国内&海外SEO情報ウォッチ 「海外SEO情報ブログ」の鈴木 謙一氏が、日本と海外の検索マーケティング情報をさらっとまとめて毎週金曜日にお届け。
海外&国内SEO情報ウォッチ

順位決定に与えるSEO要因比較 グーグル vs. Bing など7+3記事(海外&国内SEO情報)

海外の有名イベントからの濃いオーガニックSEOの情報がたっぷり

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今週のピックアップ

SMX Advancedという検索エンジンマーケティングの大規模カンファレンスが6月8日・9日に米シアトルで開催され、筆者も参加してきた。

今週の海外情報は、SMX Advancedがらみの2本を、豪華版としてお届けする。もちろん、2本とも「今週のピックアップ」だ。

  • 順位決定に与えるSEO要因比較 グーグル vs. Bing(from SMX Advanced Seattle)
    (SEOmoz)

    Web担でおなじみSEOmozのランド・フィッシュキン氏が、SMX Advancedで「種々のSEO要因がGoogleとBingのランキングに与える影響を調査比較した分析」という内容のセッションを行い、そのスライドと解説が、SEOmozブログに記事として公開されている。長いのだが、筆者がランドの目の前で聴いていたプレゼンでもあるので、ただの記事紹介ではなく、内容をひととおり説明しよう。

    • ドメイン名に含まれるキーワード

      ドメイン名に含まれるキーワードのグラフ
      • キーワードと完全一致したドメイン名はどちらの検索エンジンでも強い影響力を持つ。驚くかもしれないが、グーグルはBingよりも完全一致のドメイン名との相関性を持っている。
      • ハイフンでつなぐと影響力が低くなる
      • 完全一致じゃなくてもキーワードを含んでいればプラスに働く
    • 完全一致のドメイン名とTLD

      ド完全一致のドメイン名とTLDのグラフ
      • 完全一致のドメイン名なら.netや.orgよりも.comを使うべき。その他のTLDは相関しているとはほとんど言えない。
      • BingはGoogleよりは、多少ではあるれど.comでなくても評価していそう。
    • サブドメインのキーワード

      サブドメインのキーワードのグラフ
      • サブドメイン名のキーワードはルートドメイン名ほどには力がない
      • Bingはかつてほどではないけれど、サブドメイン名に使われたキーワードにプラス評価を与えている。

      ※筆者注:ここまではキーワードが含まれているドメイン名とランキングとの相関性であるが、英語でのデータであり日本語にそのまま当てはめることはできないであろう。

    • ページに出現するキーワード

      ドページに出現するキーワードのグラフ
      ※Web担編注:負の相関があるため、元記事のグラフからバーの形式を変更。
      • 画像のalt属性にあるキーワードはBingにもGoogleにも効果がある(さらなる検証は必要)
      • URLに含まれるキーワードも効果があるっぽい(ただしURLのベタ張りによるものかも知れない)
      • いくつかは若干であるにせよネガティブに作用することもある
      • 今ではみんなtitleタグにキーワードを入れて最適化するので違いを見つけづらい
      • 全体的に言って、ページ上のキーワード使用はものすごく大きい影響力を持っているように見えない
    • リンクの数と多様性

      ドリンクの数と多様性のグラフ
      • リンクは依然としていちばん大きな要因。他のどの指標よりも高い関連を示した。
      • Bingの方がややリンクに影響を受けやすい(去年よりは良くなっている)
      • リンクの数そのものよりも多様性の方が重要
    • TLD

      TLDのグラフ
      ※Web担編注:負の相関があるため、元記事のグラフからバーの形式を変更。
      • マット・カッツが言うように、.govや.info.、eduなどTLDによって恩恵が与えられたりペナルティが与えられたりということはない
      • .orgドメインが強かったのは驚き。おそらく商用で使われることが少なく、参照元として評価を集めやすいからだろうか。何にせよ、SEOmoz.orgで良かった。
        ※筆者注:Wikipediaのせいかもしれないとコメント欄で述べている
      • .comは評価が低いが、先に説明した検証結果を考えると推奨することに変わりはない
    • ドメイン名・URL・コンテンツの長さ

      ドメイン名に含まれるキーワードのグラフ
      • URLは短い方がいい(特にBing)
      • 長いドメイン名はダメと言うことではないが理想的ではない
      • コンテンツの長さにはほとんど相関性は見られない。このことは、マット・カッツの「検索エンジンのためだけにページのテキスト分量を増やしすぎないこと。ページは論文のようなものである必要はなく、ふつうに使えて役に立つものであればいい」という発言と合致する
    • トップページ

      トップページのグラフ
      • GoogleよりもBingの方がサイトのトップページがずっと上位に出やすい、Googleの2倍。
    • アンカーテキストの一致

      アンカーテキストのグラフ
      • 同じドメイン名からたくさん張られたリンクのアンカーテキストは効果が低い
      • いろいろなドメイン名からのリンクのアンカーテキストはもっとも影響度の高い要因の1つ
      • 完全に一致したキーワードのアンカーテキストについて、BingはかつてのGoogleのように評価している
    • 高い相関性を示した要因の総括

      総括のグラフ
      • 全体的に言って、オンページ要素とドメイン名関連の要素よりリンク関連の要素がずっと相関性が高い
      • 完全一致のドメイン名が依然として強い影響を与えている
      • GoogleとBingは非常に似通っている ―― 2つ検索エンジンをターゲットにして別々のサイトやページを作成するのは労力のムダ
      • Bingは時を経てどんどんGoogleに近づいてきているように思える ―― 今回の結果すべてを昨年計測したわけではないけれど、両者の類似性は劇的に増してきている(GoogleがBingっぽくなってきているとも言えるが、私たち独自の経験則には合致しない)

    ここで示されているデータの調査概要は次のとおり。

    • さまざまなカテゴリでのアドワーズの提案データを使って、グーグルとBingから1万1351件の検索結果を取得(時期はSMXの前の週末)。
    • 原則として、各検索結果の上位10件を処理。
    • スピアマンの順位相関係数を求めた。
    • 標準誤差をstderrとして表記した。
    • あくまでも相関関係を示しており、因果関係を示しているとは限らない。

    ちなみに、プレゼンを聴いたグーグルのマット・カッツ氏は、1万1351件という数字について「検索全体のボリュームからすれば少ない数字で完全に信頼性があるとは言えない」とコメントしていた。

  • マット・カッツに聞いた7つのSEOの疑問
    (SEOmoz)

    SMXの前日にSEOmozが移転したばかりの新オフィスの見学ツアーを開催した。そこにグーグルのマット・カッツ氏が出現した。

    SEOmozの見学ツアーに現れたマット・カッツ

    SEOmozは毎週金曜日にWhite Board FridayというコーナーでビデオでSEOをレクチャーしている。マット・カッツ氏が訪問した際に頼んでこのコーナー用にビデオインタビューを撮影してもらったようだ。要点を解説する。

    • Q If-Modified-Sinceに対応するべきか?

      ※筆者注:ここでいう「If-Modified-Since」は、HTTPリクエストにIf-Modified-Sinceヘッダーが含まれている場合に、必要に応じてHTTPステータスコード304を返す仕組みのこと。サーバー側でこの仕組みをサポートしていると、検索エンジンのロボット(ユーザーエージェント)からのHTTPリクエストに対して、そのロボットが以前にクロールして取得したデータよりもサーバーにあるファイルのほうが更新日時が新しければデータをレスポンスとして返すが、更新されていなければ「ファイルの内容は変わっていない」旨の304を返すだけで、データ本体は送信しない。結果として、通信量を減らすことができる。

      A 帯域が大きな問題だった2003年にグーグルはサポートを開始したが、現在それほど重要ではない。標準的な施策としてアドバイスするけれど、必ずしもクロールを速くするとは限らない。

    • Q サーバーメインテナンス時には503を使うべきか?

      ※筆者注:503についてはWeb担の503の解説記事を参照

      A サーバーがダウンするときはHTTPレスポンスコード503を返すことを推奨する。Retry-Afterでグーグルにいつ再クロールしてほしいか指示することはできないが、グーグルは必ずまたクロールしに戻ってくるし、503が返されればメインテナンス中のページをインデックスすることはない。

    • Q ページからの発リンク数はPageRankに影響するか?

      A 元々の公式ではPageRankはページ内のリンクに均等に配分されるが、現在はもっとずっと循環的・反復的な分析になっている。みんなが思っているほど大きな違いは出ない。自分のサイトのページのなかにリンクジュースを溜め込む必要はないし、それどころか気前よく外部のサイトにリンクを張った方が利益がある。

    • Q 1兆のURLがあったらそのうちいくつを見てくれるか?

      A URLの28%は重複したコンテンツを指している。ページの質で判断するが、「質」と「人気」は違う。トラフィックは重要な要因ではない。PageRank(=質)は人気を表すわけではない。ポルノサイトは人気があるけれどリンクしようとは誰も思わないだろう。

    • Q トレイリング・スラッシュはURLのストラクチャで重要か?

      ※筆者注:トレイリング・スラッシュはURLの末尾の「/」のこと

      A どちらかと聞かれれば、トレイリング・スラッシュを付けることを勧める。付けておけばドキュメントではなくディレクトリだと判断できるからだ。ただ、グーグルは上手に違いを判断できるから、そんなに大きな問題ではない。

    • Q グーグルは複数の地理的場所からクロールするか?

      A グーグルは基本的に世界中どこでも1つIPレンジからクロールする。理由は、世界で共通の1つのインデックスを持っていて国ごとに分けていないからだ。これは、異なる国のユーザーに異なるコンテンツを見せないようにするのが重要なことを意味する。

      「フランスからのIPアドレス対してはフランス向けコンテンツを表示する」こんなふうに違ったコンテンツを見せるとGooglebotはそのコンテンツを見ることができないから、問題が起きる。

      したがって、最初はみんな同じページに送り込んで、そのあとユーザーにどの地域のコンテンツがいいのか選ばせるようにするといい。グーグルはドロップダウンリストを選べるしJavaScriptを実行できるけれど、それでもやっぱり静的なリンクを地域のナビゲーションとして提供しておくべきだ。

    • Q チェーンリダイレクト(301 → 301 → 301)は悪い考えか?

      A 1回だけのリダイレクトや、2回の連続したリダイレクトは処理するけれど、3回はやりすぎだ。たどらないだろう。302は一時的な移転のときだけに使う。

      ※筆者注:グーグルのジョン・ミューラー氏は、グーグルは5回までのリダイレクトなら大丈夫だと、かつてTwitterでコメントしている

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