新しい文章力の教室 ~苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング

「良い文章」ってそもそも何だろう?

文章力を磨くには、あるひとつの究極目標を最初に掲げるのが近道です。ニュースサイト「ナタリー」の記者たちの実践方法をお伝えします(第1回)

書籍『新しい文章力の教室』の一部をWeb担向けに特別にオンラインで公開!

この記事は、第1章「書く前に準備する」から、Chapter 1-01「良い文章とは完読される文章である」の内容をお届けします。

究極の目標は「完読されること」

「良い文章って何だろう?」。

唐木ゼミの初回は、必ずこの問いで始まります。参加者には順繰りに、何度も答えてもらいます。あなたも考えてみてください。

たとえば1周目「わかりやすい」「知りたいことが載っている」「テンポがいい」。2周目「間違いがない」「うんざりしない」「気が利いてる」。3周目「得した気分になる」「人に話したくなる」「元気が出る」……こんな具合に答えが膨らんでいきます。

どれも良回答、正解だと思います。ただ答えが無数にあっては学びが難しくなってしまうので、上級者になるまでの間は、たったひとつの万能解を掲げ、そこへの到達を目指すことにします。それだけ気にしていればさっきの回答すべて、それどころかたいていの問題をカバーできてしまうマジックワードをお伝えしましょう。それが「完読」です。

この本ではおしまいまで通して、「完読される文章が良い文章」ということに設定します。

おしまいまで読んでもらうことの難しさ

逆のことを考えてみましょう。たとえば文章がわかりづらかったら? 読み進むのをやめてしまう人の割合が増えていくはずです。テンポが悪かったら? 間違いだらけだったら? やっぱり離脱者が多くなる。自分の役に立たないと思ったら? 内容と比べてあまりに長文だったら? 雑誌でもウェブでも、ページをめくるか閉じてしまいますよね。

そう考えていくと、文章のおしまいまで読者を連れていくことがどれだけ困難か、理解してもらえるのではないでしょうか。特に近年のネットユーザーは私も含め、長文への耐性が低下しています。かったるさを感じたら、すぐ離脱したくなってしまう。そうすると情報も断片でしか渡せなくなってしまいます。

そういったこらえ性のない読み手に情報を不足なく手渡し、メッセージを伝えるために、私たちは文章力を磨かなければならないのです。これはナタリーのようなニュースサイトに限らず、あらゆるメディア、あらゆる仕事の現場に適用できる、普遍的な課題といえるでしょう。

目標を掲げて腕を磨く

ほんとうのことをいえば、良い文章とは何か、それは「時と場合による」ものです。しかし特に初心者のうちは、目指すべき状態をはっきり見定め、迷いなく腕を磨いていく必要があります。

そのために私が用意した、考えられる限りもっとも万能で強力なフラッグが「完読」です。だいぶ乱暴ですが、信じてついてきてください。

どうしたら文章がうまくなるか悩んでいる方にまずお伝えしたいこと。「完読されるのが良い文章」と決めると突然視界がクリアになります。

新しい文章力の教室 ~苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング
  • 新しい文章力の教室
    ~苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング
  • 唐木 元 著
  • 発行:インプレス
  • ISBN:978-4844338727
  • 価格:1,300円+税

「書ける人」になるための方法を伝授!

「書けないカギは書く前にあり」。毎月3,000本以上の記事を配信し続けるカルチャーニュースサイト「ナタリー」で実践されている文章の書き方を、一般向けに解説する初めての書籍です。

通称「唐木ゼミ」と呼ばれる社内勉強会で新人育成を担当する著者が、「悩まず書くためにプラモデルを準備する」「事実・ロジック・言葉づかいの順に積み上げる」など独特の概念を通じて、文章を構造的に書くための方法をわかりやすく教えます。

文章の具体的な改善ポイントも解説。企画書、報告書、レポート、ブログ、SNSなどあらゆる文章に有効です。

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