【レポート】デジタルマーケターズサミット2019 Summer

自然検索での流入6倍! 『いぬのきもち ねこのきもち』のSEO施策「ストックコンテンツの作り方」

Webメディアの流入元黄金比率「参照サイト3:自然検索4:ダイレクト3」を目指してベネッセが行ったSEO施策の舞台裏を大公開
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通信教育・出版事業で知られるベネッセコーポレーションは、人気雑誌『いぬのきもち』『ねこのきもち』の発行も行っている。当初は雑誌の販促目的で立ち上げたWebサイト「いぬのきもち ねこのきもち WEB MAGAZINE」であったが、雑誌以外の事業拡大に向けて運営方針を転換。それに伴い、新ドメイン「いぬのきもち WEB MAGAZINE」「ねこのきもち WEB MAGAZINE」をローンチ、SEO施策に取り組み始めた。

そのパートナーとなったのがSEOツール「MIERUCA(ミエルカ)」を提供するFaber Companyである。「デジタルマーケターズサミット 2019 Summer」では、ベネッセコーポレーションの持田氏とFaber Companyの白砂氏が共に進めた施策の成果を振り返った。

持田武資氏白砂ゆき子氏
株式会社ベネッセコーポレーション ペッツ事業部 メディアマーケティング課 いぬのきもち・ねこのきもち副編集長 いぬねこメディア統括ディレクター 持田武資氏(左)、株式会社Faber Company コンテンツマーケティング部 シニアコンサルタント 白砂ゆき子氏(右)

SEO施策に向いているものとそうでないもの

ベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)が運営するWebメディア「いぬのきもち WEB MAGAZINE」「ねこのきもち WEB MAGAZINE」は、犬や猫の飼い主だけでなく、これから犬や猫を飼おうとする人たちや、犬や猫が好きな人たちを含む幅広い読者をターゲットとしている。

雑誌の場合は読者のほとんどが飼い主のため、お世話の方法を中心とするハウツー系のコンテンツが多いが、「ターゲットが雑誌よりも広い分、Webの方はさまざまな方の共感を得ることを重視する方針」と持田氏は解説する。

理想の流入元比率は?

白砂氏が考える理想の流入元比率の黄金比は「参照サイト:30%、自然検索が40%、ダイレクトが30%」というもの。

ところが、SEO施策を講じる前、2018年1月のWebサイトの実態は「参照サイト:60%、自然検索:17%、ダイレクト:23%」と自然流入の少なさが目立っていた。これは外部のニュースメディアのほか、Facebook、Twitter、LINEなどのソーシャルメディアへの配信を重視していたためであった。

そこでベネッセは、検索流入を増やすため、既存の記事を4つに分類した。

  • 飼い方やしつけの方法を紹介する「ノウハウ系」
  • 獣医師が質問に答える「医師Q&A」
  • 読んで楽しくなる「エンタメ系」
  • 読んで楽しくなる「マンガ・連載系」

白砂氏は、「ノウハウ系」「医師Q&A」は理論的、「エンタメ系」「マンガ・連載系」は感情的という特徴があると解説。理論的な記事はSEOに向いている一方で、感情的な記事はバズ的コンテンツであり配信に向いているとして、「ノウハウ系」「医師Q&A」をSEOの対象に据えることを勧めたという。

自然検索が伸び悩んでいた理由

そもそもなぜ自然流入が伸び悩んでいたのか。

その原因として白砂氏は、検索キーワードをある程度は意識していたが、そのキーワードで検索するユーザーの意図までを深掘りするには至っていなかったからと分析する。

例えば「犬 甘噛み」を検索する人がどういう意図で検索しているのか、サジェストキーワードや検索結果を分析すると、「理由が知りたい」「しつけを知りたい」という意図で検索していることがわかる。だが、それまでは記事に反映することを意識した検索意図の深掘りはしていなかったと持田氏は話す。

また、当時はやりたくてもすぐには深堀りができないという事情もあった。ニュース配信サイト向けのコンテンツを大量に制作する必要があり、そちらにリソースを割いていたためだ。

その結果、キーワードが「犬 甘噛み」の場合、同じキーワードに関連する記事が3つも存在する状況であった。

フローコンテンツでも検索ニーズを捉えることはできるが、中身がライトな分、検索意図の全てを満たせない(白砂氏)

検索流入を稼げていなかった2つの理由

この状況を踏まえ、白砂氏が提案したのは、毎日の配信用のライトな記事(フローコンテンツ)と、課題解決用の記事(ストックコンテンツ)を明確に分けた制作である。

持田氏はこの提案を受け、ストックコンテンツは手間暇をかけて読み応えがあるものを作り、フローコンテンツはクリックされるために切り口を徹底的に考え抜いて作るようチームで方針を転換した。

ストックコンテンツとフローコンテンツ

ストックコンテンツ制作で重要な検索意図の理解

ストックコンテンツにおいて重要なのは、ユーザーの「検索意図」の把握である。検索語の行動を意識したキーワードを見つけるために両社が共同で行ったのが、サジェスト調査である。これは考えられる全てのキーワードを洗い出し、検索意図を抽出するために行うものだ。その結果、以下の4種類のキーワード群が浮かび上がった。

  • 犬種・猫種系キーワード:「小型犬」「チワワ」「マンチカン」など
  • 病名・症状系キーワード:「猫エイズ」「犬 吐く」など
  • しつけ・行動系キーワード:「甘噛み」「猫 爪とぎ」など
  • アイテム・物販系キーワード:「ドッグフード」「ハーネス」など

明らかになったのは、「かわいい」「画像」「動画」といった検索キーワードは猫の方が多いが、しつけや世話に関する検索は犬の方が多く、かつキーワードのバリエーションが多いことだ。

たとえば、「犬 ぶどう」「犬 チョコ」「犬 ヨーグルト」など、犬の場合は食べ物を組み合わせた検索が多い。

持田氏は、「犬は犬種によって飼い方が違うので犬種にファンが付くが、猫のファンは猫全体に付く。食べ物の検索が多いのは、食べ物に慎重な猫と違い、犬は飼い主が与える食べ物はなんでも食べてくれる傾向があるから」と意図を推測する。

キーワードの裏側にある検索ニーズは?

これらのキーワードの裏側にある検索ニーズは何か。

白砂氏によると、取引(何かを買いたいとき)クエリ以外の検索ニーズは下記の4つに整理できると言う。

  • 基本的な情報を知りたい「とは検索」
  • 目の前の課題の解決方法が知りたい「How To検索」
  • どれがいいかをお勧めしてほしい「比較検討検索」
  • 気分で検索する「感情検索」

このうち、SEOに向いているのは最初の3つだ。持田氏も「最近は『猫ブーム』と言われているが、犬の方が検索キーワードのバリエーションが多く、SEO施策は犬の方が向いていると思った」と語る。

取引以外の検索ニーズ4つ

「インテンショングルーピング」で検索意図を分析

分析に利用したのは、「MIERUCA(ミエルカ)」が提供している「インテンショングルーピング」機能である。ユーザーが実際に検索しているキーワードごとに検索意図の近さを類推するものだ。

「犬 ぶどう」というキーワードを例に取ると、次のような検索意図があることがわかる。

  • 犬にぶどうを与えてはいけない理由を知るため
  • 与える前に食べていいかを確かめたい
  • 与えてしまった後に大丈夫かどうか確かめたくなった

つまり、検索意図を捉えて記事を制作する場合、「食べてはダメ」「なぜダメなのか」「食べてしまったけど大丈夫か」をカバーする記事構成にしなくてはならないというわけだ。

インテンショングルーピングを使った検索意図の分析結果

検索意図を踏まえてできた「犬種別の対処法」

この結果を踏まえた記事企画の例として、「愛犬がぶどうを食べてしまった時の対処方法」の記事が示された。

構成自体は主に「食べてはいけない理由」と「食べた時の対処法」について説明するものであったが、白砂氏が添削時に驚いたのは、対処法が犬種別にどのぐらいの量を食べると危険かがわかる早見表が挿入されていたことだ。

この早見表の作成のヒントとなったのは、「犬 ぶどう 一粒」という検索キーワードだった。持田氏は、「小型犬と大型犬は体重が違うので、チワワではぶどう一粒でも与えてはいけないが、秋田犬のような大型犬では事情が変わる。犬を飼っている人がどんな思考でこのキーワードを検索したかを考えた」と企画意図を説明した。検索する飼い主の意図を深く理解する「いぬのきもち」だからできたコンテンツと言えるだろう。

この記事は公開から1.5か月程度で検索結果1ページ目に表示される代表的なストックコンテンツとなった。

犬種・猫種のビッグキーワードを意識した「図鑑」施策

ベネッセでは、この他にもサジェスト調査の結果からストックコンテンツの制作を進めている。現在力を入れているのが「図鑑」である。これは猫種や犬種のような「ビッグワードに対応するコンテンツをどうすれば上位表示できるか」から始まった企画だという。

サジェストキーワードの例には、「ヒマラヤン」「ヒマラヤン 猫」「ヒマラヤン 性格」などがある。実際に検索をしてみると、上位にヒットするのは図鑑やウィキペディアなどが多い。

また、Googleのナレッジグラフ(ある検索に対し、結果に関連する情報を同時に表示するもの)の結果を見ると、他の種を複数表示している。この検索意図を考えた結果、「これからヒマラヤンを飼いたいと考えているのではないか」という仮説を立てた。

犬種&描種は1枚記事で上位表示できるの?

その犬種・猫種検索者の検索ニーズを満たすには、次の項目を網羅した図鑑形式のコンテンツが望ましいという結論になった。

  • 写真・見た目
  • 性格や性質、飼いやすさ
  • 価格相場
  • 似ている他の猫(類似種)

サイトには以前から簡易的な図鑑はあったが、白砂氏は次のように従来の図鑑の問題点を指摘し、比較検討ができるものにしようと改修を提案した。

  • 図鑑という割には画像がない
  • 内容が薄くありきたり
  • 誘導リンクがすでに飼っている人向け

新しい図鑑は画像やレーダーチャートを入れるなど、ユーザー体験にこだわった構成を採用。犬は約130、猫は約40の図鑑コンテンツを準備した。10月にローンチを実現したが、「ヒマラヤン」や「オーストラリアンシェパード」のように、検索順位1位を獲得するものも出始めたという。

記事とは異なり、図鑑の場合は一つのコンテンツを見ると、連鎖的に他のコンテンツを見てくれるという特徴がある。

白砂氏は、「図鑑のコンテンツは、一つか二つが上位表示されれば、他のコンテンツも合わせてアクセスが増やせる」と話し、無理に読みものコンテンツでの上位表示を狙わなくてもできる好例と評した。

良質な記事を量産するために敷いた連携体制

フローコンテンツだけを作っていた時代から、ストックコンテンツに力を入れるようになったベネッセ。現在の編集体制は、持田氏がストック型を担当し、犬と猫のフロー型のコンテンツの担当者と連携しながら、制作を進めている。

SEO施策後の組織体制

「この体制に落ち着くまでに苦労したのは、制作本数と数字目標との折り合いのつけ方だ」と持田氏は語る。今回、ベネッセがユーザーの検索意図を把握するために活用したMIERUCAは、検索ニーズの分析以外にも、公開した記事の分析や効果測定や改修アイデアを得るために役立つ様々な機能を備えている。

最後に白砂氏は、「検索流入を増やす3つのポイント」として下記のとおり講演内容をまとめた。

  1. 検索ニーズからテーマを設計
  2. 検索意図と検索者像をしっかり捉える
  3. ストックとフローの役割を明確化した体制づくり

また、Faber Companyではツールの提供だけでなく、使いこなすためのサポートにも力を入れており、ユーザー会の規模も拡大中であること、SEO対策に関する課題解決のヒントを得られる機会を多く提供していることをアピールし、講演は締めくくられた。

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