[マーケターコラム] Half Empty? Half Full?

パルコからキリンへの転職 カギとなった自分の「社外価値」をどう見つけたか?

若手マーケターコラム、今回はヤプリの島袋孝一さん。転職するときに考えるべき「キャリア・スキルの健康診断・棚卸し」について
株式会社ヤプリ コミュニケーション室 マーケティングスペシャリスト 島袋孝一(写真はキリンホールディングス在籍時)

今回で2回目となる若手マーケターコラムへの寄稿。初回のコラムが公開されたとき、各界から「おいおい、島袋は若手じゃないだろw」というツッコミをいただきながらも、いままでメディアなどで語ってこなかった内容には、さまざまな反響がありました。

とくに多かったのが「デジタル・Web業界の出身じゃ、なかったんだ!」という声。

この年齢(アラフォー)のサラリーマンだと、社会人経験のスタートから、デジタル・Web業界に従事していた方のほうが、稀有かと思います。最近では、私のように異業種からこの業界に参画し、活躍のフィールドを切り開くパターンをお見かけするようになりました。

前回のコラムは、私がパルコを辞めたときのくだりで終えました。今回は、そのとき流通小売業界ではどんな変化があったか? そして、その後のキャリアをどう選んでいったか? のお話をしたいと思います。

商業ディベロッパー・流通小売業からの転職

まだパルコに勤めていた当時、私の周りでは、キャリア形成において「転職する」ということは、マイナーな選択肢だったかと感じています。そんな折、とある他社の先輩の転職が業界内外で話題となっていました。

本間充さん(元花王、現アビームコンサルティング)、奥谷孝司さん(元無印良品、現オイシックス・ラ・大地)、菅恭一さん(元朝日広告社、現ベストインクラスプロデューサーズ)です。

その著名な3人が一堂に会したセミナーが2016年にありました。こちらにレポートがありますが、このセミナーに出席した私は最前列で拝聴していました。

ちょうどこのセミナーを拝聴した頃、パルコで、デジタル業務ではない部署への内示を受け、

  • パルコで総合的なキャリア形成を続けるか
  • デジタル専門職種を募集している他社に行くか

の選択の岐路に立たされていました。

いままで、社内の人事面談で、自己申告の希望を伝える機会はありつつも、基本的には、会社(人事)から言い渡された「部署・役割の人事異動の内示に従うだけ」でした。37歳にもなって、初めて、自身の意思でキャリアを選ぶこととなったわけです(苦笑)。

そんな折、先のセミナーで大先輩3人のお話を伺って、意思を決めました。

1社でその道を極めるのも当然あり。だが、社外価値を作れるユニークさがあれば、それを市場で試すのもありだ、と。

デジタル専門部隊が設立されたキリンへ

社内での内示を受けた後にそれを断り、退職の意思決定をし、それから転職活動を始めました。今思えば、本当にリスキーな選択でしたが、幸運なことに、キリンという総合飲料メーカーのデジタルマーケティング部に参画することとなりました(このリレーコラムを書いている加藤美侑さんと同じ部署で、一緒に働いていました)。

当時のキリンは、社外からのプロフェッショナル人材を積極採用していました。流通小売・商業不動産でのデジタル経験があった私は、チームにとって存在しなかったキャリア・スキルでしたので、ご縁があったのだと思っています。僕のほかにも、外資系IT企業、広告代理店、メディア、ECなどのさまざまな業種業界出身の人材が集まっており、さながら「某アメコミヒーロー映画シリーズのスター集結」のような様相でした。

社外価値は社外とのコミュニケーションでしか作れない

前段に書いた「チームにとって存在しなかったキャリア・スキル」。つまり、チームの他のメンバーにはない独自の売り(ユニークポイント)です。転職先の会社で重宝される存在になるヒントだと思っています。

転職を考えている方は、ぜひ自分自身のユニークポイントを探してみてください。

ユニークポイントは相対的なものです。自身の視界では陳腐化して見えたキャリアも、少しフィールドを変えると、ユニークさが際立ち、価値がある存在になることがあります。陳腐なスキルだと思っていても、社外では特異な技能だったりすることもあります。

自分のキャリアやスキルは、どこの業種業界であればさらに役立ちそうか、価値を作れそうか。「自身のキャリア・スキルの健康診断・棚卸し」を見直してみてください。

若いうちは、社内の先輩や人事部が「社内価値」の作り方を教えてくれますが、「社外価値」を作るには、社外の方とのコミュニケーションは必須です。異業種・異業界の友人、知人、先輩や転職エージェントがその役割を果たしてくれることになると思います。もちろん、業界内で目立っていても、社会全体で見たらまだまだ小さな存在であることも忘れてはいけません。

私の場合、社外の方とのさまざまな出会いは、セミナー登壇や合宿型カンファレンスなどにより形成されました。最近は、Twitterやbosyu(SNSを使ったカンタン募集サービス)などのソーシャルメディアを使うことによって、いつでもどこでも作れる環境にあるかと思います(当然ですがSNSでの出会いにはご注意ください)。

◇◇◇

さて。キリンでの仕事の話は、加藤さんが過去の連載でいっぱい書いてくれているので、次回は、私がベンチャー企業であるヤプリに参画してからのことを書こうかと思います。

2019年1月に入社して以来、佐藤尚之(さとなお)さんやハヤカワ五味さんに登壇いただいた「MOBILE MARKETING UPDATE(=MMU)」や「Yappli Summit」という大規模イベントを運営したり、小島英揮さんが提唱している「コミュニティマーケティング」にトライしたり、と積極的に活動しています。

現在の私の仕事は、パルコ、キリンで築いたキャリアの延長線にあるのか? 当時デジタルマーケティング・Webマーケティングを担当していた私は、いま、何をしているのか。まったくの新天地・異業種でのトライで善戦しているのか、あるいは悪戦苦闘しているのか……?!

次回をお楽しみに。

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