【レポート】デジタルマーケターズサミット2018 Summer

会話データを活用した“匿名顧客ナーチャリング”でCVRを向上させるコツを事例から学ぶ!

ハードルの高い実名化よりも、匿名のままナーチャリングするほうが費用対効果が高い
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サイト訪問者の97%は閲覧だけで離脱し、いかにコンテンツを充実させてもCVRが50%にはならない。そこで注目されるのが匿名顧客ナーチャリングだ。

従来のマーケティングツールは、実名顧客に対してアプローチするものが多いが、実名化はハードルが高い。それよりも、匿名顧客を匿名のままナーチャリングする方が効果が上がる。

「デジタルマーケターズサミット 2018 Summer」では、ギブリーの大熊勇樹氏が、会話データを活用した匿名顧客ナーチャリングについて解説した。

情報取得の変化によって“会話データ”が重要に

大熊勇樹氏
キブリー 執行役員 大熊勇樹氏

ギブリーは、「顧客のエンゲージメントを高める」をキーワードに、デジタルマーケティング領域の支援を行っている。今回のセッションのテーマは、「会話データを活用した匿名顧客ナーチャリングで、コンバージョン率を向上させる新手法」だ。

まずポイントとなるのが「会話データ」である。一般的に、マーケティングツールは行動データを元にしてアクションを起こす。この場合、データ活用は単一方向だ。これに対して、会話データはインタラクティブなコミュニケーションで生まれるもので、ユーザーにヒアリングをし、インサイトやデモグラフィック属性(人口統計学的属性)の取得を可能にする

「会話データが重要になる背景のひとつに、内閣府が提唱する『Society 5.0』という考え方がある」と大熊氏は言う。

Society 4.0は、さまざまなデータがクラウド上に集約され、ユーザーは時間や場所を問わずそれにアクセスできる“情報社会”のことだ。一方、Society 5.0の特徴はAIで、ユーザーが自分から情報を取りに行くのではなく、個人に最適化された情報をAIが提案する“超スマート社会”のこととされている。Society 5.0の象徴としてイメージしやすいのは「スマートスピーカー」だろう。

ユーザーの情報取得は、4.0と5.0で次のように変化する。

  • 4.0の世界:検索結果のリストが提示され、その中から選ぶ
  • 5.0の世界:最適化された答えが、ひとつだけ提示される

ひとつだけ提示されるというのは、情報を届けたい企業にとっては脅威でもある。ユーザーに最適な情報を提供するために、企業は個人のインサイト情報やデモグラフィック属性をより多く集めなければならなくなるからだ。その時、個人情報をヒアリング可能で、ユーザーをより深く知ることができる会話データが重要になってくる

そして、この会話データを最も活用できるターゲットが匿名顧客になる。

匿名顧客の重要性が高まった背景

では次に、匿名顧客ナーチャリングについて考察しよう。ギブリーが定義する匿名顧客とは、「自社サイトに訪問している、名前/メールアドレス、その他のデモグラフィックがわからないユーザー」のこと、ビジターと呼ばれる人たちだ。

デジタルファーストが進むことで、この匿名顧客の重要性が高まっている。その背景を、3点挙げる。

その① 接触ユーザーの多様化

最大の原因はスマホの普及だ。これにより、情報接触の仕方が変化した。PCの時代は、モニターの前に座ってPCを起動し、ブラウザーを立ち上げないとWebサイトを開けなかった。それが、スマホの時代になると、常に身近にあるスマホでいつでもサイトを開くことができる。

サイトアクセスにそれなりの時間を費やしていたPCの時代には、わざわざサイトを訪れるのは顕在層がほとんどだった。しかし、常にネットが身近にあるスマホの時代は、差し迫った必要がなくてもアクセスする。つまり、潜在層や準顕在層もサイトに訪れるようになっているのだ。企業はそれに対応しなければならない。

潜在層や準顕在層もサイトを訪れる

その② マーケティングファネルの複雑化

ユーザーが多様化したことで、コンテンツも顕在層向けだけでなく多様なものが必要になる。また、購入後にSNSで拡散されるなど、ファネルが購入後にも広がり、顧客満足度を高めるという考え方がさらに重要になっている。

顧客は、このダブルファネルのうち購入の直前に実名化する。一般的なマーケティングツールが対象にしているのはこの実名顧客で、それ以前の匿名顧客は行動がわかりにくく対応が取りにくいため、対象となっていなかった。このため、いかに実名化するかというアプローチを取ることが多い。

マーケティングファネル上の偏り。実名顧客に関してはほとんどのマーケツールが対象としている

その③ 「実名」の定義の曖昧さ

実名化が目的になると、その定義が曖昧になる。例えば、「名前とメールアドレスを入力したらプレゼントをあげます」といった類のコンバージョンフォームを設置することがある。しかし、名前とメールアドレスだけで、その人の何がわかるだろう。どのような人かわからない状態で顧客として育成することは難しく、時間も要する。

「実名」の定義の曖昧さ

チャットボットで匿名のままナーチャリングする

無理に実名化しても、そのデータは有効活用できない。そもそも実名化が大事なのではなく、そのユーザーが顧客になり得るのかという観点で考えるべき(大熊氏)

匿名顧客は、数としては膨大だが、そこを追い掛けるツールがない。逆に言えば、この部分に対策が取れれば、伸びしろとしては大きい。

匿名顧客は、欲しい情報がどこにあるかわからなかったり、そもそもすぐ購入するフェーズではなかったり、一般的には行動量が多くない。行動データを収集するマーケティングツールで追えないのはそのためだ。

そこで、こちらから話しかけてヒアリングし、個々にあったコンテンツを提供することで、匿名のまま態度変容を促していくのが、匿名顧客ナーチャリングの考え方である。そのためのツールがチャットボットで、ここ数年で市場が急速に伸びている。

言語認識型とオートリプライ型

チャットボットには、言語認識型とオートリプライ型という2種類がある。ギブリーが提供しているのは、オートリプライ型のチャットボット型マーケティングツール「SYNALIO(シナリオ)」だ。

言語認識型とオートリプライ型の違いは下記の通りだ。

言語認識型 ユーザー自らが行動を起こす

ユーザーが文章を入力し、AIやオペレーターがそれに返答するタイプ。ユーザーが言語化する必要があるためハードルが高いが、個々に対応が必要なカスタマーサポートなどに向いている。

オートリプライ型 ユーザーを誘導する

選択肢を提示して、ユーザーが選ぶタイプ。一問一答形式でストーリーが進むのでユーザーにとってハードルが低く、新規顧客獲得などに向いている。

チャットボットの目的をはっきりさせる

「選択肢を提示するチャットボットを新規ユーザーの接触窓口として設置する場合、目的をはっきりさせることが重要」だと大熊氏は述べる。

よくあるのは、「どのような御用ですか、個人の方はこちら、法人の方はこちら」というように、サイトマップを展開するものだが、これではCVRは上がらない。まずは下記の点をはっきりさせる必要がある。

  • 「誰に使ってもらいたい」
  • 「チャットを使う理由」は何か
  • 「チャットのゴール」はどこか

SYNALIOではそれぞれ下記のように設定している。

  • 「名前の分からないサイト訪問者」
  • 「離脱を防ぐ会話を展開する」ことで
  • 「会話データを取得し個別クロージング」する

匿名のまま属性データを把握し、クロージングを行うチャットボット

匿名顧客は簡単にはコンバージョンしてくれないので、まずは会話データを収集することを目的にすると、会話の伝え方も大きく変わる。初回訪問者がチャットボットを触ったとして、その後、多くのユーザーは離脱するだろう。重要なのは、離脱した時にどのようなデータが取れたかということだ。

SYNALIOでは、会話ごとにどのような解答だったかをラベリングし、そのラベルを元に、リターゲティング広告を打つなり、再訪時にポップアップを出すなりして、クロージングをかける。初回接触で無理にクロージングしようとしないことがポイントだ。

会話データで仕掛けるマーケティングトラップ

会話をすればするほど、そのユーザーの属性や趣味・嗜好のデータが溜まっていく。名前とメールアドレスだけがわかっているユーザーよりも、「30代で甘い物好き、年収600万で今家を探している、2人の子持ち」の人の方が、マーケティング施策を打ちやすいのは明白だ。

マーケティングプロセスとしては下記の3プロセスがある。

  1. 名前が分からなくても顕在層をとにかく刈り取る「広告」
  2. 潜在層を実名化してOne to Oneで追い掛ける「実名顧客ナーチャリング」
  3. 匿名のまま顕在化させて刈り取る「匿名顧客ナーチャリング」

ギブリーが提案するのは3つめの「匿名顧客ナーチャリング」だ。SYNALIOを利用することで、名前のわからないサイト訪問者に対して、「離脱前にチャットボットに接触させ」「会話をすることで属性データを把握し」「属性に合ったクロージングを提示する」ことができるというわけだ。

匿名顧客を実名化するのはハードルが高いが、それをしない匿名顧客ナーチャリングは母数を大きくしやすい。つまり、費用対効果が高いということだ。

会話データと既存のアプローチを連携して大きな成果を出す

ここから、SYNALIOによってどのようなことを実現したのか、事例で紹介しよう。

事例① トランクルーム「ハローストレージ」

トランクルーム「ハローストレージ」を提供するエリアリンクでは、インセンティブ型のチャットボットとMAを連携している。チャットボット限定アンケートをクリックすると、「年齢」「年収」「いつ頃トランクルームを借りたいか」などを次々質問される。質問ごとにラベルがつくようになっており、最初の3問でホットリードかどうか分かるようになっているという。

最後の質問までいくとメールアドレスの入力を求められ、MAを利用した実名顧客のマーケティングが可能になるが、途中で離脱してもSYNALIOのラベルで追跡できるという二重の策になっている。

この施策により、CV数はチャットボット設置から毎月数十件の純増だという。ちなみに、会話は管理画面でのドラッグ&ドロップで簡単に作れる。

チャットボット限定アンケートとMAツールの連携

事例② 就職情報サイト「マイナビ看護学生」

就活応援ポータルサイト「マイナビ看護学生」には、全学年の看護学生が来訪するが、サイトは3年生をメインターゲットとして作られており、それ以外の学年は離脱してしまうのが課題だった。

そこで、チャットボットで訪問者の学年をヒアリングし、それぞれに合った情報を出すようにした。その結果、チャットボットを触った人はそこから多くの情報収集をするようになり、その後のポップアップからのCVRが非常に高くなったという。

サイトコンテンツではなくチャットボットでセグメント分けを行う

どちらの事例も、チャットボットだけでなく、誰向けのどういう仕掛けでクロージングするかというアプローチを組み合わせている。数値としての成果も大きい。

会話データはこれから一般的になっていくと思う。今のマーケティング施策は継続しつつ、そこに会話データをプラスしていただくと、よりパーソナルなアプローチができるようになる(大熊氏)

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