タクシー、空港、スポーツ系イベント(雑誌、新聞、動画配信サービスも)」の中から戦略に適切なタッチポイントを選んでよりM35-49に適したコミュニケーションを行いエンゲージメントを高める、のがよいと考えられます。

男性50歳~64歳(M3)

  • リーチとアフィニティのどちらも高い: なし
  • リーチだけが高い: テレビ、PCタブレットからのインターネット、検索エンジン
  • アフィニティだけが高い: 新聞、ラジオ、タクシー、空港(雑誌とスポーツインベントもまずまず)

【SPIコメント】

10代とM1・M2で上位のインターネットや携帯スマホ関連は検索エンジン以外はリーチ、アフィニティともに上位には来ず、旧来マスメディアでほぼ問題なくコミュニケーションできる。特に新聞とラジオが強い。

女性20歳~34歳(F1)

  • リーチとアフィニティのどちらも高い: 携帯スマホからのインターネット、SNS
  • リーチだけが高い: テレビ、PCタブレットからのインターネット、検索エンジン
  • アフィニティだけが高い: 映画鑑賞、音楽イベント、ブログ

【SPIコメント】

「携帯スマホからのインターネット、SNS」はリーチとアフィニティともに極めて高く、マーケティング上完全必須アイテムと言わざるを得ません。リーチを広げる必要がなければ、これに「映画鑑賞、音楽イベント、ブログ」周りでさらに彼女らに共感度の高いコミュニケーションを図ることで、有効なマーケティングが達成できるのではないでしょうか。

最重要マーケティングターゲットであるからこそ、もちろんリーチのためには最小限テレビも必要でしょうが、それ以上に親和性とエンゲージメントの最大化に向けてアフィニティの高いメディアでの丁寧なコミュニケーションが望まれます。

女性35歳~49歳(F2)

  • リーチとアフィニティのどちらも高い: テレビ、PCタブレットからのインターネット、検索エンジン
  • リーチだけが高い: なし
  • アフィニティだけが高い: ブログ、携帯電話からのインターネット、芸術文化系イベント

【SPIコメント】

この層においては、リーチが高いメディア=アフィニティも高い、という特徴があります。テレビと王道のインターネット関連を基本通り使用すればかなりの接触効果が期待でき、スパイス的にブログや芸術文化系イベントの活用を検討、という方向で外れのないマーケティングが実施できそうです。逆に言えば、メディア戦略では競合との差が出難く、物量勝負に持ち込まれるということになりがちとも考えられるでしょう。

女性50歳~64歳(F3)

  • リーチとアフィニティのどちらも高い: なし
  • リーチだけが高い: テレビ、PCタブレットからのインターネット、検索エンジン
  • アフィニティだけが高い: 芸術文化系イベント、新聞

【SPIコメント】

メディア接触状況は、M3とF2の中間を取るような感じであり、テレビ・王道のインターネット・新聞の組み合わせでかなり効果的なコミュニケーションが可能、芸術文化系イベントを上手く組み合わせるとさらに良好になる可能性がある、と言ったところでしょうか。

調査概要

  • 【調査方法】自社ツール「SCS(エスピーアイ・コンシューマー・サーベイ)」のデータをもとに集計
  • 【調査対象】日本全国の15~64歳(構成比は2015年国勢調査結果がベース)
  • 【対象者数】7,005名
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