初代編集長ブログ―安田英久

USTREAMやTwitterの生中継は暇人か熱心なファン以外には苦痛?

その「生中継」、ユーザーに喜んでもらえているのでしょうか?
Web担のなかの人

今日は、ネット上での「生中継」や「動画の長さ」について。USTREAMやTwitterでの生中継は、だれ向けに何のためにやるかによって有効性が変わってくるのではないでしょうか。

USTREAMやその他の技術を使って、ネットで動画による生中継をすることの敷居は非常に下がりました。今や、それこそiPhoneやAndroid端末が1台あれば、だれでもUSTREAMで生中継できます。また、Twitterでセミナー内容をリアルタイムにレポートすることも、しばしば行われています。

しかし、この「生中継」、ユーザーに喜んでもらえているのでしょうか?

生中継という情報提供スタイルは、「ファン」や「その情報を強く求めている人」を対象とする場合は、強力な価値を生み出すと思います。しかし、そういう人以外には、提供側が思っているほど刺さらないので、ターゲットがファンではない場合は生中継以外のスタイルを検討するべきだと感じています。

というのも、生中継は、「ダダ漏れ」とも呼ばれるように、情報が整理されていません。そのため、ライブ感や時間共有感が得られるという利点がある反面、「情報を得る」という目的に対しては非常に効率が悪くなるのです。

書籍や雑誌ならば、おもしろくなければ紙をペラペラとめくって飛ばすこともできます。Webサイトであっても、ページ全体を読まなくても見出しを中心にざっと文章の流れを確認できます。でも、生中継ではそうするわけにもいきませんから、ずっと眺めているしかできません。そもそも、ライブでなくても、動画はそうした「ざっと見て必要な情報だけを効率よく得る」ことがしづらいフォーマットです。

だから、「その情報をすごく知りたい」と求めている人以外には、流れをユーザーが制御できない生中継や、録画でも長尺の動画は、どちらかというと「見るのが苦痛」になる可能性があるので、避けるのが良いでしょう。

実際に、データを見てみても、オンライン動画では1本あたり、だいたい5分程度しか見られていないようです。

とはいえ、動画で見せるほうがわかりやすい商材には動画をうまく使うべきですし、最近ではちょっとしたことにもさらっと動画を使う例が増えています。その場合、「あまり興味をもっていないユーザーは長い動画は見てくれない」ことを前提にして、動画は短めにするのが良いようです。

Web担でも「マキコミの技術」や「ブロガーウォッチング」でおなじみの いしたにまさき氏は、ブログで「サービスの紹介を動画で行う場合は、2分ぐらいに収めるのが良いようだ」と述べています。

生中継や動画の困った点として、「やっている本人たちは楽しいので時間を忘れる」というものがあります。

私は2010年に開催された第4回企業ウェブ・グランプリで、トリプルメディア部門のインタビューと対談行い、その様子が動画で生中継されました。その当時は、やっている本人としてはあっという間に1時間半が過ぎていったのですが、いま改めて動画を見直すと、やはり3分ぐらいで集中力が切れてしまいました。やはり、本人が楽しいからといって、見ている人のことを忘れてはいけませんね。

  • ファンの人には、ファン向けの空気を共有できる生中継を
  • 情報を求めている人には、動画だからこそ表現できる情報をしっかりと
  • そして、ふつうの人には、2分~3分でコンパクトにまとめた動画を

動画は、ターゲットに応じて伝え方を変えていくのがうまい使い方のようです。

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