SEMマスターのリスティング広告ノウハウ伝授

リスティング広告の目標設定で決めておくべき3つのポイント

最低限に決めておかなければいけない目標設定に関する3つのポイント

前回、リスティング広告で押さえておきたい基本をお送りしましたが、今回はそこでも言及した「キーワードの相場」や「利益率」の話に直結する内容になります。

リスティング広告の成功のカギは目標設定であるといっても過言ではありません。目標といってもさまざまなものがありますが、ここでは最低限に決めておかなければいけない目標設定に関する3つのポイントを紹介します。
  1. 目標CPA(顧客獲得単価)
  2. 目標コンバージョン数と予算の設定
  3. 目標の共有

①目標CPA(顧客獲得単価)

CPA(顧客獲得単価)

顧客獲得単価(CPA、Cost per Acquisition)とは、1件のコンバージョンを得るのに広告費をどれだけ使ったかの平均を表す指標。たとえば、資料請求を目的とするサイトで広告費を50万円使って資料請求した人が50人だった場合、顧客獲得単価(CPA)は50万円÷50人で1万円となる。

リスティング広告のコンサルティングをする際に、初回のミーティングで必ずといっていいほど言われるフレーズがあります。

獲得単価は、できる限り安く抑えたい。
安ければ安いほど良い

リスティング広告の担当者は、最善の戦略を立てて、予算内での利益の最大化を考えて施策に望みます。しかし、「できる限り安く」という目標はあいまいなため、最善な戦略を立てることができません。

では、正しい目標CPAを考えてみましょう。

一般的には商品代金から原価を差し引いた価格、つまり利益(粗利)を目標CPAとすることが多いようです。しかし、この計算は、高額商品や1人が1回しか購入しないような商品では悪くないのですが、一般的には適切な計算方法ではありません。

特にリピート性の強い商品を扱っているネットショップでは、コンバージョン行動は1回限りでは終わらない場合が多く(繰り返し購入してもらうため)、1回コンバージョンしてもらえば、その後も継続して大きな利益を生む場合があります。そういった場合、目標CPAを決定する要因はLTV(ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)から導き出す必要があります。

例を見ながら説明してみましょう。たとえば、次のような商品を販売しているとします。

●例
価格5,000円
原価3,500円原価率(仕切り)70%
粗利1,500円粗利率30%

上記の条件であれば目標CPAを粗利の1,500円と設定してしまいがちです。しかし、この商品がリピート性のある商材であれば、話は変わってきます。ユーザーがその後も購買行動をするとして、LTVの考え方を取り入れてみましょう。

平均リピート率50%
※ここではリピートは1度限りとする

●公式
LTV = 価格+(価格×平均リピート率)

では、この公式にあてはめて計算してみましょう。

・価格 + (価格 × 平均リピート率)
= 5,000円 + (5,000円 × 0.5)
= 7,500円

では、このLTVに対して得られる粗利を計算してみましょう。

・7,500円 × 粗利率 = 2,250円

このように考えることで、目標CPAを1,500円から2,250円まで引き上げられます。

しかし、ここで次のような疑問が出るのではないでしょうか。

目標CPAが上がると、どんなメリットがあるのか?

リスティング広告のクリック単価(CPC)は、競合の参入や季節によって常に変わります。ということは、クリック単価が現在よりも高くなってしまう場合があるのです。

入札しているキーワードのクリック単価が高騰してしまうと、目標CPAが低い場合には、高いクリック単価で入札を続けられなくなり、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性があります。

目標CPAが1,500円の場合よりも、目標CPAが2,250円の場合のほうが、リスティング広告を柔軟に利用できるため、ビジネスチャンスが広がる可能性が高まるのです。

注意してください。ここでお伝えしたいのは、「闇雲に目標CPAを上げましょう」という話ではありません。まず目標CPAを利益幅の限界まで設定しておいて、その範囲内でできるだけ低いCPAで、できるだけ多くコンバージョンを獲得するようにしましょうという話です。

また、資料請求、問い合わせなどの間接的な指標をコンバージョンとして設定していて店舗への集客につなげる場合などは、どの程度実際の利益につながっているのかを分析して、資料請求や問い合わせ1件あたりの価値を金額で表し、それらを目標CPAとすることが重要になってきます。

②目標コンバージョン数と予算の設定

リスティング広告に使用する予算は、予算の消化状況やコンバージョンの獲得状況に応じて、月中であっても臨機応変に変更するのが望ましいのですが、企業の規模が大きくなるにつれて、あらかじめ定められた予算を使わなければ行けない状況が多々あるのが実情です。つまり、予算をあらかじめ決めておく必要があるのです。

予算を決めるには、まず、ある期間中にどれくらいのコンバージョンを獲得したいのかを決めます。そして、目標コンバージョン数と前述の目標CPAと下記のような式に当てはめれば、予算を決定できます。

目標CPA × 目標コンバージョン数 = 予算

ただし、繰り返しになりますが、月の予算は獲得単価や獲得数に応じて臨機応変に対応することが望ましいものです。特に月末は競合他社の広告掲載が少なくなる傾向があるので、できるだけ露出を抑えずに露出機会を維持・または増やしてコンバージョンを獲得しにいくのがいいでしょう。

③目標の共有は必須

リスティング広告の運用を自社でやるにせよ、外注で代理店に依頼するにせよ、担当者と運用者の間で目標を必ず共有しておかなければいけません。

筆者の経験上、目標CPAや目標コンバージョン数といった目標設定が正しく設定され、関係者間で共有されていない場合には、さまざまな問題が生じます。自分たちの施策が適切なのかを判断できず、取りこぼし(機会損失)があるのかすらわからない、といったものです。

このような混沌状態に陥ってしまわないように、目標を設定して共有しておくことが重要なのです。

まとめ

あらかじめ細かく目標を設定することで、その目標を達成するための明確な戦略を立てることができます。目標設定はいわば戦略を立てるための序章に過ぎません。

次回は目標設定後にどのような戦略で目標を達成するのかを、いくつかの状況に合わせて説明していきます。

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