企業ホームページ運営の心得

販促に利益率は不要。閉店セール商法がダメな理由

利益から離れ、まず客の立場で販促企画を考えます
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の429

閉店セールの剛の者

zhudifeng/iStock/Thinkstock

「閉店セール後も営業しているのはおかしい」と、今年の2月13日、立教大学法学部の学生が店舗調査をもとに消費者庁に要望書を提出しました。閉店前のたたき売りだからお得なのではないかと、消費者を錯覚させる行為は、景品表示法の有利誤認に触れるというものです。杓子定規に解釈すれば確かにその通り。しかし、実際に罪を問うことは困難でしょう。

1日でも閉店すれば嘘とは言えず、定休日をもって「閉店」と言い張るどころか、「営業時間が終われば閉店する。だから嘘ではない」という剛の者もおり、さまざまな「閉店」の解釈があるからです。一般論としては「屁理屈」ですが。

ネット上でもときおり見かける「閉店セール」。販促企画としてなら手を染めるべきではありません。必ずといってよいほど経営が苦しくなるからです。そのメカニズムはネットショップ(ECサイト)でも同じです。

手痛いしっぺ返し

ある商店街にある靴屋が、店を畳むことを決意して「閉店セール」を実施しました。すると開業以来ともいえるセールスを記録します。それに味をしめ、10年ほど販促として「閉店セール」を繰り返していました。しかし、この靴屋も力尽きます。むしろ延命したことで、より悲惨になっていました。

「閉店」という響きに惹かれて来店したとしても、二度三度と騙されるお客は少なく、地域の消費者が一巡すれば売上は停滞します。ある知り合いの雑貨屋も、たびたび改装を理由とした「閉店セール」を打ち出していましたが、今は「効かない」と漏らします。

なにより、閉店セールに足を運ぶのは、安い商品だけを求めるお客だけ。とどのつまりは「値引き販売」で、閉店セールを続ければ、利益率はかならず悪化します。閉店セールを繰り返した靴屋は、夜逃げ同然に店を畳むまで追い込まれました。先の大学生の取り組みは、法律を学ぶ学生としては面白いものですが、現実社会はそれほど単純ではなく、繰り返す「閉店セール」には手痛いしっぺ返しが待っています。

販促と利益率の関係

これは「閉店セール」に限ったことではなく、「半額セール」「30%オフ」などでも同じです。安易に安さだけをアピールする販促企画は閉店セールと同じで、程度の差こそあれ利益率を悪化させることはあっても、店のファンを増やすことにはつながらないのです。

実は「激安スーパー」と呼ばれるお店も、安いだけではない「工夫」をしているものです。なお、家電量販店や衣料品店が「店舗改装につき」という注釈付きの閉店セールを繰り返すのは、季節商品や型落ちなどの「在庫処分」で、ビジネスモデルから構造的に発生し、単純な値引き販売とは似て非なるものです。

そもそも販促とは「販売促進」の略称ですが「売上増加」や「利益率の向上」と、必ずしも一致するものではありません。販促企画を考えるコツは、利益ではなくお客のことを考えるところにあります。

三連休の活用法

実例で考えてみましょう。中古ゲームソフトを売買するお店に、三連休向けの販促企画を依頼されました。今年もあと1回残っているように、「ハッピーマンデー法」によって三連休が激増しています。ここに客を呼び込む企画ができれば、収益機会が拡大するというもくろみです。前述のように、まず「お客」を考えてみました。

三連休にいわゆる「リア充」たちは各種行楽地へ出掛けていきます。ゲーム販売店に足を運ぶお客は、インドアなゲーマーか、暇を持て余しているかのどちらか。ゲーマーは、主体的にお目当てのゲームを買い求めにくるので販促の必要はないと判断し、後者を販促対象の「お客」と定めます。そこで立てたのが次の企画です。

3連休を500円で楽しむ!

発想によってゴールが変わる

価格訴求のようですが、さにあらず。三連休の間に、クリアできそうなRPGなどをいくつかピックアップし、特設コーナーを作って並べます。掲示しているのは売値と、買い取り価格の「差額」です。つまり、連休初日にソフトを購入し、連休最終日までにクリアして売却すれば、その「差額」だけで三連休を満喫できるというお店からの提案です。スマホゲームに押され、苦境に立つゲーム販売業ですが、この企画によって数パーセントながらも前年対比で売上がプラスになりました。ただし、これは副産物に過ぎません。

monkeybusinessimages/iStock/Thinkstock

購入したゲームをお客が面白いと感じたのなら、その好印象はまるまるお店の取り分です。それが次回の来店につながることは論を待たないでしょう。つまり「店のファン」を作るための企画なのです。いわゆる「価格」以外の要素で獲得したお客は、固定客になりやすいのです。つまらなくても、そのゲームを選んだのはお客自身で、店に対してネガティブな印象を持たれることは、ほぼありません。

販促予算は、企画説明のポップ印刷費だけ。社内のカラープリンターを使用しているので、数円から十数円程度。値引きは一切していません。利益率から、この発想にたどり着くことはできません。

仕掛けて成功を積み上げる

いまでもいくつかの販促企画を仕掛けおり、クライアントごと成功例をストックし、組み合わせることでヒット確率を3割ぐらいにまで引き上げることは不可能ではありませんが、どれだけ経験を重ねても新企画の成功確率は1割程度、「はずれ」の方が多いのです。また、A社の成功例が、B社で大ゴケすることも多々あります。しかし、成否よりも重要なことは、販促を仕掛け続けるところにあります。

これもお客の立場に回れば明らかなこと。Webでもリアルでも変わりません。ときには的外れな販促を実施していたとしても、いつも何かを仕掛けているサイトやお店には、ついつい足を運んでしまいたくなるものです。反対に、日頃なにも工夫していない店が、たった1回の販促で成功するのは、不可能に近い「奇跡」のような話です。

社内事情やビジネスモデル的に、どうしても「価格」でしか販促企画が立てられないとしても、工夫の余地は無数にあります。次回「テクニック」として紹介します。

今回のポイント

まず客の立場で考える

販促企画のヒット確率は1割程度。ストックして成功率を上げる

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