『ネット広告運用“打ち手”大全』(全11回)

コンバージョンを正しく計測! ネット広告運用はGoogleアナリティクスとの連携が必須

GoogleとFacebookを出稿先として押さえたら、コンバージョンを正しく計測する環境を整える(第2回)。

書籍『ネット“打ち手”大全 成果にこだわるマーケ&販促 最強の戦略102』の一部をWeb担向けに特別にオンラインで公開。

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Googleアナリティクスとの
連携は必須

コンバージョンを正しく計測する環境を整える
Chapter 1 準備と計画 環境を知り、成功を定義する

ネット広告は、Webにおけるユーザーの行動を把握する「トラッキング」の技術によって成り立っています。ここでは近年の傾向と、トラッキングを実現する各種設定について理解しましょう。

iPhoneでは広告経由のコンバージョンが正確に測れない!?

2017年9月、AppleはiOS 11とmacOS High Sierraの標準WebブラウザーであるSafari に、「ITP」(Intelligent Tracking Prevention)と呼ばれる新技術を実装しました。ITPはサイトをまたがってユーザーを追跡するトラッカーを機械学習によって特定し、そのトラッキングデータを分離・削除する技術です。

ユーザーを追跡するトラッカーとは、サードパーティCookie〈※1〉のことを指します。ITPによって検出されたCookieは、そのサイトでクリックやタップなどの行動が起きてから24時間以内にユーザーが発行元サイトを再訪問しないと削除され、広告経由のコンバージョン〈※2〉などの計測には使えなくなります。

ITP 導入の目的はプライバシー保護のためなんだって

※1 Cookie(クッキー)
Webブラウザーに保存されるユーザーの行動データのこと。現在表示しているサイト(ドメイン)が発行したものはファーストパーティCookie、それ以外のものはサードパーティCookieと呼ぶ。

※2 コンバージョン
商品の購入や資料請求など、ネット広告や自社サイトにおける「目標の達成」を表す。本来は「転換」の意味。「CV」と略す。

Googleアナリティクスとの連携でITPを回避する

ITPはネット広告に多大な影響を与えます。Googleは広告主向けのサービス「Google AdWords(Google広告)」とWeb解析ツール「Googleアナリティクス」において、ITPにいち早く対応しました。

具体的には、Googleアナリティクスに新たなCookieである「_gac Cookie」を用意し、AdWordsの情報をファーストパーティCookieとして保存するようにしました。AdWordsとGoogleアナリティクスをリンクし、自動タグ設定を有効にしていると、広告のURLにGCLID(Google CLick IDentifier)と呼ばれるパラメータが付加されます。このGCLIDの値を含む情報を_gac Cookieに書き込むことで、広告のクリックをファーストパーティCookieとして保存し、ITPを回避します。

AdWordsでの広告運用はGoogleアナリティクスとセットで考え、必ず連携するようにしましょう。実施手順は以下の通りです。

[実施手順]
  1. Googleアナリティクスの「管理」画面を表示する。
  2. [AdWordsとのリンク設定]を選択する。
  3. [新しいリンクグループ]から、リンクするAdWordsのアカウントとGoogleアナリティクスのビューを選択する。このとき[詳細設定]で自動タグ設定を有効にする〔図表2-1〕。
Googleアナリティクスの管理画面でAdWordsのアカウントとリンクする
〔図表2-1〕

コンバージョンタグの埋め込みにはタグマネージャが便利

AdWordsで広告運用を始めるにあたっては、自社サイトへのタグの挿入も欠かせません。すでに運用中の場合は不要なので、ここでは新しく挿入する場合の基本設定について触れます。

前述のリンク設定や今後のタグ運用を考慮すると、AdWordsおよびGoogleアナリティクスのタグは「Googleタグマネージャ」〈※3〉を使って設定し、統合的に管理することをおすすめします。大まかな流れは以下の通りです。

[実施手順]
  1. AdWordsの[ツール、お支払い、設定]メニューから[コンバージョン]を選択する。
  2. コンバージョンアクションを作成し、タグのインストール方法でGoogleタグマネージャを選択する。このとき「コンバージョンID」と「コンバージョンラベル」をコピーしておく〔図表2-2〕。
  3. Googleタグマネージャで「AdWordsコンバージョントラッキング」タグを作成し、IDとラベルを入力する。トリガー〈※4〉はコンバージョンが発生するページのURLなどを指定する。
  4. Googleタグマネージャで「コンバージョンリンカー」タグを作成する。トリガーは自社サイトのすべてのページとする。
AdWordsでコンバージョンアクションを作成し、Googleタグマネージャでタグを作成する
〔図表2-2〕

※3 Googleタグマネージャ
Googleが提供する無料のタグ管理プラットフォーム。自社サイトのソースコードに1つのタグ(コンテナスニペット)を挿入するだけで、Googleアナリティクス、AdWords、Facebook広告などのタグを統合的に管理できる。

※4 トリガー
タグが動作する条件のこと。特定のページへの訪問やリンクのクリックをトリガーとして指定できる。

「Facebookピクセル」も自社サイトに挿入しておく

一方、Faceboo広告の運用においては、「Facebookピクセル」と呼ばれるタグが自社サイトの全ページで動作することが前提となります。Googleタグマネージャ経由で挿入できるため、AdWordsのタグと併せて設定しておきます。

なお、Faceboo広告のコンバージョンには「カスタムコンバージョン」と「標準イベント」の2種類があり、それぞれ設定方法が異なります。詳しくはChapter 5を参照してください。(寳)

[実施手順]
  1. Facebook広告のメニューから[ピクセル]を選択する。
  2. ピクセルを作成し、インストール方法として[統合またはタグマネージャを選択]、プラットフォームとしてGoogleタグマネージャを選択する。
  3. ピクセルベースコードをコピーする〔図表2-3〕。
  4. Googleタグマネージャで「カスタムHTMLタグ」を作成し、ピクセルベースコードを入力する。トリガーは自社サイトのすべてのページとする。
〔図表2-3〕
まとめ

ツールの連携やタグの埋め込みは大変ですが、避けては通れません。社内のエンジニアや技術的なアドバイスを受けられる外部パートナーに協力を依頼して進めてください。

『ネット広告運用“打ち手”大全』
  • 寳 洋平 著/辻井 良太 著/高瀬 順希 著 著
  • 発行:インプレス
  • ISBN:978-4-295-00320-5
  • 価格:2,500円+税

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SEMのプロフェッショナルとして多くの企業の広告運用に携わっているアユダンテ株式会社の寳洋平氏、同社高瀬順希氏、GDNやYDNのディスプレイ広告運用の経験に長けたCRAFT株式会社の辻井良太氏の3名が実際に試行錯誤し成果を出した手法を公開。

用語集
AdWords / Googleアナリティクス / Google広告 / HTML / Webブラウザ / クッキー / コンバージョン / スニペット / ネット広告運用“打ち手”大全~成果にこだわるマーケ&販促 最強の戦略102~ / リンク / 訪問
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