Web広告研究会セミナーレポート

テクノロジーの力で人に向き合い寄り添うことが使命、NTTドコモのCSRメッセージ「ForONEs」

一人多色時代、消費者に向き合い寄り添うNTTドコモのCSR活動とは?
Web広告研究会セミナーレポート

この記事は、公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会が開催およびレポートしたセミナー記事を、クリエイティブ・コモンズライセンスのもと一部編集して転載したものです。オリジナルの記事はWeb広告研究会のサイトでご覧ください。

消費者一人一人が多様な趣味嗜好を持つ時代=『一人多色時代』に企業はしっかり向き合おう(2018年WAB宣言)

テクノロジーの進化によって、より正確に個人を軸にデータが可視化できるようになったいま、デジタルマーケティングの本質は、ターゲティングの精度を追い求めることではなく、より深く顧客を理解することにある。

Web広告研究会は、「第32回WABフォーラム」を4月20日に開催。冒頭に示した2018年のWAB宣言の発表と、消費者に向き合うNTTドコモのCSR活動が紹介された。

マーケティングでもCSRでも「人に寄り添うこと」が重要

公益社団法人日本アドバタイザーズ協会
Web広告研究会
代表幹事
田中 滋子 氏

2018年のWAB宣言を発表した田中氏は、「WAB宣言は今回で19回目だが非常に悩んだ」と、幹事会でさまざまな議論があったと話す。インターネット広告が右肩上がりに成長する一方で、コンバージョン至上主義やページビュー至上主義といった効率化を求めるあまり、ネガティブな話も出ていることが背景にあるためだ。ここ数年は、ブランドセーフティ、ビューアビリティ、アドフラウドといったトピックにも注目度が高まっている。

そういった現状を踏まえると、今後のデジタルマーケティングでは「よりビジネスに貢献するデジタル戦略立案の重要性」「顧客の課題や顧客自身をより深く知るためのデータ活用」「お客様起点のマーケティング」という3つの方向性が重視される。

今後、重要になるデジタルマーケティングの方向性

そして、「いろいろ激論があったが、今後デジタルが向く方向は、人に寄り添うことが大事なのではないか」という考えから、2018年のWAB宣言の決定に至ったという。

一人ひとりの消費者に寄り添うNTTドコモのCSR活動

WAB宣言を受けて、続く講演は「マーケティング活動に留まらず“消費者に向き合い寄り添う企業活動”」という観点から、NTTドコモのCSR部長である相沢氏が登壇。同社のCSR活動を紹介した。

株式会社NTTドコモ
CSR部長
相沢 そのみ 氏

NTTドコモでは現在「ForONEs(フォーワンズ)」をテーマにCSRを展開している。ForONEsは、ブランドコミュニケーションとして2016年からスタートした。象徴的なメッセージCMでは、さまざまな名称が書かれたTシャツを脱ぐ人々が描かれており、「役者」を脱ぐと「ダンサー」に、「プロボクサー」を脱ぐと「シングルマザー」に、「医者」を脱ぐと「患者」にと、人々が多様な姿に変化する。

各人は1人(ONE)だが、多面性を持った個人(ONEs)でもあるというのが、ForONEsの理念だ。

いろんな制約があって自分らしさを発揮できないでいる方々に、ドコモのテクノロジーの力で、パートナー企業と共に、寄り添い、支え、活動の場を開いていく(相沢氏)

NTTドコモのCSRの独自性

現在のNTTドコモのCSR部は、21名規模の独立部署。それがさらに「環境経営推進」「CSR/ESG(Environment Social Governance)の推進」「社会貢献・ボランティア」の担当にわかれている。

気候変動への対応、資源の有効利用、ISO14001の認証取得といった環境経営の大きな枠組みを関係部署と進めるのが「環境経営推進」、CSRに関する取組みのレベルアップと社内外への発信力強化を図るのが「CSR/ESGの推進」、地域貢献やオリンピックへのボランティア派遣など社会貢献活動を行う「社会貢献・ボランティア」と担当を分けて多岐に渡り活動を展開している。

さらに、ドコモでは学術・福祉など幅広い分野への支援事業を行う組織として「NPO法人モバイル・コミュニケーション・ファンド」(MCF)を設立している。

独立したCSR部として企業活動する

相沢氏がCSR部に着任したのは2017年6月。当初は「NTTドコモが通信キャリアである=国から規制を受けている企業である」ということから、CSR活動について発信力を強化しても、自画自賛にしか映らないのではないか、と危惧していたという。

そのため、ForONEsの取り組みについても、「汗をかいてネットワークを直しています、通信をつなぐために努力しています、みたいなCMのほうがわかりやすいのでは」と当初は感じていたという。しかし、ForONEs視聴者の好意的な反応などから、改めて「こういう視点もあることを学んだ」という。

東日本大震災で事業とCSRが融合

NTTドコモのCSRは、歴史的な流れで見ると、90年代の携帯電話時代、2000年代のiモード全盛期においては、「事業とは別の慈善活動」であり、社会貢献室という総務部の一担当として、スタンダードなボランティア活動を行っていた。

2014年にCSR部として独立することになるが、そのきっかけは2011年の東日本大震災だった。部として独立したことで、社会課題など、より踏み込んだ活動をスタートできた。事業とCSRが融合し、「NTTドコモの事業=社会のさまざまな課題を解決する事業である」というミッションが意識されるようになった。そうした流れで、ForONEsが生まれたという。

NTTドコモの事業展開とCSRの変遷

具体的な復興支援活動にも、NTTドコモは注力している。復興支援室を設置するとともに、毎年9,000名以上の社員が自治体寄付に賛同し、2012年度から6年間で、総額4.2億円を寄付している。

ここでは、「被災者にさらに寄り添いたい」という考えから、自治体から「子ども」「障害者」「コミュニティ活性」「産業復興」の寄与するもの公募し、支援しているという。その用途は、球場の復旧、祭りの衣装、子どもの遊び場作り、地元住民の職業支援、訓練支援など、町ごとの特色があり多岐にわたる。

「東北応援社員募金」の対象となった市町村と使い途

一方で、施設設備の補充や瓦礫の除去といったニーズは解消されつつある。そのため、2015年からは「地域コミュニティの再生」「心のケア」という観点から、ABCクッキングスタジオと協力し、各地で料理教室を開催。NTTドコモグループとしては、「Innovative Docomo+Responsible Docomo=Sustainable」というCSR方針を定めており、さまざまな中期計画を進めている。

NTTドコモグループのCSR方針

社内に向けた取り組みとしては、トップ層向けのセミナー、CSR研修&意識調査を実施。また外部組織と協業して「母子健康手帳アプリ」「翻訳アプリ」の開発を行った。NPO法人のMCFを通して、ドコモ奨学金、市民活動団体助成事業も行っている。そのほか、スマホ教室の開催、オリンピックメダル作成のための携帯電話リサイクルといった活動もあげられる。

ターゲットを変化させた「ForONEs」の施策

そして2016年に、世の中へのブランドコミュニケーションとして「ForONEs」のプロモーションがスタートする。東日本大震災をきっかけに事業とCSRが融合したことで、「通信キャリアとしてのブランド価値」を見直すことから始まった。

いつでも、どこでも、誰とでも、あんしんしてお使いいただける通信環境を提供することが“使命”

ForONEsには「一人ひとりに向き合うことの原点」というメッセージが込められている。

活動当初は社内啓発から始め、情報感度の高い一般ビジネス層に向けて発信した。しかし、ミレニアル世代などの反響が大きかったことで、2017年度は、「自発的に情報を発信しないが、社会意識の高い層」にもターゲットを拡大した。少し背中を押してあげるイメージで、マスコミュニケーション中心の情報発信を改めて設計し、さらなる認知・理解・共感を狙ったという。

社会意識の高さに応じたコミュニケーション設計に変更した

ForONEsのCMには大きな反響があったが、さらに体験型イベントとWebタイアップにより、個別テーマの訴求も行った。「多言語翻訳」「スマホ・ケータイ安全教室」「障害者支援」などのタイアップだ。オウンドメディアなどのデジタル施策を軸にアクセスを集めることで、ターゲットに複数回リーチさせることを可能とした。

ForONEsにおいては、ドコモへの好意度向上(ファン化)が確認されたほか、デジタルでファン層に継続アプローチできたことで、他プロモーション施策との連携も検討している。

2017年度は、デジタル施策を軸にコミュニケーションを設計

2018年のWAB宣言「消費者一人一人が多様な趣味嗜好を持つ時代=『一人多色時代』に企業はしっかり向き合おう。」は、マーケティング視点からの提言だが、そのスタンスはCSRであっても同一だ。なぜなら企業が消費者に真摯に寄り添うという姿勢はどちらでも重要であり、それが最終的に企業価値・ブランド価値を高めることになるからだ。そういった視点から、NTTドコモの活動は参考となるだろう。

Web広告研究会サイト掲載のオリジナル版はこちら:テクノロジーの力で人に向き合い寄り添うことが使命、NTTドコモのCSRメッセージ「ForONEs」――4月20日(金)開催 第32回WABフォーラムレポート(1)(2018/06/06)

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