BOOK REVIEW Web担当者なら読んでおきたいこの1冊

いまさら聞けないネット時代のマーケター知識がこれ1冊で/書評『Webマーケティングコンサルタント養成講座』

キャリアパスの有望株は「Webマーケコンサル」。新専門職のツボを丁寧に解き明かす
ブックレビュー

BOOK REVIEW Web担当者なら読んでおきたいこの1冊

『Webマーケティングコンサルタント養成講座』

評者:森野 真理(ライター)

キャリアパスの有望株は「Webマーケコンサル」
新専門職のツボを丁寧に解き明かす

Webマーケティングコンサルタント養成講座
  • 海老根 智仁、頼定 誠 著、根来 龍之 監修
  • ISBN:978-4-7981-1818-5
  • 定価:1,800円+税
  • 翔泳社

横文字業界には横文字の肩書きが飛び交っているのが通例とはいえ、最初に“ウェブマーケティングコンサルタント”と聞いたときには、早口言葉か何かの呪文かと思う人もいただろう。ひとつひとつの単語は、IT業界や広告業界、外資系の経営指南などから連想されるイメージがあるが、3つ並べられると何のことやらピンとこない。しかし本書によると、この新語こそ、今後間違いなく認知度が急上昇し「キャリアパスの有望株」になるという。

本書は、ITベンダー、広告クライアント、広告代理店、それぞれから注目を集めている、新しい専門職「Webマーケティングコンサルタント」について、その役割や位置づけを丁寧に解き明かした良書だ。「Webマーケティング」とは、本書によれば「商品もしくはサービスを、生産者から消費者もしくは使用者にまで流通させることに関する、経済活動を、インターネットという双方向性のある仕組みが遂行すること」だという。ごく簡単にいえば、インターネット中心の広告活動を、技術面も含めて幅広く組み立てる人材を育成するのが本書の狙いなのだ。

第1章では、なぜWebマーケティングコンサルタントが求められるようになったのか、求められるニーズを説明し、その背景にある広告業界の変遷をコンパクトにまとめてある。消費者の行動の変化にともない、広告メディアとして急速にインターネットが注目を集めていることや、その結果、クロスメディア戦略が重要視されていることは業界内ではすでに指摘されていることだが、この章を読めば、現在の広告業界がインターネット上で何を求めているのかがわかる。

広告業界は、これまでテレビ、新聞、ラジオ、雑誌に代表される「4マス(4大マスメディア)」中心にマーケティング戦略を組み立ててきたが、新たなメディアであるインターネットが登場し、単なる広告センスだけでなく、ITスキルも持つ人材がマーケティング戦略を組むことが求められるようになった。本書では、そうした流れが平易に示され、新しく、しかも将来有望なスキルとして「Webマーケティングコンサルタント」能力をどう身につけるかまで教えてくれる。

本書の優れている点は、次々に登場するインターネット広告の種類を詳述しているうえ、Webマーケティングコンサルタントに要求されるスキルや、今後さらに重要になってくるインターネット広告の効果測定の比較、さらにはインターネット広告取引の流れまで、いまさら人に聞きにくく、まとまった文献も見つけにくかった「入門レベル」の情報がよくまとまっていることだ。これ一冊読んでおけば、インターネット広告についての「知ったかぶり」を密かに訂正できる。

ただし、マーケティング論についてはやや物足りない。Webマーケティングをもとにした実践的なコンサルティング技術については第6章で詳述してあるが、本当に実践的なのは各章末にあるWeb広告を手がける業界キーマンのインタビューのほうだ。著者は本書を通じて、Webデザイナーやプロデューサー、SEなどにもマーケティングの素養を身につけてほしいと考えているそうだが、どちらかというと広告業界の人間がWebマーケティングについて学ぶのにふさわしい一冊に仕上がった。もちろん、現在BtoCのWeb管理などに関わっている人なら、すぐに役立つ知識も満載。3時間で読める内容なので、一読をお勧めしたい。

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