【レポート】Web担当者Forumミーティング 2019 Spring

横断型プロジェクトに必要な「2つのステップ」とは? デジタル時代に求められるマーケターの働き方

デジタル時代に求められる枠を超えた仕事についてポーラ中村氏が講演。Web担春セミナーレポート。

企業活動においてデジタルが果たす役割は大きくなっており、デジタル担当者の仕事の領域もますます広がっている。これに伴い、「これまでの枠にとらわれない働き方が求められている」と述べるのが、Web広告研究会の代表幹事でもあるポーラの中村俊之氏だ。

Web担当者Forum ミーティング 2019 春」に登壇した中村氏は、デジタルやリアルといった枠組みを超え、顧客の期待を超える体験を提供するために、どのような働き方が求められているのかについて解説。特に、組織横断的なプロジェクトの立ち上げ方、進め方について語った。

株式会社ポーラ CRM推進部/Web広告研究会 代表幹事 中村俊之氏

「モノ」の消費から「コト」の消費へ

現在はデジタル化が進み、顧客を取り巻く環境は変化している。この環境の変化にともない、消費者のメディア接触も大きく変わった。「スマホ普及前の2007年と比べ、メディア接触時間や情報量は大きく変化した」と中村氏は説明する。

これを牽引しているのが、タブレットやスマホなどのモバイルデバイスだ。いわゆる4マス媒体に加え、デジタルメディアが台頭し、消費者がメディアに接触する総時間が増えた。マーケターにとって旧来のマーケティングの手法に加え、デジタル領域を含めた、新たな情報流通経路を考慮した顧客コミュニケーションを考えることは、当たり前になっている。

また、生活者の消費行動も変化している。インターネットやスマホの普及にともないオンライン上で得られる情報やコンテンツは増える一方で、オフラインにおける「体験」への興味関心も高まり、体験型消費の需要が増えている。

生活者の「コト消費」に対する意識も高まっている

中村氏は「コト消費」の例として、音楽に関するデータも提示した。1996年から2017年までの、ライブ公演数と音楽ソフト生産金額の推移を見ると、音楽ソフトの生産金額は年々下がっている。その一方で、ライブ公演数は年々増えている傾向が見られた。

体験、体感に対する欲求は高まっており、モノを買うだけでなく、体験にお金を使う傾向は国内に限らず、インバウンド消費などにも表れています(中村氏)

生活者の変化に応じた組織やデジタル担当者の役割の変化

生活者の変化と共に、組織やデジタル担当者も変化を求められてきた。時代とともにどのように変わっていったのか、中村氏はWeb広告研究で行われた日本におけるデジタル組織変遷の振り返りを参考に、1990年代から順を追って簡単に振り返った。

1990年代 ホームページ運営の時代

インターネットの黎明期だった1900年代は、次々と企業がホームページを開設し、企業情報の提供を始めた。

情報システム部門や広報部門、を中心にホームページ担当者が置かれた。当時を知る人たちの話では、担当者は「インターネットに詳しかったから」という理由で配属されたケースもあった、と中村氏は話す。

2000年代 Web担当者の時代

Web活用が進み、広報・宣伝部門や事業部内にWebチームが置かれて、事業ビジネスとの関わりがより深くなっていった。「会社の顔としてのホームページから、事業に活用されるWeb組織へ」と変化した時代といえる。

2010年代 トリプルメディアの時代

WebサイトやSNSが顧客とのコミュニケーションにおける重要な接点の1つと認識され、各部門でのデジタルコミュニケーションが推進された。広報・宣伝の関連部署だけでなく、事業部門のWeb担当やSNS担当のデジタル活用を牽引した。

現在 顧客体験の時代

デジタルやデータの活用は経営にとっても重要なテーマとなり、マーケティングコミュニケーションに限らない様々な部門でも求められている。顧客体験を高めるためには、既存の組織や役割を超えた活動が必要である。

顧客体験の時代におけるデジタルの役割

マーケターに求められる「枠を超えた仕事」とは

前述の通り、あらゆる部門がデジタルとの関わりを深めている顧客体験時代に、マーケターに求められる役割はどう変わっていくのだろうか。

顧客体験時代に、求められる担当者の役割

ここでマーケターが担っている業務内容を列挙してみる。すると、ホームページ制作やWeb、SNS、デジタル広告の運用から、企業変革やマーケティング変革の担い手、顧客体験の進化の推進役などが挙げられる。セミナー会場での参加者アンケートでは、「経営」や「プロジェクトマネジメント」、「デジタル以外のコミュニケーション」といったスキルが今まで以上に求められているという声があがった。

生活者の期待を超える顧客体験を提供することがマーケターに求められていることであり、「既存のプロセスや組織の壁を超えた仕事をしていく必要がある」と中村氏は強調する。

組織横断型プロジェクトを成功させる「2つのステップ」

では、中村氏自身、どのように「組織の壁」を越えるには何が重要と考えているのか。中村氏は2つのステップを紹介した。

ステップ1 プロジェクトメンバーの「腹落ち」

まず組織横断型プロジェクトにおいて重要なのは「腹落ち」=「関係者とのビジョン形成」だと中村氏は語る。

「関係組織間が腹落ちする“あるべき姿”を描く」ことだ。「課題の整理、顧客の定義、あるべき姿の設定」といった「ビジョン」と「ミッション」をきちんと言語化しておくことで、次の実行フェーズに入ったときに、立ち返る「原点」となる。

大きな体制変更を伴うプロジェクトでは、総論では賛成するものの、各論で反対が出ることは当たり前。ときには立場の違いによる軋轢が生じることもあります。そこで大事なのは、関係者間で、プロジェクトの意義が共有され、それを行うべきだという大義について合意形成を行うことだと、自身の苦い経験からも学んだ(中村氏)

ステップ2 実現手段の立案・実行

次に、戦略の実現手段を立案・実行することだ。戦略の実現手段とは、「組織や人材」「仕組み、プロセス」「効果測定、改善のプロセス」などだ。

横断型プロジェクトの2つのステップ

そして、中村氏は、ステップ1とステップ2が一体となるために必要なものが独自性を生む「自社のケイパビリティ(自社の強み)」だと説明する。

特にある程度の規模や歴史を持った会社で新しいことを始める際には、自社が持っている強みやフィロソフィーをしっかり染み込ませて思考をめぐらすことが重要である。それは競争優位性をもたらすためであるとともに、「なぜ自社がそれをやるのか?」という問いへの回答にもつながる。

大企業で新しい発想を求められて検討された新規事業や取組みが、最終的に自社で実施する意味を見出せずにお蔵入りになるということも少なくないと聞く。

最近では、デザイン思考を取り入れようとする大手企業も多い。「自社のケイパビリティを活かした顧客体験の検討」をしっかりとプロセスに組み込むことが重要になると中村氏はアドバイスした。

デザイン思考の中でも自社の独自性を整理し、顧客体験を検討する

これからのマーケターは立場や役職、セクションの壁を超えた取り組みが求められている。デジタル領域は大きなチャンスや活躍の場が広がっており、Web広告研究会としては、これからも顧客体験を高めていく取り組みを、業界全体で盛り上げていきたい――。中村氏はこのように述べ、セッションを締めくくった。

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